【感想・ネタバレ】翔ぶが如く(十)のレビュー

あらすじ

薩軍は各地を転戦の末、鹿児島へ戻った。城山に立て籠る兵は三百余人。包囲する七万の政府軍は九月二十四日払暁、総攻撃を開始する。午前七時すぎ、西郷隆盛は二発の小銃弾を体に受ける。一度倒れ、起き上がった西郷は、薩軍幹部・別府晋介をかえりみて言った。「晋ドン――」。そしてその翌年、大久保利通もまた――。激動の時代、ここに終熄。『翔ぶが如く』完結巻。

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全巻読み終えるのにかなり時間を要してしまった。

改めてこの本を通じ、私個人の維新後や政府の成り立ちについて深く理解が進んだ。
また主題である西郷隆盛について、これまでイメージとして持っていた偉人というぼんやりしたものから周辺の人間関係や思想などをもとに解像度が上がった。ただ著者が記しているようにどこまでいっても西郷隆盛の虚像であり、空を掴むような感覚はあった。
その点、大久保利通や川路らを理解することが結果として西郷隆盛やその時代の空気感を理解させてくれたと感じる。

まだ若い私が読んでも感じ得る部分は限られているのであると思うため、改めてどこかで読み直したいと思った。

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2025年07月21日

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これほど慕われ続ける人望と器量を備えているものの、ここに登場するやその厭世に虚しくなる。結果として成し得なかった征韓論には、極めて複雑な背景があり、どうあれ退いてくれたことに安堵するけれど、大久保、岩倉を追い詰め、三条を錯乱させた往時には、その威容を誇る。薩摩に帰郷して後は、何ら光彩を放つことなく、もちろんそのための遁世なのだから、そのまま不動でいて欲しかった。革命の象徴から、新たな革命の虚像へ。そして、演じたのか捨て鉢であったのか、木偶の最期を迎えた。敵味方を問わず西郷を担ぎ、共に逝った者たちの情緒は知れても、西南での西郷の機微に触れることはできなかった。

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2017年10月08日

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この本を読むまで西郷隆盛を誤解していた。
大久保利通についても同様。
幕末から維新を知る上で、この本を読まないということはありえない。
しかし、太平洋戦争の日本軍のとった行動心理と、西南戦争における薩摩藩の因果関係はどのようなものがあるのか気になった。同じ感覚を覚えた。太平洋戦争の際には、薩摩の桐野のような爽快さはないのかもしれないが。

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2015年01月27日

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木戸孝允病死、西郷隆盛戦死、大久保利通暗殺…維新の志士3人が時を同じくして逝去。武士の時代の鬱積されたエネルギーを西南戦争という日本の歴史上最大の内戦で終わらすことで、日本はようやく明治という近代を迎えることとなります。全十巻完。

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2013年02月09日

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「やべーいつ挫折するんだろう!」と恐る恐る読み始めてみたけど、ところがぎっちょん。
最初はどんな牛歩戦術かと思ったけど、後半になればなるほど面白い。
6巻あたりから面白くなってくるので、それまではひたすら耐えるのみ。
どんな鎮台兵かと。

結局のところテーマは「士族の総決算」ということであって、その最たるものが西南の役であり、象徴が西郷を筆頭とする薩摩士族であり、ということなのだろう。
そのピークに向かって、征韓論から徐々に徐々に歩を進めていく感じ。
時折余談にそれながら、何度も同じ話をしながら。
ちょっとした登山のよう。
が、終わりは周知の通りなので、達成感やら爽快感のようなものはない。

それどころか、わかってんのに100%勝算のない反乱を起こしたり(神風連の乱)、鹿児島へ帰る一心で絶望的な包囲を突破したり(可愛岳突囲)、小気味のよさより気持ち悪さが先に立つ。
「もういいんじゃね?」とその度ごとに思うのだけど、まあ諦めの悪いこと。
気持ち悪いと思うのは、そこまで何を賭けているのかが見えないから。多分。

英雄的な武勇に見られる士族の矜持を出しきらせること。
それを圧倒的な火力と兵站で潰し、士族の息の根を止めること。
これをやり切った政府(太政官っていうか大久保)は称賛するべきなのだろうけど、かといって手放しで感心するほど、単純な感情は持ちえない。
なぜなら政治も戦場も、それを表す場としては露わに過ぎるから。

