あらすじ
近畿・北陸の周辺にのびる古道をたどりつつ、古代から現代にいたる歴史を自在に往還する旅。鞍馬で800年前と変わらぬ形で山を守る清僧と出会い、花背峠で杣料理に舌鼓をうち、武生で自然破壊を憂う。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
▼割と近畿です。
【洛北諸道】要するに京都の北らへんです。
【郡上・白川街道と越中諸道】京都から富山にかけてのあたりです。
【丹波篠山街道】つまり兵庫の北部あたりです
【堺・紀州街道】大阪府から和歌山県です
【北国街道とその脇街道】滋賀県から福井県あたりです。
▼だからなのか、天皇さんについての話が多かった印象。
・南北朝正統論。南朝が正統である、と、決めた明治帝は北朝の子孫。その裏話。
・南北朝から応仁の乱、天皇家の貧しさ、困窮。一方で「足軽」という新しい勢力の台頭。
(このあたりは、正規雇用というシステム?が壊れつつある2020年代にも通じるのかもなあとも思いました)
・古代。継体天皇とはなにものだったのか。朝鮮との関係を踏まえての考察。
などなど、どれもわくわくするお話でした。
(って・・・・歴史、司馬遼太郎、みたいなことに興味が無い方からすれば、「それでいったいどうしてわくわくできるの?」という感じでしょうが・・・・)
Posted by ブクログ
転勤先の富山が終着点の旅「白川街道」が目当てで買ったのだけど、「洛北街道」の章がいちばん面白かった。応仁の乱を「日本史における、中世から近世の過渡期としての地殻変動」としてとらえ、フランス革命とのアナロジーで論じていくところが白眉。
Posted by ブクログ
同じ兵庫県の丹波篠山街道が気になって読んでみたが、丹波を駆け足で通り過ぎるような印象で期待していたほどではなかった。代わりに、岐阜県から富山県へと抜ける「郡上・白川街道と越中街道」「北国街道とその脇街道」の2編は当時の山国の風景、生活が想像できて、読んでいて興味深かった。
Posted by ブクログ
以下引用~
・真言密教は西洋でいう魔法である。東洋の場合、魔法が悪魔の側になくて体制の側にある。さらに西洋とちがっているのは、魔法が、真言密教という、思想を論理化したという点で完璧ともいうべき体系を背景にもっていることである。
・鳥羽院は当時一流の芸術家であったが、そうでないにしても芸術家を発見したり保護したりするパトロンとしては日本史上でも一流の存在であったことはまぎれもない。この院の北面ノ武士であった西行も、この院の異常なひきたてによって名が出たひとりである。
・日本の社会史で、この室町期の応仁・文明ノ乱ほど、ある意味では大事な時期はないかもしれない。日本にはフランス革命に相当する社会革命はなかったと思われがちだが、この室町末期におけるなしくずしの中世的諸体系の大崩壊こそそれに相当するものであったかもしれない。
・織豊期に、茶人として一世に名の高かった堺の富商が三人いた。千利休、今井宗久、そしてこの津田宗及で、織田信長に茶と貿易のすべてを指南したというこの宗及がその筆頭とされていた。