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Posted by ブクログ
大村益次郎の生涯を記した司馬遼太郎氏作の小説。靖国神社の参道のほぼ中央に銅像があり学生の時からこの像も、この人も気になってました。今回初めて人となりを本を通して知りました。幕末はほんとに面白い。ほんの数年の間に日本が変わってしまった、と思っていたら、それには背景があって、バトンを渡すようにその時その時の人物が役割(未来の私達が評価する上での枠組みかもしれない)を果たして、結果明治維新が成功した。
長州藩はそれがはっきりしていて、吉田松陰、高杉晋作、大村益次郎だったんだと、司馬先生は書いている。
また、人となりとして、医師として、翻訳家、技術者、軍人として、職業は違えど全て同じ考えをもって取組んだ合理主義的な実務家、つまり天才、こういった人間は強い、今にもつながるような人物だったとも思った。
とにかく面白かった。夏休みを使って一気に読んだ。
次は前後するが、姉妹作品の「世に棲む日日」を読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
初読は高校3年生の受験直前。43年ぶりの再読です。今回も読み始めたらやめられず、睡眠時間を削って読みました。
本書は周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となった近代兵制の創始者大村益次郎(村田蔵六)の生涯を描きます。
「大革命というものは、まず最初に思想家があらわれて非業の死をとげる。日本では吉田松陰のようなものであろう。ついで戦略家の時代に入る。日本では高杉晋作、西郷隆盛のような存在でこれまた天寿をまっとうしない。3番目に登場するのが、技術者である」
吉田松陰と高杉晋作を主人公にしたのは「世に棲む日々」。一種の技術者を主人公にした本書は、その姉妹作品と言えます。ただ、大村益次郎は「どこをどうつかんでいいのか、たとえばときに人間の生臭さも掻き消え、観念だけの存在になってぎょろぎょろ目だけが光っているという人物」。したがい、小説の主人公としては扱い難い人物なのか、主人公の登場する場面は他の作品に比べると少ないという印象です。この作品の主人公は、むしろ「時代」であり、その時代に生きた「日本人」かもしれません。
「日本人を駆り立てて維新を成立せしめたのは、江戸埠頭でペリーの蒸気軍艦をみたときの衝撃である」。「衝撃の内容は、滅亡への不安と恐怖と、その裏うちとしての新しい文明の型への憧憬というべきもので、これがすべての日本人に同じ反応をおこし、エネルギーになり、ついには封建という秩序の牢獄をうちやぶって革命をすらおこしてしまった。この時期前後に蒸気軍艦を目撃した民族はいくらでも存在したはずだが、どの民族も日本人のようには反応しなかった」。
「余談ながら」とか「話は脱線するが」と断った上で司馬遼太郎が展開する日本人論は一種の研究本であると言っても過言ではありません。
もちろん、歴史小説としても本書は面白い作品であり、幕長戦争、戊辰戦争、村田蔵六と緒方洪庵、福澤諭吉、西郷隆盛たちとのやり取りを通して、明治維新の名場面が描かれます。そして、大村とイネ(シーボルトの娘であり、女医)のとの恋のような関係も描かれ、小説に色も添えられています。
全ての人に読んで欲しい本ですが、やはり「世に棲む日々」を先に読んだ方が楽しめます。
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