【感想・ネタバレ】翔ぶが如く(三)のレビュー

あらすじ

「西郷と大久保の議論は、感情に馳せてややもすれば道理の外に出で、一座、呆然として喙(くちばし)を容るるに由なき光景であった」(板垣退助)。明治六年十月の廟議は、征韓論をめぐって激しく火花を散らした。そして――西郷は敗れた。故国へ帰る彼を慕い、薩摩系の士官たちは陸続として東京を去ってゆく。内戦への不安は、いまや現実となった。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

征韓論の是非について、廟議開始の岩倉具視の挨拶が巧いなと思った。
いきなり征韓論という本旨に入らず、現下の外交一般問題について、議したいとすりかえた。
相手の主張を認めながら、もっと重要な案件があると、議論をすりかえていくテクニックは、非常に参考になる。
岩倉が、江藤新平の追及に対し、三条実美から代理を頼まれたのではなく、君主より代理を命じられたのであり、三条の認めたという既成事実を継承するつもりはないという、屁理屈で言い逃れて、相手の主張や追求をそらす模様があり、これも面白い。
日本人の判官びいきに関する分析、陽気な人格とは欠点さえ愛嬌になるが、失敗でさえ同情を買える。陰気ということは、
いかに謹直で誠実であっても、えたいの知れぬ腹黒さを感じさせる。
大久保の「それはご評議になりますまい」という超婉曲的な発言も面白い。
川路のにせ人望家「上に抗して下に人望を求めるもの」「上に向かって申し述べる器量なく、下に向かって上を非とし、下に人望を求めるもの」肝に銘じたい。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

征韓論に敗れた西郷は、東京を辞去し鹿児島に下る。西郷を慕う薩摩系士官たちは、続けて西郷を追い東京を去る。政府と旧薩摩が完全に二分する形となり、今後の動静を大きく左右する形成である。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

かくして廟堂は開かれ征韓派の勝利かのように思われた。三条実美と岩倉具視の変節に腹を立てた大久保は即刻辞表を提出、ひきこもってしまう。三条は周章の果てに昏倒、太政官代理は岩倉─反征韓派の手にゆだねられることに。形成逆転となった新政府、西郷隆盛はツムジを曲げて鹿児島へ帰ってしまう。それに連なって在京・薩摩ハヤトたちは連袂帰郷…しかし東京に残る薩摩人もいた。川路利良がそれであった…。一方、山県有朋は参議に昇格した伊藤博文にジェラシーして一人で何か運動を起こしているもよう…。この巻では大久保利通の政治観念がおもしろかった。薩摩人たち(桐野利秋の親友・有馬藤太とか、大久保さんに「大ばか者」呼ばわりされた海老原穆)…それに他藩出身者(宮崎八郎トカ)も顔ぶれが多彩でした。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

明治維新により、民衆の意識が明確に変化したこと実家した。
・江戸時代まで士族以外は日本国民という意識はなかった。
・維新後、民衆に国家感を持たせ、徴兵制等の国防体制を構築するツールが天皇絶対体制であり、機能した。
・天皇絶対制を軍部が濫用した結末が太平洋戦争であった。

0
2025年10月10日

Posted by ブクログ

「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。

0
2023年09月10日

Posted by ブクログ

征韓論激論の末、西郷吉之助さんの東京退去に始まり、岩倉具視右大臣の襲撃事件が発生。山縣有朋や伊藤博文の台頭の様も描かれている。これを読むと今も続く長州閥がこの時から脈々と形成されたと思う。。

0
2018年02月07日

Posted by ブクログ

来年のNHK大河ドラマは「西郷どん」幕末の主人公西郷隆盛を描くそうなので、司馬遼太郎さんの長編歴史小説「翔ぶが如く」を読み直し始めたが、流石の司馬作品。西郷と大久保の議論は征韓論をめぐって右往左往する。

0
2017年12月11日

Posted by ブクログ

ひとまず征韓論の是非に決着がつき西郷は野に下る。この決定こそが日本の今後の運命を決める一つであったかもしれない。
主要な登場人物について細かく考察されており、その人物の思想や大義、正義の背景なども少しはわかってくる。
江戸幕府が瓦解し明治は緒に就いたばかりであるが、自国の未来を創るという一人ひとりの正義が強く渦巻く時代であったのだと感じる。

