司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 新選組血風録 新装版

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    新選組血風録を読み終えて感じたのは、短編集でありながら一つ一つの物語の密度が高く、まるで映画のように場面が浮かぶ作品だということである。話ごとに描かれる人物や状況は異なるが、どの物語にも共通して「組織の中で生きる人間の在り方」が描かれているように感じた。

    特に印象に残ったのは沖田総司の恋である。この話は大きな出来事が起こるわけではないが、静かな感情の積み重ねが読後に強い余韻を残した。沖田総司は天才剣士としてではなく、一人の人間として描かれており、言葉にしきれない想いや、どうにもならない状況の中での感情が伝わってくる。決して好きな人物というわけではないが、司馬遼太郎の描く沖田には静かなかっこよさがあり、最も印象に残った。

    また本作を通して感じたのは、「優しさやまっすぐさだけでは生きていくことが難しい世界がある」ということである。胡沙笛を吹く武士では組織に馴染めない人物の孤独が描かれ、前髪の惚三郎では純粋さが危うさへと変わっていく様子に人間の怖さを感じた。さらに油小路の決闘では正しさ同士が衝突する激しさが描かれ、どの立場にも一理があるからこそ悲劇が生まれることが印象的であった。

    一方で、鴨川銭取話や虎徹のように思わず笑ってしまう話もあり、重い内容の中にも人間らしさやユーモアが描かれている点も魅力である。また、菊一文字のように静かな余韻を残す話もあり、作品全体に奥行きを感じた。

    本作は、新選組を単純に英雄として描くのではなく、人間の弱さや矛盾、そして組織の中での生きづらさまで丁寧に描いている。そのため読んでいて苦しさを感じる場面も多いが、それでもなお一つ一つの物語が強く心に残り、非常に面白い作品であった。

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    2026年03月26日
  • 新選組血風録 新装版

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    「燃えよ剣」からの流れで。
    斎藤一、永倉新八など「燃えよ剣」の中では脇役と捉えられる人々メインの話も多く、
    池田屋事件などを監察の山崎丞からみた目線で描かれていたり、とても面白かった。
    そして相変わらず私は司馬遼太郎先生の書く沖田総司がわりと好きです。

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    2026年03月25日
  • 燃えよ剣

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    ネタバレ

    いわずと知れた「新選組 土方歳三」を描いた作品。司馬遼太郎の代表作のひとつだ。
    この本で土方人気が爆上がりしたといっても過言ではないだろう。
    欲がなく、無口で、ただひたすらに武士道を貫く。武州のバラガキと言われた男が、荒くれ者の集団をまとめ上げ、最強の戦闘軍団に導いてゆく。
    その潔さ、ブレない心、彼の行く手は常に前進あるのみなのだ。
    もうかっこえー!としかいいようがないではないか。
    新撰組鬼の副長は掟に背くことを良しとせず、背いたものは徹底的に斬る。
    戦いのときは勘冴え、敵を攻略するときは地形・位置・敵の状況を瞬時に把握、戦うために生まれ落ちた彼は軍神そのもの。
    彼を取り巻くキャラクター、近藤勇、沖田総司、斎藤一、永倉新八、敵役 七里剣之助 そして恋人お雪
    彼らは大きな時代の波の中で生き、そして去ってゆく。
    箱館での最期、負けを良しとせず、前を向き、死を覚悟で敵陣に向かい颯爽と駆け抜ける姿を想像しながら読み終えた。

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    2026年03月23日
  • 竜馬がゆく(八)

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    ネタバレ

    司馬遼太郎の作品を初めて読んだ。臨場感のある語り口で、長編ではあるが一気に読み進めてしまい、非常に面白かった。ここまで詳細に描くにはかなり詳細な調査が必要だっただろうと感じ、このような形で坂本竜馬の生き様を知ることができるのは非常にありがたいと思う。

    竜馬の凄さはいくつもあげられるだろうが
    抜きに出た視座の高さが印象に残る。大きなスケールで物事を捉えて方針を打ち出す、世界の中の日本という視点で今なすべきことを考え行動している。緻密に計画した上で、実行に移すタイミングを適切に読む力、外国の知見を学び日本に適切な形で取り入れる力、人の長所を見抜き適切に任務を任せる力、交渉力、様々なスキルを兼ね備えており、かつ、自身がこの世で成し遂げるべき天命を認識できていたからこと、このような偉業が成し遂げられたのだろう。今この世に坂本竜馬が生きていたら、何を思い、何を成し遂げようとしていただろうかと考えてみたりした。
    非常に面白かった。司馬遼太郎の別の作品にも興味をもった。

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    2026年03月22日
  • 世に棲む日日(四)

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    ONE PIECEでいう空島みたいな展開のところで挫折しかけたが、「おうの」の登場からどんどん面白くなっていった。

