あらすじ
信長が殺された。秀吉は「主の仇」光秀を山城山崎で討ち、その2年後には、豊臣政権を確立した。官兵衛は自分の天下構想を秀吉という素材によって、たとえ一部でも描きえたことに満足だっただろう。この戦国の異才が秀吉に隠居を許され、髪をおろし入道し「如水(じょすい)」と号したのは、48歳のときであった。
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全4巻読み切りました。
最後は、備中高松城から如水の最後まで。
黒田官兵衛としての物語は山崎合戦で終えて、そこからは如水の話となり、亡くなるまでの話になるけど、ダイジェスト的になって(最近、司馬さんの本読みまくっていて最後はこんな終わり方っておもったけど)播磨灘の物語としては、舞台も変わって確かに終わっていく感じでした。
断片的に知っていた、関ヶ原以降の如水の思惑もあって、家康に怪しまれないようにうまく立ち回る感じなんかは、戦国の怪大名っぽくてミステリアス。隠居後は子供と遊んだり、街を散歩したりと、かつての姿とは懸け離れているその生活描写は、年を取るとみんな同じか、と思える節も感じる。
これを書き始めたきっかけも、司馬さんの出自が播磨に関係していることも最後にあり、書き手も巻き込んでのメタ的な締め方には最後まで楽しめました。
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明日からの兵庫城廻りに向けて、姫路城ゆかりの小説を検索した結果、黒田官兵衛が主人公ということも知らず読み始めた本。黒田官兵衛のことを全然知らなかったけれど、こんなすごい人がいたということに驚いた。戦国末期を秀吉や信長ではなく別の角度から詳しく知ることができ、とても面白かった。またいつか岡山の城巡りをする時には福岡村を訪ねてみたい。
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I think about Ryotaro Shiba. He might think that human life is small things in a good way. It’s not good that human feels like heavy myself. He said ,“family lineage is a fiction. ”I like this frase! He might feel that he is similar to Kanbei(Zyosui). “Zyosui” is translated directly into “like water ”. Shiba says,”Kanbei might think that human life is like a picture be written on the water.” I love this idea.
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感想を書くのをサボってしまったが、全体を通して星5?の感想だった。
司馬遼太郎を初めて読んだのは『項羽と劉邦』だったが、それも面白かった。
他の著者の歴史小説も少し読んだが、司馬遼太郎のは小説という形で物語として進められていくが、所々に著者の見解が示されている点がうまい具合に内容を読みやすくなっていると思った。
官兵衛の思想、生き方を読み解きながら、その生について少し触れることができたと感じる。
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20年ぶりくらいに信長の野望も購入し何度目かの戦国ブームが来た。
小牧長久手や関ヶ原のときの立ち回りにもっと触れるかと思いきや最後のまとめ程度。
合理さと人としての面白さを持つ稀有な存在。庄屋上がりのような家康を嫌い、それに媚びる息子を馬鹿にするとか人として面白いところがありすぎる。
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大昔に読んでいたものを、数十年ぶりに再読。
読んでいて「これ、初読なんじゃないか?思い込んでただけで」と数度思い。
でも最終的に「あ、これ読んだなやっぱり。数十年前に」となんとなく思った。
戦国時代に秀吉の下で名を馳せた軍師「黒田官兵衛」の半生を描く長編小説。
個人的な説ですが、司馬遼太郎さんの特に長編は、
「坂の上の雲(1969-1972)以前、と以降」
に分けられると思っていて、「播磨灘」は1975。以後です。
「竜馬がゆく」や「国盗り物語」に比べれば、枯れていて、エンタメ臭が弱い。
その分、読み手側がもうほぼ50歳ともなると、「再読の滋味」は「以降」の諸作の方が深かったりしますね。
つまりは官兵衛という人が持っていた「才気」と「澄み切った人間臭さ」と「背筋の通った人柄」が、幾多の怒涛を経て「時の運」や「人間の集団の頑迷さ」にどこかまでしか、歯が立たない。
でもそれだからこそ風景として描くに足る愛情を呼ぶんでしょうね。
エンタメ感の向こうにそういう湿度のため息を感じるあたりが「以降」でしょうね。
そして何より、「戦国」という混乱の中世が、「信長・秀吉・家康」という近世へと、軋みを唸りながら転換していく、そんな歴史のドラマを感じさせる。このダイナミックさ、この描く力。
エンタメでありつつ、どこかマルクスを読んでいる気にもなって来る。
うーん。やっぱり脱帽。
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官兵衛という男。戦国時代には珍しい合理的な考えができた男。目薬売りから豪族化した彼の経歴によるものと考えられるが、それがもう一人の合理的な男織田信長に惹かれることになり、毛利ではなく織田を播磨へ導いたのであろう。