0
2015年10月27日

Posted by ブクログ

明治維新直後の不安定な時代を描いている。
征韓論から西南戦争にいたる5年間が舞台。
西郷隆盛を始め多数の人物のエピソードと緻密な時代考証にその時代を知る思い。

0
2013年08月25日

Posted by ブクログ

征韓論争の一面を見ると、西郷の哲学的論理に対して大久保の実務的論理が勝ったということになるのでしょうか。これが現在の官僚制度につながるかるかと思うと中々興味深いです。
小説的には岩倉具視が凄みを見せるシーンが迫力あっていいです。

0
2013年02月09日

Posted by ブクログ

 太政大臣三条実美を称して「紙風船のようなひとだ」と切り捨てるところがある。この件を読んで一人大爆笑する。わたしはベットで腹を抱えて悶絶するのであった。引用文参照のこと。

0
2015年03月11日

Posted by ブクログ

全巻通読後のレビュー。

全10巻という超大作であるが、もともと毎日新聞に連載された小説であるから、多々同じ記述が見られる。

しかしながら、明治維新後の日本の姿を鳥瞰的手法で世界史と関連付けて論じられている点で、日本近現代の始まりを理解する際の基礎理解には最適の入門書であると考える。

島津久光という超保守派の考え方から、維新を支えた革新派の面々の考え方が手に取るように分かる小説である。重要なのは士族の不満、百姓の不満がどのようなものであったか、であるが、それもこの小説では網羅されている。


物語は維新開始直後から、西南戦争(明治10年)を経て翌年の紀尾井坂の変(大久保の死)、さらに川路利良の病没までを描く。

明治維新は天皇の威を借りた王政復古という形でスタートした。それが後に軍の独走いうものを招くが、この時点ではそうせざるを得なかったということも、小説中で書かれている。

後の日本を支えていく山県有朋、伊藤博文、板垣退助、軍人で乃木希典、川村純義などが登場する。

西南戦争は8巻の半ばくらいから始まる。桐野、篠原ら薩摩隼人に担がれた西郷、悲劇のような最後の激闘である。西郷が桐野や篠原といった兵児(へこ)を最も愛し、彼らと生死をともにしたことは、西郷をうかがい知る上で、見逃せない点である。

西南戦争の中身についての描写は一流である。

時間がない方にも、8~10巻は読むことをお勧めしたい。

0
2009年11月01日

Posted by ブクログ

司馬遼太郎に初チャレンジした作品。が、10作もあり読むのに2ヶ月超もかかってしまったww
舞台は戊辰戦争後の明治初期。西郷隆盛を大きな軸として揺れ動く日本政府の動向をあらゆる人物の観点から追っている。よくもここまで調べたなって感心してしまう

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

大久保と西郷が完全に決別した。
西郷+桐野vs大久保+川路という構図
だんドーンから興味を持ち始めた自分としては辛い。次巻は遂に戦争始まるのか?

0
2025年04月06日

Posted by ブクログ

教科書だけでは、西郷も大久保も木戸も岩倉も歴史上のヒーローだが、人間としての悩みがあり、駆け引きがあることがよくわかる。
特に西郷、大久保の二人は幼なじみのような関係性であったのに、維新後はその方針の違いによって袂を分かち、反目するようになる。そこに至るまでの逡巡が描かれていて興味深い。

0
2024年12月24日

Posted by ブクログ

西郷隆盛が東京を離れて薩摩へ帰る。
まだ政府組織が確立されていない中での重要人物の下野、様々な人間が自身の思惑で動き、
政府を強くしようとするもの、壊そうとするもの、作り替えようとするもの等…
激動の時代、明治になったら維新完了…みたいなノリで捉えてる人は読んで欲しい。
明治憲法の制定まではまだまだ長い…

0
2024年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

p.315
「上に向つて申述する器量なく、下に向つて上を非とし、下に人望を求むる者」というのもにせものだ、という。

いつの世の中も、人の有り様、捉え方は同じみたいですね。

0
2020年04月04日

Posted by ブクログ

「翔ぶが如く(3)」(司馬遼太郎)を読んだ。

『しかしながらひるがえっていえば歴史は現実の別名である以上、歴史において仮説は成立しえない。』(本文より)

とはいっても『もしもあの時・・・』と思ってしまう歴史の転換点が数多あるのも事実でだよなぁ。

0
2018年07月06日

Posted by ブクログ

この小説は、西郷のほんとうのところを、事件を通して何度も何度も語り続けるものだとわかった。
だから、この巻は征韓論をめぐるやりとりになるが、全体の色調はほかと変わらないのだ。
つまり、この作品はよっぽど西郷に関心を抱くような人間でないと面白くはない。反面、司馬遼太郎の真摯さ・愚直さが伝わる作品なので、司馬遼太郎の研究にはかっこうだろう。

