あらすじ
土佐の郷士の次男坊に生まれながら、ついには維新回天の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。総発行部数2500万部超! 司馬遼太郎の永遠のベストセラーが半世紀の時を経て、電子版で新たによみがえる!
第3巻/浪人となった竜馬は、幕府の要職にある勝海舟と運命的な出会いをする。勝との触れ合いによって、竜馬はどの勤王の志士ともちがう独自の道を歩き始める。生麦事件など攘夷論の高まる中で、竜馬は逆に日本は開国して、海外と交易しなければならないとひそかに考える。そのために「幕府を倒さねばならないのだ」とも――
恥ずかしながら初めて読みました。昔から有名な作品ということは知っていましたが「どうせ竜馬は死ぬんだろ…」と手をつけなかったのです。何ともったいない!
沢山のビジネス書や自己啓発書がありますが、若人たち、まずは『竜馬がゆく』を読みましょう!物語を通して自由闊達な発想・先を読む力・間の取り方・人脈などの大切さを実感することができます。また、そのためにいろいろと勉強したくなります。100年以上前の話ですが新鮮に感じます。
さらに竜馬以外の登場人物もみな魅力的。若かりし木戸孝允や板垣退助など、日本史の授業に興味がなかった私でも知ってる人物や、三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎など、様々な人物が登場します。一粒で2度3度とおいしい作品。とにかく出来るだけ若いうちに1度は読んでおきたい作品です。
感情タグBEST3
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竜馬、京都へ行く。寺田屋事件起きる。生麦事件起きる。薩長が、宗教的攘夷思想の非をさとってひそかに外国と手をにぎり、軍隊を洋式化して幕府を倒した。簡単にいえば、それが明治維新である。(170p)。竜馬、勝海舟を斬りにいくが、勝の話を聞いて逆に勝に弟子入りする。竜馬たち、勝海舟に軍艦 順動丸に乗せてもらう。竜馬、おりょうに出会う。この巻の後半くらいから竜馬が何をやりたいのか朧げながら見えてくる。
Posted by ブクログ
▼第三巻で勝海舟と会う。もともと殺すために会いに行ったのに、弟子入りしてしまうというオモシロイ展開。
▼・・・・その後読み進めると、しみじみ思うんですが、竜馬さんって、
・勝海舟に気に入られ?から人間関係の財産をまるっと貰った。
・西郷に気に入られ?薩摩の財力と権力の保護下で海援隊の活動を全部スポンサーになってもらった。
という2点が無かったら、まあただたんに剣道が強かったホームレス、に過ぎないんですよね・・・・どれだけ高説をのたまわろうが。
▼ひっくり返すと、そのふたりにそこまで愛されちゃったってことがもう、決定的なんでしょうねえ。
Posted by ブクログ
三巻も文句なしですね!★5つです!!
竜馬も凄いが武市さんも凄い。
三巻。。登場人物が多い!
おりょうさん、勝先生、久しぶりのお田鶴さん。
皆がみんな、竜馬を好いてて気持ちが良いです。
今後こんなに凄い人が出て来る世になるのだろうか?
Posted by ブクログ
第3巻で一番面白かったのは、お竜と竜馬の出会いの場面。
人を助けるためなら火の中に物怖じせず入っていくというのは非常に竜馬らしくてカッコいいし、そして助け出した人の姉が運命の人だったというのが素敵。
お竜の美しさを一目見てみたい!