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明智光秀を討伐するまでが第4巻のメインです。
討伐後から朝鮮出兵、関ヶ原の戦いもで黒田如水がどういった動きをしていたかも描かれていますがこれまでに比べれば完全におまけのような扱いです。
秀吉による天下統一後に官兵衛の重要度が下がり石田三成などの官僚的な大名が出世していくエピソードが最終盤に描かれるのですがそれを読んで本書を閉じるとなんとも言えない物悲しさが湧き上がりました。
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稀代の軍師黒田官兵衛一代記の最終巻。官兵衛の性格は一見すると軍師らしからぬけど、こういう人でないと策も上手くいかないというのは説得力がある。毛利元就も同タイプだったのかもしれない。その毛利元就の息子2人が凡庸な孫の輝元を支えるのは美談。高松城の水責め中に本能寺の変が起こり秀吉が始動する訳だが官兵衛の一言は正直過ぎて失言に近い気もする。それで警戒されている訳だから確かに正直な人だったのだろう。
太閤記もそうだったけど本作も後半は駆け抜けるようなテンポになっている。如水となってからが短い印象だ。
関ヶ原の時の不穏か行動も息子長政の東軍への功績で露と消える訳だがこれは段取り不足で長政の名前を落とすには値しないとみる。それよりも関ヶ原で大暴れして凄絶な死を遂げていたら関ヶ原、いや戦国時代におけるダーティーヒーローとして後世に残ったかもしれず、その辺りもこの人の性格が出ていると思う。
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様々な黒田官兵衛ものがあるが、さすが司馬遼太郎先生の官兵衛になっていて、膨大な資料を基に描かれていた。
官兵衛の志しが、グサッと心に染みる感じがした。
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ついに完結。全編を通して司馬遼太郎さんの官兵衛に対する好感が滲み出ていた。
あとがきの最後の一文「友人にもつなら、こういう男を持ちたい。」は最高の賛辞ではなかろうか。
新聞の時とは異なる一興
この小説は子供の頃新聞の連載小説として読んでいたが、大人になってまとまった小説として読むとさらなる愉悦と欣喜がわいてくるほど面白くなった。黒田官兵衛の描写は上手だ。信仰面までは深く踏み込んでいないようなのが唯一遺憾であった
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備中高松城の講和までの流れについて,実はよく理解してなかったことも判明。安国寺恵瓊の立ち位置についての解釈も興味深かった。
残りのページ数でどこをどうやるのか心配してたら,こう終わるのか。あくまで播磨灘物語なんだな。
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山崎以後は官兵衛は秀吉のもとにいなかったんですね。秀吉が天下を取った後、朝鮮へ行ったり豹変した原因の一つ? ずっと官兵衛が秀吉のもとにいたら、、、。ifを感じる物語でした。
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毛利攻めから、信長の死そして秀吉の「中国大返し」、さらに豊臣の天下統一へと続くこの巻。
秀吉を画布として自分の絵を描いてみようと思い、それを成し遂げた黒田官兵衛の一大叙事詩も、ここに終わる。
欲得とか栄達欲とかいうものを持ち合わさない、戦国期には稀有な存在でありながら、晩年、関ヶ原の戦いに乗じて、天下を狙おうとする。その可能性が潰えたら、元の隠居に戻る、その滑稽ともいえるあざやかな進退。秀吉の天下を形作った張本人であるにもかかわらず、時代の点景でしかない官兵衛。
司馬は、あとがきで書いている。
「友人をもつなら、こういう男を持ちたい」
共感できる言葉だと思う。
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以前読んだ記憶があったが、どうも勘違いだったようだ。中国大返し以降の叙述が簡素になっていくのが、大河ドラマとの違いかな。本作品とは関係ないが、徳川家康役の寺尾聰が腹黒そうで好き。ルビーの指環歌ってたんだよなぁ。
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前半に官兵衛の人となりを記述するのに筆を多く使ったためか、それとも秀吉の寵愛を受けている時がピークだからなのか、山崎の戦い以後がかなり短くまとめられている。
それ以後もドラマは多く、宇都宮氏との戦いや、関ヶ原前後の動きなど、書くべきところはかなりあるはず。司馬遼太郎の官兵衛像からはみ出る部分が多いからかとも思えるが、それも含めた人物の解釈をしてほしかったところ。
ただ、やはり司馬遼太郎が書く官兵衛は魅力的。
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中国大返しの後、秀吉が天下を取った後は、官兵衛の人生のピークを過ぎたのだろう、以後はごく短く書かれている。
官兵衛の交渉、秀吉との関係、等非常に面白かった。サラリーマンと代わりないんだなと。
作者が言う通り、とてもいい男でした。
読んだあと、小早川隆景が印象に残っている。
あの戦国時代、中国を守るため、拡大方針はとらなかった。それを金科玉条とした。もし、昭和に彼が政治家としていたら?
