司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ吉田松陰と高杉晋作の物語。
松陰は、その師である玉木文之進から、私情を一切捨てて、公のために尽くせ、と教えられ、それを頭の中で考えるだけでなく、実践に重きをおいて生きたひとである。実行の中にのみ学問があるという、陽明学的思想である。孟子的といってもいい。
それが必要だとなれば、武士たるものは断乎行うべきだ。それが成功するかどうかということを論ずるべきではない。こういう思想で松陰はペリーの乗ってきた軍艦に漕ぎ寄せるのであった。
攘夷、攘夷と念仏のように国中の志士がとなえているが、ことごとく観念論である。空理空論のあげく行動を激発させることほど国を破ることはない。世の事に処するや、人はまずものを見 -
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どうも良いですね。やはり司馬さんは性に合いますね。
しかも司馬さんの作品の中でも、私の好みからすれば1、2を争う作品です。
最近の作家さんの作品を読むと、ショーウインドに飾ってる服を眺めて「良いな〜」って感じ。ところが司馬さんの作品だと、それを着て肌にしっくりなじんだ感じがします。
司馬さんといえば、どうしても歴史上の武将を初めとした偉人伝のイメージ(忍者ものも有りますけど)です。でもこの作品は、実在の人物とはいえ一介の侠客を描いたもの。そのせいもあるのでしょうか、肩から力が抜けたような、自由で奔放な感じが良く出ていて、堅苦しさが無い。その分、物語としての面白さに充溢した、隠れた名作では無い -
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かくして廟堂は開かれ征韓派の勝利かのように思われた。三条実美と岩倉具視の変節に腹を立てた大久保は即刻辞表を提出、ひきこもってしまう。三条は周章の果てに昏倒、太政官代理は岩倉─反征韓派の手にゆだねられることに。形成逆転となった新政府、西郷隆盛はツムジを曲げて鹿児島へ帰ってしまう。それに連なって在京・薩摩ハヤトたちは連袂帰郷…しかし東京に残る薩摩人もいた。川路利良がそれであった…。一方、山県有朋は参議に昇格した伊藤博文にジェラシーして一人で何か運動を起こしているもよう…。この巻では大久保利通の政治観念がおもしろかった。薩摩人たち(桐野利秋の親友・有馬藤太とか、大久保さんに「大ばか者」呼ばわりされた
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大久保利通がはるばる清国までいって李鴻章と談判する巻。もしかしたら清と戦争になっちゃうかも?ならないかも?やっぱりなっちゃうかも??果たして大久保利通の腹のうちは如何?教えて、大久保さん★ 大久保さんの寡黙さが周囲に不安を与えまくっている様子が可笑しい。結果から言えば戦争にはならなかったわけですが、台湾の先住民が日本人を殺害した件で清国(台湾の宗主国)から賠償金をゆすり取ろうとしてるヤクザな日本は無茶。木戸孝允は「清と戦争になったら日本は大挙して北京を攻撃できたとしても、その地にずっと拠有できるワケないよ」ということを仰っていますが、これは見事な予言です。のちの太平洋戦争までこの予言は常に的中