あらすじ
薩長両藩が暗躍し、攘夷派の浪士たちが横行する、無政府状態に近い幕末の京。新たに京都守護職を命じられた会津の青年藩主・松平容保は、藩兵千人を率い、王城の護衛者として治安回復に乗り出すが、複雑怪奇な政治の術数に翻弄され……。表題作の他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。
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英雄児
・「おれという人間は、自分の一生というものの大体の算段をつけて生きている。
なるほど、おれの家は小禄だし、おれの家は小藩だが、小藩なだけに将来、藩はおれに頼って来ることになるだろう。
同じ一生を送るにしても、婦女に鉄腸を溶かしてしまうのも一興かもしれぬ。
しかし人間、二通りの生き方はできぬものだ。
おれはおれの算段通りに生きねばならん」
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幕末の人物を切り取った短編集なのだけど、表題の会津藩主、松平容保さんのお話が一番良かった。浮世離れするほどの純粋さと、それに全力で応えた家臣。悲劇ではありますが感動です。
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【司馬遼太郎幕末短編再読月間②】
2000年に購入してから幾度目かの再読。
・王城の護衛者…会津藩主松平容保
・加茂の水…玉松操(岩倉具視のブレーン的人物)
・鬼謀の人…大村益次郎
・英雄児…河合継之助
・人斬り以蔵…そのまま人斬り以蔵・岡田以蔵
面白い。とても興味深い。
司馬遼太郎氏の、しつこいくらいの言動描写、心理描写、その源となる歴史描写が生々しい。
授業で詳しく解説されるような人々ではないかもしれないけれど、当時の彼らの存在意義や、生き様がこのような形で残っているのは素晴らしい。
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「王城の守護者」を読んでから「八重の桜」を観るとそらもういろんな深読みが(笑)
八重〜の松平容保像は少なからずこの容保を下敷きに描かれているのではないか、と思われるほどに、八重容保と共通する姿が。
個人的には「容保の鮭」のエピソードが好きです。
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松平容保が好きで読みました。彼の忠義の厚さ、それゆえにおきてしまった悲劇。敗者からみる歴史もなかなか興味深いものです。ほかの短編もおもしろい。
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幕末。
この時代は、いろんな作家によってさまざまな人物を主役に、たくさんの小説が書かれている。
同じ事件でも、誰にスポットライトを当てるかによって、善悪の立場の印象も全くひっくり返ってしまう。そんなところが面白いなー。
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最初の『王城の護衛者』目当てで読みました。
若くして会津藩主となり、激動の時代の中でただただ自分を頼りとしてくれた天皇の為に自分たちの命、一藩の命を捨てる覚悟で戦った松平容保さんの生き様が本当にすきです。
維新後も死ぬまで孝明天皇の御宸翰を肌身離さず身につけていた話は、死後の松平家の対応も含めて会津の意地を感じました。
どんな思いで松平容保さんは明治という時代を生きたんだろう、と思うとなんとも言えない気持ちになります。
2作目以降も面白かったです!
特に『加茂の水』は、あの有名な錦の御旗がたてられるまでの意外な経緯を知れてびっくりしました。
1作目を読んだあとだと、錦の御旗が掲げられ、旧幕府軍は朝敵になりましたが、そこに明治帝の意思はほんとになかったんだな…と。
小説だけで判断すべきではないと思いますが、薩長の思惑によって明治維新というものは打ち立てられたんだなと改めて思いました。
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司馬遼太郎の数多くの中・短編の中でも秀逸した作品の一つだと思う。
本書で書かれているのは、幕末の動乱期を舞台にした勝者・敗者の双方を取り上げているが、いずれも歴史に翻弄された人々を描いている。
表題以外に、岩倉具視の策士として歴史に大いなる影響を与えた玉松操を描いた「加茂の水」、日本史上最高の軍事家大村益次郎の非凡な生涯に触れた「鬼謀の人」(「花神」の別バージョンといえる)、長岡藩の天才的軍師河合継之助の悲劇を描く「英雄児」(「峠」の別バージョンといえる)、最後に幕末の異端児で、これも身分制ゆえに悲惨な生涯を送った岡田以蔵を描いた「人切り以蔵」が収録されており、いずれも読みごたえがある。
中でも表題の「王城の護衛者」は、会津藩の悲劇の顛末を描いている。
風雲急を告げる幕末の京、すでに京都町奉行所はおろか、京都所司代まで手がつけられないほどに勤皇倒幕の志士が跋扈し、無政府状態と言って言い状態であった。
その秩序回復には誰もが敬遠していたが、京都守護職という「貧乏くじ」を、会津藩が引かされる。その発端となったことが、本書の前半で詳細に書かれている。