中身が事実かどうかはさておき、考えさせられることは多い。
ただし、フィクションで出してきた女性は不要。

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2012年08月07日

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なんだかんだ言っていちばん好き。

日本の統治機構は、政府というべきなのか、それとも「官」といったほうが語感として本質に近いものなのか、ここ十五、六年来、すこしづつ考えてきて、その濃度がやや濃くなったときに、「翔ぶが如く」を書く気になった。

こう書いていて、まさしくそんな感じ。

でもこれは、深いようで浅い。まぁ浅いままなのは、不作為故かもしらんが。

政治家や革命家が一時代を代表しすぎてしまった場合、次の時代にもなお役に立つということは、まれであると言っていい。西郷は倒幕において時代を代表しすぎ、維新の成立によって局面が変わると後退せざるをえなくなったという当然の現象が、一世を覆っている西郷の盛名と同時代に存在しているひとびとには、容易にわからなかった。まして西郷ひとりを生かした場合、かれ自身の内面がなお生き続けることに堪えられるかどうかなどということに、傾倒者たちは思い至る余裕がなかったにちがいない。


さすが。

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2011年11月03日

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征韓論から西南戦争までを書いたもの。当初「時代小説」だったものが著者の興味が膨らみ方向転換したことで、最終的には「歴史伝」になった不思議な書。
歴史は、歴史学のように資料に残る事実のみで「科学的風」に分析、解釈することが正解とされる。しかしこの著者は、資料を「詩的」と評される歴史人物への共感と、自らが生きる現代社会への経路の想像によって、歴史を紡ぐ。これは小説というジャンルでは許される技法であるが、歴史書としては「違法行為」とされる。しかし本書を読み感じたのは、「歴史の事実など、本当にとらえられるのか」「人間にとって『歴史』とは何か」である。この大長編でありながら夢中で読める本書は、現在「司馬史観」と揶揄されるこの作風の魅力と、今を生きる我々にとって歴史とは何なのかを根本的に問うてくる。

古来、一万人の大軍で、経済のことをほとんど考えなかった軍隊は史上西郷軍だけである。これは革命軍というより壮士気分の集合体か、単に暴動的な一揆勢に過ぎない。金欠した西郷軍は「西郷札(軍票)」をつくったり、南九州の公人を拷問したり、殺害して公金を奪った。そのなか、桐野は楼閣に通いつめ三人もの遊女を落籍させていた(西郷札で払った)47

『西郷隆盛ゃ イワシかジャコか タイに追われて逃げてゆく』西南戦争中、政府軍の警察隊と鎮台兵で流行った戯れ唄。タイは「鯛/隊」。この当時使われ始めた「隊」という言葉は「庶民/百姓の兵」という意味だった。これの最初は「奇兵隊」。武士の兵は「組」だった。警察隊と鎮台兵は百姓など平民出身者が多かった。101

和田越の決戦で初めて西郷は前戦にたった。そこで政府軍の戦いを見て「あの百姓町人の兵隊の強さを見よ」「これで、外国の軍隊が攻めて来ても大丈夫」と言った132

宮崎八郎亡き後を継いだ協同隊の崎村常雄主幹は、和田越で西郷の解散命令が出た時、隊で会議を開いた。切腹などの案が出た中で、崎村は「投降して捕虜になり、裁判を受ける」と決裁した。切腹などは文明の野蛮を象徴しているし、民権を旨にする我が隊の理論に反する。文明・民権を考えれば潔く捕虜になり、その後堂々と裁判で自分たちの立場を主張するべきである。とした。これはこの時期の日本では注目すべき動態と言える。143

突囲するため深夜に登山を始めた西郷軍。西郷も四つん這いになり岩を登った。その時西郷は「夜這いみないだな」と一言言って、敗残兵たちは多いに和んだ157

薩摩帰還の山中行軍での西郷の出で立ち。竹の籠に乗り、浴衣を着、脇差だけを帯び、『言志録』一冊。そして竹筒に焼塩を入れていた。焼塩は陣中で牛を屠って食べる時のため170

