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「バベル」 福田和代著
1.感染症フィクション
日本で未知の感染症が発見されました。
通称「バベル」。
高熱、嘔吐そして後遺症。
後遺症では言語障害が起きます。バベルの塔にちなんで「バベル」と呼称されます。
政府は、感染初期は入院、隔離政策をとります。
感染拡大とともに、病床は逼迫したため、症状が緩和されたら退院措置を取る施策に変更されます。
国民の14%が感染へ、、、。
国民と政府が下した決断とは?
2.執筆 2012年。
マスクをする。
接触を減らす。
飛沫感染を防止する。
いま、世界が直面している風景が、この小説「バベル」では描写されています。
巻末には、感染症、脳、そして言語に関する参考文献も記述あります。
ひとつの物語として、また、視点を広げる意味でも、一読の意義ありの書と感じました。
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新ウイルス系は致死率の高いパニックものは多いけど、後遺症をメインにしたパンデミックは珍しい。面白かった。これは映像化必至。ハリウッド映画になってもおかしくない。
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感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術はあるのか?
日本政府はある対策を講じる決断をするが…。
近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル!
これを2013年あたりに書いてたのか〜!すごいな!!
面白かったし、今このコロナ禍に読めてよかった!!
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感染症をモチーフにした小説で
私がまず選んだのは
これだったのですが…好みとして正解。
なにより「言葉を失う」ことに
焦点が当たってるところが
言語フェチにはもうバッチリですわ。
そして、山あり谷ありだけど
最後は希望を感じさせて終わっている
ハッピーエンド寄りなところ。
それにしても作家の想像力というのは
2012年当時の資料と情報だけで
こんなに現実に肉薄するものが
書けちゃうんだから、すごい。
感染してるのに症状が出ないとか
劇症化の度合いとか…。
しかし、日本がパンデミック震源地で
早めに鎖国状態にしたため
日本以外の国には広まらなかった
ってのがなんだか皮肉だったわ。
Posted by ブクログ
日本を襲う強力な感染症バベル。様々な立場から苦悩しウィルスに抗う人々。感染爆発のBeforeとAfterがパラレルに展開するストーリーに引き込まれた。著者の丁寧な取材の結果が随所に反映され内容に深みがありまた感染症に対して参考になる点が多々あって好感が持てた。
Posted by ブクログ
現代のコロナ禍との相似形に、作家の想像力の凄さを思う。
この作品、初出は2012年の別冊文芸春秋なのに。
物語は、同棲している恋人が突然原因不明のウイルスに感染されるところから始まる。
肺炎を誘発するコロナウイルスに対し、こちらは脳炎の症状となる。感染すると、相手の話すことは理解できるが、自らは言葉が発せず、死に至るケースもある。
旧約聖書に書かれたバベルの塔の物語にある、言葉が通じなくなるエピソードから、「バベル」と名付けられたウイルス。
日本での感染拡大に、各国は日本への渡航や日本からの入国を全面的に禁止する。この危機に、一人の政治家が、感染者と未感染者とを住み分けるという政策を打ち出す。
感染の、BEFOREとAFTERとが交互に語られる。BEFOREの現実に対し、AFTERはSF小説的に。
所々に綴られる出来事が、まるで現在の状況を表しているかのよう。
「報告を受けた発症者の数だけでも数千件に上がっている。感染者はさらに多いだろう」
「動物や人間の体内で今も変異を続けているのです」
「インフルエンザのように咳・くしゃみ・鼻水による飛沫感染を起こして」
「厚生労働大臣が昼過ぎに会見を行い、不要不急の外出を避け、二週間程度の食料を用意して自宅に待機することを勧めるという談話を発表した。企業には可能な限り社員の在宅就業を認め、通勤電車や、社内における感染を防ぐようにという出ている。海外への渡航も自粛すべし」
「レジで頭を下げる店員は、釣銭を直接渡さない。必ず四角いカルトンに入れて、客の側に滑らせる」
