【感想・ネタバレ】世に棲む日日(四)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年11月14日

革命的思想家としての松陰吉田寅次郎と革命家としての高杉晋作をある意味対比させているような、気がしないでもない。
というのは読みながらなんとなく感じていたけど、最後の松本健一さんの解説がわかりやすくて、なるほどなと腑に落ちた。
あの時代で見れば「狂」であるのは両者変わりないだろうが、活動する時期でまっ...続きを読むたく環境も成すことも変わってくる。

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Posted by ブクログ 2022年08月16日

吉田松陰、高杉晋作共に20代で生涯を終えるとても短い人生でも、この2人が描いた日本の将来や、世界と向かい合う思想や行動に、とても大きなスケールに感服しました。そこには男のロマンが感じられ、感動しました。

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Posted by ブクログ 2022年06月19日

吉田松陰の思想と高杉晋作の行動を対比させながら読めて面白い。幕末のまさに革命の世の中を生きた2人の生き様に感服する。
「おもしろきこともなき世をおもしろく」
この句の意味を、高杉晋作の気持ちや当時の情景を思い浮かべ噛みしめながら考えてみたい。

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Posted by ブクログ 2022年04月10日

おもしろきこともなき世をおもしろく

生とは天の我を労するなり。死とは天の乃ち我を安ずるなり

こういう思いで生きていきたい。

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Posted by ブクログ 2021年08月02日

吉田松陰についての小説かと思っていたら案外あっさりと亡くなったのでビックリしたが、本作はむしろ高杉晋作を中心とした幕末志士たちの物語である。これらの人物に対しては心酔しているファンも多いが、しかし本当に有能であったかどうかは本作を読んでも評価がわかれるところだろう。もちろん将来的に明治維新が実現した...続きを読むことを考えると、彼ら幕末志士たちもまた「正しかった」。とはいえ、個人的に吉田松陰や高杉晋作は思想家としては正しくとも、政治家としては間違っている部分も多々あったのではないかと感じる。第2次長州征伐における戦術などは無鉄砲の極みで、たまたま成功したからよかったものの、失敗していたらいったいどうなっていたかわからない。2人が亡くなったことでむしろ明治維新が成功裡に終わったという見方すらできるかもしれない。しかし、このような不器用な存在だったからこそ、後世までその人物像に惹かれる人が続出するのだろう。

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Posted by ブクログ 2021年03月07日

1〜4巻、全体の感想
何だろう。この本を読んでると、突き動かされるような気持ちになってくる。吉田松陰や高杉晋作の生き方そのものはもちろんのこと、それ以上に思想や革命、正義といったものへの司馬遼太郎の考え方や解釈がそうさせるんだろう。
読み終わるまで、思想やそれが見据える正義の影響力の凄さに引き込まれ...続きを読むていたが、読み終わってふと現実を見回すと、実はちょっと違うんだということに気がつく。実際に周りや後継に影響を与えているのは、人となりそのものなんだろうな、と。思想に共感してるんじゃなくて、生き方に共感してるんだと。
大切なのはずっと先を見据えることと、少し先の作戦を考えること。ずっと先の作戦を考えることではない。そう教えられた気がする。

・学問は好きだからするもので、必要だからするものではない。
・革命は現実の先にはない。現実離れした思想が現実を破壊することで起こるもの。

勝手な解釈だけど、勇気をもらえる本だった。

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Posted by ブクログ 2021年01月23日

ついに最終巻。晋作爆発の時。
創始者である奇兵隊から挙兵の加勢を断られた晋作は自分と伊藤俊介(のちの博文)と力士隊のみで長州藩に対してクーデターを行った。嗚呼、晋作よ。生き急ぎ、師である松陰先生同様幕府の瓦解と新しい日本を見ることができなかったが、それでも師の教えの通り、生きて為すべきとを為してから...続きを読む旅立ったので悔いはなかったのではなかろうか…

これより長州男子の肝っ玉をお目にかけます
とか
わしとお前は焼山葛 うらは切れても根は切れぬ
とか、しびれる名言。

確かにこの時代の志士には珍しく、他藩とは全く交流が無かったのも面白い。そこも松陰先生が生きてたら違ってたのだろうなぁ。
この時代の人物は代わりがきかない人だらけなのだけど、勝海舟、西郷吉之助、大久保一蔵と並んで晋作も幕末の巨大な柱でしたね。

