司馬遼太郎のレビュー一覧
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維新の巨魁、西郷隆盛をどの様に描いて良いのか司馬遼太郎も模索しているのを感じられる。
圧倒的な存在感を有しつつ、大きな赤ん坊のごとく描くのが面白い。
・滅私の精神
・自己犠牲
・滅びの美
・豊富な感情量 等
日本人が好きな要素が詰め込まれた人と言えるのか。
以下に、私が好きな文中抜粋を記載します。
・西郷はまるで柿泥棒でもして近所の老人から説教される子供のようにうなだれ、終始木戸の話を聞き、「いちいち、ごもっともなことごわす。」と、一言の弁解もしなかった。
・禅はこの世は仮宅であるとし、生命を含めて全てはまぼろしにすぎない。かといってニヒリズムは野狐禅であり、物事の本来のあり方(真如)を求める -
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ネタバレそうかぁ、義竜は出生の事実を知らなかったんだもんなぁ...深芳野が不憫で仕方ないし、やり返されて当然ではある...。それでもここまで追い続けてきた主人公。切なさが増す。
そういえば道三がここまで信長に目をかけてたとは知らなかった。道三の最期の戦いに際し信長が駆けていくシーンは泣けた。そして信長は自分を理解してくれる人が立て続けにいなくなったショックでより卑劣な性格になったのかなとも思う。意外と情に厚い信長の姿を見れたのはかなり新鮮。
道三亡き後はほぼ明智光秀がメインで、織田信長・明智光秀編と書いてあげて欲しかったなという気持ち。光秀は光秀でなかなか悲惨な人生を歩んでて...司馬遼太郎の気持 -
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先日、旅行で萩に行き、明倫学舎や松下村塾跡を訪れた。自分は、もともと歴史に関心が強い方ではなく、歴史小説や司馬遼太郎はほとんど読んだことが無かった。しかし、現地で、多くの幕末や明治の偉人を輩出することになった松下村塾がたった1年余りしか開かれていなかったこと、また、その当時の吉田松陰はまだ20代だったこと(死亡したのも29歳)を知り、この若者がいかにして人々に影響を与えたのか興味が湧いた。そして、旅行から戻ってすぐ買って読み始めた。
第1巻には吉田松陰が黒船に忍び込む直前期までが描かれている。
自分は、吉田松陰を、激情家で強引に物事を進めようとする人物だと想像していたが、ここで描かれる松陰は -
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下巻の主要場面は、小牧・長久手の戦い。(家康VS秀吉)戦局の様子を、家康と秀吉の立場からだけでなく、家康の家臣、安藤直次、本多忠勝、石川数正の動きも取り入れて描写されており、真に迫るものがありました。まるで、現場に行って取材してきたかのよう。秀吉が頭を使って、相手方に取り入ろうとするところも印象的でした。(石川数正との関わり)
関ヶ原の戦いや大坂の陣については記されていないため、終盤は“あれ、もう家康の晩年なんだ”という感覚でした。
『関ヶ原』『城塞』の作品をご参照ください!という感じに、時間をとびこえていきます。家康が死に直面する場面での家臣とのやりとりで、最後まで緻密で入念な家康の気質 -
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人間“家康”が、司馬遼太郎さんの筆致で深掘りされます。上巻は、家康の幼少期から信長の死(本能寺の変)、秀吉の台頭。
上巻前半で、家康が生まれた三河の国の気質(地味、我慢強いなど)が分かり、興味深かったです。
信長の前で律儀をモットーとする家康。それを示す最たるものが、正妻の築山殿と信康殺傷でした。
家康の家族内の問題が、政治にまで及んでしまう事件で、ワイドショー的興味がそそられるように描かれていました。
武田攻めの後、信長凱旋のために、家康は最大級のおもてなしをします。(道や橋を造るなど)家康、どこまでも徹底しています。信長へのリスペクト、これでもか、という感じ。
賤ヶ岳の戦いの後、