司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 街道をゆく 39

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    1994年刊。もとは「週刊朝日」に連載(93.3.5~6.25)。
    タイトルはニューヨーク散歩だが、本丸はコロンビア大学のドナルド・キーン。そこに至るまでの散策が長く、内容もちょっと散漫。
    ニューヨーク訪問は、ちょうどキーンのコロンビア大学退職の時期にあたっていた。キーンの半生が駆け足で紹介されている。コロンビアでの彼の師・角田柳作にも触れている。コロンビアの現役の日本文学研究者、バーバラ・ルーシュやポール・アンドラも登場する。読みどころはこの後半部。
    ドナルド・キーンは京都に留学中に、同じ下宿の永井道雄(のちに文部大臣)、そしてその友人の嶋中大鵬二(のちに中央公論社社長)と懇意になった。キー

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    2025年11月11日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    斎藤利三の妹・菜々は四国土佐の片田舎で野望を燃やす長宗我部元親の元に嫁ぐ。元親は武力調略ないまぜて、土佐を統一し、四国制覇を目指し更に阿波など近隣諸国へなだれ込む。

    『功名が辻』の千代とは違うタイプだけど、元気で個性的な菜々が可愛らしくて良い。侍女のお里とのやり取りや一条家での騒動など楽しくて良かった。

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    2025年11月10日
  • 新装版 歳月(下)

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    司馬遼太郎の特に幕末小説を続け読みした。峠の河合継之助、最後の将軍の徳川慶喜、世に棲む日々の吉田松陰高杉晋作、そして歳月の江藤新平。童門冬二の新撰組、城山三郎の雄気堂々(渋沢栄一)も含め色んな目線、切り口から幕末、明治維新を見てみて色々思いながらも大久保利通だけはどうも気に入らない。
    翔ぶが如く、読むか悩む。
    とはいえ江藤新平頭固すぎる。河合継之助に通じるところがある。渋沢栄一や新島襄が向いてるかな。何かを変えるには常に変えられる相手がいることを実感し、対策を打つべき。これを学ぶ。
    p199緊迫したシーンであるが『団にょんさん』って言う表現が和む。

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    2025年11月11日
  • 功名が辻(四)

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    ネタバレ

    関ヶ原の合戦を前に徳川家康に城や領地を差し出す伊右衛門。関ヶ原の合戦では前線へ投入されず、勝ち負けすら分からないほど遠くにあって銃声と馬蹄の轟を聞いているだけだったにも関わらず、恩賞は土佐一国二十四万石。しかしそこには長宗我部の旧臣たちの激しい抵抗が…。

    関ヶ原までは伊右衛門も千代も可愛らしい感じで良かったが、土佐を手にした伊右衛門の変わり方が…。

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    2025年11月08日
  • 功名が辻(三)

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    ネタバレ

    絢爛たる栄華を誇った豊臣秀吉の天下が傾き始めた。老耄の翳がさした豊臣家。じりじりと台頭してくる徳川家康に諸大名は近づき始める。更に北政所と淀殿の間にも派閥の対立が。秀吉の死後、上杉景勝討伐に東征する家康の留守を狙い挙兵する石田三成。

    悪役で伊右衛門の立場を引っ掻き回す立場なのかと思った六平太が、千代の前ではちょっと可愛らしい感じで面白い。関ヶ原へ向かう伊右衛門の見所の直前まで。

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    2025年11月06日
  • 新装版 歳月(上)

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    P330江藤新平の司法卿就任にあたって井上馨に渋沢栄一が異を唱えるシーン。どこかで読んだと思ったら、城山三郎の新潮文庫『雄気堂々』下巻P119でそのシーンがかなり微に入り書かれていた。歴史小説だから当たり前なんだけれども繋がってるのが嬉しかった。

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    2025年11月09日
  • 峠(中)

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    上巻とは状況が変わり、藩の中で重用されるようになった様子を書く。
    福沢諭吉との考え方の対比が面白かった。両者は似ているが、あくまでも藩を前提とした考えに立脚している点は、一種の諦めもあったのかもしれないと思った。

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    2025年11月02日
  • 世に棲む日日(四)

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    思想に酔う思想家タイプの松陰と、あくまで現実主義の晋作。プラトンとアリストテレスにも通じるかもしれない。楽と苦を差し引きすれば浮世の値僅か三銭。救いのないこの世の中、人生だからこそ、おもしろきことも無き世を面白くしたかったんじゃないかと思う。

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    2025年11月02日
  • 翔ぶが如く(一)

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    征韓論へと至る経緯や薩長の主要人物の関係性や性格が何となく分かる。
    セリフが少なく、司馬先生の考えの分量が多いので、他の小説とは趣向が違う。そのため登場人物に感情移入するよりも歴史の流れを知る、という読み方になる。

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    2025年11月01日
  • 街道をゆく 6

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    これまで何冊も司馬遼太郎の本を読んできたので、彼の言葉で沖縄を語る時には、映画の人が家に来たような心地がした。

    ただ、本の半分以上は先島に割かれており、本島出身の自分としては、もう少し本島のことを話してくれるとなお嬉しかった。

    1974年と、今から約半世紀前の情景を見ての言葉だが、この半世紀変わったところもあるものの、その前の半世紀と比べると変化は小さかったとつくづく思った。

    また、私は先島へは一度八重山諸島への旅行に行っただけであるが、せっかくなら全ての友人の先島諸島を訪れたいと思った。

    【以下、印象に残った箇所・言葉】

    p19
    氏によれば、「もし首里の街が戦前のままそっくり残って

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    2025年11月01日
  • 梟の城

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    かなり面白い。
    序盤を過ぎた頃から彼らの生きる世界に吸い込まれた。
    再読したいし、司馬遼太郎の違った一面に触れた気がした。司馬遼太郎記念館に行ってみたくなった。