桐野利秋。彼は光り物が好きで刀などを金銀こしらえして、また香水も使っていた。かれは痛快なほど無内容な男だっただけに、外観を飾ることに、子供か未開人のように関心があった。西郷は村田新八から送られた海外制の豪華な金時計を持っていて、これを落とした。桐野はこれを異常に欲しがった。西郷は逃走中落として「拾ったものにやる」といった。それを拾った兵士がいたので、桐野はこれを300円(現在の価値で700万)で買った。この期に及んでこんなことをしている桐野には気味悪さをも覚える173

桐野は城山に入った時も、野戦病院を遅い、対処していた政府側役人が残した礼服とシルクハットを盗み、身につけた208

実は西郷は切腹に否定的であった。薩摩武士は戦死こそ崇高と考えていた229

この10巻になる書ては女がほとんど出てこない。芦名千絵が前半出てくるが、いつの間にかドロップアウトした。これは著書が大衆小説⇒歴史小説⇒歴史そのものを描く、と連載中、興味が移っていき、「維新前後の歴史では女子供が端役」であった事実から捨てられたのではないか367(解説)

上野西郷像。西南戦争を起こして征伐された西郷が、それほど時間を置かず東京の中心地に銅像にされ、その除幕式には政府高官も出席した。このことに在日中の外国人たちは驚愕した370(解説)

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2023年11月18日

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「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。

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2023年09月10日

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西郷一行が宮崎に逃げ延びたところから西南戦争集結と大久保利通、川路利良の末路までの最終巻。
新聞の連載物であるが故に繰り返されるキーエピソードや、作者が調べ上げた話の本筋とかけ離れた人物描写が多すぎて物語としてのテンポが非常に悪い。
解説の方も述べているが、歴史書として扱うなら作者の類推と史実を区別した解説本がなければと思う。
ただ、読者の殆どはやはり読み物として手に取るだろうし、自分もその類であるからもう少し簡素であって欲しい。

ただ、維新後の真の革命である10年を描く本作は、近代日本を形作る重要な年月であり、西郷という虚像を取り巻く群像劇として見ることで人間の本質を垣間見ることもできる。

本巻だけでも印象に残る人物を列挙する。
人たらしの才能のみで君臨し、取り巻きに翻弄され続け、人を見る目がない西郷隆盛。
西郷と城山で散る同士たち、すなわち
桐野利秋
村田新八
別府晋介
辺見十郎太
西南戦争での薩摩側の良心で、生き延びて読み手のスクイとなる野村忍助。
熊本の自由民権運動者、宮崎八郎

官軍側では、
内務卿大久保利通
慎重過ぎる戦略により戦争を無用に長引かせた臆病な官軍総督、山県有朋
西郷暗殺の刺客を送った大警視川路利良
薩摩出身の海軍総師川村純義

西南戦争の最中に病で没した木戸孝允

西郷の人となりをここまで深く掘り下げた人はこれまでなかったようだが、そういう言う意味でも価値ある小説である。

廃藩置県、地租改正などにより国民の新政府に対する不満が蔓延し、その暴発を薩摩藩が担い、その敗戦をもって革命が区切りを迎えるという激動の時代がよく理解出来た。

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2018年05月26日

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薩摩軍は転戦の末、鹿児島へ帰る。終焉地・城山に籠る薩摩兵は3百余人、包囲する政府軍は7万、西郷に続き桐野利秋、村田新八、別府晋介らは斃れ西南戦争は終焉する。反乱士族を鎮圧した大久保利通も翌年、凶刃に斃れる。

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2018年03月26日

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とにかく長く、特に原文表記の箇所などは流し読みしてしまった所も多い。それでも読み終わってみると、維新後10年の激動の余韻の一部に触れられた感がある。
日本史の授業において、西郷隆盛や西南戦争については、その歴史的意義とは裏腹にそこまで大きくは取り上げられない。それは、当時の人々にとっての西郷隆盛という人物の持つ神話性や、薩摩藩固有の価値観、西郷と大久保の個人的感情など、幾多の事物が絡み合って勃発した西南戦争に至るまでの過程を語るのは困難の極みであることの表れなのだろう。
武士の時代と近代国家の血生臭いぶつかり合いを丁寧に描き切った巨作。