山縣狂介が意外と活躍してたので安心した…

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年05月13日

高杉による藩内クーデター画策から高杉死去までの第四巻。晋作という人物は作者が何度も言っているように無比の天才です。クーデター成功を時代の流れや民衆の心理を肌で感じながら成功に導く手腕、爽快です。伊藤との会話も粋で、伊藤が小者に見えてきます。家族を顧みない、平穏を嫌う天性の快男児、妻のお雅に向かず女郎...続きを読むの“おうの”を連れまわすところは残念ではありますがわかる気がしますし、そもそも不可能なのでしょうね。
「浮世の値(あたい)は苦楽を差し引いて3銭」「どんな人生においても春夏秋冬あり」「おもしろきこともなき世をおもしろく」など、数々の晋作語録も胸に響きます。
師匠、虎次郎松陰の遺志を継ぎながら師匠を超える偉業を成しえた晋作の最後は涙なくしては読めません。
この作品は文庫本あとがきによれば松陰に強い興味が起こることが執筆のきっかけとなったようですが、頑なに意思をつきとおしながらも断罪される生涯よりも痛快な大革命を起こす天才に心惹かれます。ただ、題名は晋作をイメージしたものなんですね。

「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し。衆目駭然として敢えて正視するものなし、これ我が東行高杉君に非ずや。」
言い得て妙です。

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Posted by ブクログ 2018年05月10日

司馬遼太郎の名作の一つ。
幕末の長州に生まれた短命の天才高杉晋作。
「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し…。」
「おもしろき こともなき世を おもしろく」
魅力に取りつかれむさぼり読んでしまいました。

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Posted by ブクログ 2018年03月12日

【感想】
ついにシリーズ読破!!
高杉晋作の本では、やはり司馬遼太郎が最高に面白かったな。
2巻途中から、主人公が吉田松蔭→高杉晋作に移り変わり、高杉晋作の奇想天外な生涯が描かれていた。

「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し」。
正にそのような生涯を過ごした高杉晋作は、どのような思いで死んでいっ...続きを読むたのだろうか?
辞世の句のように、面白くもない世の中を面白く過ごせたのだろうか?

幕末を雷の如く駆け抜けて行った高杉晋作に思いを馳せる、最高の名作だった。


【この本を読んで参考になった事】



【あらすじ】
動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し…。
わずか八十人で兵を挙げた高杉晋作のクーデターは、きわどく成功する。
幕府は、慶応二(1866)年、この長州藩を圧し潰そうと、天下の兵を糾合し、藩の四境から進攻するが、時運はすでに移り変っていた。
維新の曙光を認めながら、しかし高杉はもはや死の床にあった。


【内容まとめ】
1.晋作という男は直感で物事を判断する資質には富んでいたが、それを理屈で相手に分からせるという能力に欠けていた。
2.行動を欲するがために行動しているのであり、終末がたとえ革命の成功であれ栄達であれ、天性いやなのである。
3.「人間というのは、艱難は共にできる。しかし富貴は共にできない。」
4.「おもしろき こともなき世を おもしろく…」「…すみなすものは 心なりけり」


【引用】
p19
晋作という男は直感で物事を判断する資質には富んでいたが、それを理屈で相手に分からせるという能力に欠けていた。


p20
藩に対するクーデターのため、奇兵隊など諸兵を説得する高杉晋作
「萩に向かって一里ゆけば一里の忠を尽くし、二里ゆけば二里の義をあらわすときである!」


p145
「おれは外国船を拾うため長崎へゆく。」
この男は行動を欲するがために行動しているのであり、行動の終末がたとえ革命の成功であれ栄達であれ、天性いやなのである。


p147
「人間というのは、艱難は共にできる。しかし富貴は共にできない。」
事を為すべく目標を鋭く持ち、それに向かって生死を誓いつつ突き進んでいる時は、どの人間の姿も美しい。
が、ひとたび成功し、集団として目標を失ってしまえば、そのエネルギーは仲間同士の葛藤に向けられる。
げんに、諸隊の隊長は互いに政治家を気取って、互いに蹴落としあいをはじめていた。


p151
晋作にとっての生とは、天がその生に目的を与え、その目的のために労せしめるという過程であるにすぎず、死とは、天が彼に休息を与えるというにすぎない、ということ。
自分は創業はできるが、保全はできないということ。


p254
聞いておそろし 見ていやらしい
添うてうれしい 奇兵隊

風儀が悪く、武士の持つ気品などは彼ら奇兵隊にはない。
また、その便の悪さに開き直ってしまっている。
ただ、この連中には強さがあり、だからそ自らの悪臭を誇るところがあり、実質武士と戦えば彼らが勝つ。