会津藩主の松平容保(かたもり)は、江戸城内では、それほど注目を集める人物ではなかったが、「桜田門外の変」で井伊直弼が水戸・薩摩の浪士に襲われたことの対応の件で、一躍注目を浴びることになる。
かねてから水戸徳川家の京都偏向主義を憎悪していた幕閣から「これを機に、尾張・紀伊の徳川両家の藩兵をもって水戸を討伐しよう」という意見が出され、江戸城内の溜間詰の諸侯の意見を聞いたが、各大名は口を濁らせた返答のみで、可とも不可とも言わなかった。その時、たまたま容保に水が向けられた時に「水戸討伐などあってはならぬことです」ときっぱり言い切った。提案した老中が気色ばんで詰め寄ったが、容保は「ものには原則というものがある。水戸家は御親藩であり、これを他の御親藩をもって討たしめては御親辺相克のもととなり、乱が乱を呼び、ついに幕府の根底が揺らぎましょう」と。この事で水戸討伐は中止になったが、容保の運命が大きく変わった一瞬でもあった。
「会津侯は若いが、胆力もある。事理にも明晰である。御家門の中で徳川宗家の危機を支える人物がおらぬ時、思わず拾い物かもしれぬ」という印象を幕閣の誰もがもった。
後日、京都が無政府状態になった時に、治安維持のために会津藩に白羽の矢が立った。容保は断ったが、松平春獄や一橋慶喜らの執拗な説得で、最後には会津藩が滅亡するかもしれない覚悟で引き受ける。
会津藩は期待に応えて、孝明帝の信頼を得て長州藩を追い落とし、一旦は京の治安は回復するが、その後孝明帝崩御を境に一気に権謀術策に長けた薩長から「朝敵」の汚名を着せられる。鳥羽伏見の戦いの後は、徳川慶喜は心変わりをして蟄居し、薩長が振り上げた拳の矛先は会津に向かってゆく・・・
会津藩が時代に翻弄された歴史を見ると、なんともやりきれない歴史の悲劇に複雑な思いがします。
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長年の積読をようやく消化できた!幕末を生きた人物で名前は聞いたことはあるが、詳しく知らなかった人物の話で初めて知ることも多かった。司馬遼太郎さんの文章はあまり入ってこないことが多いのだが、大村益次郎の話は興味深くさらさら読めた。
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松平容保、玉松操、大村益次郎、河井継之助、岡田以蔵
玉松操と河井継之助は知らなかったけど、どっちもこんな人がいたのかと感嘆。玉松操は偽勅を書いたり錦旗を考案して原案作ったり、河井継之助は冒頭のぐうたらからは想像し難い傑物ぶり。これは読んでよかったなぁ。
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短編5篇。会津に興味があり購入。
松平容保、玉村操、大村益次郎、河井継之助、岡田以蔵の5名について。
表題の松平容保の話が最も面白かったが、やはり短編では物足りなさがあった。河井継之助は峠を読む予定なので流し読み。その他深く惹かれるものはなく。
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短編集だが、後の長編作品に繋がっているものもありどれも秀逸。
特に印象深かったのは、岩倉具視の歴史的回天の知恵袋として暗躍した玉松操をえがいた「加茂の水」。
そもそも誰も見たことのない官軍の錦旗を想起し、偽造し、それが結果的に歴史の流れを変えてしまうくだりは最高。
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幕末の、松平容保(会津藩主)・玉松操(岩倉具視のブレーン)・大村益次郎(花神の圧縮版)・河合継之助(峠の圧縮版)・岡田以蔵(4大一斬りのうち土佐出身)の5人を取り上げた作品。
河合継之助の’’英雄児’’は馬上少年過ぐにも掲載されていたので2度読みになったが、やっぱ面白い「英雄というのは、時と置き所を天が誤ると、天災のような害をすることがあるらしい」
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司馬遼太郎が1968年に発表した短編小説集。会津藩松平容保を描いた"王城の護衛者"、官軍の玉松真弘を描いた"加茂の水"、長州藩大村益次郎を描いた"鬼謀の人"、長岡藩河井継之助を描いた"英雄児"、土佐藩岡田以蔵を描いた"人斬り以蔵"の5編を収録。どの作品も幕末から明治維新にかけての激動の時代を舞台にしています。それぞれの立ち位置は違えど、自分たちの信念を胸にまっすぐに時代を駆け抜けた彼らの生き様には胸を打たれます。しかし、その確固たる信念ゆえに、悲しい終わりが待っているのが寂しい。
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松平容保の話。司馬遼太郎あるいは他の作家の作品で、主役ではないがたびたび登場する容保を主役にしている。他の作品に出ていたエピソードを改めて別の角度から見ることができる。
玉松操
大村益次郎
河合継之助
岡田以蔵
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久振りに司馬遼太郎の作品を読む。人物の描き方が素晴らしい。それぞれ個性的な人物を、本当にそんな人いるのかと、生き生きと描く。
