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殺生関白秀次、太閤様以上と囁かれた北ノ政所、桂離宮を造営した八条宮、大坂城とともに滅んだ淀殿母子など、ひとひらの幻影のような豊臣家の栄華のあとを、研ぎ澄まされた史眼と躍動する筆で現代によみがえらせ、司馬文学の魅力を満喫させる連作長篇。
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Posted by ブクログ
農民から天下人になったって改めてすごいこと。 ただただ巻き込まれる親族はラッキーというより実力に伴わない待遇が突然現れて壊れるものが続出する。それはいつの時代でもそうかと人間の性質を感じさせられた。 豊臣秀頼の最後ってあまり描かれないこと多いけどあまりにも生々しいほど虚無で、だからかと納得。 面白か...続きを読むった
豊臣秀次の実父の描写の卓越性に
歴史上の人物描写にかけては天下一品ともいえる司馬遼太郎だが、その刮目さからくる犀利な描写はこの書でも健在であり、とくに第一話の「殺生関白」は痛快だ。これは豊臣秀次に関する物語だが、スタートがその実父より始まっており、この陰の主役を塩田七生氏が主張する如く「歴史における偶発性」というものを実に巧妙かつ...続きを読む芸術的に表現している。
出版社は違うが、同じ司馬遼太郎さん著『新史太閤記』のサイドストーリー的に読むことができた。豊臣家は秀吉という不世出の天才が一代で築き上げたが、その天才に続く後継者が誕生しないために滅んでしまった。 北の政所と大和大納言豊臣秀長以外は身内に役に立つ者がおらず、豊臣秀吉も内心心配だったに違いない。
個人的には大和大納言が一番好き。 派手な兄の陰で、黙々と豊臣家の覇権を支え続けた。確かに、この弟の亡き後、豊臣家が傾いたのは事実。この弟がもう少し長命であれば豊臣家の歴史も変わったかもしれないと考えてしまう。
豊臣家のドラマのような栄華と没落を、一人一人主人公をたて気持ちを代弁し、史実を興味深く説いてくれる。11.6.9
秀吉の周りの人達に焦点を当てて書かれていて、今まで知らなかった話もあった。だが、なんだか大体既視感のようなものがあって、初見なのにおかしいな、と読みながら思っていた。 読み終わってはたと気づいたのが、大河ドラマなどこれまでの秀吉を扱ったTV脚本が、この司馬遼太郎の本を参考にして作られていたのではない...続きを読むか、ということだった。 それほどこの本は歴史の人物を描いているのに、それぞれのキャラクターが映像のように想像しやすかった。 まあ歴史好きの脚本家なら、司馬遼は必ず読んでいるよなぁ。
司馬遼太郎さんの連作短編集。数十年ぶり?の再読。 題名通り「豊臣家の人々」。 〇秀吉の甥~豊臣秀次 〇秀吉の妻の甥~小早川秀秋 〇秀吉の養子~宇喜田秀家 〇秀吉の妻~北政所 〇秀吉の弟~豊臣秀長 〇秀吉の妹~旭姫 〇秀吉の養子(家康の実子)~結城秀康 〇秀吉の養子(天皇の弟)~八条宮 〇秀吉の側室...続きを読む&息子~淀殿・その子 という構成になっています。 司馬遼太郎さんは、とても読み易く面白い歴史小説を書く人ですが、わけても秀吉はお気に入りです。 「新史太閤記」を読むと、天下統一寸前くらいまでの秀吉が活き活きと描かれています。 その上で「功名が辻」とか、秀吉の死までの流れは良く判ります。 更に、「関ヶ原」「城塞」「覇王の家」を読むと、死語の豊臣家滅亡、徳川幕府が軌道に乗るまでが判ります。 正直、それらを経たうえで、「豊臣家の人々」を読むと、なかなかしみじみと味わい深いものです。 (それらを全く読まずにいきなり「豊臣家の人々」を読んで、どんな味わいなのか、ちょっとわかんないです...) 「豊臣家の人々」。 まあ要するに、ほぼ全員が、「無能」「凡庸」「不幸」「平凡」のどれかに当てはまります。 それなりに人物と能力として光るものがあったのは、北の政所さんと、秀長さん、結城秀康さんくらいですね。(無論、司馬さんのこの本に於いては、ということですが)。 ただ、そういう人々はみんな、「女性であり、子が産めなかった」「早世した」「全く活躍の場を与えられなかった」という理由で、サッパリ光ることなく生涯を終えてしまう。 (まあ、北の政所はそうでもないかもですが...) その三人以外。(まあその三人もなんですが) 「秀吉の身内だった」「秀吉と絡んだ」という理由だけで、それなりの大きなステージを与えられたり、歴史の中でささやかな役割を与えられたりしてしまう。 それは時にはギリシャ悲劇のように悲壮だし、ときにはベタベタのコントのように喜劇だったりします。 そういったことを含めて、「豊臣時代」「豊臣政権」「秀吉の時代」という歴史の、稀有なまでのドラマ性なんだなあ、と感じました。 醜悪だったり無茶苦茶だったりを含めて、その花火のような儚さと、あぶくのようなもろさ。そして絢爛さ。 そんな味わいが、司馬遼太郎さんは好きなんだなあ。言ってみれば「秀吉のあしおと」が遠くに遠ざかっていく。そのかすかな足音に耳をそばだててみたいんだなあ、という一冊。 ご縁で今、ちょうどその時代のことを良く考えているので、ふっと衝動的に再読。 前に読んでいたのが「罪と罰」だったせいか、さらさらっと読みやすく、イッキに読んじゃいました(笑)。 戦国時代が好きな方、司馬さんの「新史太閤記」あたりを読んでいる方は、よかったら。
つくづく数奇な運命の一族。ある種の滑稽さが哀しい。それにしても秀頼の存在感のなさといったら…滅びる者には滅びる理由が、やっぱりある。おねね様がすてき。
怒濤のような秀吉の奔流に巻き込まれてグルグル回る人々。旭姫が哀れ。秀吉は自分の意志で切り開いた運命だとしても、覚悟無く巻き込まれた身内は表舞台に引っ張り出され、もー大変です。対して何事も成さないよう慎重に家康に計られる秀康の運命もせつない。
おいしすぎる秀家/かわいそすぎる秀長、秀次、金吾の面々/やりきれなさすぎる秀康…いろいろ衝撃です。復習のつもりで読んでいたのに何故か新発見がいろいろ。さすがだー。
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