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2018年03月03日

Posted by ブクログ

西南戦争の終結から、翌年の大久保利通さんの暗殺まで。
大久保さんが殺された翌年に大久保さんの犬だった川路利良(警察にとってはエラい人)も病死していました。

司馬さんの本は小説というよりも研究論文なので、とてもお勉強になりました。
ちゃんと反対意見なども載せているから、それほど偏っているとも思わない

ただ、この本を読んで西郷隆盛さんって人がますますわからなくなったよ。
確かに討幕のときは大きな仕事をしたんだろうけれど、その後は同郷の仲間ばかりを依怙贔屓して、目の前の自分や仲間に関わる問題にのみ異常にのめり込んで、全体を見ることができない人って感じ。

なんだかんだで大久保さんを筆頭とする元薩摩下級士族が太政官政府を牛耳っていたのは間違いないし、彼らにとって西郷さんは「神さま」なのかもしれないけれど、元徳川だった藩出身のらじからすると、やっぱり薩摩の偉業を国民にアピールするために作られた偶像なのかな…って思いました。

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2021年08月28日

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全十巻を読み終えた。
実をいうと今回は初読ではなく再読である。
日本の歴史の中でも最大の転換となった明治維新を成した傑人たち、そしてその当人たちが意識せずに起こした維新の幕引きとなる西南戦争を描いた、この「翔ぶが如く」。
この作品は「小説」というだけではあらわし切れないものがあると感じている。史実、そして登場人物の機微、著者の所感と探究心。いってみれば「小説」でもあり「随筆」でもあり「歴史書」でもあるのではないかと感じてしまう。
このあたりが司馬さんの描いた「翔ぶが如く」のスケール大きさ、また、ちょうど良い細やかさなのだろう。
西郷隆盛、大久保利通、その他の登場人物の「己の正義」に心がつき動かされる思いがするが、それ以上に司馬さんの素晴らしさが感じられる。

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2015年12月07日

Posted by ブクログ

翔ぶが如くというより、怒涛の如く人が死んでいく最終巻。
玉砕ともいうべき西郷軍幹部たちの最期が壮絶!
途中の巻で詰まらんと悪態をつき続けてしまったが前半が政争で後半が戦争と対比させることによって面白さを演出していたのだろうか。

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2014年01月02日

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明治維新直後の不安定な時代を描いている。
征韓論から西南戦争にいたる5年間が舞台。
西郷隆盛を始め多数の人物のエピソードと緻密な時代考証にその時代を知る思い。

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2013年08月25日

Posted by ブクログ

長かった。。。

幕末の小説をいくつも読んできて最後にこの本を読んだ。
黒船がきて日本が沸き上がって、何十人もの名士や愚物が生まれ、各々の正義を貫く中で、陰謀や暗殺、戦争がありようやく明治維新がおこって、世界に立ち向かえる国づくりの為に動き出した日本。
改革の強行により失うものが多かった士族。維新の反動が各地の一揆や西南戦争となって現れるのは納得する部分も大きかった。

士族や封建時代の精神的象徴の西郷vs現実の世界情勢を知り日本を進化させたい大久保率いる太政官。(精神vs現実みたいな感じか?)

薩摩藩閥の私闘ととらえられていたのかもしれないけど、そんな小さい戦いじゃない。

上手く言えないけど全ての戦争に通じる真理が書いてあると思う。
何が真理なのかわからんけど。

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2013年02月01日

Posted by ブクログ

「飛ぶが如く」10巻。完結。

ただただ滅びるために戦うことになってしまった城山での籠城。こういう戦いは一種の介錯であって、儀式として行うことを敵方(ここでは政府軍)に願わなければならないのだろうか。その覚悟を知りながら、それでも遺漏なく擦り潰そうと日向から丹念に作戦を立案した山縣の執念深さに戦慄。
巻は違いますが、乃木希典の体たらくもいかがなものか。司馬遼太郎は乃木希典を愚将である、と『坂の下の雲』で断じていたはずですが、「飛ぶが如く」でも同じような論調であったと思います。これは小説としての設定なのでしょうが、フィクションが作り出すイメージというのはとにかく強いので、それを踏まえて史実を学ぼうとするとなかなか難しいものがある。
隆慶一郎作品での徳川秀忠の役割と同じか。

