福田和代のレビュー一覧
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各作品には、発表時期または設定時期が明記されていて、作中の物語は2010年から2011年の出来事である…
岩倉梓が取り組む事件は…児童ネグレクト、貧しい老人の孤独死、幼稚園での騒動、ストーカー騒動、震災に絡んだ詐欺と様々だ…何れも…或いは「最近の社会の縮図」のようでリアルだ…そういう事態に、主人公が一つずつ真摯に向き合う。或いは、警察で“本流”のようになっている「凶悪重大事件を扱う」ということも大切だが、岩倉刑事が向き合うような、様々な事案の方が世の中には圧倒的に多い筈である。故に、岩倉刑事達の動きや関係者の様子が、読む側に「迫る」感じがする…
本の題名に在る“ゾーン”という表現…これは「 -
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後輩にも慕われる定年間近の刑事。
時効になった幼女誘拐殺人事件の容疑者だった男が衆院選に立候補する事を知る。
同じ頃、夫の失踪届を出しに警察を訪れた母娘に声をかけたことから、その失踪にも関わる事になる。
失踪した男が最後に訪れた場所は、最先端のゴミ処理場だった。
単なる刑事ものではない。
その刑事の心の動きが物語を深くしていると思う。
携帯に掛って来た旧知のライターからの連絡。それが彼を狂気に向かわせるのは、動機が浅いのではないか。
他にもある選択肢の中で、迷いながら終章を迎えるという終わり方もあったのではないか。
丁寧に書かれた物語の中で、終わりを急いだ感は否めない。残念。 -
Posted by ブクログ
異色の警察小説集。今野敏、誉田哲也、福田和代、貫井徳郎の四人の警察小説を四編収録。いずれも唸らされる出来映えの作品ばかり。
今野敏の『常習犯』は、人情刑事物なのだが、真犯人を推理するという警察ミステリーの面白さも兼ね備えている。解説によると本作の萩尾と秋穂の二人の刑事は『確証』でも活躍しているらしい。
誉田哲也の『三十九番』は、異色の警察小説。主人公の小西逸男は浅草署の留置係員の巡査部長。前半は、ちょっと変わった設定の警察小説だなと思うのだが…後半には驚いた。以前から誉田哲也の作品はまるで二重人格のように陰と陽がはっきりしていると思っていたが、この作品は…
福田和代の『シザーズ』は、正調