司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ最初の『王城の護衛者』目当てで読みました。
若くして会津藩主となり、激動の時代の中でただただ自分を頼りとしてくれた天皇の為に自分たちの命、一藩の命を捨てる覚悟で戦った松平容保さんの生き様が本当にすきです。
維新後も死ぬまで孝明天皇の御宸翰を肌身離さず身につけていた話は、死後の松平家の対応も含めて会津の意地を感じました。
どんな思いで松平容保さんは明治という時代を生きたんだろう、と思うとなんとも言えない気持ちになります。
2作目以降も面白かったです!
特に『加茂の水』は、あの有名な錦の御旗がたてられるまでの意外な経緯を知れてびっくりしました。
1作目を読んだあとだと、錦の御旗が掲げられ、旧幕府 -
Posted by ブクログ
実在の人物とは知らず読み始めたので、予想とは違い読み応えがありました。子供の頃から、どんな責めにも耐えてきて、単純明快な義侠心で行動する主人公でした。
「もともとこの稼業は死ぬことが資本の看板や」と無茶ばかりしながらも、実際87歳まで生きたというのは丈夫な身体だったんだと驚きだった。
会話文が勢いがあってユーモアもあり楽しく読めた。
幕末から明治にかけて小林佐兵衛として政治と絡んで、鳥羽・伏見の戦いで旧幕府軍として戦ってる。
天下のために走する者と見れば逃がしてやったりもしていて、桂小五郎もその一人で明治維新後に佐兵衛自身の命を救うことになったよう。
何度も入牢経験もあったようで、入牢した者の -
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慶喜は生まれながらにして、水戸斉昭に高く評価され、将軍になる才覚を持っていると言われながら育った。幕末の四賢候にも同じく扱われていた。しかし、家茂との将軍選抜には、井伊直弼大老の安政の大獄により破れる。外圧が高まる中、家茂死去後、将軍職が回ってくるが、拒絶。それは、そうだよなとも思います。大奥では嫌われ、譜代大名からも嫌われ、周りの重臣は暗殺されてはやりたくもないだろう。仕方なく継ぐことにはなるが、あとは大政奉還や謹慎などを行う。
有能ではあるが、生まれる時代を間違えてしまった感じです。現代に生まれていれば、写真家や美容師、三ツ星レストランのシェフとかやっていたかなと思いながら読んでいました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ胸が締め付けられる結末
種崎事件のあとの千代と一豊の話は、仲直りの様子が見えず、そこであとがきに入る。
千代の気持ちを考えると切なさや悲しさが襲ってくる。
途中までの功名を立ててるときは明るく楽しい話だったが、巧妙を立てて、一国一城の主となった四巻は千代と一豊の心が離れていく、いや、根底では繋がってるが、意見が分かれていく、そういう話になって、心苦しかった。
それでも、千代は一豊を、一豊は千代を、愛し続けていた、それは変わらなかったと思う。
長編と言いつつも、新聞の連載だったからこその、尻切れトンボのような語り口が、かえって、余韻を残す作品。
時代が経っても風化しない、いつでも読みた