p260
幕府でもへとも思わぬこの男が、両親にだけは頭が上がらなかった。


p264
「この男ばかりは、千万人に一人の男だ」
高杉晋作のスポンサー、白石正一郎の思い。
晋作は自分の人生に主題を設け、純粋にその主題のもとに生きようとし、そのために人の百倍の蒸気圧を噴き上げている。


p285
この1時間のあいだで、晋作は幕府艦隊に対する戦法を思案しきった。
この男の生涯が短かったように、この男には長考という習性がなく、思案はつねに短切であった。
というより、すぐれた剣客の剣技のように行動そのものが思案となっており、彼のときに飛鳥のような、ときに潜魚のような行動の振り幅と起伏そのものが熟慮しきった結果である。


p295
(わしは、果たした)
と、晋作は思った。
彼の青春の大目標のようなものを、晋作は幕府の牙営である小倉城を落とすことによって果たし尽くしたように思った。


p303
「どの人間の生にも春夏秋冬はある。」


p306
辞世の句
「おもしろき こともなき世を おもしろく…」
とまで書いたが、力が尽き、筆を落とした。

望東尼はこの尻切れとんぼの辞世に下の句をつけた。
「…すみなすものは 心なりけり」

晋作の好みでないはずだったが、晋作は今一度目を開いて、
「…おもしろいのう」
と微笑し、ほどなく脈が絶えた。

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Posted by ブクログ 2017年08月27日

第二次長州征伐の終盤、高杉晋作が歿する迄。
生きて維新を迎えていたら日本はどうなっていたか?と想像するが、藩内クーデター成功後と同様にきっと大官は固辞したんだろうなあ。
鬼神のような行動力はひたすらかっこいいです。


その後ながく長州人のあいだに伝えられた名言、「人間というのは、艱難は共にできる。...続きを読むしかし富貴は共にできない。」

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Posted by ブクログ 2017年05月06日

この4巻にて世に棲む日日も高杉晋作の生涯も終わりを迎える。佐幕攘夷に戻った藩政を再びひっくり返し、長州討伐にやってきた幕府軍を返り討ちにする。
薩摩にしても、長州にしても、地理的に辺境っていう場所が効いているんだよな。もとは徳川幕府の外様政策で端に置かれたというのがあるんだろうけど、その地理要因で引...続きを読むいた目で見られるんだろうし、外国とも直接交渉する場所もある。
わが故郷伊賀なんてそもそも伊勢の属国だし、京都に近いし、藤堂は外様と言っても準譜代だから流れに任せるしかなかったんだろうな。この話の中では「藤堂の腰抜け」と書かれる始末だし。
とりあえず、改革を成し遂げるには、いくら正論であっても時を待つことも大切なんだなと再認識する話でした。

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Posted by ブクログ 2021年12月11日

前半は吉田松陰の稀有なまでの純粋さ、誠実さに心打たれ、後半は高杉晋作の天才性に酔いしれました。
この師弟に共通している"狂"という人生観のようなものは、僕は個人的には非常に好きです。血がたぎる思いがします。
実は読んだのはこれで3回目なのですが、いつも興奮しますね。名言が多い!

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Posted by ブクログ 2016年10月28日

あー面白かった。


思想を極めに極め、それを行動に移すために、
あえて自ら「狂」となった人。
吉田松陰、もっと学者然とした人だと思ってた。
この本に描かれてる松蔭は純粋で不器用でなんか可愛い青年(*゜ー゜)v
何より驚きなのは、彼自身が弟子たちに教授していたのが、わずか2年ほどであったこと!
そん...続きを読むな短い間に、幕末長州を、日本を動かすほどの影響を与えたなんてねー。
どんな人やったんやろ。会ってみたいなぁー。


後半は松蔭の弟子、高杉晋作のお話。
彼が面白いのは稀代の革命児でありながら
藩主とパパママには妙に忠誠心の大きいおぼっちゃまやったこと★
忠孝と革命の板ばさみでながいこと彼は悩みます。
“動けば雷電の如く 発すれば風雨の如し”
とかなーかっこよすぎ((+_+))


影響受けて萩まで旅するくらい面白かった本。
おすすめーっヾ(o・∀・o)ノ”

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Posted by ブクログ 2024年03月01日

短くも劇的な生涯。もし彼の人生がもう少し長く続いていればどうなっていただろうかと思わずにはいられない。でも、どんな立場になっても性に合わないと投げ出してしまいそうだ。またそれも高杉晋作らしくていいような…

