司馬遼太郎のレビュー一覧
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天下分け目の決戦から石田三処刑で黒田官兵衛がトリを飾る構成。中心人物はもちろん徳川家康と石田三成だが下巻に至っては脇の登場人物達の出来事も更に書かれておりフラットな形での関ヶ原戦記といえる。前田慶次も登場してくる(脇役中の脇役だけど)のは嬉しい。
個人的には島左近がキャラも立っているしかっこいい。三成の綺麗事主義だとヤバいし(ちゃんと諫言している)彼程の武将なら家康も喜んで受け入れたろうに、現状でできる最善を尽くして最期に大暴れするのが素晴らしい。死体が発見されなかったため生存説も出た様だがこんな修羅場を生き延びたとは考えにくいし生きてたら大坂夏の陣に出てきそうな気がする。
本書では教訓になる -
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新選組のこと、今まで興味もなかったし、知ろうともしなかった。どうも、“斬ったの斬られたの”が好きではなくて。
2年前の夏、学生時代の先輩からのすすめで読み始めたものの数ページで断念。今回、司馬遼太郎さんの文章を読み慣れてきたところで再チャレンジしました。
新選組の成立過程や組織内の人間模様が分かりました。半分以上読み進めると、土方歳三という人物が鮮明になってきます。組織力にたけ信念を貫き通す人であり、沖田総司との人間味豊かなやりとりや、近藤勇への思いが伝わると、男前な人だなあと思いました。坂本龍馬と土方歳三が、同学年だと生まれ年を調べて分かり、どちらもすごい人なので感動してしまいました。
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幕府を倒すために薩長連合を成立させた竜馬だが、
薩長が新政府を作った場合の帝国主義的政策を危惧する。
幕府対薩長の対立は、帝国主義的に見れば、イギリス帝国主義対フランス帝国主義という対立による、日本の植民地化の争いに他ならない。
そのためには、幕府を倒して、且つ、薩長を制御する方法が求められる。
それが、「大政奉還」の一手だった。
勝海舟•大久保一翁という幕臣が考えた徳川家の延命策のアイデアを、千載一遇のチャンスとして、換骨奪胎して、実行に移したのが竜馬だった。
それは日本が植民地に堕することなく、新しい日本国を作り出す奇策だった。
「薩長連合」にしても「大政奉還」にしても、竜馬という一浪人 -
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一人の人間が歴史を変えることがある。
坂本竜馬が存在しなければ、(襲いかかる幾多の危機を乗り越えられず、もっと早くに死んでいたら—その可能性は物凄く高かった)、現在歴史的として存在している「明治維新」はなかった。
そんなことはあるだろうか?
遅かれ早かれ、江戸幕府は崩壊し、「明治維新」は訪れていたのではないか。
この本は、それを否定しない。
しかし、竜馬無しで成し遂げられた「明治維新」は、現在我々が「明治維新」と呼んでいるものとは、違っていただろうと、本書は指摘する。
そして、あったかもしれない「もう一つの明治維新」の姿を、垣間見させてくれる。
それは江戸幕府主導の「明治維新」だ。
幕臣にも -
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本書で、日本は滅亡寸前にあった、という驚くべき事実を知った。
日本がロシアの植民地にならなかったのは、歴史的偶然の重なりによるもので、決して日本の陸海軍が強かったわけではない。
歴史の教科書では、日露戦争の勝利は恰も必然のように記述されているため、我々は錯覚しているが、実はこの時が、日本史上、国家滅亡の最も瀬戸際にあったことを知って慄然としないわけにはいかない。
圧倒的な軍事的格差があるにも関わらず、日本が大国ロシアに戦いを挑んだ背景には、日本国民の世論があった。
ロシアとの戦争を回避しなければならないと悲壮な覚悟でロシアとの交渉に当たった伊藤博文は、弱腰と猛烈な批判を受けたが、それは、伊藤