司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレふらっと立ち寄った本屋で見つけた。日本とロシアの関係性の原形を探ったエッセイである。
シベリア開発における食糧の安定供給を目的として日本と接触したのが、両国の因縁の始まりであるという。
鎖国政策時の日本は、毛皮に殆ど興味がなかったこともあり、ロシアに対して極めて冷淡に対応した。
この時醸成された緊張感が、日露戦争の遠因になった可能性も否定できない。
領土拡張におけるロシアの型は、ロシアに救援を求める勢力に加担して勝ち取った地域をロシア化する、というものである。
ウクライナ戦争開戦の経緯から、今でもその原形は残っている。北方領土も火種を抱えている。
ヤルタ協定において千島列島(ロシアとしては北方領土も含んでいると思っているのだろう)はロシア領となった。そしてモンゴルもロシア傘下となった。つまり、モンゴルは中国のものでは無いということを合意した。
北方領土の領有権を日本に認めれば、中国がモンゴルを返せと言ってくるだろう。
以上のような視点を、本書から学んだ。日露関係だけでなく、アジア全体としての視野の広さが重要なのである。
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Posted by ブクログ
ネタバレ以前読んでいた人斬り以蔵と違い全ての短編が幕末時期の話
割と話の内容も暗い結末が多いのも特徴
薩摩浄瑠璃党
今で煽り魔の様な人間が主人公の話
会津と薩摩が同盟を結んでいた事をいい事に新撰組をコケにしまくるが、最後は哀れにも殺される話である
血風録でも薩摩の話があったが、当時の薩摩藩士は小賢しい狡猾な人間がおおかったのであろうか司馬の作品ではそういう藩士が多い印象
倉敷の若旦那
正義感が強過ぎた為か幕府の役人にも長州志士にも目をつけられ逆賊として非業の死を遂げた男の話
当時書かれたのは赤軍派が暴れ回っていた世情だからか行き過ぎた正義の果てと復讐がどのような顛末を迎えるかを詳細に描いている話でもある
五条陣屋
役人とのつてがなく手代になれなかった芳蔵が乾十郎として変名し天誅組へと変貌する話
当時の身分との差から幕府に対する鬱屈した劣等感と復讐心から志士になる話は幕末にはよくある事だがこれはかなり極端な事例
最終的には幼馴染の主人公である佑次郎も自害させるに影響力を増す程であるからか如何に当時はそれが弊害となり鬱屈とした復讐心となったかがわかる話である
壬生狂言の夜
新撰組を舞台にしたサスペンス仕立ての話
大夫殿坂でもそうだが司馬遼太郎は幕末を舞台にしてサスペンス小説を描くのも得意と見られる
一転も二転もする展開に時代小説ながら本格的なサスペンスものを読んでいる気にさえなる話である
侠客万助珍談
侠客の親分がふとしたきっかけで治安部隊として名をあげ大阪の新撰組として名を馳せる話
新撰組のような政治指針がない為か新政府軍に反感を買わず新政府軍をも商売に取り入るという佐幕側の人間としては珍しい生き方をする
暗い話が続いていたので緩和話としては丁度いい話
斬ってはみたが
おそらくこの短編集の中で最も地味な主人公
これとて歴史に名をはせることをしないながらもふとした喧嘩で剣術の名を馳せた男の話
偶然というか運命というかいつ歯車が狂うのかがおかしくない話と言える
大夫殿坂
人斬り以蔵にも収録された作品
読んだ当初は幕末の話でありがらもサスペンスのものとしての読物として良作と感銘受けた作品であった
あと玉出のお滝という変態プレイも場違いな程にインパクトがあり異様に印象に残った
理心流異聞
沖田総司が主人公の剣客作品
漫画るろうに剣心を彷彿させるような立ち合いがあり、面を針金で守っている描写はおそらく志々雄への防具にインスピレーションを得た内容だと思われる
これらの事実を考慮すると和月氏はかなり司馬に心酔していたのではないかと思ったりもする
アームストロング砲
仕事の為に命を削るいつの時代でも似たようなケースがあるような話
この作品では秀島は発狂したらしいが今の時代にあっては神経症と認定される事項でもあり、当時はハードな仕事量で(今でも)精神疾患を患ったら命取りになってしまうそんな話でもあった
犠牲があって成り立つものがあるが、結末を考えるとその犠牲も無駄となり得て無情な感情になる