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司馬遼太郎は黒田官兵衛が好きだから播磨灘物語を描いたとあとがきで書かれているがこの作品の中では官兵衛を少し軽視している描き方だなと感じた。官兵衛が中心に行ったとされる備中高松城の水攻めや中国大返しなどは秀吉の案として描かれている。真実はどうにせよ個人的にはそういったエピソードが読みたかった。黒田官兵衛が好きなだけにこういった見方でも描けるのかとも思いました。
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最初で最後の野望が自らの差し金である息子・長政の活躍により、終止符を打つことになるとは皮肉なものだなーと思いました。
稀代の軍師として戦場や外交では活躍し、百姓からも慕われ、部下の働きをしっかり見、しっかり報酬を与える。上司に持つならこういう男を持ちたい。
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終始一貫、勘兵衛が秀吉の観察者として描かれている作品。
勘兵衛の内面や戦術よりも、秀吉の幸運さと信長の政治面や実行してきた偉業の面が印象的だった。
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高松城水攻めの後の中国大返し、そして天下取りと官兵衛補佐の元、秀吉は天下人になる。「かれは年少のころから物事の本質を認識することが好きであった。さらには物事の原因するところと、将来どうなるかを探求したり予想したりすることに無上のよろこびをもっていた。認識と探求と予想の敵は、我執である。如水には生まれつきそれに乏しかった」と著者は書く。後年隠居し如水と名を改めて、九州に引っ込んでしまうが、関ケ原の戦いが起こると知って、、、、、元はと言えば近江から流れてきた流れ者の黒田一族にあってその知恵1つで天下取りの設計図を描く、歴史の表には立たない凄い人。
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天下分け目の天王山! 信長急死のため、黒田カンベエの活躍で中国の毛利と和睦したあと、急遽畿内に戻った秀吉が天王山で光秀と激突! 信長のあだ討ち合戦。中国倍返し! です。
黒田官兵衛の舞台となる姫路と、宍粟郡山崎が、祖父、祖母の古い故郷なのです。 自分には、播州人の血が流れていたのかあ、とこの歴史小説を読んで初めて考えさせられました。
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この流れでずっと読んでいると。
信長の暗殺の衝撃は本当にすごい。
まさに日本史に残る大事件だったんだとわかる。
最後は駆け足で終了。
秀吉に天下をとらせてさっと自分はひく。
なかなかできることではないよなぁ
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「村上海賊の娘」とかを読んだせいで、だいぶ3巻から間が空いてしまった。だけど、村上海賊の娘と同時代で、官兵衛がこうしている頃、大阪は・・信長や毛利氏の武将たちは・・・と思い浮かべられて面白かった。関が原の戦いが起きた時に、九州を斬り従え、天下を取ろうとした事は知らなかったので、とても興味深かった。田んぼから上がる米中心の考え方の家康と、土地に縛られない貨幣中心の考え方の秀吉や官兵衛。秀吉や官兵衛が天下を取っていたら、現代に近い商品経済が出来上がっていたのかと思うと、そんな世界も見てみたかった。
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禅であるかぎり、悟りをひらかねば田舎の一ヶ寺のあるじでさえなれない。恵瓊もまた恵心のもとできびしく修行してやがて印可を得た。悟道に達したということになるが、一般に悟りというのはあるいは得ることができても、それを維持することが困難なように思える。生涯、それを維持するために精神を充実させつづける必要があるが、ふつうは、俗世間のおもしろおかしさのために、ただの人間以下にもどってしまうことが多い。
