司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

     蕭何,張良,韓信の三傑に加え,曹参,陳平,夏侯嬰,樊噲といった劉邦の配下達が魅力的に書かれています。対する項羽陣営は,魅力がほぼ項羽に集中している形。史実と同様の対比が非常に面白いです。

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    2016年09月01日
  • 花神(下)

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    いよいよ戊辰戦争に突入し、まずは幕府瓦解後の江戸を新政府軍の完全な統制下に置くため、江戸での戦いを指揮する。
    江戸では西郷隆盛が大将となっていたが、西郷と大村が交代し、戦いに挑む。
    戦いは大村のたてた戦略がうまくいき、勝利を収める。
    しかし、西郷のメンツを汚したと感じた西郷の子分らの奇襲によって致命傷を負い、そのまま亡くなる。
    奇襲の後自分で止血したのはさすが医者。
    そういえば医者だったなということを思い出させる。
    革命の最後には冷静に状況を正確に分析できる、時には血も涙もないと言われるような人間もまた必要なのだと思う。
    正しいことをやっても、うまく立ち回らないと命を落とすのだった。

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    2016年08月14日
  • 花神(中)

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    蔵六の軍師っぷりがわかる。
    生まれて初めて戦に挑み、作戦通りに勝利し、一躍有名になる。
    銃と上官の言うことを忠実にきき、その通りのことをすればいいので、戦は武士でなくてもできることがわかる。
    明治維新での最大の変化の一つ、軍事革命はこうして起こったのかがわかる。

    会社員として生きる私たちにも、乱世をうまく生き延びるにはどうすればいいかが詰まっている本。

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    2016年08月11日
  • 街道をゆく 9

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    全43巻からなる『街道をゆく』シリーズのなかでも、この9巻収録の「潟のみち」こそが、(35巻の「オランダ紀行」と並んで)個人的には一番好きな章。
    かつては海、または沼沢地のような場所であったと思われる越後平野の、現在では新潟市や新発田市と言われる地域がこの章の舞台。
    元々は稲作なんて出来るような場所ではなかった越後平野が日本最大の穀倉地帯となった背景には、何世代にも渡る人々の血のにじむような苦労と努力があったという。

    しばらく読み進めると、本章が表と裏、二つのテーマを持ったエッセイであることが明らかになる。
    表のテーマはこの地域を一大穀倉地帯にした古代から続く人々の努力と執念への敬意であり、

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    2016年08月06日
  • 花神(上)

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    大村益次郎もといい村田蔵六という男の生涯を描く小説の上巻。
    村医者の子に生まれ、まずは医学書生からスタートし、やがて宇和島藩に仕えて兵法の本の翻訳の仕事につき藩士身分を収得し、やがて幕府の学問所勤務になり、これを知った出身藩の長州藩に仕えることになる。
    医学からオランダ語を学び、オランダ語の翻訳を通して兵法、蒸気機関等を学ぶことになった。
    けっこう不思議な男の生涯。

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    2016年07月17日
  • 世に棲む日日(三)

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    攘夷を掲げた長州藩はどんどんと過激化。外国にも幕府にも喧嘩をふっかけては返り討ちにされる。が、高杉晋作にすれば、それも計算の範囲内。藩の敗戦処理にさっそうと登場しては、存在感を放つ。そして、晋作は長州愛はあるが、権力には極めて淡白であった。自らが作り上げた奇兵隊すら、トップの座をあっさりと他人へ譲ってしまう。

    また、この第3巻では晋作以外の歴史に名を残した伊藤博文、山県有朋、井上馨ら、長州人が活躍する。この3人と比較しても晋作の独特な狂いっぷりは目立つ。

    著者と吉田松陰いわく、晋作は歴史のうねりの中で自分がいつ何をすべきか、全て知っていたらしい。それゆえに、長州藩、日本がどれだけ窮地に陥ろ

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    2016年06月28日
  • 世に棲む日日(二)

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    ペリー来航、安政の大獄、そして吉田松陰の処刑。途中で主人公は高杉晋作にスイッチする第2巻。

