司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 新選組血風録 〈改版〉

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    「油小路の決闘」新撰組から離脱した伊藤甲子太郎(かしたろう)派の7人vsその抹殺を狙う新撰組40人の大乱闘を篠原泰之進を中心に描く。現代人と違った死生観・武士のダンディズムについて思う。

    当時沖田総司よりも腕がまさると云われていた服部武雄の死に様がすさまじい。民家の門柱を背に腰に提灯を差して足元を照らしながら長物で敵を切りまくり、足元に死体を築き上げ、そのために動きがとれなくなって長槍でしとめられたという。こういうエピソードって頭で考えてるだけだと出てこないなぁ。

    甲子太郎派の7人は、敵が40人以上待ち伏せしている事を分かった上で、油小路に晒された甲子太郎の死体を引き取りに出かけるのだが、

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    2010年06月15日
  • 胡蝶の夢(二)

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    黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。

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    2010年06月21日
  • 新装版 アームストロング砲

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    久しぶりに司馬遼太郎を読んだが、いつもの簡潔にして濃密な文章、突き放しつつ決して目を逸らさない人物描写は滋味深い。彰義隊のことを知りたいと思い、このところ江戸の治世に殉じた志士の立場からの書物ばかり読んでいて、些か視点が偏っていたところに本書だ。風雲急を告げる幕末の動乱を雲の間から見つめる神のごとき遍在視点に一寸眩暈すら覚えた。

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    2010年06月03日
  • 新選組血風録 〈改版〉

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    新撰組初・中期を中心とした短編集。タイトルからは「剣林弾雨をものともせず、血風を吹かす新撰組」というイメージだが、どちらかといえば「陰惨、血雨を降らし、風ために濁る」といった生々しい新撰組の姿が描かれている。
    とはいえ、そこには生き死にを際どく渡っていくひとびとの姿が描かれていて、非常に鮮やかだ。
    沖田と土方の「そうですか」「そうさ」といった、「燃えよ剣」でもたびたび交わされるやり取りが私は好きだ。なんとなく好きだ。

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    2010年05月28日
  • 街道をゆく 2

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    今回の紀行では、国交正常化して6年後の1971年に韓国を訪ねる。
    でも「韓国」ではなく、「韓のくに」紀行である。
    著者は加羅、新羅、百済といった古代国家の残滓を求め、各地を巡る。
    時折、日帝支配36年とその後の韓国の反日政策による波紋が、街道をゆく司馬氏を襲う。しかし著者は感情的に反発するでも過度に萎縮するでもなく、かといって傍観するでもなく、淡々とその出来事を咀嚼し、その思考に身を浸す。
    そこに流れる静かなる冷徹さはいつも乱れることがない。
    故に我々は、その筆の軌跡を追いたくなるのだと思う。

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    2010年05月07日
  • 菜の花の沖(四)

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    エトロフ島への水路按検。漁場も開く。近藤重蔵、伊能忠敬。蝦夷地定御雇船頭となる。千島と樺太の領土問題にも多くの記述がある。

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    2010年05月02日
  • 胡蝶の夢(四)

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    松本良順,伊之助、関寛斎を主人公に幕末から明治維新にかけての身分制社会の崩壊を描く。司馬さんの歴史への造詣の深さ、表現力に酔う作品である。10.5.5

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    2010年05月05日
  • 風神の門(上)

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    霧隠才蔵がかっこよすぎる。
    うーん、と唸ってしまうほどかっこいい主人公なんてそうそういないよなあ。
    程よく山あり谷ありの展開で、時代小説だからと身構える必要なくすらすらと読めてしまう。
    女性たちとの艶っぽい駆け引き、男同士の友情、忍術合戦などなど見所はたくさんあるけど、これはやっぱり主人公の生き様に惚れ込む作品だ!と思った。

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    2011年04月16日
  • 翔ぶが如く(八)

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    かつて徳川幕府を倒した日本で最強の薩摩軍が、この西南戦争では十分な戦略がなく、政府軍に対して優勢を保つことができない。戦略としてあるのは、西郷をたて東京に向かう途中で各地域の士族が同調し雪だるま式に軍勢を拡大して、最終的に太政官を倒すことである。しかし、現実としては熊本城に拘り、軍の配置も非効率となっていることが指摘されている。戊辰戦争と西南戦争の違いは驚くべきものである。

    薩摩軍の士族個人個人は非常に精強であり戦に慣れている反面、政府軍はまだ徴兵されて間もない兵士であり戦にはなれていない。ただ、武器・補充体制・全体の戦略という観点で政府軍が優位に立った。

    戦争における優劣を決めるにあたり

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    2010年03月09日
  • 翔ぶが如く(五)

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    明治7年、大久保利通が清国で繰り広げた外交劇は非常に印象的だ。平行線の交渉の場をあらゆる手段を用いて粘り強く挑むその姿には感動を覚える。どのような辛い立場であっても糸口を見つけるために頑なに挑み続けている一面を劇的に描いている。

    外交に限らず交渉において妥協をせずに自分の目標・目的に少しでも近づけるように努力することの大切さをしみじみと感じた。

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    2010年03月08日
  • 翔ぶが如く(六)