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Posted by ブクログ 2023年11月20日

【全四巻の感想】
行動が思考を決定するという高杉晋作の激烈かつ濃厚な圧縮人生。
わいが生まれる100年前に没す。

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Posted by ブクログ 2022年01月29日

とても長かったが幕末に興味が湧いた。
吉田松蔭の思想、高杉晋作の行動。
動けば雷電のごとく。発すれば風雨のごとし。
おもしろきこともなき世をおもしろく。
高杉晋作すげえ。困ったとは言わない。

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Posted by ブクログ 2021年11月03日

最後までひたすらに激しい嵐のような展開。史実に基付く小説とは思えない... 最終巻まで来ると、吉田松陰、高杉晋作という夭逝の、刹那の流れ星的な存在であった二人の役割の違いというものが鮮明に現れます。時代背景や年齢感覚の違いはあれど、彼らがそれぞれ28年くらいの人生の中で成し遂げたことの大きさにただた...続きを読むだ呆然とするばかりです。

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Posted by ブクログ 2021年05月09日

わたしにとって、初めての司馬遼太郎であり、初めての歴史小説でした。

「長州の人間のことを書きたいと思う」

で始まるこの小説は、必然的に
「明治維新前夜のことを書きたいと思う」
となり、それはまた
「日本の近代化前夜のことを書きたいと思う」
ということになるのでしょう。

高校生の修学旅行は萩にい...続きを読むったのですけど、その時は歴史に興味がなくてSLしか覚えてないのです。
もう一度行ったら色々と感慨深いんだろうと思います。

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購入済み

さすがは司馬作品

2020年06月28日

吉田松陰や高杉晋作はこれまで幾度も小説、テレビ、映画、他などで作品が作られてきたが司馬先生の手に掛かるとさすがに一味違う。欣快で喜悦だ

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Posted by ブクログ 2020年06月10日

前半が吉田松陰、後半が高杉晋作。
人は艱難を共にすることはできるが、富貴を共にすることはできない。
面白くこともなき世を面白く、すみなすものは心なりけり

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Posted by ブクログ 2020年06月06日

『坂の上の雲』でも同様の趣旨のことを言っているが、司馬遼太郎の、いわゆる「偉人」たちを特別視しつつも、もしその人たちがいなくても他の誰かが同じ役割を担ってたっていう考え方が好き。

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Posted by ブクログ 2018年10月08日

幕末の風雲児の一人、高杉晋作がその28年という短い人生を突っ走り、結核で死に付する。最後に残した句は、「おもしろき、こともなき世をおもしろく」だった。「苦と楽を差し引きすれば、浮き世の値僅か三銭」と言った彼は、人生をその三銭の差し引き黒字で死んでいったのであろう。浮き世に未練が無い事が、その日暮らし...続きを読むで命知らずの大胆な行動を可能足らしめたのであろう。また、それは師の吉田松陰による、だれもがその人生に春夏秋冬があり、それは人生の長さできまるものではないという教えが由来になっているのかもしれない。

革命においては、まず第一段階として吉田松陰のような思想家がまず現れそして断罪される。その後、その意思を次いで破壊的な活動を行い、政権を転覆させるのが第二段階。さらに、第三段階において仕上げの実務作業を行う事となるのが、伊藤博文や山県有朋などであると、著者は再三にわたって述べている。

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Posted by ブクログ 2018年03月08日

高杉晋作、何というスケールの男なんだろう。
坂本龍馬といい、時代を変えた男たちの視野の広さ、洞察の深さに驚きます。

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Posted by ブクログ 2016年07月10日

大河小説の最終巻。吉田松陰に続く主人公の高杉晋作も短い生涯を終える。28歳であった。

刑死した松陰と違って、高杉晋作は布団の上での病死。イマイチ、ラストの盛り上がりに欠ける。幕末司馬小説では「峠」、「燃えよ剣」、「竜馬がゆく」など、いずれも主人公は花火のように劇的な最後を迎えることが多いだけに、い...続きを読むつの間にか終わってしまったという読後感。このあっけない終わり方は読者の好き嫌いが分かれそうだ。

さて、高杉晋作は長州藩を率いて、外国と交渉し、幕府と全面対決。しかし、対幕戦争が終わると、一転して長州藩から追われる身に。さらには愛人を連れての逃避行に正妻や実家が追いかけてきたあげく、あっさりと病死。有名な辞世の句の通り、 死を直前に控えても激動の生き様だった。

