【感想・ネタバレ】街道をゆく 39のレビュー

あらすじ

建設中に命をおとした父のあとを息子が受け継ぎ、大事業を成し遂げたブルックリン橋を渡りつつ、勃興期のアメリカ文明を思う。また、ドナルド・キーン教授のコロンビア大学退官に立ち会いながら、豊かに広がった日本学の水脈を遡行する。

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Posted by ブクログ

「ニューヨーク散歩」と題しながら、短期滞在だったのだろうか、あまり土地にまつわる思索はすくなく(唯一、旅行記らしいのはブルックリン橋の建設秘話くらいだろうか)、紙幅の大部分がドナルド・キーン氏との交流の記録に費やされている。それはそれで興味深い小話に富んでいた。

特に、キーンさんのコロンビア大学での恩師、角田柳作氏にまつわる記述に強く惹かれた。アメリカで「日本学」を確立したのがこの明治人なのだという。「コロンビア大学では当時、日本語でセンセイと発音すれば角田先生のことにきまっていた」と、ある教え子は述懐している。「明治人」という呼称が許されるなら、司馬氏の文章から匂い立つ角田柳作氏の人物像ほど「明治人」と呼ぶにふさわしい人はいない。

さらに、群馬県は前橋高校の出身(わたしと同郷!)で、卒業した大学学部も一緒だったので、とても親近感が湧いた。

だが、この無名の巨人について知ろうとしても、著作がほとんど手に入らない。残念な限りである。

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2010年11月11日

Posted by ブクログ

1994年刊。もとは「週刊朝日」に連載(93.3.5~6.25)。
タイトルはニューヨーク散歩だが、本丸はコロンビア大学のドナルド・キーン。そこに至るまでの散策が長く、内容もちょっと散漫。
ニューヨーク訪問は、ちょうどキーンのコロンビア大学退職の時期にあたっていた。キーンの半生が駆け足で紹介されている。コロンビアでの彼の師・角田柳作にも触れている。コロンビアの現役の日本文学研究者、バーバラ・ルーシュやポール・アンドラも登場する。読みどころはこの後半部。
ドナルド・キーンは京都に留学中に、同じ下宿の永井道雄(のちに文部大臣)、そしてその友人の嶋中大鵬二(のちに中央公論社社長)と懇意になった。キーンはその後鶴見俊輔とも懇意になる。司馬遼太郎は、この3人――永井と嶋中と鶴見――が同じような話し方をすることに気づいた。江戸弁丸出しの小林秀雄などとはえらく違う。なんと、3人は東京高等師範附属小学校の同級生だった。そして嶋中が明かすには、日本でのラジオ放送開始にあたって発声日本語の標準化(東京の山の手のことば)がはかられ、なんと、東京高師付属小が実験学級に指定されたのだという。余談として書かれているが、これはトリビア中のトリビア。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

今回司馬さんはニューヨークへ。ニューヨーク散歩と言いつつハリス散歩でありドナルド・キーン散歩という内容になってます。ドナルド・キーンさんが登場するということもあり、今までに無く最近のことを話題にしている感覚があります。 それにしてもキーンさんが日本学に留まってくれたのは日本文学にとって大きなことだったなと、改めて思います。キーンさんがいなければ、源氏物語の世界的評価もノーベル文学賞も、数十年ほど遅れていたんじゃ無いかと。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昨年日本に帰化した、日本学者のドナルドキーンさんの退官記念での訪米。ほとんど移動がなく、タイトル通り「散歩」がぴったり。ブルックリン橋を作った親子やアイルランド移民の話、タウンゼント・ハリスの話など、相変わらず薀蓄満載ですが、アメリカはやや苦手分野?

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2013年01月27日

Posted by ブクログ

ニューヨークの歴史のみならず、そこから日本文化への考察まで展開している文章は見事。普通にいい勉強が出来た。

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2012年05月07日

Posted by ブクログ

ニューヨーク、行ってみたいです。
ブルックリン橋、聞いたことがあります。
昔、鎖国をしていた日本に開国を求めた国。
そして、昭和の時代に戦争をした相手の国ですよね。

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2023年12月19日

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