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百姓が武士に勝った。幕長戦での長州軍の勝利は、維新史の転換点となり、幕府は急速に瓦解へとつきすすむ。この戦いではじめて軍事の異才を発揮した蔵六こと大村益次郎は、歴史の表舞台へと押し出され、討幕軍総司令官となって全土に“革命”の花粉をまきちらしてゆく。──幕末動乱の最後の時期に忽然と現れた益次郎の軍事的天分によって、明治維新は一挙に完成へと導かれる。
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Posted by ブクログ
大村益次郎の生涯を記した司馬遼太郎氏作の小説。靖国神社の参道のほぼ中央に銅像があり学生の時からこの像も、この人も気になってました。今回初めて人となりを本を通して知りました。幕末はほんとに面白い。ほんの数年の間に日本が変わってしまった、と思っていたら、それには背景があって、バトンを渡すようにその時その...続きを読む時の人物が役割(未来の私達が評価する上での枠組みかもしれない)を果たして、結果明治維新が成功した。 長州藩はそれがはっきりしていて、吉田松陰、高杉晋作、大村益次郎だったんだと、司馬先生は書いている。 また、人となりとして、医師として、翻訳家、技術者、軍人として、職業は違えど全て同じ考えをもって取組んだ合理主義的な実務家、つまり天才、こういった人間は強い、今にもつながるような人物だったとも思った。 とにかく面白かった。夏休みを使って一気に読んだ。 次は前後するが、姉妹作品の「世に棲む日日」を読んでみようと思う。
非常に濃い中身だった。明治維新はいよいよクライマックス。 天才的な直感と合理的な計算、相反するようで両立する2つの才能。この捉えようのない偏屈オヤジはなぜか異様に魅力的で、対比させられる狭小な器の平凡な人たちが少しかわいそう。 彰義隊のあたりを読んで改めて、上野周辺を散策してみたくなった。 この時代...続きを読むについては、ぜひ西郷の視点でも読んでみたい。
司馬遼太郎の合理性を尊ぶ考え方に加えて、一方、合理性の道具のように生きることの虚しさが織り込まれた傑作。
初読は高校3年生の受験直前。43年ぶりの再読です。今回も読み始めたらやめられず、睡眠時間を削って読みました。 本書は周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となった近代兵制の創始者大村益次郎(村田蔵六)の生涯を描きます。 「大革命というものは、まず最初に思想家があらわれて非業の死をとげる。日本では...続きを読む吉田松陰のようなものであろう。ついで戦略家の時代に入る。日本では高杉晋作、西郷隆盛のような存在でこれまた天寿をまっとうしない。3番目に登場するのが、技術者である」 吉田松陰と高杉晋作を主人公にしたのは「世に棲む日々」。一種の技術者を主人公にした本書は、その姉妹作品と言えます。ただ、大村益次郎は「どこをどうつかんでいいのか、たとえばときに人間の生臭さも掻き消え、観念だけの存在になってぎょろぎょろ目だけが光っているという人物」。したがい、小説の主人公としては扱い難い人物なのか、主人公の登場する場面は他の作品に比べると少ないという印象です。この作品の主人公は、むしろ「時代」であり、その時代に生きた「日本人」かもしれません。 「日本人を駆り立てて維新を成立せしめたのは、江戸埠頭でペリーの蒸気軍艦をみたときの衝撃である」。「衝撃の内容は、滅亡への不安と恐怖と、その裏うちとしての新しい文明の型への憧憬というべきもので、これがすべての日本人に同じ反応をおこし、エネルギーになり、ついには封建という秩序の牢獄をうちやぶって革命をすらおこしてしまった。この時期前後に蒸気軍艦を目撃した民族はいくらでも存在したはずだが、どの民族も日本人のようには反応しなかった」。 「余談ながら」とか「話は脱線するが」と断った上で司馬遼太郎が展開する日本人論は一種の研究本であると言っても過言ではありません。 もちろん、歴史小説としても本書は面白い作品であり、幕長戦争、戊辰戦争、村田蔵六と緒方洪庵、福澤諭吉、西郷隆盛たちとのやり取りを通して、明治維新の名場面が描かれます。そして、大村とイネ(シーボルトの娘であり、女医)のとの恋のような関係も描かれ、小説に色も添えられています。 全ての人に読んで欲しい本ですが、やはり「世に棲む日々」を先に読んだ方が楽しめます。
解説 「蔵六というのは不思議な人で、自ら地位や栄達を求めない。」 まさに自らを世の中に機能化してそれ以上を求めない、私心を捨てている大村益次郎をよく言い表した言葉だと思う。それはP.486の豆腐と国家の話にも現れている。 時代が彼を押し出したに過ぎないのだろう。適塾に始まり、彼を登用した宇和島藩、幕...続きを読む府、そして長州藩。自分が求められるところに行き、そこで自分を機能化させ、最後には新政府軍の基礎を作るに至った。才能だけでなく、人との出会い、運命とは分からないものだと思った。
司馬さんの他の幕末物で出てくる場面が、当然沢山再登場するわけだけど、異なるアングルからなので、全く飽きることなく、あっという間に読めました。 大村益次郎のような人は普通嫌われるもので、事実その通りだったようですが、私はこういう人好きです。