歴史は好きですが、それはいわゆる歴史小説が好きということなので、小説と史実の乖離というものをどれだけ理解して行けるか、が読み手としての心得だと思っています。体現できているかは、甚だ怪しいですが。

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

「竜馬が行く」のようないわゆる歴史小説ではなく、司馬遼太郎による歴史解説。
細かいことまでかなり長々と説明するが、そこまで面白くないエピソードもちらほら。
西南戦争のあたりはやっぱり面白い。
でも西郷隆盛がどんなひとなのか、最後までわからない。

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2022年09月18日

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ネタバレ

p.132
「これで、外国の軍隊が攻めてきても大丈夫」

翔ぶが如く終了。
あっという間のような、呆気ないような、そんな気持ちになってしまいました…。

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2020年07月03日

Posted by ブクログ

明治維新から西南戦争までを描く長編小説。西郷隆盛の実像と虚像のギャップ。桐野のポジションと能力のギャップ。描かれる多くのギャップが切なさを感じさせる。集団と個人、文化と個人の関係性、担ぎ担がれる組織形態、など、読める切り口は多い。
NHK大河『西郷どん』で感じた違和感を拭うために読む。が、、、長い、、、全編に閉塞感が漂い、読んでいて若干つらい、、、『翔ぶが如く』ってタイトルと違う、、、

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2019年03月16日

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「翔ぶが如く(10)」(司馬遼太郎)を読んだ。

最後に死ぬためだけに走り出した彼の胸中を思うとき、虚しさだけが降り積もる砂のように私の胸の中を満たしていくのな。
『鹿児島旧城下は桜島という光源があざやかでない日は、べつの街のように陰鬱な表情をみせるのである。』(翔ぶが如く(7)本文より)

この長い物語を読み終わった今、
「いつかきっと桜島をこの目で見に行こう。」
私はそう強く心に誓った。

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2018年07月06日

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ネタバレ

つまらない戦争だった。西南戦争は薄っぺらい正義の戦争だったから。それでも事実だ。それを省みなかったから、太平洋戦争が…


 こんなふうに昭和の太平洋戦争が頭にチラつくのを禁じ得なかった。司馬遼太郎の作品だしね。


 10巻に及ぶ超大作は、面白くなかった。

 だから読みごたえはすごかった。また読み返したいとは思わなかったけれど、他の幕末シリーズ「世に棲む日々」を読もうと思った。

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2015年10月28日

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明治維新後から西南戦争を西郷隆盛を通して書く。本著者は歴史学者と歴史小説家の顔を持つ。私は歴史小説家の著者が好きだが、本作ではなまじ資料が多く残るせいか学者色が強く読みにくいところも多々。

しかしやはりこの時代の事、薩摩人気質など多くの事を学ぶ事ができた作品。

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2014年10月03日

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ようやく翔ぶが如くを読破。いやぁ、長かった。そして途中辛かった。元々2008年大河ドラマ「篤姫」を今年の8月に全話DVDで観終えた後、「その繋がりで薩摩藩のことをもっと知りたい」という動機で読み始めたのだが…。確かに薩摩藩士による薩摩藩士のための小説なのだが、篤姫や私のお気に入りの家老:小松帯刀は全く登場しないし、やたら政治学的な記述が多く楽しめないというまさに予想外のコンテンツ。そのため、巻によっては1ヶ月近くも要したものがあった。まぁ、その時は「新書太閤記(吉川英治著)」シリーズやら東野圭吾作品、池井戸潤作品やらに浮気していたのであるものの。
とにかく読み終わった。今まで数多く読んできた司馬遼太郎作品では最も辛かったと言っておこう。
が、司馬遼太郎ファンであるならば読むべき作品とも言える。理由は、大雑把に言って、「竜馬がゆく」「花神」などの幕末ものと「坂の上の雲」との橋渡しをしてくれる作品だからである。幕末に活躍していた志士たちが維新のキーパーソン(維新の三英傑のみならず、桐野利秋なども)となって「翔ぶが如く」において昇華する。また、「翔ぶが如く」において政府側軍人の青年期を過ごした軍人が、「坂の上の雲」において日清及び日露戦争において優秀な指揮官(西郷従道、大山巌、黒木 為楨、奥 保鞏、乃木希典、野津道貫、児玉源太郎)にまで大成長を遂げているのだ。そう考えると、「翔ぶが如く」単体で判断するのではなく、司馬遼太郎作品一連の流れを楽しむべきと言える。いつか、「竜馬がゆく」→「翔ぶが如く」→「坂の上の雲」の順で再読してみたいものである。何年か先の話なのだが。
とにかく、読破出来た。次の司馬遼太郎長編シリーズは何にしようかな。
来年の大河ドラマと並行して「播磨灘物語」か、幕末を長州側から見るため「世に棲む日々」か、同じく越後長岡から見る「峠」か、はたまた異色な「菜の花の沖」か…。迷う迷う。その前に、サスペンドしてある「新書太閤記(吉川英治著)」を進めなければ!

