【感想・ネタバレ】新装版 播磨灘物語(4)のレビュー

あらすじ

信長が殺された。秀吉は「主の仇」光秀を山城山崎で討ち、その2年後には、豊臣政権を確立した。官兵衛は自分の天下構想を秀吉という素材によって、たとえ一部でも描きえたことに満足だっただろう。この戦国の異才が秀吉に隠居を許され、髪をおろし入道し「如水(じょすい)」と号したのは、48歳のときであった。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

全4巻読み切りました。
最後は、備中高松城から如水の最後まで。
黒田官兵衛としての物語は山崎合戦で終えて、そこからは如水の話となり、亡くなるまでの話になるけど、ダイジェスト的になって(最近、司馬さんの本読みまくっていて最後はこんな終わり方っておもったけど)播磨灘の物語としては、舞台も変わって確かに終わっていく感じでした。

断片的に知っていた、関ヶ原以降の如水の思惑もあって、家康に怪しまれないようにうまく立ち回る感じなんかは、戦国の怪大名っぽくてミステリアス。隠居後は子供と遊んだり、街を散歩したりと、かつての姿とは懸け離れているその生活描写は、年を取るとみんな同じか、と思える節も感じる。
これを書き始めたきっかけも、司馬さんの出自が播磨に関係していることも最後にあり、書き手も巻き込んでのメタ的な締め方には最後まで楽しめました。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明智光秀を討伐するまでが第4巻のメインです。
討伐後から朝鮮出兵、関ヶ原の戦いもで黒田如水がどういった動きをしていたかも描かれていますがこれまでに比べれば完全におまけのような扱いです。

秀吉による天下統一後に官兵衛の重要度が下がり石田三成などの官僚的な大名が出世していくエピソードが最終盤に描かれるのですがそれを読んで本書を閉じるとなんとも言えない物悲しさが湧き上がりました。

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2018年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 禅であるかぎり、悟りをひらかねば田舎の一ヶ寺のあるじでさえなれない。恵瓊もまた恵心のもとできびしく修行してやがて印可を得た。悟道に達したということになるが、一般に悟りというのはあるいは得ることができても、それを維持することが困難なように思える。生涯、それを維持するために精神を充実させつづける必要があるが、ふつうは、俗世間のおもしろおかしさのために、ただの人間以下にもどってしまうことが多い。
 もどったところで、禅僧としての地位の高さから世間はそうは見ず、また当人も自分自身を自分に対して弁護するために多くの禅語や禅宗独特の修辞を動員したりする。たとえば、自分は融通無碍の境地にあるのだと思い込むだけで、自分のたいていのことは、まず自分が許してしまうのである。
 恵瓊には、多少そういうところがある。

 臣ハソレ中才ノミ。
 という意味のことをいった。
 秀次はかさねてその意味を問うた。
 如水は、自分がもし上才なら何も太閤に仕えておりませんでしょう、すでに天下をとっています。かといって下才でもなさそうであるこということは、このように、真似ごとながらも諸侯に列していることでもわかります。要するに中才でありましょうな、とひとごとのようにいった。
 このことは、如水の本音だったらしい。
 かれは年少のころから物事の姿や本質を認識することが好きであった。さらにはその物事の原因するところと、将来どうなるかを探求したり予想したりすることに無上のよろこびをもっていた。認識と探求と予想の敵は、我執である。如水がうまれつきそれに乏しかったことでかれは右の能力においてときに秀吉をあきれさせるほどの明敏さを発揮したが、同時に我執が乏しいために自分をせりあげることを怠った。中才である、と如水が、あたかも他人を観察するように言いつくしたのは、さまざまな意味をふくめていかにもこの男らしい。

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2018年12月24日

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