Posted by ブクログ
第三巻は竜馬が土佐を脱藩して天下に躍り出るところから始まる。勝海舟との出会いにより竜馬は海軍事業実現に向けて歩き始めるので勝はこの巻にて極めて重要な登場人物であるが、注目したいひとりは同郷の家老お田鶴さまとする。
京の公卿三条家に仕えるお田鶴さまは多くの勤皇志士の世話をした才女であるが、竜馬にかけた思いは別格であり、第二巻でふたりは一夜の伽を過ごした。それでも肝心な場面で色気を欠く子供のような竜馬をお田鶴さまはかしこく掌握し、年上女性としての器の大きさにひたすら感心させられる。清水産寧坂を舞台にしたこのふたりの淡くもあでやかな恋模様の描写、見事としか言いようがない。
Posted by ブクログ
竜馬が土佐藩を脱藩して、維新の道へ足を踏み込み始めた三巻。
竜馬がどんな思いで維新の志士になったかがよく分かった巻だった。
そして、坂本竜馬が未だに愛され、尊敬される存在である理由も分かってきた。
「議論をしない」
議論で勝っても相手の名誉を奪うだけで、人の生き方は変わらない
心に留めて、四巻に突入しよ。
Posted by ブクログ
「勝は、渡米によって、幕府より日本国を第一に考えるようになった。」p.169
何を自分の拠り所にするのか。国なのか、違う集団なのか、はたまた今の香港人のように民主主義のような思想なのかそれとも宗教なのか。しかし、単純に日本国、幕府、家などを並列で考えることはできない。このへんはユヴァル・ノア・ハラリの「21Lessons」でも語られている。
今の我々から見ると尊王攘夷か佐幕開国かという2パターンしかいないという状況は信じられないが、逆にそのことが今から150年後の人類が今の時代の書籍を読んだ時に同じ感想を抱く可能性、つまり現代に生きる我々の視野の狭さを示しているのかもしれない。
Posted by ブクログ
勝海舟との出会い。情報量が少ないあの時代に攘夷ではなく開国を主張できるって何なのだろうか。竜馬であれば柔軟な考え方を持てたことだし、勝海舟であれば圧倒的な勉強量なのだろうか。常に謙虚に学び続け、常に変化の可能性を探り続けられる人間でありたい。
Posted by ブクログ
◯いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ。(410p)
★勝海舟と出会い、龍馬は表舞台に出る。おりょうとも出会う。
Posted by ブクログ
やっぱりおもしろいなぁ。時代だけに怖いと感じることもあるけれど、勝海舟と出会った場面だったり影響をうけているところは本当に生き生きとしている。重太郎さんをはじめ、みんなが竜馬にひきこまれていくのもすごい人間性の魅力があるんだろうな。とてもうらやましい。
Posted by ブクログ
この頃の人にしては考え方が根本から違っていたんだなと思った。世論が幕府か天皇かで別れているときに、竜馬は「日本」を意識している。すごいよね。。
数々の人たちが、竜馬に協力してくれるようになっている様子を見ると、竜馬の人柄や愛嬌はどんなによかったんだろうと、この頃の竜馬に会ってみたくなった。おそらく人を寄せ付ける力みたいなものがあったのかもしれない。
勝海舟と出会って、生き生きとしてきた竜馬がこれからどうなっていくのか楽しみ!
Posted by ブクログ
いろんな女人が竜馬に惹かれている描写が多いけどおりょうはいつ出てくるんだろう、って思った。やっと出てきました!竜馬の未来のお嫁さん!ヽ(;▽;)ノ <わ〜|
Posted by ブクログ
龍馬が勝海舟と出会い、海軍学校を作るべく奔走する。勤王派、攘夷派と国が割れる中、多勢の考えにとらわれず、外国のものであっても、良いと思えば取り入れ、日本という国を作ろうとする竜馬の考え方は、今の私たちも見習わないといけないと思った。
Posted by ブクログ
龍馬はかっこいい。
女、金に執着せず、自分のなすべき事をまっすぐにしている姿は今の時代の誰にも当てはまらない。
だから亡くなってこんなに経つのにまだ英雄なんだろう。
これは乙女姉さんの力だな。
さぁ、4に進もう!
Posted by ブクログ
勝海舟との出会いによって、物語が大きく動き出してきたな、という内容。前巻まではどことなくふわっとした印象の竜馬でしたが、ここにきて具体的な目標を持ち始め、奔走する様子が描かれていて、いよいよ先の展開が楽しみです。
ただ、気になるのは竜馬がちょっと小汚いこと?(史実なの?だったら仕方ないけど…)身なりだけでなく、振る舞いとかちょっと生理的に受け付けない部分が描かれていて、その部分を読むときだけはちょっと読み飛ばしたくなります(笑)
とはいえ、のちの奥様のおりょうさんとの出会いもあり、ふたりの今後の展開も楽しみの一つ。
Posted by ブクログ
p.71
討手の大将奈良原、これは男であった。両刀をガラリと投げすて、着物、襦袢を肩ぬぎして上半身赤裸になり、叫びながら階上にのぼって行った。
p.154
人生の大事は成るか
p.356
形見はお前さん自身さ
盛り上がってきました。
Posted by ブクログ
竜馬がゆくが、面白くなってきた
今までは半分義務感、勉強感で読んでいた
感情描写がすごい
ちょうど京都旅行の前2週間に読んでいたので、なお面白かった
早く続きが読みたい
Posted by ブクログ
だんだんと竜馬のやりたいことの地盤が固まりつつある気運が見られて読んでて面白かった。人生を芝居に例え、ただ一つ役者と違うのは人生は自分で舞台も作るっと言ったシーンは感嘆した。早く続きが読みたい
あとおたず様はどうなるの、笑
Posted by ブクログ
【感想】
竜馬がゆく3巻目。ここからは土佐藩士ではなく、脱藩後のイチ人間としての竜馬の活躍が光る。
「自分は人生で何を成すのか」という使命を、糸口かもしれないが、この時期からようやく見つけ始めているのではないだろうか?
