司馬遼太郎のレビュー一覧
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第三巻から徳川慶喜や新撰組が登場し、話が急展開する。松本良順はあくまで幕府の立場で活躍する。もう一人の主人公の島倉伊之助は故・佐渡に帰り時勢の中に現れない。今後彼がどう活躍するのかが非常に楽しみ。
十四代将軍・徳川家茂について詳しく触れられているのが印象に残った。家茂は大変な時代に十代で将軍になってしまった誠実な青年。その誠実さと責任感の強さゆえに短命に終わってしまう将軍なんやけど、政治的実力は別として、勝海舟ですらほれ込んでしまうほどの人柄の持ち主だったらしい。僕と同じ紀州出身ということもあり、すごく感情移入してしまう人物。 物語の本筋からは逸れてしまうけど、家茂の事をもっと詳しく知りたいと -
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主人公は尾張の織田信秀の息子、信長へと移る。
美濃の庄九郎(斎藤道三)は隣りに位置する尾張との関係を考え娘である濃姫を信長へと嫁がせる。
噂のうつけ殿とは違い、何かを感じた庄九郎は、彼に天下統一の夢を託して果てる。
唯一の理解者であった父親と道三を失った信長はその才覚を序々に開花させる。
時同じくして、明智十兵衛光秀は道三の才能を余すことなく受け継いでいた。それは若きころの庄九郎と似ているとおまあに言わせるほどであった。
彼は斎藤道三が亡くなったために一城の主から浪人へと転落するも将軍家の再興を果たすために各地を回る。また、濃姫とは従兄弟の関係にもあり、一時は将来が約束され -
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斎藤道三(庄九郎) 後編
美濃でその地位を築いた庄九郎は、美濃の守護職 土岐頼芸を追い出すに至る。
尾張の織田信秀との闘いにも再三勝ち続けるも、国盗りに費やした時間は20年。
もう一度、人生があれば天下を取れると思うも、寿命は皆平等である。
楽市楽座の制度は織田信長が行ったと思いきや庄九郎が積極的に行ったようだ。
当時の産業界というのは許可制(座)で、その強い権力は寺社が持っていたことは有名だ。ルールを守らない場合は神人がその店を襲う、京都のような工業の中心地では守護職でも彼らの意向には逆らえないほどだったらしい。
そんな座の制度の弊害をなくすための楽市楽座(本当は庄九郎 -
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≪あらすじ≫
幕末という大動乱期を生きた新撰組。隊士一人一人の生き様を描いた15編の連作短編集。
≪感想≫
この小説を初めて読んだのが中学生の頃。緑布カバーの司馬遼太郎全集に収められていたこの短編集を夢中になって一気に読み耽った記憶がある。大学生になった今、懐かしさとともに再読して思うことは、力のある小説というのは何度読んでも色褪せることなく、むしろ読み返すほどに深くその世界に引きずり込まれるということだった。
中学生の頃に一番好きだったのが「沖田総司の恋」という一篇で、若くして天才剣士と謳われた彼の純朴で人間味溢れるエピソードがとても気に入っていた。しかし今回読み返して一番心に残ったのが -
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「ニューヨーク散歩」と題しながら、短期滞在だったのだろうか、あまり土地にまつわる思索はすくなく(唯一、旅行記らしいのはブルックリン橋の建設秘話くらいだろうか)、紙幅の大部分がドナルド・キーン氏との交流の記録に費やされている。それはそれで興味深い小話に富んでいた。
特に、キーンさんのコロンビア大学での恩師、角田柳作氏にまつわる記述に強く惹かれた。アメリカで「日本学」を確立したのがこの明治人なのだという。「コロンビア大学では当時、日本語でセンセイと発音すれば角田先生のことにきまっていた」と、ある教え子は述懐している。「明治人」という呼称が許されるなら、司馬氏の文章から匂い立つ角田柳作氏の人物像ほ -
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いよいよ西南戦争の勃発。
西郷隆盛暗殺(疑惑)の件を問いただすべく北上しようとする私学校党(桐野利秋・篠原国幹など元陸軍の要人ら)は軍を編成。
これに対し政府陸軍は熊本鎮台の牙城とする熊本城に続々と兵を送り込む。
難攻不落の熊本城にかかりっきりになり薩軍は次第に不利な戦況になっていく。対する鎮台兵は大阪から次々に補給される潤沢な武器・弾薬を駆使しこれを攻め込む。さらに九州の地にて陸軍の総指揮をするべく陸軍卿・山縣有朋が福岡に入る(海軍からは川村純義が参軍)。
とまぁ怒涛の勢いで戦況が展開、比較的はじめの戦闘から政府軍の有利な状況でコトが進んでいったようです。
高瀬の会戦では菊池川を挟んでの -
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上・下巻分冊ではなく、ひとまとめになってる昔の分厚いやつを読みました。
史実ではないけど、痛快なエンタテインメント小説として楽しめる。
主人公の霧隠才蔵は、忍者としてずば抜けた術技を持っているし、女には惚れられまくりだし、ありえないけど本当にかっこいい。
他の登場人物も、猿飛佐助、真田幸村、後藤又兵衛などヒーローめじろ押し。宮本武蔵が才蔵と戦ったりもしちゃう。
単純な読み物として充分に楽しめる。
それに加えて重要なのは、才蔵の生き方。
才蔵は、主人を持たない。集団で行動しない。自分の力に絶対の自信を持つ。徹底して、個人主義である。
物語の中の才蔵が言うことには、忍者はたとえ主君に仕えても、 -
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将雪が最初に司馬遼太郎の本を読んだのは小学生の頃で、当時は作者が誰かは気にせずに読んでいましたから、今となってはシバリョーとの出会いがどれだったのか断定できません。
でも、たぶんこれかな、と思います。
今でも時々読んでいて、そんな時はいつも真ん中あたりからランダムに読み始めるのですが、気がついたら結局全部読んでしまっているんですよね。
さて、内容についてですが。
これは短編集で、秀吉「以外」の、まあ歴史的に見たらあまり重要ではなさそうな(裏切りとかで重要な人はいますが 笑)、脇役的な人たちを扱っています。
おね、朝日姫、淀殿、宇喜多秀家、小早川秀秋、豊臣秀長、結城秀康などなどが登場しますが、彼