大村益次郎の一番の活躍、歴史の表舞台に出てきます。 ただし歴史どおりに本当に一瞬です。無駄に引き伸ばしたりせずほんとに一瞬のところを描いて、さっと終わります。あっさりしすぎていてあっけに取られますが、それがよいです。
異端の英雄物語であり、幕末明治の歴史噺であり、悶絶のムズキュンラブストーリー。 「花神」(上・中・下)まとめた感想メモ。 司馬遼太郎さんの長編小説。1972年発表。 主人公は大村益次郎(村田蔵六)。 大村益次郎さんは、百姓医者の息子。 百姓医者として勉学するうちに、秀才だったので蘭学、蘭医学を...続きを読む修めているうちに、時代は幕末に。 いつの間にか、蘭学、蘭語の本を日本語に翻訳できる才能が、時代に物凄く求められる季節に。 だんだんと、医学から離れて、蘭語の翻訳から軍事造船などの技術者になっていきます。 大村さんは、長州藩の領民で、幕末に異様な実力主義になった藩の中で、桂小五郎に認められて士分に。そして、幕府との戦いの指揮官になってしまいます。 と、ここまでが随分と長い長い歳月があるのですが、ここからが鮮やかに「花を咲かせる=花神」。 戦闘の指揮を取ってみると、実に合理的で大胆。決断力に富んで見通しが明晰で、連戦連勝。 連戦連勝に生きているうちに、志士でもなんでもないただの百姓医者の蘭学者が、西郷隆盛まで押しのけて、倒幕革命軍の総司令官になってしまいます。 そして、連戦連勝。 中でも、「江戸の街を火だるまにせずに、どうやって彰義隊を討滅するか」という難題への取り組みは、本作のハイライトと言っていい爽快さ。 誰も予想もしなかった速さで内戦が終わってしまう。 ところが、あまりの合理主義から、「近代国家=国民皆兵=武士の特権はく奪」へと駒を進める中で、狂信的な武士たちの恨みを買って。 明治2年に暗殺されて死んでしまう。 でも、明治10年の西南戦争に至るまでの道のりは、全て御見通しで対策まで打ってしまっていた...。 という、何とも不思議で無愛想で、ひたすらに豆腐だけが好物だった地味なおじさんのおはなしでした。 # この小説、地味な主人公ながら、司馬遼太郎さんの長編小説の中でも、片手に入るくらいの完成度、面白さだと思います。 ひとつは、主人公の魅力がはっきりしている。何をした人なのか、どこがハイライトなのかはっきりしている。 前半の地味で恵まれない人生が、そのまま後半のきらびやかな活躍の伏線になって活きている。 そして、大村益次郎さんという無愛想なおじさんの、ブレないキャラクター造形。 狂信的なところが毛ほどもなく、合理主義を貫きながらも和風な佇まいを崩さず、見た目を気にしないぶっきらぼうさ。 政治や愛嬌や丸さと縁が無い、技術屋のゴツゴツした魅力に、司馬さんがぐいぐいと惹かれて、引かれたまま最後まで完走してしまったすがすがしさ。 ただ惜しむらくは、桂小五郎、坂本竜馬、西郷隆盛、高杉晋作、徳川慶喜、岩倉具視、大久保利通...などなどの、議論と外交と政治とけれんと権力の泥の中で、リーダーシップを発揮した人たちの、「裏歴史」「B面の男」というのが持ち味なので。A面の物語をなんとなく知っていないと、B面の味が深くは沁みてこないだろうなあ、と思いました。 そういう意味では、新選組を描いた「燃えよ剣」や、竜馬と仲間たちを描いた「竜馬がゆく」くらいは読んでから読まないと、勿体ないんだろうなあ。 # それから、この作品が秀逸だったのは、司馬さんには珍しく、恋愛軸が貫かれてとおっています。 シーボルトの遺児・イネというハーフの女性との恋愛。これが、9割がたはプラトニックな、「逃げ恥」真っ青のムズキュンなんです。 「村田蔵六と、イネのラブストーリー」という側面も、がっちりと構成されていて、隙がない。これはすごいことです。 司馬遼太郎さんの長編小説は、ほとんどが恋愛軸を序盤で売るくせに、中盤以降、興味が無くなるのかサッパリ消えてなくなる、というのが定番なので...(それでも面白いから、良いのですけれど)。 (恐らく、30年以上ぶりの再読でした)
いよいよ戊辰戦争に突入し、まずは幕府瓦解後の江戸を新政府軍の完全な統制下に置くため、江戸での戦いを指揮する。 江戸では西郷隆盛が大将となっていたが、西郷と大村が交代し、戦いに挑む。 戦いは大村のたてた戦略がうまくいき、勝利を収める。 しかし、西郷のメンツを汚したと感じた西郷の子分らの奇襲によって致命...続きを読む傷を負い、そのまま亡くなる。 奇襲の後自分で止血したのはさすが医者。 そういえば医者だったなということを思い出させる。 革命の最後には冷静に状況を正確に分析できる、時には血も涙もないと言われるような人間もまた必要なのだと思う。 正しいことをやっても、うまく立ち回らないと命を落とすのだった。
大村益次郎の生涯を描いた『花神』。大村益次郎の偉大さをじっくり読むことが出来てとても良かった。明治維新を完成させる最大の功労者だったと思う。靖国神社にある大村益次郎銅像を東京に行った際には、必ず見学に行きたい。
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