幕末に活躍した人物、数人を描くが、短編ならではのエッセンスを凝縮した作品になっており、極めて個性的な人物ばかりを集めている。
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高校生の頃に読んだ本。35年ほど前か。
最近、天地明察で保科正之が登場していたり、NHK大河ドラマ「八重の桜」で幕末の会津を見るにつけ、読み返したくなった。
松平容保に京都守護代を押し付けた松平春嶽は結局官軍につき、将軍慶喜は敵前逃亡。薩摩は会津と組み、長州を京都から追い落とすが、後に長州と同盟。会津だけが貧乏籤を引く。
容保は京都方に嘆願書を何度も送ったにもかかわらず、官軍の討伐を受け、会津は女性、子供に至るまで奮戦し、敗北。その後も長州から会津は非情な扱いを受け続ける。
孝明帝に対しても容保は忠節を尽くし、帝も容保を頼みとされたことは歴史の皮肉というもの。この短編を読み返し、改めて歴史の渦に呑まれた犠牲者として哀切の念が尽きない。
その他、岩倉具視の参謀として錦の御旗を作った玉松操、桂小五郎から見た大村益次郎、同塾の若い友人の覚え書を基にした河井継之助伝、そして人切り以蔵について。そういう幕末の人物についての短編。つまり「花神」「峠」のもとになった作品達。こうして読むと、明治維新なんていい加減なものだったんだと、つくづく思う。
「峠」はまだ読んでいない。いつか、読まなくては。
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1.王城の護衛者 会津若松藩主の話
2.加茂の水 玉松操(幕末、岩倉具視が頼った人物)
3.鬼謀の人 大村益次郎(村田蔵六)の概要
4.英雄児 長岡藩の河井継ノ介
5.人切り以蔵 岡田以蔵
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幕末、最後まで幕府を助けたがために「賊軍」として天下の官軍に追いつめられた会津藩主・松平容保。彼は純粋で正義感の強い人物だった。
「勝てば官軍」
という文句を彼ほど悲痛を以て実感した者は居ないだろう。
明治維新は勝者である薩長の目線で描かれる事が多いが、幕府側に立った物語がもっとあっても良いと思う。その点、この『王城の護衛者』や『峠』、『燃えよ剣』は輝きを放っている。
ところで、明治維新という革命は正しかったのか、という問いに対する答えはいつか出るのだろうか。
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幕末ものの短編集。表題作「王城の護衛者」は、自滅覚悟で軍隊を率いて上洛し、最後まで徳川のために闘い抜いた会津藩主、松平容保が主人公。天皇や将軍に対する忠誠心や薩長への憎しみといったものがみずみずしく描かれていてとても面白い。表題作以外の作文も面白いのでおすすめ。
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教科書には出てこない幕末の活躍者を描いた短編集。その時代や情勢に振り回されるも陰日向に咲いた英雄たちに胸が痛む。個人的には王城の護衛者、英雄児、人斬り以蔵が好き。
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5本入った短編集です。会津藩主・松平容保を描いた「王城の護衛者」は、容保が幕末に京都守護職を命ぜられ苦労したことと、新選組が何故会津藩お抱えになったのか、その背景を知ることができました。
「人斬り以蔵」は土佐で足軽という低い身分に生まれた以蔵が武市半平太の弟子のような形になり、人を斬りまくり、最終的に武市を裏切るという悲しい話でした。
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幕末の5人の男たちの短編集。
松平容保主役の本少ないから手にとる。
この人は誰が取り上げても人物像にぶれがない印象。
まっすぐ(すぎ)で、政治が下手で。
容保が病に伏したときの孝明帝の祈りぷりが狂気じみていてここだけは創作であってほしいと思ったり。
最後の作品、人斬り以蔵も面白かった。
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幕末を生きた男たちの物語.全5編の短編集.一番印象深かったのは,表題作の「王城の護衛者」,会津藩藩主の松平容保.負ければ賊軍って訳ではないが,本書を読むまでは容保には良いイメージが無かった.
でも,当時の会津藩が置かれていた状況など見えてくると,容保に対する印象も全然違う.思わず,コレ面白いぞと呟いてしまった.
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友達に本をもらった。初の歴史小説。容保は綾野剛に脳内変換して読み進める。清廉潔白な容保の姿が印象的だった。忠義を尽くしたにもかかわらず、会津の悲劇的な運命に涙を禁じえず。もう少し
歴史的背景について知識を得なければいけないな。
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幕末の動乱に生きた人々に関する短篇集です。幕府側についた人の話が主だから仕方がないけれど、各々の不遇っぷりにやるせない気持ちにさせられます。八重の桜を見るのも、これを読んだあとでは切ない。