司馬遼太郎のレビュー一覧
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主人公である村田蔵六と彼を取り巻く人々の様子が生き生きと描かれている。適塾の師である緒方洪庵、シーボルトの娘イネ、イネの保護者である二宮敬作、適塾の後輩にあたる福沢諭吉など。各人物の気質、性格と蔵六との関係が細やかに説明されていてとても面白い。
特に印象的だったのは宇和島藩時代のエピソード。藩主伊達宗城の命で蒸気機関を造った嘉蔵と接するくだりだ。
身分の低いちょうちん張りの男が、何の知識もないところから、自分の経験と想像力だけで蒸気機関のもとになるカラクリを造った。それを目にした蔵六がこう思う。以下引用する。
“蔵六がむしょうに腹が立ってきたのは、これに驚嘆したあとだった。嘉蔵がヨーロ -
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小説らしからぬ小説。事実の積み重ねに重きを置いているように見え、まるで伝記みたい。だが、旅順攻略の際に児玉登場などあるので、やっぱり創作が入った小説なのだろう。
読後いろいろ疑問がある。あまりにも乃木は本書で無能呼ばわりされているが、そんなにも無能な乃木がなぜ三軍を率いるほどの大役を任され、また任され続けたのか。たぶん結構な人数が不思議に思うのではないだろうか。長州出身で縁故があったとか明治帝の寵愛だけでは説明が苦しいように見える。もはや50歳代の老将軍にとって縁故は関係ないだろうし、国家存亡に際して明治帝の意向で指揮官が簡単に決まるような明治国家でないことは司馬遼太郎が一番知ってることではな -
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ネタバレこの巻の途中で、司馬遼太郎は、死んだ。
あの世で高田屋嘉兵衛と話せるといいね。歴史家には死んでからもその楽しみがある。
司馬氏が一番書きたかったのは、昭和の戦時下の歴史のはず。事実、司馬氏はなぜ歴史を書くのかという問いに「22歳のころの自分に手紙を書いている気持なんだ。何で日本があんな風になっちゃったのか。昔の日本人はもっとまともだったに違いない。そう思って歴史を書いている。」とこんな感じで答えている。つまり、昭和の15年戦争を追及するために歴史に携わっているということだ。
けれども、司馬遼太郎はその昭和の時代の作品は書けなかった。「書いたら、俺は、死んじゃうよ。」そう言っていたらし -
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ネタバレ最近並行して、ヴェネツィアや琉球のように貿易立国をしていた地域の事を書いた本を読んでいますが、この「菜の花の沖」は北前船という日本国内貿易について書いているにも関わらず、面白さは群を抜いています。天下取りの英雄や、維新の志士が出てくるわけではありませんが、司馬遼太郎の著作の中でもかなり上位ではないかと。
この巻は蝦夷地における松前藩の支配と、ロシアの南下に対応した江戸幕府の動きがポイント。江戸幕府の外交と言えば、ペリー来航時の無策ぶりから機能不全だったのではとのイメージありましたが、有能な人物の登用等、官僚組織がきちんと機能していたことがよくわかります。 -
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司馬遼太郎短編集。
全部で7つの短編集なので、それぞれの内容と感想をかなり手短に。
英雄児…頭が良過ぎる河合継之助の話。無隠の立場からみた継之助の生涯という感じ。「あの男にしては藩が小さすぎたのだ」という台詞がなんとも言えない。
慶応長崎事件…海援隊と外人水兵の斬った斬らなかった話。坂本龍馬、アーネストサトウも出てくる。とにかく幕末の話なので、攘夷運動が盛んな時にこの事件は相当まずい。頭脳戦。
喧嘩草雲…絵師の草雲の話。足軽の子だから足軽絵師。嫁のお菊が亡くなってから人が変わったようになり、穏やか草雲になった。名将であり絵師であった草雲。お菊はいい嫁だったんだなぁと、しみじみ。
馬上少