もどったところで、禅僧としての地位の高さから世間はそうは見ず、また当人も自分自身を自分に対して弁護するために多くの禅語や禅宗独特の修辞を動員したりする。たとえば、自分は融通無碍の境地にあるのだと思い込むだけで、自分のたいていのことは、まず自分が許してしまうのである。
恵瓊には、多少そういうところがある。
臣ハソレ中才ノミ。
という意味のことをいった。
秀次はかさねてその意味を問うた。
如水は、自分がもし上才なら何も太閤に仕えておりませんでしょう、すでに天下をとっています。かといって下才でもなさそうであるこということは、このように、真似ごとながらも諸侯に列していることでもわかります。要するに中才でありましょうな、とひとごとのようにいった。
このことは、如水の本音だったらしい。
かれは年少のころから物事の姿や本質を認識することが好きであった。さらにはその物事の原因するところと、将来どうなるかを探求したり予想したりすることに無上のよろこびをもっていた。認識と探求と予想の敵は、我執である。如水がうまれつきそれに乏しかったことでかれは右の能力においてときに秀吉をあきれさせるほどの明敏さを発揮したが、同時に我執が乏しいために自分をせりあげることを怠った。中才である、と如水が、あたかも他人を観察するように言いつくしたのは、さまざまな意味をふくめていかにもこの男らしい。
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備中高松城攻めから隠居まで。
山崎合戦や関ヶ原合戦の描かれ方は淡白だが、それは官兵衛自身事前準備や段取りの役割を終えたという感情を反映しているのかもしれない。
信長死後の秀吉の変節は、単に下劣な本性が出たものと思う。日本では古来、大陸や朝鮮半島の文化を進歩したもの、鮮やかなものとみなしていたが、朝鮮出兵以降それらを見下すようになってしまったのだ。大阪で太閤などと持て囃すのが理解できない。
石田三成も然り。先日、歴史討論番組で「三成が関ヶ原で勝っていれば、日本人は島国根性を持たずに済んだ筈 云々」を発言していた歴史家がいたが三成の度量では誰も着いてこないだろうと思う。
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信長が殺された。秀吉は「主の仇」光秀を山城山崎で討ち、その二年後には、豊臣政権を確立した。
官兵衛は自分の天下構想を秀吉という素材によって、たとえ一部でも描きえたことに満足だっただろう。
この戦国の異才が秀吉に隠居を許され、髪をおろし入道し「如水」と号したのは、四十八歳のときであった。
(当書裏表紙あらすじより)
お盆休みが予想以上に悪天候に恵まれた(?)おかげで、読書に勤しむ時間が普段以上に取れました(笑)
かつ、本著の前半から中盤過ぎまでが、中国大返しから山崎の合戦を予想以上に細かく書いてあったので、ついつい先が気になって読むスピードが一気に速まってしまい、結果として10日ちょっとで読み終えることが出来ました♪
全四巻の中で、この巻が一番勢いがあるような書き方でした。
2014年大河の「軍師・官兵衛」では、本能寺の変の事を毛利の交渉役・安国寺恵瓊に明かして助力を得、官兵衛・恵瓊の2軍師で天下を回天させる、という脚色していました。
それを見て「斬新だな」と思っていたんですが、本著の中に「毛利方、あるいは、安国寺恵瓊は知っていた」「知っていて秀吉に恩を売った」「後年、安国寺恵瓊は吉川家から嫌われていた」といった説があることが書かれていました。
大河ドラマの独創じゃなかったんですねぇ。
・・・まだまだ知らないことって一杯あるなぁ、と妙なところに感心しました(笑)
次は「勝海舟/子母澤寛」の予定でしたが、ちょっと口直しをします(^^ゞ
次は「パラドックス13/東野圭吾」です。全く予備知識無しで読みます。楽しみです(^^♪