司馬遼太郎のレビュー一覧
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1994年刊。もとは「週刊朝日」に連載(93.3.5~6.25)。
タイトルはニューヨーク散歩だが、本丸はコロンビア大学のドナルド・キーン。そこに至るまでの散策が長く、内容もちょっと散漫。
ニューヨーク訪問は、ちょうどキーンのコロンビア大学退職の時期にあたっていた。キーンの半生が駆け足で紹介されている。コロンビアでの彼の師・角田柳作にも触れている。コロンビアの現役の日本文学研究者、バーバラ・ルーシュやポール・アンドラも登場する。読みどころはこの後半部。
ドナルド・キーンは京都に留学中に、同じ下宿の永井道雄(のちに文部大臣)、そしてその友人の嶋中大鵬二(のちに中央公論社社長)と懇意になった。キー -
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司馬遼太郎の特に幕末小説を続け読みした。峠の河合継之助、最後の将軍の徳川慶喜、世に棲む日々の吉田松陰高杉晋作、そして歳月の江藤新平。童門冬二の新撰組、城山三郎の雄気堂々(渋沢栄一)も含め色んな目線、切り口から幕末、明治維新を見てみて色々思いながらも大久保利通だけはどうも気に入らない。
翔ぶが如く、読むか悩む。
とはいえ江藤新平頭固すぎる。河合継之助に通じるところがある。渋沢栄一や新島襄が向いてるかな。何かを変えるには常に変えられる相手がいることを実感し、対策を打つべき。これを学ぶ。
p199緊迫したシーンであるが『団にょんさん』って言う表現が和む。
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これまで何冊も司馬遼太郎の本を読んできたので、彼の言葉で沖縄を語る時には、映画の人が家に来たような心地がした。
ただ、本の半分以上は先島に割かれており、本島出身の自分としては、もう少し本島のことを話してくれるとなお嬉しかった。
1974年と、今から約半世紀前の情景を見ての言葉だが、この半世紀変わったところもあるものの、その前の半世紀と比べると変化は小さかったとつくづく思った。
また、私は先島へは一度八重山諸島への旅行に行っただけであるが、せっかくなら全ての友人の先島諸島を訪れたいと思った。
【以下、印象に残った箇所・言葉】
p19
氏によれば、「もし首里の街が戦前のままそっくり残って -
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「梟の城」直木賞受賞作を司馬遼太郎記念館で購入した。古来から隠し国といわれる伊賀。伊賀国から出た郷士で本作の主人公は”忍者ハットリくん”ではなく、”葛籠重蔵”。
一般的な忍者は虚無主義をそなえており、他国の領主に雇われはしたが、食録として抱えられることはない。報酬をくれるものならどんな者の側にもつき、仕事が終わると、その敵側にさえつく。
時は織田信長からはじまり、豊臣秀吉の晩年までのころ。重蔵は老師下柘植次郎左衛門の導きにより商人今井宗久の隠密として秀吉暗殺を狙う。
重蔵と同じ師ををもちライバルでもある伊賀者風間五平が敵味方に別れて、それぞれの生き様を戦わせる。重蔵がとても男らしく不器用 -
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血の繋がりのない武将2世代による大河小説の最終巻。信長と光秀の末路については世に名高いためプロセスが描かれている。司馬遼太郎も告白しているが明智光秀に思い入れが強くなっており主役の選定か構成を誤ったように見える。二君に仕える想像を絶するストレス(しかも内心信長を見下している)の中、最高の出世を遂げているし、信長を倒した事で一応国盗りに成功したという事で道三編を無理に続けるならやはり光秀が主役だろう。
戦国時代いや、歴史上人物で最高のフリー素材である織田信長は主役としてよりもいかようにも解釈できる人物として配置した方が魅力的。
織田信長は足利義教や三好長慶をモデルにして(勝手な予想だけど)機内統 -
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織田信長編と書いてあるが明智光秀編の方がしっくりくる。今となっては隔世の感があるが恐らくは発表当時の人気の戦国時代の人と言えば豊臣秀吉で織田信長は天下統一に失敗した人で本書の様に誰かとセットでないと主役を張れなかったのだろう。そんな事もあるためか本書では斎藤道三の弟子として織田信長と明智光秀が扱われており親の看板を引き継いだ信長よりも光秀に重点が置かれている。
いかなる都合か不明だが本書で前巻までの主役が散る訳だが、ここまで描写するなら道三の死を持って完結とした方が女の愛憎と義龍との確執を持って息子(本書では実の息子ではない扱い)に国盗りされるというオチで綺麗だってのではあるまいか。まあ義理の