お話としては、征韓論をめぐる、非常にぬめっとした決着である。まだ「仕組み」が可視化されていない時代、ほとんどが「流れ」で決まっている。流れゆえ、歴史は物語になりやすいのだろう。

0
2018年03月10日

Posted by ブクログ

【感想】
大久保利通の若干の狡猾さはあるものの、彼とて親友の西郷を出し抜く事に心を痛めているような描写もあり可哀相だなと思った。
しかし、後年にも語り継がれる西郷の偉大さからは想像できないほど、晩年(というか明治時代)の西郷は愚鈍な人間っぷりだった。
それもそのはず、西郷には桐野利秋というフィルターがかかっていたからねぇ。
優秀な人材はもちろん、些細な情報からでさえ彼は蚊帳の外になってしまった。

YESマンで周りを固めた「お山の大将」になってしまえば、こうも愚かになってしまうのだろう。
そう思えば、自民党圧勝のこれからの日本がどうなるのか、先行きが怪しく感じてしまう・・・

あと個人的に、今の都道府県名が明治初期の官軍・賊軍に由来しているという事実を初めて知った。
いい勉強になったね


【あらすじ】
西郷と大久保の議論は、感情に馳せてややもすれば道理の外に出で、一座、呆然として喙を容るるに由なき光景であった―。
明治六年十月の廟議は、征韓論をめぐって激しく火花を散らした。そして…西郷は敗れた。
故国へ帰る彼を慕い、薩摩系の士官達は陸続として東京を去ってゆく
内戦への不安は、現実となった。


【内容まとめ】
1.西郷の征韓論は財政上きびしく、散々待たされた挙句、破談してしまった
2.幕末とは打って変わってしまった西郷。桐野たちの護衛の為、世論と触れ合う機会すら失ってしまった。
3.結果、西郷は江戸を去る事になったが、この時点では西南戦争を起こすつもりなどなかったとのこと


【引用】
p66
いちいちの能力論をもってしては、どうにも西郷という人間が出てこない。
西郷は単なる仁者ではなく、その精神を常に無私の覇気で緊張させている男であり、その無私ということが、西郷が衆を動かしうるところの大きな秘密であった。

p234
大久保と西郷は陽と陰
源頼朝と源義経、徳川家康と豊臣秀吉のときのように、一つの体制を作った人物が好まずにそこからはみ出て漂泊してしまう人物が好まれる。

陽気な人格というものは欠点でさえ愛嬌になり、失敗でさえ気の毒になるという効用を持っているが、陰気ということはいかに誠実で謹直であっても、得体の知れぬ肚黒さを感ずるということがあるらしい。

大久保はこの上なく謹直な男で、およそ栄達に驕るというところがなかったが、彼がのちに外国人を招待するために建てた粗末な西洋館の住宅さえ、薩摩人を激昂させ、歌舞伎における赤面のように驕りに驕った大久保像として流布された。


p274
新政府が熊本県と言わせなかったのは、一種の差別による。
大藩のうち、戊辰戦争に参加して新政府を樹立させることに功のあった藩は、その城下の地名をもって県名にした。
鹿児島県、山口県、高知県、佐賀県、福井県がそうである。

また、遅ればせながらも積極的に参加した旧藩地も、この待遇を受けている。
岡山県、広島県、鳥取県、福岡県、秋田県など。

これらに対し、若松(福島県)、仙台、金沢、米沢、松江といったものは成立せず、それぞれその旧藩地における小さな郡名などをとって県名とされた。
白川県もそうである。

戊辰戦争における「官賊」という色分けを、こういった形で烙印した。

0
2018年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

征韓の如何を問う廟議の始まりから西郷が薩摩に帰り、大久保との決裂と、その大久保や川路利良らにおる近代国家の骨格作りと、混乱の兆し。より深く、丁寧に当時の人々の観念を考察し、作者なりの考えを断定する。物語の進行が遅く、読みずらいが知的好奇心を満たしてくれるし、再読により見えてくるものが多い小説という気がする。
由利公正による“五箇条の御誓文“の草稿は鼻紙に鉛筆で書かれたものとはね。
まだ3巻、いまだにタイトルのような豪快な展開にはならず、といっていい。地道に読みます。