    幕末版『レオン』のようで、おうのが高杉晋作に惹かれるのは当たり前だし、妻子持ちの彼がおうのを手離せない理由も分かる。
    もしこの時代に"あげまん"という言葉があったら、あげまんをもちいて詩を詠んだはず。

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    2026年03月17日
  • 世に棲む日日(一)

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    昔の人は狂気に満ちた波乱万丈な生き方だわ。
    現世ではありえない、情報統制(鎖国)だったから、こうと思ったら突き進むのがカッコいいと信じてる。松陰は英雄像を好むと書いているけど、ほんとにそうだわ。
    信念を信じ、喜怒哀楽が激しい。

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    2026年03月13日
  • 世に棲む日日(二)

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    松蔭先生の信念と死に対する覚悟が並外れすぎて、どの部分を尊敬していいか分からなくなった。(いい意味で)

    一方で高杉晋作の負けず嫌い、女好き、自信家な性格はリアリティがあって惹かれた。

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    2026年03月10日
  • 豊臣家の人々

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    豊臣家の人々をクールな視点で考察しています。
    すべて秀吉の周りにいた人たちのことです。
    こんなに養子がいたとは知りませんでした。
    秀吉の周りの人たちの話ではあるが、その人を通して秀吉という人物像も描写されていてとても面白かったです。

    石田光成と淀殿はコテンパンにやられてて面白かった。

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    2026年03月06日
  • 坂の上の雲(一)

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    家の本棚にあった
    前からたまにテレビで見ていてこの時代の勉強と市ヶ谷の防衛省や広島の江田島周辺を訪れるとこから興味を持った。
    3人なので時系列が変わり、読みづらいところもあったが無理なく読めた

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    2026年03月06日
  • 覇王の家(下)

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    人物評がやや続く感もあるが、人となりを描くこと自体が著者の主旨であると思うから、その点は仕方ないとも思う。実際、家康の人となりとその影響はよく分かり、家康個人の人間性、あるいはその元にある三河勢の人間性が、江戸時代を通じて現代日本の性質にも色濃く影響を与えていることを実感させられた。
    泣かぬなら〜の歌の三英傑の例えは、流石に非常に長い期間の読みに耐えているだけはあり、秀逸極まりないと思う。家康の、鳴くまで待とう、だけやや例えのクオリティーが落ちている気もしなくはないが。
    上巻に続き、歴史が進んでいくフェーズは抜群に面白い。関ヶ原の戦いや大坂の役は別本があるので本紙ではほとんど全く触れられておらず、そちらの本も読みたくなった。

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    2026年03月05日
  • 坂の上の雲(八)

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    戦争全体を描いた作品は貴重だなと強く思った
    戦国時代と比較するとあらゆる事象が複雑に絡み合っていて、改めて近代以降は本当に面白い世界だと思う
    司馬遼太郎なので仕方ないけど、余談を減らして5巻くらいに纏めてくれると最高であった…

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    2026年03月04日
  • 竜馬がゆく(一)

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    ネタバレ

    オーディブルで本作を見つけたので、懐かしさを感じながら、再読(聴読)を開始した。当初のワクワク感がよみがえってきた。当時、レビューを書けていなかったので、この機会に追記しておこうと思う。

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    鼻たれで泣き虫だった坂本龍馬(竜馬)が、みるみる頼もしい青年に成長していくシーンが次々映像のように浮かび上がってくる。また、竜馬のあの何とも言えない大らかさ、豪快さが、どうして育まれたのかを想像しながら読むのも楽しい。

    もともと弱虫のぱっとしない少年が、ゆくは維新の英雄の一人となるには、様々な要因があったと思うが、やはり幼少期の乙女姉さんの存在は大きいなと感じた。

    日根野道場で剣術を学ぶが、必ず放課後、乙女姉さんのスパルタトレーニングで鍛えられた。そうして、小栗流目録をとるが、それは竜馬にとって大きな自信になったのではないか。剣術の上達もさながら、この姉弟の関係(特に乙女の竜馬に対する強い愛情)が、大らかな竜馬の基礎を作ったように感じられる。

    そして、江戸へ。郷士の竜馬は、自費での遊学。入門した千葉道場が、また竜馬に完全フィットしたように思う。千葉道場の「北辰一刀流」には、「型」や「秘伝」にこだわるのではなく、合理性を追究した剣であり、北辰(北極星)の如く揺るがず、一刀で(一撃で)勝負を決めるという精神がある。

    第一巻で登場する、竜馬の剣での戦いのシーンを見ていると、一つは相手を吹っ飛ばすような豪快な「突き」の一撃が印象的なのと、変幻自在というか、勝つための合理性が感じられるのも印象的だった。