夢があるって本当に素晴らしくて尊いなぁ・・・・
大河ドラマ「龍馬伝」に出演していないが、個人的には清河八郎の存在はこの幕末になくてはならないモノなんじゃないかなーと思う。
(お田鶴様もそうだが、「龍馬伝」ではそれを平井加尾が補っていた。)
本著ではその魅力的なキャラクターである清河八郎と竜馬の掛け合いが見られるので面白い。
「世の中の人は何とも云はばいへ わがなすことはわがのみぞ知る。」
この巻を読むたびに感銘を受ける竜馬の句。
竜馬のように、フットワークや情報網は持ちつつも、周りに流されずに冷静に流れを読んで、そこから自身の行動を起こせるような人間になりたいものです。
【あらすじ】
浪人となった竜馬は、幕府の要職にある勝海舟と運命的な出会いをする。
勝との触れ合いによって、竜馬はどの勤王の志士ともちがう独自の道を歩き始める。
生麦事件など攘夷論の高まる中で、竜馬は逆に日本は開国して、海外と交易しなければならないとひそかに考える。
そのために「幕府を倒さねばならないのだ」とも・・・
【引用】
0.世の中の人は何とも云はばいへ わがなすことはわがのみぞ知る。
この時期、竜馬の人生への基礎は確立した。
勝に会ったことが、竜馬の竜馬としての生涯の階段を、一段だけ踏み上がらせた。
(人の一生には、命題があるべきものだ。俺はどうやら俺の命題のなかへ、ひとあしだけ踏み入れたらしい)
このとし、竜馬28歳。まったぬの晩熟(おくて)である。
1.弥太郎ほど、おかしなやつはない。
弥太郎に主義があるとすれば、徹頭徹尾、自分主義である。信奉すべきは天皇でも将軍でもなく自分であった。
弥太郎自身、この広い世の中で、岩崎弥太郎ほど優れた人間はいないと思っている。
もってうまれた気力胆力が超人的で、かつ文字にも明るいくせに、この男だけは勤王でも佐幕でもないのである。
主義めかしいことは一切口にしなかった。興味がないのだろう。
2.寺田屋騒動
伏見における勤王有志の薩摩藩士たちが全滅した。薩摩藩士団が、薩摩藩士団を切った。
藩主久光からの、慰留とは名ばかりの命令で、薩摩人は思想よりも君命を重しとして行動した。
3.幕末の史劇は、清河八郎が幕を開け、坂本竜馬が幕を閉じたと言われている。
「例の寺田屋の一件。あれも私が書いたスジだったのさ」
とにかく清河は歩いている。人物とみれば必ず会っている。そして、ほとんどが清河に動かされた。
清河がどこかで吹き上げた笛の音が、まわりまわって土佐の田舎に聞こえたために、竜馬もおどらされて脱藩するわけになったのである。
4.「よしなよ清河さん。一生に一度くらい手品もいいだろうが、物事にゃ実がなくちゃ、人はついてこないですな。」
策士というのは所詮は策士である。ついに大事は成せないだろう。
(実が要るのさ)
竜馬にも、いまは身もふたもない。しかし作りあげたいと夢想している。
5.俺が出ねば天下はどうにもならん、と竜馬はふと誇大な夢想をもつのだが、かといってまだ出る幕がなさそうであった。
生涯、竜馬の出る幕はないのかもしれない。
(そのときは、そのまま死ぬまでよ。命は天にある)
竜馬は刀を帯におとしこんだ。この一刀が勝の血を吸うかどうか、竜馬自身にもわからない。
6.竜馬は、議論しない。
議論などは、よほど重大なときでない限り、してはならぬと自分に言い聞かせてある。
もし議論に勝ったとせよ、相手の名誉を奪うだけのことである。
通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生き物だし、負けた後に持つのは負けた恨みだけである。
【メモ】
p10
「弥太郎ほど、おかしなやつはない。」
と、武市半平太がかつて門下生に人物論議をしたことがある。
もってうまれた気力胆力が超人的で、かつ文字にも明るいくせに、この男だけは勤王でも佐幕でもないのである。