0
2017年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西郷を朝鮮に派遣するか否かを決める廟議が開催され、一度は派遣を決めるも大久保利通らの画策により否決され、西郷は政府を辞め鹿児島へ帰郷してしまう。西郷隆盛というカリスマを失い、明治政府はどうなるのか?。西郷というカリスマがいなくなっても、「亡き者として」政府を立て直そうとする大久保ら。幕末からここまでの歴史の流れをよく知っておくと話も面白く読めるかなという印象。事象の説明が詳し過ぎてややついていけない部分もあるが、ともかく一度最後までは読んでみるつもり。

0
2017年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

征韓論に敗れ、西郷隆盛さんは鹿児島へ帰りました。
それに合わせて、明治政府内にいたたくさんの元薩摩藩士たちが下野し、大久保利通さんは完全に薩摩色を失い、政府内にできた空白に長州が食い込んでくる…と。

西郷さんの征韓論は、朝鮮を支配したいというものではなく、ロシアの南下政策に対抗すべく、国防をイギリス支配下の中国に丸投げしてのうのうとしている危機意識のない朝鮮に明治維新の精神を「輸出」し、いずれは、中国・朝鮮・日本で連盟を組んでロシアに対抗しようとするもの…と司馬さんは解釈しているもよう。

いずれにしても、やっぱり西郷さんのキャラは愛せるけれど、長州の輩は愛せないなぁ…って思いました。
今の政府につながっているから、余計そう思うのかもだけど…。

0
2016年10月19日

Posted by ブクログ

西郷の下野が主題。下野により彼に心酔する実力者が次々に、要職を辞職。

その中で薩摩藩出身ながら辞職しなかった川路。彼の警察制度構築にかける信念も読みどころ。

彼の様に、自分の人生をかけて挑める仕事があるのは、素晴らしいこと。この特性は、起業家にとっての必要条件。自分も憧れる部分があるが、誰しもがいきなり大きなことが出来たわけではない。一歩ずつ踏み出していけばいい。

0
2013年12月01日

Posted by ブクログ

昨年、司馬遼太郎の「坂の上の雲 全8巻」を読みました。

坂の上の雲の中ですごく気になったのは、司馬遼太郎が描く薩摩藩型のリーダーシップ。
ネット上での解説を少し転載します。


明治時代も終わりに近づいた頃、ある座談会で、明治の人物論が出た。
ある人が「人間が大きいという点では大山巌が最大だろう」と言ったところ
「いや、同じ薩摩人だが西郷従道の方が5倍は大きかった」と反論する人があり
誰もその意見には反対しなかったという。

ところが、その座で、西郷隆盛を実際に知っている人がいて
「その従道も、兄の隆盛に較べると月の前の星だった」と言ったので、
その場の人々は西郷隆盛という人物の巨大さを想像するのに、気が遠くなる思いがしたという。




西郷従道(つぐみち)は「ウドサァ」である。薩摩藩(鹿児島)の典型的なリーダーの呼ばれ方である。
本来の語意は「大きい人」とでもいうようなものだ。
従って、西郷隆盛などは、肉体的にも雄大で、精神的にも巨人であるという点で、
まさに「ウドサァ」を体現した男であると言えよう。

薩摩藩型リーダー「ウドサァ」の手法は二つある。まずは最も有能な部下を見つけ
その者に一切の業務を任せてしまう。
次に、自分自身が賢者であろうと、それを隠して愚者のおおらかさを演出する。阿呆になりきるのだ。
そして、業務を任せた有能な部下を信頼し、自分は部下が仕事をしやすいように場を平らげるだけで、後は黙っている。
万が一部下が失敗するときはさっさと腹を切る覚悟を決める。これがウドサァである。



日本人はこのリーダーシップのスタイルに対してあまり違和感を持っていないと思う。

日本の組織のトップはリーダーというよりは殿様なのだ。殿様は知識やスキルではなく人徳で勝負。
細かいところまで口を出す殿様は
家老に 「殿!ご乱心を!」とたしなめられてしまう。

でも、このリーダーシップのスタイルは世界のスタンダードではないと思う。
世界の卓越したリーダー達で「ウドサァ」みたいなスタイルだった人を私は知らない。
スキピオ、ジュリアスシーザー、アレキサンダー大王
ナポレオン、リンカーン ・・・ ビルゲイツもジョブズも孫正義も
部下に仕事を任せはするが、後は黙っているなんて事は絶対にない。

古代中国の劉邦と劉備は「ウドサァ」かもしれない。(だから日本で人気がある?)