    この巻では、長州の桂小五郎との出会いが全体の物語の伏線として重要だろう。そして、二人が試合で剣を戦わせるシーンは、手に汗握るハイライトであった。

    桂小五郎の流派は、「神道無念流」。竜馬は初めての出会いの時に、命拾いをしたときから、桂小五郎の剣には尊敬の念すらもっており、到底自分の相手ではないと考えていた。その小五郎との勝負のシーンが本巻最後にやってくる。

    「神道無念流」は、相手に息をつがせぬ激しい攻撃の連続が印象的で、とくに小五郎の緻密な性格も加わり、一瞬の隙も見つけることのできないような相手であった。その完璧な小五郎に隙を与える竜馬の戦い方には、自由、柔軟、合理性、そういうものが凝縮されていたかのように感じた。今後の、竜馬の生き方と通ずるものがあるように感じられる。

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    2026年03月02日
  • 坂の上の雲(一)

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    ネタバレ

    貧乏な家から身を立てるために軍人となった秋山好古。騎兵隊が日本で重要とされない時代であり、まだ後の活躍から顧みると、半信半疑といった気持ちであろうことが伺える。
    兄の姿を見て学問を志すが、自らの意思で軍人となった真之。こちらは対照的に、本当にやりたいこととして海軍を選んだ感がある。子規に対する申し訳なさもおもはゆい。
    そして同じく松山から学問を志して出た正岡子規。一番自由奔放に見え、軍事色強めの物語の中でアクセントになっている。

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    2026年02月28日
  • 功名が辻(四)

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    ネタバレ

    面白かった!歴史物、というか司馬遼太郎良いなあ。ようやく良さがわかる年になったのかしら。名作には名作たるゆえんがあるのだわ。

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    2026年02月28日
  • 坂の上の雲(二)

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    ネタバレ

    日本が清という大国に挑んだ日清戦争は、清軍隊のいわば自滅によって勝利をおさめる。勢いを失った清に近づくのは、驚異的な領土拡大を進めるロシアで、日露戦争に向けた緊張が徐々に高まっていくが、その背景にはロシアという国の成り立ちや独裁国家における指導者の影響が少なからずあったことを感じさせた。
    一方の子規は、戦争に随行することで結核を悪化させ、死期を悟りながら、自らの命を削って俳句、短歌制作、そして「写生」の真髄を極めていく。

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    2026年02月28日
  • 坂の上の雲(三)

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    ネタバレ

    闘病の末に世を去った子規。病床でも生を愉しもうとする姿に胸を打たれる。
    そんな中で日本は世論の後押しもあり、大国ロシアとの開戦に突き進む。無口ながら器を感じさせる東郷平八郎の任命は、ロシア側で慕われた老将マカロフともリンクし、序盤の旅順港での睨み合いに迫力を添える。ダメ元の機雷作戦で敵に損失を与えつつも、同じ手でさらに大きな被害を受けるなど、戦争における隙の怖さや運の要素も感じる。

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    2026年02月28日
  • 坂の上の雲(四)

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    ネタバレ

    日露戦争の序盤を象徴する海軍の旅順港封鎖と、黄海海戦。本国の応援を待ち、じっと耐えるロシア軍と、日本軍の当時の焦燥が伝わる。そして陸軍については、兵力で劣る中で兵士の忠誠心によってなんとか互角に立ち回っていく遼陽戦と、大将・参謀の愚をこれでもかとこき下ろす旅順戦が対照的。陸軍全体にある過小評価癖や、体質の問題が後の太平洋戦争にも影響していく考察は興味深い。

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    2026年02月28日
  • 坂の上の雲(五)

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    ネタバレ

    日本軍を跳ね返し続けてきた旅順要塞は、再三主張されていた203高地の占領によって堕ち、旅順港の戦艦も全滅させられ、日本海軍はようやくバルチック艦隊を迎え撃つための準備に入る。旅順艦隊の全滅に、ロシアから向かうバルチック艦隊の士気にも影響する。ストーリーとしてはつなぎの感じもあるが、終盤に向けて地盤が整ってきているように思える。

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    2026年02月28日
  • 坂の上の雲(一)

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    三宅香帆さんが「おじさん、おばさんになりたくない時に読む本」として取り上げていたので、それってどういうこと?と思い読んでみた。
    たしかに、青春小説という感じでテンポが良く闊達で明るい文体と歴史の授業で習ったことがある史実がわかりやすいストーリーとの合わせ技のおかげでどんどん読み進めたくなる。続きが楽しみ。

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    2026年02月27日
  • 峠(中)

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    「政治とは機をみること」というセリフが印象的。つい変革したくなるところ、本当に大きな変化を起こすにはタイミングが勝負。人間は感情で動く生き物だから。

    また「なにごとかをするということは、結局なにかに害をあたえるということだ」という一節。何かを変えるためには嫌われることも避けられない。

    月並みではあるけれど、仕事や人生で大事なことがストーリーとともに描かれている。

    幕末〜維新にかけての別作品も読みたくなりました。

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    2026年02月24日