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Posted by ブクログ
下巻ほとんどのページが対秀吉の小牧長久手戦の描写。この戦い、いつ終わるんだ?関ヶ原の戦いと大坂の陣はいつ始まるんだ?という読者の心配をすっ飛ばして、物語は幕府を開き、徳川家を磐石にし終えた後の晩年の家康へ。そこはすでに発表している「関ヶ原」、「城塞」を読んでね、ということらしい
司馬遼太郎が描く家康像は、頼るべきは自分ひとりという孤高の存在。まさに覇王と呼べる主義・主張・振る舞い。秀吉や他大名はもちろん酒井、石川、本多など徳川の有力家臣団すら、信用はしないが、能力は利用する。ということに徹底している。かかりつけの医師すらも信じず、自分で自分を診断し、薬を調合するほど。
織田信長に命じられ、自らの妻と長男を殺害したことが、彼の人生観を大きく変えた。誰も信じることのできない世界に突入した家康。そんな彼が唯一、頼りにしたのは名誉も恩賞も求めず、命令があれば、命を差し出すことも辞さない三河武士団の精神。人や家ではなく、その土地の風土を信じ切ることで、家康は300年続くことになった徳川家を創り上げることができた。
Posted by ブクログ
革新や創造を悪として前例踏襲の安定を善とする徳川政権が、いかにして出来上がったかを創業者である徳川家康に焦点を当てて論じており非常に分かりやすい。徳川政権の鎖国や重農主義等が270年の平和をもたらしたのか、停滞をもたらしたのかでその功罪が議論されるが、日本が停滞する中で保守的な徳川政権よりも革新的な織田豊臣政権への評価が高まっているように感じる。本著において徳川は功利的ではないが組織の安定に重きを置いて風通しが悪く、織田豊臣は功利的であるが風通しが良く発展性があるように書かれており、昭和の時代に調和を重んじて上手くいっていた社会が、功利的なグローバル社会に負けて価値観が変わってきた現代に本書を読むことで、示唆的なものを感じ司馬遼太郎の底深さを感じた。
Posted by ブクログ
人物評がやや続く感もあるが、人となりを描くこと自体が著者の主旨であると思うから、その点は仕方ないとも思う。実際、家康の人となりとその影響はよく分かり、家康個人の人間性、あるいはその元にある三河勢の人間性が、江戸時代を通じて現代日本の性質にも色濃く影響を与えていることを実感させられた。
泣かぬなら〜の歌の三英傑の例えは、流石に非常に長い期間の読みに耐えているだけはあり、秀逸極まりないと思う。家康の、鳴くまで待とう、だけやや例えのクオリティーが落ちている気もしなくはないが。
上巻に続き、歴史が進んでいくフェーズは抜群に面白い。関ヶ原の戦いや大坂の役は別本があるので本紙ではほとんど全く触れられておらず、そちらの本も読みたくなった。
Posted by ブクログ
下巻の主要場面は、小牧・長久手の戦い。(家康VS秀吉)戦局の様子を、家康と秀吉の立場からだけでなく、家康の家臣、安藤直次、本多忠勝、石川数正の動きも取り入れて描写されており、真に迫るものがありました。まるで、現場に行って取材してきたかのよう。秀吉が頭を使って、相手方に取り入ろうとするところも印象的でした。(石川数正との関わり)
関ヶ原の戦いや大坂の陣については記されていないため、終盤は“あれ、もう家康の晩年なんだ”という感覚でした。
『関ヶ原』『城塞』の作品をご参照ください!という感じに、時間をとびこえていきます。家康が死に直面する場面での家臣とのやりとりで、最後まで緻密で入念な家康の気質が読み取れました。
私の今までの家康像の中に「独創性がなく、マネが多い」「言葉に出してはっきり言わない」といったことはありませんでした。
本書であらゆる角度からの家康の性格、生き方(体調管理は天下一品、医者に勝る。)を感じとることができました。
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