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    2025年10月28日
  • 坂の上の雲(三)

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    とても緻密に描かれており、歴史の授業だけでは到底感じれなかった日露戦争開戦までの経緯と日本人の苦悩、また開戦に向けての準備とロシアの驕りがよく描かれていて面白かった。
    途中から話しが横に流れて読みづらい側面もあったが、日本から見るロシアの強大さ。日露戦争に勝ったのは知っていたけど、それがどんなに困難で奇蹟的なことだったのか。
    念入りな作戦や準備とロシアから見るとまだまだ弱小新興国の日本に対しての驕りが交わり合ってどう進んでいくのか。
    まだまだ8集のうちの3集目でどこに物語は向かっていくのか先が気になる。

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    2025年10月27日
  • 世に棲む日日(三)

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    長州藩の幕末の激動を高杉晋作、井上馨、伊藤博文、山縣有朋らを中心に描かれる。攘夷、開国、討幕といった思想の波が目まぐるしく変化する時代に自分ならどのように立ち振る舞えるかを考えさせられる。最終巻も楽しみ。四カ国艦隊との協議の下りが個人的には最も面白かった。ちょいちょい出てくる西郷隆盛が不気味。

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    2025年10月26日
  • 功名が辻(二)

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    ネタバレ

    羽柴秀吉の麾下に組み込まれた伊右衛門だが、出世は遅々としてならない。本能寺の変で信長が討たれ、山崎や賤ヶ岳でも戦うが、歳下の加藤清正や福島正則に追い抜かれていく。小牧・長久手の戦いを経てようやく二万石の大名になるが…。長浜の地震で悲劇が起きる。

    伊右衛門がちょっと行き詰まり、能力の限界が…。それでも千代に上手く操られて、徐々に出世してついには掛川六万石。千代の小袖の話とか大名の奥方の気さくな話は面白い。

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    2025年10月26日
  • 梟の城

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    「梟の城」直木賞受賞作を司馬遼太郎記念館で購入した。古来から隠し国といわれる伊賀。伊賀国から出た郷士で本作の主人公は”忍者ハットリくん”ではなく、”葛籠重蔵”。

    一般的な忍者は虚無主義をそなえており、他国の領主に雇われはしたが、食録として抱えられることはない。報酬をくれるものならどんな者の側にもつき、仕事が終わると、その敵側にさえつく。

    時は織田信長からはじまり、豊臣秀吉の晩年までのころ。重蔵は老師下柘植次郎左衛門の導きにより商人今井宗久の隠密として秀吉暗殺を狙う。

    重蔵と同じ師ををもちライバルでもある伊賀者風間五平が敵味方に別れて、それぞれの生き様を戦わせる。重蔵がとても男らしく不器用

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    2025年10月26日
  • 功名が辻(一)

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    ネタバレ

    織田信長の家中でぼろぼろ伊右衛門と呼ばれる、うだつの上がらない武士・山内伊右衛門。その彼に賢く美しい嫁・千代がくる。千代の励ましをうけて伊右衛門は功名を目指し姉川、近江、長篠とかけていく。

    千代におだてられ、上手く扱われている伊右衛門が可愛らしい。新右衛門と吉兵衛とのやり取りも良い。有名な馬揃えまで。

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    2025年10月23日
  • 項羽と劉邦(上)

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    今の時代にあわせた心情で2200年前を語ってもらえて、わかりやすいとしみじみ思う。詩人のような語り口はさすがです。

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    2025年10月21日
  • 関ヶ原(下)

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    ネタバレ

    関東から西へ向かう軍勢。去就を決めかねる各大名家。
    江戸から動かない家康と岐阜の東軍。家康の策謀により崩壊する西軍。

    九鬼や真田など各大名家の去就や、岐阜城の戦いなど関ヶ原へ向かうまでの物語が良い。この小説の石田三成は本当に不器用で、自分でドンドン味方を減らしていく…。あれだけ走り回った島左近の最期は割とあっけなくて残念。

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    2025年10月21日
  • 国盗り物語(四)

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    血の繋がりのない武将2世代による大河小説の最終巻。信長と光秀の末路については世に名高いためプロセスが描かれている。司馬遼太郎も告白しているが明智光秀に思い入れが強くなっており主役の選定か構成を誤ったように見える。二君に仕える想像を絶するストレス(しかも内心信長を見下している)の中、最高の出世を遂げているし、信長を倒した事で一応国盗りに成功したという事で道三編を無理に続けるならやはり光秀が主役だろう。
    戦国時代いや、歴史上人物で最高のフリー素材である織田信長は主役としてよりもいかようにも解釈できる人物として配置した方が魅力的。
    織田信長は足利義教や三好長慶をモデルにして(勝手な予想だけど)機内統

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    2025年10月21日
  • 国盗り物語(三)

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    織田信長編と書いてあるが明智光秀編の方がしっくりくる。今となっては隔世の感があるが恐らくは発表当時の人気の戦国時代の人と言えば豊臣秀吉で織田信長は天下統一に失敗した人で本書の様に誰かとセットでないと主役を張れなかったのだろう。そんな事もあるためか本書では斎藤道三の弟子として織田信長と明智光秀が扱われており親の看板を引き継いだ信長よりも光秀に重点が置かれている。
    いかなる都合か不明だが本書で前巻までの主役が散る訳だが、ここまで描写するなら道三の死を持って完結とした方が女の愛憎と義龍との確執を持って息子(本書では実の息子ではない扱い)に国盗りされるというオチで綺麗だってのではあるまいか。まあ義理の

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    2025年10月21日