    覚悟の死を遂げた吉田松陰の跡をつぐのが高杉晋作。2人はともに家族からも長州藩からも一目置かれた天才肌。自分の中で理想を生み出し、他人に説明することなく、その理想に向けてまっしぐら。現実としてみれば、ずいぶんとめんどくさい人たちで、「狂人」なのかもしれない。しかし、幕末の混乱期では、非常識も一つの武器だ。

    それにしても、高杉晋作の戦争愛はかなり過激。長州藩どころか日本を戦争に巻き込み、敗北の中から新しい世の中を作ろうとする。これって、テロ原理主義だろう。その結果、晋作は武士階級にこだわらずに兵士を募集

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    2016年06月24日
  • 街道をゆく 3

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    この人の著作は、小説よりもこういう作品のほうこそ味があって面白い。
    私にとっては紀行文にハマるようになったきっかけでもある。

    本書は同シリーズ三作目。単体としても面白いのだけど、先に一巻・二巻を読んでおいた方がより楽しめるかとも思う。というのも、『街道をゆく』シリーズの原点は一番最初「湖西のみち」での"日本人はどこから来たのだろう?"という問いにあるから。
    「湖西のみち」や「韓のみち」で、現代日本人に繋がるひとつの流れである半島からの古代渡来人についての考察が様々に述べられていたのに対して、本書は明らかにそれらとは異質な民俗的要素を持っていた人々が居たと思われる、南九州や

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    2016年06月24日
  • 街道をゆく 42

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    「街道をゆく」のかなり最後の方の1冊。つまり、司馬遼太郎さんの最晩年の本。
    いや、実にわくわく面白かった。傑作。

    もう、本当にほぼジャンル分け不能な本です。
    一応は、「街道をゆく」ですから、旅行記なんですが。
    他の「街道をゆく」もそうなんですけど、実は半分以上は、司馬さんの歴史解説エッセイとでも言うべき内容。
    ただ、司馬さんの語り口のきっかけになっているのは、現場を踏んだ、現場を踏んで考えた、ということですから、そういう意味では旅行エッセイ…。

    三浦半島についてなんですが、実は「伊豆、鎌倉、そして三浦半島」とでも言うべき内容。

    そして、半分以上は、平安時代から鎌倉時代にかけての、「武士台

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    2016年06月22日
  • 歴史と視点―私の雑記帖―

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    司馬さんの考察が深い。
    明治維新後の長州人と土佐人の身の振り方の違い。

    それにしても昭和6~7年から20年までの怒涛のキチガイのような十数年がもったいない。

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    2016年05月30日
  • 城塞(下)

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    ・大きなものを崩すにはまず内側から。
    ・賢さというものは頭脳ではなく、意識。
    ・日本人が愛するのもは詩であり、
    詩的な行動である。

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    2016年09月27日
  • 項羽と劉邦(上)

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    ネタバレ

    沼沢に囲まれた田園地帯で古代的雰囲気(古代だけど)のなかで、ハングレの劉邦は仲間にかつぎ上げられて反乱を起こす。
    前後して、年若の項羽も上海よりずっと南の方でやはり反乱を起こす。
    大抵、中国の王朝は反乱が起きて倒壊するが、この史実が記念すべき処女革命。

    項羽は超絶無比に強かったけど、冴えない劉邦に日を追って追い越されて四面楚歌。
    江南の滸で果てる。

    司馬先生の作品領域で唯一の中華史長編。

    中華史でもその後の漢民族にとっての性格基礎や民俗、教育概念に影響を与えた劉邦の重要性は大きい。
    現代中国人のほとんどは自らを漢族と呼ぶが、劉邦の建国した帝国を漢というくらいだから。

    太古の中国農村に劉

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    2021年10月26日
  • ひとびとの跫音 下

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    司馬さんの歴史小説とは違い、無名の人を描いています。
    少なくとも、秀吉とか家康とか竜馬とか正岡子規とか、そういう教科書に載っている人ではありません。
    そうなんだけど、司馬さんらしいのは、根っこに「正岡子規という風景」があります。
    正岡忠三郎さんは、子規の縁戚でもあり、系図で言うと子孫です。そして、恐らくは青春期に文学を嗜好しながらも、子規の係累であることへの遠慮なのか反発なのか、まったく文学創作活動をしないまま亡くなりました。そんな忠三郎さんが、子規の遺稿などを几帳面に整理整頓していました。
    「タカジ」さんは獄中で子規の本を耽読しました。そして子規の詩歌を愛し抜きました。そして、忠三郎さんとの