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    西郷の唱えた征韓論は知っていたが、征台論は知らなかった。それもまさか征韓論を反対した大久保利通が征台論を唱えたというのは、その時代背景の複雑さを物語っている。例えそこに事情があったとしても、やはり民衆から見れば太政官に対する信頼を失うことになりかねない。
    大久保は西郷のことを考え、そして、薩摩士族の不満を少しでも解消させる手段として負の影響を少ないと考えた台湾出兵を考えた。しかし、結果的にはそのこと自体が士族の不満を増大させることになる。

    一貫性の無い政策はいつの時代も国民の信頼を失う。

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    2010年03月08日
  • 翔ぶが如く(七)

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    明治10年西南戦争が勃発する前夜の状況を事細かに描写している。この戦争のきっかけとなる、西郷暗殺計画と火薬庫破りに関しては太政官側の動機がいまいち曖昧であり、そのこと自体の真偽も確かでない。ただ、どのようなきっかけにせよ、この時代の薩摩と中央政府を巡る関係から西南戦争が発生する危険性は非常に高く防ぐことは難しかったのではないかと推測される。西郷隆盛は薩摩士族にとって大きな存在であったが、それ以上に反政府の気運は強く、西郷の意思に沿わずともその西郷を表に立てることで得られる心理的な高揚感から戦争に突入した。

    ただ、冷静になって考えれば新しい政府を作ることが非常に難しいことで、人心を掌握して多く

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    2010年03月08日
  • 新装版 歳月(下)

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    Kodama's review
    征韓論で賛否が分かれた新政府。江藤新平は、佐賀に戻り政府に対抗することに。結局、征韓論を唱え、または支持した前参議は命を落とすことになった訳ですが、その江藤と西郷隆盛の共通点は、二人とも海外に行ったことがなかたこと。百聞は一見に如かず…果たして二人は海外渡航への経験があれば、違った人生を歩んでいたのかも知れません。
    (10.2.28)
    お勧め度
    ★★★★★

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    2010年03月07日
  • 新装版 歳月(上)

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    Kodama's review
    肥前佐賀藩の小吏の家に生まれ、幕末の風雲の中を掛けぬけ、新政府の参議にまで駆け上る。ここまで海外に赴くことがなかったにもかかわらず、海外に行ったことのある人間よりもその知識を持ち得ていることに人々は驚かされる。そんな卓抜した能力も彼が参議にまで至る理由なのでしょう。下巻へ!!!
    (10.2.21)
    お勧め度
    ★★★★★

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    2010年02月28日
  • 翔ぶが如く(四)

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    明治7年前後の日本が内政上の問題にかかりきりで外交にまで十分に力をまわせていないことが分かる。海外の政府やマスコミからは馬鹿にされつつも、国内の反政府分子の勢いを沈めるため征台論をかかげその実行に乗り出すところなど、内政のための外政であるとの筆者の指摘は確かかもしれない。これは今でもいえることだが、国内がしっかりしていないと、海外からつけいられうまいように利用されるリスクを負う。だからこそ、政権が変わって大変な時期といえども政治がしっかりして欲しいものだ。

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    2010年03月07日
  • 新装版 俄 浪華遊侠伝(下)

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    わが人生は一場の「俄」のようなものという明石家万吉の人生訓が、理解できるのがこの後編。時代は、ちょうど長州藩が京都で負けたあたりから万吉最後のおお仕事までの話。前編ほど痛快ではないが、万吉の度胸と運の良さは顕在。しかし、時代の変わり目からか少しこころに余裕があったのかいろんな葛藤がえがかれている。そういう意味では前編よりも少し感じる部分がおおい。

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    2010年02月11日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    書くの忘れてたので、3巻と一緒にアップ。
    村重、信長、秀吉、半兵衛など、人物も大勢登場で、いよいよ話が大きく動いてきました。

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    2010年02月02日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    有岡城の幽閉生活から生還。
    「地獄を見てきたのだ」とか、官兵衛だから言える言葉(それ以外の人だと、中二病)
    そして高松城へ。

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    2010年02月02日
  • 果心居士の幻術

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    忍者、新選組、古代史とおいしいモノがつまった、巨匠・司馬遼太郎氏による「呪術もの」「奇譚もの」的短編集です。

    本書の「壬生狂言の夜」が、司馬御大が初めて手がけた新選組もの、らしいです。ここから「燃えよ剣」などにつながって行ったんですねー。

    表題作の「果心居士の幻術」は、室町~安土桃山時代の怪人兼幻術師兼忍者と言われている、果心居士の話です。
    好きなんですよ、この手の人物。
    役小角や道鏡や、そしてこの果心居士。
    怪しいけど、なんか惹かれてしまう。

    中でも「八咫烏」は、司馬御大の作品としては異色な印象を受けました。
    古代、神武東征の時代が舞台。出雲神話を軸に展開されています。
    八咫烏は神武を

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    2010年01月30日
  • 新装版 戦雲の夢

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    泣けちゃう。戦国のゆとり世代はこんなこと考えて生きてました。夏草の賦・関ヶ原と合わせて読むと諸行無常感がとても耐えられない。

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    2010年01月28日