主義めかしいことは一切口にしなかった。興味がないのだろう。
弥太郎に主義があるとすれば、徹頭徹尾、自分主義である。信奉すべきは天皇でも将軍でもなく自分であった。
弥太郎自身、この広い世の中で、岩崎弥太郎ほど優れた人間はいないと思っている。
p28
「弥太郎、抜いたか、けなげだな」
竜馬はシンから感心した。
「しかし、惜しい。お前は不浄の小役人になって上士のあごで使われているような男ではない。天下は動いちょる。おなじ死ぬなら、竜馬の刃にかかるよりも、日本のために死なんかい。お前には土佐はせますぎる」
もともと弥太郎には、国事に奔走するというような興味はかけらもない。かといって土佐藩でたかが知れた出世をしようとも思っていない。
自分の人一倍大きすぎるエネルギーを何に向かって吐きだすべきか、その場所を探すのに悩み切っているのが、弥太郎の心境だった。
「お前は商売をやれ。これからの商売は国事じゃ。町人には出来ん。武士の目をもって、天下のいく末を洞察した商売でないと、商売にはならん。そんな時代がくる」
p61
・寺田屋騒動
伏見における勤王有志の薩摩藩士たちが全滅した。
薩摩藩士団が、薩摩藩士団を切った。
藩主久光からの、慰留とは名ばかりの命令で、薩摩人は思想よりも君命を重しとして行動した。
双方、憎しみはなかった。
なにせ家中では勤王派の同志であり、友人である。
が、薩摩隼人の奇妙さは、いかなる場合でも、自分の男としての名誉を守るということにあった。殺気はカラリと乾燥している。
勤王有志・橋口壮助
「おいどんな、死にもしても、お手前(おはん)らが居もす。生きて生き抜いて、今後の天下のことは頼んもすぞ」
維新の陽は、やがてこういう連中の累々たる屍の向こうに昇るのであろう。
p86
・清河八郎
清河は、巨大すぎるほどの才能を持って、この東北の高原に生まれた。
学問、武芸、なにをやらせても、たちどころに熟達した。
文章もうまい。弁才もある。それに、人一倍の気力がある。
それだけではない。時勢、人物などものの本質を一目で見抜く眼力と、策謀たちどころに湧く天才的な謀才があった。
その点、百年に一人という逸材だろう。
ただ一つ、徳がないという重大な欠陥がある。
非常な尊王家であったが、同時に自分をも世間に押し出したかった。
功を独り占めにし、常にその策謀の中心に座りたかった。
p93
・幕末の史劇は、清河八郎が幕を開け、坂本竜馬が幕を閉じたと言われている。
「例の寺田屋の一件。あれも私が書いたスジだったのさ」
とにかく清河は歩いている。人物とみれば必ず会っている。
そして、ほとんどが清河に動かされた。
清河がどこかで吹き上げた笛の音が、まわりまわって土佐の田舎に聞こえたために、竜馬もおどらされて脱藩するわけになったのである。
p98
「よしなよ清河さん。一生に一度くらい手品もいいだろうが、物事にゃ実がなくちゃ、人はついてこないですな。」
策士というのは所詮は策士である。ついに大事は成せないだろう。
(実が要るのさ)
竜馬にも、いまは身もふたもない。しかし作りあげたいと夢想している。
p136
攘夷さわぎは、日本史にとって無意味ではなかった。
同時期に隣国のシナが英国の武力を背景とした植民地政策のために骨抜きに料理され、他方ではロシアも領土的野心を露骨に見せ始めていた。
もし攘夷的気概が天下に満ちていなかったかは、日本はどうなったかわからない。
列強が日本に対しシナとは違う扱いをし始めたのは、一つはサムライとの陸戦を恐れたからである。
p178
「重さん。勝なんぞを殺すよりも、人おのおのが志を遂げられる世の中にしたいものだなあ」
ぼんやりと竜馬は立っている。
「おれは故郷で河田小竜という物知りの絵描きから聞いたのじゃが、アメリカでは木こりの子でも大統領になれるし、大統領の子でも本人が願うなら仕立て屋になっても、誰も怪しまぬというぞ。