「委員会は紛糾していた。彼らに与えられた検討材料は、時々刻々と増え続ける発症者と感染者の数。それに、ワクチンや抗ウイルス薬の絶望的な開発状況」
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コロナ禍のさなかに知った本。新型脳炎が日本で感染爆発を起こすというプロットが生々しい。新型脳炎に罹患した者は言葉を失う。だから通称バベル。なるほど、と思う。著者は理系出身なだけに、「言葉」に対する科学的な知見から本書を著したのではないだろうか。それが、ウイルス感染を基本としたパニック小説として実現したのではないか。
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文庫本は2019年の発売だが、書かれたのはもっと前で、当然コロナ禍以前。後遺症で失語をきたすバベルウイルスに、多くの日本人が感染。感染モノではあるが、ウイルスとの対決が主題ではなかった。何か途中からおかしな総理が出てきて・・・やっぱり筆者はバトルアクションが得意なんだな。
Posted by ブクログ
『バベル』(福田和代氏作)は2012~13年に書かれた連載小説で、文庫自体も2019年発売であることから、当然に「コロナウイルス」のパンデミックを経ていない時期の物語である。
以前より「食物連鎖の頂点に立つ人類の天敵は、ウイルス」と言われていた。そのため昔から細菌やウイルスのバイオハザードに関する本や小説が数多くあった。
現実に、世界的規模の「パンデミック」となったコロナウイルス蔓延を経験してしまった今、このような物語が「どこか甘い」と感じてしまい、なかなか没入できないと敬遠する気持ちがあった。
ところがこの『バベル』は、「ウイルス・パンデミック」はあくまで背景として「言語という手段」や「極限時の民衆の集団心理」に考えさせられ、派手なアクションシーンで終盤いっきになだれ込むなど最後まで興味が引き付けられて、コロナ以降でも読むことのできる物語となった。
潜水艦が実用化された後でも「海底二万里」が面白いように、物語の力があれば長く読まれることになる。
Posted by ブクログ
なんか時間かかりました
ふたつの時間軸が交互に展開される
ウイルス感染ってことでどこかコロナを想像させるが
展開は違う
感染者と非感染者を分断とはまたすごいことを
したものです
にしても普通はとらない一手なんだろうなと
思いながら読んでました
Posted by ブクログ
コロナの最中に読み始めたけど初期の社会状況は結構現実と合ってるなあ。
コロナは海外の方が悪化しているけど現実的な社会はどう変化していくんだろう。
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エンタメ。中盤ちょっとダレるのと、最後のAnother章が蛇足なのが残念。でも全体よくまとまっていて、何より文章が読みやすいのが素晴らしかった。
Posted by ブクログ
後半まではスピードもあり早く早く読みたくて時間を見つけては読んでいたが最後の首相が感染したあたりからページ数の問題からか急速にダウン。
今時期コロナで現実と小説と混同してしまいそうになる文章だっただけに残念。
面白かったのに。。。
Posted by ブクログ
コロナ渦中に読むパンデミックもの。今度は小説で。感染回避か経済活動か、隔離か共存か…現実と同じような問題が突き付けられる。終盤はそれなりに盛り上がるので、前半のまどろっこしさが惜しい。もう少し短くてもよかったかなと。
Posted by ブクログ
ある日突然、同棲している恋人が高熱で意識不明の重体となり、
救急車で搬送される。彼に付き添い続けた悠希にも、魔の手がしのびより……。
感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術は
あるのか?
日本政府はある対策を講じる決断をする。
近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル!
まさか、ここで非言語コミュニケーション(マージョリー・F・ヴァーガス 新潮選書)を目にするとは思わなかった。30年ぐらい前に読んだ覚えがある。
結末は、ややありきたり。
Posted by ブクログ
読むなら今かなと思って読んでみた。新型の脳炎のパンデミックに見舞われた日本のお話。罹患した結果脳の一部が損傷して言葉を失うのが特徴。
感染者と非感染者の隔絶が起こる前と後の交互に描いていますが、あまり効果が感じられず却って読みにくくなっていると感じました。