私も大きな組織で働いているが
トップに非常に細かいことまで指示される事を想像すると辟易してしまう。
そのくせ、「トップの方針が明確でない」みたいなことを言ってみたりもする。 どないやねん!


1年以上かけて、ようやく全10巻を読破しました。

いや〜〜長かった。
面白かったけど、やっぱり長いよ司馬さん。

「翔ぶが如く」本線のストーリーは、征韓論から西南戦争に至るまでの話なんですが、水滸伝のように、周辺の人物の描写や逸話に入りこんでしまって、本線のストーリーが遅々として進まない。。

新聞小説の連載だからなのかもしれないが、ふだんノンフィクションの実用書ばかり読んでる身としては、かなりじれったかった。

本線のストーリーだけ書けば、半分ぐらいの頁数で済むのでは?
と思ってしまいました。

[読んで思ったこと1]
本書を読み「薩摩藩型のリーダーシップ」について理解するという当初の目的は果たせませんでした。
著者にとっても、西郷隆盛という人物は、スケールが大き過ぎて掴みどころのない存在のようでした。特に征韓論以降の西郷隆盛は、現在の我々からは訳がなかなか理解し辛い事が多いです。

しかし、リーダーシップとは何かという事について、いろいろと考える事ができました。昨年一年間かけて考えた、私なりのリーダーシップ論は、後日別のエントリで纏めようと思います。

[読んで思ったこと2]
西南戦争は、西郷隆盛を担いだ薩摩藩の壮士と、山縣有朋が徴兵して編制した政府軍との戦いでした。

当時の薩摩藩は古代のスパルタのような軍事教育国家であったため、壮士達は世界最強の兵士とも言える存在でした。
しかし兵站という考え方がほぼ皆無に近かった。

一方で政府軍の鎮台兵は百姓出身者が大半であり、本当に弱く、戦闘となるとすぐに壊乱してしまう有様でした。
しかし、山縣有朋の綿密な軍政準備により、予備兵・食糧・弾薬などの後方支援が途切れる事は無かった。

両者が激突するとどうなるのか。
短期的には薩摩藩が圧倒的に有利なのですが、戦いが長期的になつてくるとジワリジワリと政府軍が有利になってくる・・・

古代ローマ帝国とカルタゴのハンニバルの戦いを見るようでした。

いや、普段の仕事についても同じ事かなと思いまして。

仕事でも、短期的に物事をガーと進められる人に注目が集まりますけど、さまざまな兵站をキッチリ意識して、長期的に組織的に物事を動かせる人の方が最終的な結果に結びつくのかなと。

この間、絶好調のアップルの決算発表がありましたが、今のアップルの収益性を支えるサプライチェーンとロジスティクスの仕組みを確立したのは、現アップルCEOのティム・クック氏だとの事。

0
2013年08月29日

Posted by ブクログ

【本81】征韓論決着。冷めた目でみると薩摩の私闘だが、それが国の運命を左右してしまう大事件に発展していく。しかし、公卿はいつの時代もこのようなのか。別視点からの考察が必要。

0
2013年01月06日

Posted by ブクログ

いよいよ西郷が去る。しかし、誰が勝ったかもわからない状況で、維新は混沌としている。幕府は倒したが、明確なビジョンなく、混乱が続いている。今と全く変わらない。

0
2012年06月10日

Posted by ブクログ

明治は凄い。
理念を持ちそのために目的意識を持ち行動する人物にあふれている。

その人物一人一人の情熱が時代を動かし今に至っている。

さて、現代を生きる僕たちのなかに、芯のある理念を持つ人はどれくらいいるのだろうか。

0
2011年10月20日

Posted by ブクログ

征韓論をめぐって二転三転するが、伊藤博文らの奔走によって最終的に西郷が敗れ、下野する。
岩倉具視の一言「わしのこの両眼の黒いうちは、おぬしたちが勝手なことをしたいと思うてもそうはさせんぞ」が印象的でした。
筆者の余談や人物評が多くて、なかなか話が進んでいかない。

0
2011年03月15日

Posted by ブクログ

西郷が鹿児島に帰ってしまった。
大久保は内務省を新設し、警察をその隷下に治め専制的国家に仕立てあげようとする。

2008/03/02

0
2009年10月04日

「歴史・時代」ランキング