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2014年02月22日

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西郷の死。遂に死に場所を見つけた西郷。虚像かつ虚像であり過ぎた彼。カリスマという言葉がこれ程フィットする日本人がいるだろうか。

しかし、カリスマが日本を作ったのではない。人気があるどころか、あらゆる方面から忌み嫌われた大久保。彼が構築した官僚制度は、一部の変更はあるものの、現代日本に引き継がれている。

戦略に乏しい薩摩の戦い方は、太平洋戦争時の日本を彷彿させる。ここで対比されるのは、これまた不人気の山県。結果をみれば後者の圧倒である。

人気と成果は別物である。

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2014年02月02日

Posted by ブクログ

今年一年かけてゆっくりと読みました。西南戦争が舞台であり、西郷隆盛の魅力は少し期待外れでしたが、この時代の登場人物をまた深く知ることができました。
「坂の上の雲」と同じで、後半の詳細な戦争シーンは、少し疲れました。

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2013年12月30日

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昨年、司馬遼太郎の「坂の上の雲 全8巻」を読みました。

坂の上の雲の中ですごく気になったのは、司馬遼太郎が描く薩摩藩型のリーダーシップ。
ネット上での解説を少し転載します。


明治時代も終わりに近づいた頃、ある座談会で、明治の人物論が出た。
ある人が「人間が大きいという点では大山巌が最大だろう」と言ったところ
「いや、同じ薩摩人だが西郷従道の方が5倍は大きかった」と反論する人があり
誰もその意見には反対しなかったという。

ところが、その座で、西郷隆盛を実際に知っている人がいて
「その従道も、兄の隆盛に較べると月の前の星だった」と言ったので、
その場の人々は西郷隆盛という人物の巨大さを想像するのに、気が遠くなる思いがしたという。




西郷従道(つぐみち)は「ウドサァ」である。薩摩藩(鹿児島)の典型的なリーダーの呼ばれ方である。
本来の語意は「大きい人」とでもいうようなものだ。
従って、西郷隆盛などは、肉体的にも雄大で、精神的にも巨人であるという点で、
まさに「ウドサァ」を体現した男であると言えよう。

薩摩藩型リーダー「ウドサァ」の手法は二つある。まずは最も有能な部下を見つけ
その者に一切の業務を任せてしまう。
次に、自分自身が賢者であろうと、それを隠して愚者のおおらかさを演出する。阿呆になりきるのだ。
そして、業務を任せた有能な部下を信頼し、自分は部下が仕事をしやすいように場を平らげるだけで、後は黙っている。
万が一部下が失敗するときはさっさと腹を切る覚悟を決める。これがウドサァである。



日本人はこのリーダーシップのスタイルに対してあまり違和感を持っていないと思う。

日本の組織のトップはリーダーというよりは殿様なのだ。殿様は知識やスキルではなく人徳で勝負。
細かいところまで口を出す殿様は
家老に 「殿!ご乱心を!」とたしなめられてしまう。

でも、このリーダーシップのスタイルは世界のスタンダードではないと思う。
世界の卓越したリーダー達で「ウドサァ」みたいなスタイルだった人を私は知らない。
スキピオ、ジュリアスシーザー、アレキサンダー大王
ナポレオン、リンカーン ・・・ ビルゲイツもジョブズも孫正義も
部下に仕事を任せはするが、後は黙っているなんて事は絶対にない。

古代中国の劉邦と劉備は「ウドサァ」かもしれない。(だから日本で人気がある?)

