【感想・ネタバレ】街道をゆく 32のレビュー

あらすじ

淡路島と四国をつなぐ大鳴門橋で念願のうず潮を眺め、一本釣り漁法やテグスを広めた堂浦の漁師の功績を思う「阿波紀行」。異端のため山を追われた元高野山座主、覚鑁が建てた根来寺から和歌山市へと歩いた「紀ノ川流域」。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

阿波徳島を知るために。
知らずにいた土地の歴史が今につながり、旅する土地の色彩が変わる。

・蜂須賀家・稲田家の因縁。徳島・兵庫の帰属替え。橋による変化
・関寛斎の仁術
・堂浦の天然テグス、一本釣りの技法
・藍の水師、マニファクチュアからの芸事熱心
・脇町の街並み、寄り合いによる保全
・四国三郎、吉野川
・平家の祖谷、阿土両国に属さず

0
2024年12月30日

Posted by ブクログ

司馬さん、2冊続いたアイルランドから国内に戻って今回は徳島と和歌山へ。アイルランドは読むのが苦痛でしたが、こちらは非常に読みやすくて、やはり司馬さんは国内(特に大阪に近いあたり)のほうが引き出しが多くて面白いことを書くじゃないですかと思いました。
今回司馬さんは深日から淡路島に渡って、そこから大鳴門峡を通って徳島に入ってますが、深日~洲本の船がまだあるのでこのルートをやってみたいと思ったり。
あと雑賀のお寺は訪ねてみたくなりました。

0
2024年08月27日

Posted by ブクログ

先日、私は和歌山県の旅から帰ったばかり。根来の近くも通過しました。勿論、以前に根来寺を訪ねた時は、火縄銃の銃痕を見ました。森の神々が祀られる神社も訪ねたことがあります。
阿波は、四国遍路をしている時に訪ねました。吉野川を遡って大きなクスノキを観に行く時に、脇町も散策しました。懐かしいです。

0
2023年11月21日

Posted by ブクログ

もっと早くに読んでおけばよかったと後悔。
何度か行った所が表面だけしか見てなかったと思う。
紀州に関すると根来衆と雑賀衆の違いが明確になって嬉しい。この本を見ながら根来寺へ行ってみたい。
初版が1978年だから変化している箇所も多々あろうけれど、歴史として読み解くには違和感はない。
歴史を創ってきた人物たちの個々の名前は覚えられないが一つの山脈としてとらえることが出来るのも発見。
どれだけの書物を読んで書かれたのかを想うと気が遠くなりそう。

0
2016年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以下引用~
新政府がその裁きとして、稲田の家臣団を北海道に移したことはすでにのべた。(徳島の稲田騒動。阿波蜂須賀氏との対立)

この脇町を脱出した小野五平にとって、目的は政治ではなく、将棋だった。
当時、将棋界には弊風がつもっていたが、かれは実力と努力でこれを改革しようとした。
柔術を改革して柔道をつくりあげた嘉納治五郎は阿波の対岸の大阪湾岸の人だったし、また俳句短歌を改革したのは、阿波のとなりの伊予の人正岡子規だった。かれらがいなければ、将棋、柔道、俳句といったものは、こんにち衰弱していたかもしれない。

豊臣政権というのは、名子制を廃止したという点で、革命政権だった。当時、それに反対する地侍(名子の親方)による一揆が各地でおこった。豊臣政権はいちいちそれらを攻めつぶし、地侍を城下によんで大名の家臣にするか、あるいは在地のまま農民身分におとすか、どちらかにした。名子については土地をあたえ、自作農にした。豊臣政権は、ひとことでいえば、自作農設定政権、だったといっていい。徳川政権が、それをひきついだ。

根来寺は、全国に情報網をもっていた。たとえば、1543年、薩摩の南にうかぶ種子島に鉄砲が伝来したときくや、すぐ人を出すという機敏さは、容易なことではない。
鉄砲伝来譚には、かならず根来寺が出てくる。
その後、根来衆は、戦国大名にさきがけて鉄砲をもって武装し、後年、豊臣秀頼によって堂塔・行人ともにほろぼされるまで、抜きん出た鉄砲集団として四方からおそれられていた。

どうも、日本の大寺は、当時のヨーロッパ風にいえば、大学にあたるらしい。二和寺は真言学の単科であり、興福寺も東大寺も、仏教古典学の大学であった。

信長は、中世的な不合理なもの、説明しようのない怪態が、政治や経済、あるいは軍事を握っていることを、身震いするほどきらった。このため比叡山延暦寺を焼きはらった。

根来塗の赤は、似たようなものがないといえるほどに美しい。本来、赤というのははげしく主張する色である。が、根来塗の赤は、主張や執着というどぎつさを去ってしまったもので、こういう色はまれに天然のなかに見る。たとえば残照の雲間にふとあらわれてつぎの瞬間に消えるかもしれない赤である。

0
2023年07月17日

「エッセイ・紀行」ランキング