士農工商のない世の中にしたい、とふと思うた。」
「重さん、俺は天子様のもとに、万人が平等の世の中にしてみせるぞ。」
p189
幕府の権威は、桜田門外の変があったこの朝から薄れた、といっていい。ただの殺人ではなく、歴史を動かした稀有な殺人といえる。
しかし、その後に頻発した天誅などは子ども騙しだ。人さえ殺せば世の中が良くなると信じている狂人どもの所業である。
(せっかく世直しの思想としてあらわれた尊王攘夷も、人を殺すことだけで終わるようでは危ないもんじゃ)
俺が出ねば天下はどうにもならん、と竜馬はふと誇大な夢想をもつのだが、かといってまだ出る幕がなさそうであった。
生涯、竜馬の出る幕はないのかもしれない。
(そのときは、そのまま死ぬまでよ。命は天にある)
竜馬は刀を帯におとしこんだ。この一刀が勝の血を吸うかどうか、竜馬自身にもわからない。
p202
・勝の開国論
イギリスはあんなにも小さな国にも関わらず、地球全体の海を「家」として繁栄している。
「幕府はとても金がないという御沙汰を下した。だから、金は海から吸い上げるんだ。開国してどんどん貿易し、その金で艦隊を作ればいい」
(幕府を倒さにゃいかんな)
幕臣勝麟太郎が説けば説くほど、竜馬はそのことばかりを考えていた。
p220
・世の中の人は何とも云はばいへ わがなすことはわがのみぞ知る。
この時期、竜馬の人生への基礎は確立した。
勝に会ったことが、竜馬の竜馬としての生涯の階段を、一段だけ踏み上がらせた。
(人の一生には、命題があるべきものだ。俺はどうやら俺の命題のなかへ、ひとあしだけ踏み入れたらしい)
このとし、竜馬28歳。まったぬの晩熟(おくて)である。
p245
竜馬は、議論しない。
議論などは、よほど重大なときでない限り、してはならぬと自分に言い聞かせてある。
もし議論に勝ったとせよ、相手の名誉を奪うだけのことである。
通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生き物だし、負けた後に持つのは負けた恨みだけである。
p320
(武市は、史上、名を残す男だ。しかしながら一流の名は残すまい)
その人物の格調の高さは薩摩の西郷に匹敵し、謀略の巧さは薩摩の大久保に肩を並べ、そして教養は両者よりも豊かで、人間的感化力は吉田松陰に及ばずとも似ている。
が、最も重要なところで武市は違っていた。
(仕事を焦るがままに、人殺しになったことだ。天誅といえば聞こえは良いが、暗い。暗ければ、民はついて来ぬ。)
Posted by ブクログ
行け行け竜馬。時代が自分を求めるまで待つ。そんな姿勢で生きてみたいものです。勝海舟と出会い、いよいよ竜馬が時代の要請に応えるべく、活動を始める一冊。竜馬の恋の行方にも興味津々です。
Posted by ブクログ
薩摩藩の大名行列を乗馬で横切ったイギリス商人に藩士が斬りつけるという生麦事件が発生。攘夷の空気はいよいよ増し、時代は張り裂けんばかりの緊張に包まれる。そんな折、竜馬は幕府の軍艦奉行である勝海舟と運命的な出会いをする。開国論を唱える勝に天誅を加えるために屋敷に切り込むものの、ミイラ取りがミイラになるかの如く、勝の主義主張に陶酔し弟子となってしまう。そして、勝が準備をすすめる海軍学校設立のため、三百諸侯きっての秀才と言われた越前福井の大名である松平春嶽に五千両の資金の融通を求めて当地に赴き、そして直談判の末、調達に成功するのである。
Posted by ブクログ
なんとなくフラフラしていた竜馬が自分のやりたい事をみつけて動き出す巻。
なんといっても勝海舟との出会いが一番なんだろうな。竜馬に「気づき」を与えた勝海舟の偉大さよ。
そして、生涯の伴侶、おりょうさんとの出会いも!