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    2016年02月18日
  • ひとびとの跫音 上

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    40を過ぎてから読んで良かったなあ、という本でした。
    実に不思議な小説。1981年に発表された本です。中公文庫さんで、上下巻。
    小説、というか、「エッセイ風私小説」とでも言いますか。
    司馬遼太郎さんと言えば、「乱世の、(戦国か幕末の)英雄を描く歴史小説」な訳ですが、この本は違います。
    要は、執筆当時の現代劇。司馬遼太郎さんが、簡単に言うと自分のお友達を書いた本。
    お友達と自分との交流と、お友達の生涯履歴を振りかえる。
    実在の人物です。つまり、実話です。
    というか、司馬さんはどうやら。
    ご自分のお友達をふたり、書きたかったんだと思います。
    なんというか、そのふたりの佇まいというか、ヒトとしての味

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    2016年02月18日
  • 項羽と劉邦(中)

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    生きるために、食物を得るために、戦って領土を拡げるしかなかった時代。
    たくさんの登場人物が出てきますけど、その誰もが惹きこまれる個性を持っています。もし、この時代に生きていたら自分はどの人のように振舞っていただろう?と考えさせられました。

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    2015年12月29日
  • 世に棲む日日(三)

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    松陰に端を発した「狂」という思想。藩社会全体に浸透するとどうなるか。まるで社会実験を見ているようだった。理屈など通じず、まるでイデオロギーの権化となり、日本と外国を同時に敵にまわす。冷静に考えたらありえない自殺行為。なのに長州はそういう藩になってしまった。同時に、維新に向けた日本に対し、大事な2つのことを実証してくれたのは何とも皮肉であり残酷でもある↓
    ①幕藩社会と諸外国との政治仕組みの違い。近代社会へ脱皮するために足りないもの。
    ②戦争処理の仕組みと考え方(←かなり西洋論理ではあるが)

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    2015年12月20日
  • この国のかたち(二)

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    ザヴィエル城の息子にあった、「律令農民に出会ったとすれば…」のくだりがつらくて、なんだか涙が滲んだ。

    自立心がなく、自分でものを考えようとせず、武器も持たない。能力もない。

    ただ、権利はあると思っている、っていうのが今の日本人かしら…。

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    2015年12月15日
  • この国のかたち(一)

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    学校で、歴史を学ぶ際にこういう話も入れてくれたら!と思う…教科書の歴史って流れが急で、覚えるだけになってしまう。特に大学で歴史を学ぼうとしなければ、余計にぶつぶつと切れた知識みたいになってしまって。
    この年で、こういう本を読む。惜しいことをしたと思いつつ、今だから、ということもあるのだろう。

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    2015年12月11日
  • 街道をゆく 2

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    司馬遼太郎さんが、1971年から1972年にかけて連載した、旅行エッセイ。「街道をゆく」第2巻。
    ちょうど「韓国現代史」という本を読み終えた後だったので。1971年と言えば、まだまだ軍事政権の圧に揺れながら、経済成長を胎動している韓国だったんだなあ、と思いながら読みました。
    司馬さんは、当然リアルタイム目線で1971年当時の韓国を見ながら、韓国と日本の遥か遠い歴史の風景を見つめています。
    ところが読むほうは、2015年の感覚で、1971年当時という歴史の風景の中で、更に茫然たる歴史を眺めている司馬さんを眺めることになります。
    この入れ子構造がなかなか楽しめました。

    司馬さんのお話は、いつも通

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    2015年11月11日
  • 新装版 歳月(上)

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    今まで司馬作品の幕末、戦国ものはかなり読んできたが、何故、この作品を読むのが遅くなったのだろう。

    薩長土肥の肥前佐賀藩の幕末、維新の動きは実はあまり知らなかったので、よく分かった。

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    2015年10月15日