司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
司馬遼太郎さん著「新撰組血風録」
新撰組の隊士の小咄が15篇綴られた短編集。どの篇も50頁位でまとめられており非常に読みやすい。
15篇とも物語の主人公が違い、各々の隊士が見事に個性的で魅力的。幕末の大争乱の中で各々が新撰組隊士としての生き様、死に様をみせる。
沖田総司の淡く儚い恋譚や惣三郎の男色譚もあったが、それも特徴的なその時代背景の一つの色だと感じる。
この作品の全体の特徴として隊士達の日常が生身の様に描かれており、どれも到って素朴なエピソードである。
その素朴さが反って斬って斬られての新撰組の血生臭さをより引き立てている様に感じる。
なるほど、タイトルの血風録とはお見事としか言い様が -
Posted by ブクログ
実は司馬遼太郎作品はこれが始めてでした。
学校の教科書では、東郷平八郎ひきいる日本海軍がバルチック艦隊に勝利した。くらいしか書いてなかった記憶があり、少年だった私も遠い昔の出来事として何も印象に残っていなかった。
日露戦争を全般的に書かれているので、陸軍の二百三高地の激戦やその他の戦いもあります。
作者の並々ならね膨大な取材に基づいた海戦、陸戦の細かい描写に頭が下がります。
当時の日本の国力を考えればロシアに勝つなんて奇跡でしたが、日露戦争になぜ勝てたのか、ロシアはなぜ負けのかが理解出来ました。そして大東亜戦争になぜ負けたのかも。最終巻に作者の解説があり、作者の思いが伝わりました。
でもロシア -
Posted by ブクログ
ついに、ついに最終巻。
対馬コースを進んでいくバルチック艦隊を、日本の仮装巡洋艦、信濃丸が発見するところからはじまる。
極力敵の艦隊に近づこうとして、気がつけば囲まれていた…なんていうアクシデントや、余談として語られるこの船の日露戦争後の話も興味深い。
またこの信濃丸に代わってバルチック艦隊を監視する三等巡洋艦和泉の覚悟についても読んでいて胸が熱くなった。
本日天気晴朗なれども波高し
この有名な一文についての丁寧な取材による考察や、
皇国の興廃この一戦にあり
というフレーズで掲げられるZ旗など、
思わず自分の中のナショナリズムを思い出させる日本海海戦。
その中でも一番印象に残ったの -
Posted by ブクログ
▼ずっと「週刊朝日」に連載されていた、旅エッセイ、とでも言うべきものです。うーん、旅エッセイ&地理歴史ノンフィクション文学、という方が伝わるかもしれません。この巻は和歌山県熊野周辺、大分県日田周辺、奈良県西吉野周辺、鹿児島県種子島、です。1975年当時の文章なので、いまとなっては貴重な「1970年代の民俗学的資料」と言える側面もあります。
つまり、「ブラタモリ」というのは、「街道をゆく」をタモリさん版にしたものであると言えます。
▼いつもどおり、旅行記、歴史考、文明評論、というものがふくよかに錯綜する作りですが、まだ「街道」も初期なので、なんというかやや後半のものにくらべると、力の入ってな