おもしろき こともなき世を おもしろく

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Posted by ブクログ 2016年06月26日

薩長は好きではないが、高杉新作の生き様には好感をもった。詩才に長け、判断力・行動力が常人ではない。まぎれもなく史上の偉人だが、家庭のことに苦渋するところなど、おかしみもある。

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Posted by ブクログ 2021年04月01日

吉田松陰とその弟子である高杉晋作を描いた長編小説。あのようにしか描けなかったのも分かるが、ラストは意外とあっさりしたものだった。高杉晋作や吉田松陰は、30年足らずの短い生涯だったが、いろんなことが凝縮されたすごい方たちなんだよという作者のメッセージは、とても伝わった。正直、二人とも身近に居て欲しくな...続きを読むいタイプだが。

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Posted by ブクログ 2020年12月27日

革命思想家の吉田松陰と革命家の高杉晋作。明治維新をあのような形に方向づけたものが何なのか、少しだけ知ることができた。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

高杉晋作というのは不思議な魅力にあふれている人物だ。なんか日本人らしくない。全くもって自分にはない所を多く持つこの人に益々惹かれた。
この時代の人達って常に詩を書くのも良いな。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年11月01日

文章中の記述で「革命は3代で成立する」という言葉が印象に残った。これは戦国時代の信長(既成勢力をぶち壊す)、秀吉(新しい基盤を確立する)、家康(確立した基盤をより安定したものにする)で言えると思う。主にこの本は長州藩の革命について記されているが、そのことが長州藩の改革にも当てはまるなと思った。あと高...続きを読む杉晋作は巷で神格化されているほどあまり活躍をしていないという印象が残った。(残したものが少ないという意味です。革命を実行に移した功績は称えるべきですが。)感想はこんなところです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年04月15日

温和でごく自然な人情のゆきとどいたこの家の家風は、晋作の祖父のころからすでにそうであった。こういう家庭から、なぜ晋作のような、武士ぐるいの好きな一人息子がうまれたのであろう。
「松本村の寅次郎が、こうしたのだ」と、小忠太は梁のきしむような砲声のなかで言ったことがある。松陰のことである。いま諸隊を扇動...続きを読むしてさわぎまわっている連中は、みな寅次郎の門人ばかりであった。
 が、お雅はそうは思わない。教育というものがそれほど力のあるものであろうか。夫の晋作を見ていると、高杉家の、いかにも良吏の家といったおだやかな家風から、あのような武士ぐるいの好きな男が出てくるというのは、なんともつじつまがあわない。晋作は、教育の力というものがいかにむなしいものかという標本のようなものではあるまいか。晋作は明倫館の秀才でありながら、しかも良家の子でありながら、十代の終わりごろ、祖父母や両親の目をかすめて、松本村の吉田寅次郎の私塾に通っていたという。そのために晋作が寅次郎の力で変形されたというのはまちがいで、本来、寅次郎と同質の人間だったのだとお雅はなんとなく気づきはじめている。同質であればこそ、晋作は寅次郎の感化を受けたのであろう。感化をうけてから、同質の部分がいよいよ砥がれて鋭利になったのであろう。

新生内閣が、成立している。その首相格の座に、山田宇右衛門という老人が就任した。宇右衛門は吉田松陰の幼少のころの師匠であり、松陰も、
「自分は終生この人の学問、見識を越えることはできない」と、兄の民治に書き送っているほどの人物で、晋作もこの人事に大いに満足していた。本来なら革命軍の首領である晋作が政府首班になるべきだったが、かれは避けた。
 藩では、晋作を諸隊をすべて統括する陸軍大臣格にしようとしたが、晋作はそれに対し、一笑で報いただけであった。
 かれはこの時期、その後ながく長州人のあいだに伝えられた名言を吐いている。
「人間というのは、艱難は共にできる。しかし富貴は共にできない」と、いう。その具体的な説明について晋作は一切沈黙しているが、かれは革命の勝利軍である諸隊の兵士の暴状を暗に指しているらしい。かれらは上士軍との決戦のとき、あれほど義に燃え、痛々しいばかりの真摯さで連戦奮闘してきたのだが、ひとたび革命が成功するや、ただの無頼漢になったような面がある。

 二流、三流の人間にとって、思想を信奉するほど、生きやすい道はない。本来手段たるべきものが思想に化り、いったん胎内で思想ができあがればそれが骨髄のなかまで滲み入ってその思想以外の目でものを見ることもできなくなる。そのような、いわば人間のもつ機微は、井上も伊藤も、ここ数年、生死の綱を渡ってきて知りすぎるほど知った。彼等は、こわい。

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