あらすじ
東北とは? 中学生のころ、箱根以東はひとつの世界だと思っていた著者が初めて訪れ、念願の最上川と対面する羽州街道。書誌をひもといて、地元の人々も知らない地を訪ねるなど、独自の「佐渡観」をあらわした佐渡のみちを収める。
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羽州は今の山形秋田。佐渡はもちろん佐渡島。謙信のあと羽州米沢に移され窮乏した上杉家や、金鉱で沸いた一時期を除き中央から顧みられなかった佐渡の話など。いずれも歴史的に華やかではないが、このシリーズはそういうトコほど面白い。
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佐渡を旅する前に読んだ。佐渡という土地の歴史を知ることで、昔の人に思いを馳せながら旅ができた。
単なる紀行文ではなく、著者の歴史考察が面白く、別の旅行先でも、読んでから行きたいと思った。
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『佐渡のみち』の中の、孫悟空と佐渡、の話が良かった。面白くて、何回も繰り返し読みました。よくこんな話を思いつくな、と感心します。
西遊記なんて子供用の物語だと思ってましたが、そうでもないようです。今度一回読んで見ます。
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米沢旅行のお供におススメ。
『天地人』よりもコンパクトにまとまっていてかつ非常に面白い。
司馬遼太郎は華やかな兼続よりも寡黙で沈思黙考型の景勝さんが好きだったようで主従関係がとても好ましく思えました。
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以下抜粋~
・中央政権は奥州征伐というものを繰りかえしたが、要するに弥生式農耕をすすめてまわる運動だったといってよく、その意味からいえば初期律令国家というのは水田農耕を推進して租税の増収をはかる公社といったような性格があった。
その公社に順った者は、「山夷」に対する言葉として「田夷」とよばれた。
・江戸期、佐渡は一円に能がさかんで、百姓たちが能狂言の役者になり、あるいは歌い手になり、かつ見物者としても楽しんだ。京や江戸でもここまでの謡曲の普及はみられなかったに相違いなく、この意味では佐渡は濃厚に江戸文化を沈殿させた土地といっていい。
・日本文学史における伝奇的空想力は中国のそれとくらべると実に小さく、このあたり、よくいわれるように「水滸伝」の大きさと「八犬伝」の小ささということを考えても、簡単に説明がつく。民衆にのしかかっている王朝悪(官僚悪)というものの重量が、比較にならないのである。
・中国の庶民は、歴史の中でも、ごく個人的な現実の暮らしの中でも、この種の経験を無数にしてきた。専制的な中国皇帝の分身が地方長官だが、長官のおさめるべき地域が広すぎたり、あるいは流通経済などを管理する場合、かれ自身が私的に採用した者を権能を持たせたりして仕事をさせる。その者が、長官にとっては金魚にすぎないが、現場では孫悟空でも歯が立たないほどの権力者になってしまい、私利の追求のためにどんなことでもする。
・封建時代では、いうまでもなく門地がすべてを決する制度である。しかしながら幕府の勘定奉行配下の役人ばかりは、門閥でその職を得るという例はほとんどなかった。川路のように卑い御家人身分から能力と人柄によって相応の職につくという例がふつうで、江戸幕府が二百数十年もつづいたという理由の多くは、勘定機構の人材がそれをさせたということさえ言える。
・江戸幕府は、同時代の地球上のいろんな政府にくらべ、ほべられぶべき点も多い。しかし最大の汚点は、無宿人狩りをやっては、かれらを佐渡の水替人夫に送ったことである。
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『街道をゆく10』は「羽州街道、佐渡のみち」。地元山形の「羽州街道」を読んだままにしてたのだが、今夏の佐渡旅行を思い出しながら「佐渡のみち」を読み終えた。
大佐渡を「大陸の影」と勘違いした太宰治の逸話、鏡のように静かな真野湾、そして小木の海など、実感をこめて読むことができた。
最後の「無宿人の道」では、旅行時にはそれほど感じなかった水替人足に送られた無宿人の哀れを感じた。
「江戸幕府は、同時代の地球上のいろんな政府にくらべ、ほめられるべき点も多い。しかし最大の汚点は、無宿人狩りをやっては、かれらを佐渡の水替人夫に送ったことである(p257)」