あんなに女性に奥手な竜馬が人前でハグしちゃうぐらいなんだから(このあたりも固定概念がない竜馬らしい)さぞ衝撃な出会いだったんだろうな。
間に寺田屋騒動あり生麦事件あり(今年の大河でちらっとしか流されず意味がわからなかったんだけど、司馬先生のおかげで分かりました(笑))幕末に向けてガンガン話が進んでます。
印象的なセリフ
249
「相手が幕臣であろうと乞食であろうと、教えを受けるべき人間なら俺は受けるわい」
409
「藤兵衛、人間はなんのために生きちょるかしっちょるか」
と、竜馬は膳ごしにいった。
「事をなすためじゃ。ただし、事をなすにあたっては、人の真似をしちゃいかん」
430
アメリカでは、大統領が下駄屋の暮らしの立つような政治をする。なぜといえば、下駄屋どもが大統領をえらぶからだ。おれはそういう日本をつくる
あと、個人的なツボ
234
「岡健、やる気が」
「いや、逃げる用意じゃ」
竜馬とのこういうやりとり、大好き。
Posted by ブクログ
司馬遼太郎の長編時代小説の3巻目
今作で歴史上で最重要人物ともいえる勝海舟,おりょうと出会うことになる.勝海舟との出会いをきっかけに龍馬が急速に商船会社を作っていくシナリオへ足を進めている一方で,薩長土はそれぞれ討幕のために過激化していくのが対照的だった.特に武市半平太との亀裂というか思想の違いが色濃くなってきているのがある意味歴史の明暗を分けているのかと感じさせられた.
3巻はかなり話の脱線というか逸話の挿入が多かった.確かに面白いけど多少展開の悪さが否めない.だが,一貫して表現の多様性は保っていてどんどんと読み進められつつ情景が容易に浮かび上がる仕上がりになっていた.
Posted by ブクログ
清河は非常な尊王家でもあったが、同時に自分をも世間に押し出したかった。独り策謀をめぐらし、その策謀で世間を踊らせ、しかも策士らしく背後で帷幕を垂れこめているのではなく、功をひとり占めにし、常にその策謀の中心にすわりたがった。
徳がない、ということになろう。
この稀代の才子の生涯を決定した不幸は、そういう欠陥にあった。(p.88)
幕末の史劇は、清河八郎が幕をあけ、坂本竜馬が閉じた、といわれるが、竜馬はこの清河が好きではなかった。
たったひとつ、人間への愛情が足りない。
万能があるくせに。
そうみている。ついに大事をなせぬ男だ、と竜馬はみていた。(p.96)
「半平太、まあ、ながい眼で見ろや」
「なにを見るんじゃ」
「わしを、よ」
竜馬は、議論しない。議論などは、よほど重大なときでないかぎり、してはならぬ、と自分にいいきかせている。
もし議論に勝ったとせよ。
相手の名誉をうばうだけのことである。通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生きものだし、負けたあと、持つのは、負けた恨みだけである。(p.244)
(史上、名をのこす男だ。しかしながら一流の名は残すまい)
武市の謎なところである。その人物の格調の高さは薩摩の西郷に匹敵するであろう。その謀略のうまさは薩摩の大久保(利通)に肩をならべ、その教養は前両者よりも豊かで、しかもその人間的感化力は、長州の吉田松陰に及ばずとも似ている。が、もっとも重要なところで、武市はちがっている。
(仕事をあせるがままに、人殺しになったことだ。天誅、天誅というのは聞こえはよいが、暗い。暗ければ民はついて来ぬ)(p.320)
「藤兵衛、人間はなんのために生きちょるか知っちょるか」
と、竜馬は膳ごしにいった。
「事をなすためじゃ。ただし、事をなすにあたっては、人の真似をしちゃいかん」
「人の一生というのは、たかが五十年そこそこである。いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ。生死は自然現象だからこれを計算に入れてはいけない」(p.410)
Posted by ブクログ
男は、この子をどうにかせんとあかんと言って、惚れる。守りたいという気持ちがそれ。
剣は技術ではなく、境地。
その境地も多分重要なもので、士農工商がない世の中にしたいという気持ちや、藩を無くして日本国を作る(海外の制度を持ち込む)といった考えが浮かぶのだろう。
人を殺しても、世の中は良くならない。これが歴史から学ぶべきこと。
足が達者でなければ仕事はできぬという持論。
世に生を得るは事をなすにあり。
Posted by ブクログ
一気読みしてしまった。
尊王攘夷の激化、勝麟太郎との出会い、はじめての黒船、脱藩の取り消し、由利公正と春嶽との会見
艦隊作りの第一歩目が踏み出した!?
Posted by ブクログ
何か段々濃厚になってきた、良くも悪くも。ストーリーとしては破綻するのかもしれない。
しかしやっぱりこの作家、注意しないと毒される磁力を持ってるのは確か。