私も大きな組織で働いているが
トップに非常に細かいことまで指示される事を想像すると辟易してしまう。
そのくせ、「トップの方針が明確でない」みたいなことを言ってみたりもする。 どないやねん!


1年以上かけて、ようやく全10巻を読破しました。

いや〜〜長かった。
面白かったけど、やっぱり長いよ司馬さん。

「翔ぶが如く」本線のストーリーは、征韓論から西南戦争に至るまでの話なんですが、水滸伝のように、周辺の人物の描写や逸話に入りこんでしまって、本線のストーリーが遅々として進まない。。

新聞小説の連載だからなのかもしれないが、ふだんノンフィクションの実用書ばかり読んでる身としては、かなりじれったかった。

本線のストーリーだけ書けば、半分ぐらいの頁数で済むのでは?
と思ってしまいました。

[読んで思ったこと1]
本書を読み「薩摩藩型のリーダーシップ」について理解するという当初の目的は果たせませんでした。
著者にとっても、西郷隆盛という人物は、スケールが大き過ぎて掴みどころのない存在のようでした。特に征韓論以降の西郷隆盛は、現在の我々からは訳がなかなか理解し辛い事が多いです。

しかし、リーダーシップとは何かという事について、いろいろと考える事ができました。昨年一年間かけて考えた、私なりのリーダーシップ論は、後日別のエントリで纏めようと思います。

[読んで思ったこと2]
西南戦争は、西郷隆盛を担いだ薩摩藩の壮士と、山縣有朋が徴兵して編制した政府軍との戦いでした。

当時の薩摩藩は古代のスパルタのような軍事教育国家であったため、壮士達は世界最強の兵士とも言える存在でした。
しかし兵站という考え方がほぼ皆無に近かった。

一方で政府軍の鎮台兵は百姓出身者が大半であり、本当に弱く、戦闘となるとすぐに壊乱してしまう有様でした。
しかし、山縣有朋の綿密な軍政準備により、予備兵・食糧・弾薬などの後方支援が途切れる事は無かった。

両者が激突するとどうなるのか。
短期的には薩摩藩が圧倒的に有利なのですが、戦いが長期的になつてくるとジワリジワリと政府軍が有利になってくる・・・

古代ローマ帝国とカルタゴのハンニバルの戦いを見るようでした。

いや、普段の仕事についても同じ事かなと思いまして。

仕事でも、短期的に物事をガーと進められる人に注目が集まりますけど、さまざまな兵站をキッチリ意識して、長期的に組織的に物事を動かせる人の方が最終的な結果に結びつくのかなと。

この間、絶好調のアップルの決算発表がありましたが、今のアップルの収益性を支えるサプライチェーンとロジスティクスの仕組みを確立したのは、現アップルCEOのティム・クック氏だとの事。

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2013年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結局西郷が何者か分からずじまい。。。でも現在の「政府」が明治時代に誕生した「太政官」の組織・気分をほぼそのまま継承してるという考察はなるほどと思った。

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2013年05月29日

Posted by ブクログ

 解説で平川祐弘氏が「アメリカ文学の中でいちばん熱中して読んだ本は『風とともに去りぬ』なので、わが司馬遼太郎氏も一冊の書物として上げていることに、ひたしさを覚えたとある」と記載あり。明治維新後の西南戦争とアメリカ建国後、国を二分する南北戦争は、その国が本当の民主国家を手に入れる過程で必要不可欠なものだったのだろう。次は『風とともに去りぬ』を読むことにする。こうしてわたしの知識量は確実に増えていくのである(笑

 ところで、『翔ぶが如く』を読み終えた感想であるが、この戦争は武士が武士らしく生きた証を記すために必要であったのだと理解に至る。10巻読み終え、無理にまとめると、そんな風な感想を述べてみたくなる。

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2011年12月11日

Posted by ブクログ

ついに長かった物語が終わった。

日本を現代へと一気に進化させた革命。。

『明治維新』

その原動力となった西郷隆盛という人の物語です。

政策というより人柄で人々に愛されそのカリスマで人を動かした、西郷という人物は本当に凄い。

憧れます。


大感動です。。

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2011年11月06日

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