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武家政権が生まれた地、鎌倉。軍港として、造船の町として昭和海軍を支えた横須賀。三浦半島から発した巨大は栄光の根底にあったものは何か。鎌倉の武士たちと昭和海軍から日本人のありかたの源泉をさぐり、行く末の姿に想いを馳せる。
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Posted by ブクログ
鎌倉殿を機に読み始めた。縁のある土地がよく出てくるので思うところ多々ありな感じで読み進めた。それにしても、このシリーズは旅に出たくなる。
累計発行部数1200万部超、読み継がれる、司馬遼太郎のライフワーク。この作品の目的地は、ごく小さな場所ながら日本史を旋回させる舞台となった三浦半島。
「街道をゆく」のかなり最後の方の1冊。つまり、司馬遼太郎さんの最晩年の本。 いや、実にわくわく面白かった。傑作。 もう、本当にほぼジャンル分け不能な本です。 一応は、「街道をゆく」ですから、旅行記なんですが。 他の「街道をゆく」もそうなんですけど、実は半分以上は、司馬さんの歴史解説エッセイとでも言...続きを読むうべき内容。 ただ、司馬さんの語り口のきっかけになっているのは、現場を踏んだ、現場を踏んで考えた、ということですから、そういう意味では旅行エッセイ…。 三浦半島についてなんですが、実は「伊豆、鎌倉、そして三浦半島」とでも言うべき内容。 そして、半分以上は、平安時代から鎌倉時代にかけての、「武士台頭の時代」とはなんだったのか。頼朝とはなんだったのか、みたいな話です。 これが実に、解剖的に俯瞰的に、わかりやすい言葉で語られて、実にガッテンな面白さ。 ミクロになって人体に入って、カラダの仕組みを解説されるような。 あるいは、スーパースローな映像でスポーツのワンプレーを見るような。 かんたんにまとめると、「土地を、耕作者開墾者(に近い者)が、所有する」という、ある種、切れば血が出るリアリズムの欲求なんですね。 平安末期の貴族の支配というのは、言ってみれば社会主義全体主義みたいな。全ては国営で、国が保有している。 そして、その国は、藤原家が仕切っている、みたいな。 それが煎じ詰めると、地方の耕作の現場に居て、力を持ってきたものたちが、 「なんであいつらのモノなんだ。おれたちのモノじゃん」ということなんですね。 ただ、泣き所は二つあって。 自家所有を、権威に対して守ってくれる親分。権威。名家。行政機関。 自家所有の避けられない事態として、土地争いが頻発する。それに納得できる裁定を下してくれる司法機関。 なんですね。 その構造に、自覚的だったのが、頼朝。その構造自体が、ものすごく斬新で、ものすごくリアリズムだった。 そういう意味で天才的だった。 求められたのは、行政機関、司法機関、としてのお神輿であって、第二の藤原家や平氏ではないんですね。 (そこに無自覚だったのが、義経…。というか、ほぼみんな無自覚だった) その、平安時代から鎌倉時代への、土地所有のリアリズム転換というのが、「考え方全般のリアリズム傾倒」を呼んだ。美術ひとつをとっても、それが見て取れる。 司馬さんは、「そのリアリズム転換がなかったら、日本史はもっと詰まらないものだったに違いない」と、独特のふわっとした、同時にものすごくざっくり切り捨てる口調でつぶやくわけです。 そして。 頼朝が気づいていた、「幕府に求められている機能」を、共有できていたのが、北条政子と、北条時政と、義時だった。 それをさっぱりわかってなかったのが、頼朝の子供達だった。 なので、徐々に北条ファミリーに疎まれ、殺されてしまう。 血族の殺戮のあとにたたずむ、生母の政子の姿を思うと、一篇の小説を読み終えたかのような満足感。 後段は、横須賀、海軍のよもやま話もあって、それはそれで楽しく読みました。 けれど、なんといってもこの1冊は、「頼朝とそのファミリーの物語」が白眉。 伊豆方面、鎌倉方面へ遊びに行きたくなる読書でした。
司馬遼太郎が1971年に「週刊朝日」にて連載を開始した「街道をゆく」シリーズの「42.三浦半島記」。2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観て、手に取りました。鎌倉時代について司馬遼太郎独自の視点で書かれており興味深く読みました。また海軍に関する記載についても陸軍だった筆者からの視点は面白い...続きを読む。どちらかというと三浦半島の付け根の話が多いのはご愛敬か。
はじめての街道をゆくシリーズ 話はあちらこちら、場所を変えて、時代を超えて飛んでいくので最初は戸惑ったが、そこにある物語へは引き込まれていきます。 三浦半島に焦点が置かれた本作では、鎌倉時代前後の話、横須賀=明治以降の海軍の話が多いです。 鎌倉時代前後の話 頼朝、北条氏の政治思想の中心にあるもの...続きを読むを知りながら、そのおこりから体制強化の流れを捉えることができる。目新しく楽しむことができた。 海軍の話 陸軍と海軍の違いが、これもまた興りから知ることができ、その後太平洋戦争の終結までを新たな視点で捉えることができた。(海軍は明治時代から新しい文化を海外(イギリス)などから取り入れながら急速に作られたものであり、陸軍は旧来の土俗的な文化、仕組みなどが残っているという点。) 違う視点を学ぶことで、目の前にある材料、ここでは歴史は全く違うもので見えてくる。面白いなあと。 知らない話もたくさん出てくるけど、やっぱり大きな話しは面白いし、心躍らされる。 薩長同盟の会談の物語はかっこえーなーって思うし、日露戦争、太平洋戦争の話も面白いなーって。なんでだろ。
三浦半島を歩きながら、伊豆半島での頼朝挙兵を語り、そこから、鎌倉幕府、北条氏、更には、三浦一族の興亡等、横須賀界隈を巡りつつ、勝海舟、小栗上野介、ペリー来航、咸臨丸、戦艦三笠、更に、ミッドウエイ、キスカを語る司馬遼太郎、縦横無尽な展開、本領発揮の1冊であります。
おそらくメインであったろう鎌倉のパートより横須賀のパートが面白く感じられた。今まで鎌倉何度も行っていて、まつわる歴史も中学日本史程度には知っていたはずだけど、あぁあの土地でこんなドラマが!あの事件にはこんな繋がりが!と今まで知らずにいたことがもったいなくて仕方ない。横須賀の方は全然行ったことがないの...続きを読むで、ぜひ行ってみたいなぁ。旧帝国海軍についてのストーリーは目から鱗。歴史って知ってると知ってないとだと人生で感じられることの深みが全く変わってきますね!!
司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズの三浦半島編である。どのシリーズも実際の街道を訪ねるというものではなく、自身の作品に登場してくる地域や人物に関連付けて、思いを語る紀行となっている。「三浦半島記」では、鎌倉幕府、三浦一族、横須賀と小栗上野介忠順、軍艦三笠と何度か足を運んでいる土地だけに興味を持ってい...続きを読むるテーマが多く、大変面白かった。
三浦半島は隣の伊豆半島と共に数々の歴史の表舞台になったことで知られる。古くは日本史上最初の武家政権である幕府の開かれた鎌倉や、近世では日露戦争で活躍した戦艦「三笠」の碇泊する横須賀など、歴史のエピソードも交えて紹介している。
鎌倉散策の友にと読み始めた。司馬の「街道を行く」シリーズを読むのは初めて。散漫だが人に話したくなるような興味深い話もいくつか。司馬曰く、鎌倉時代がなければ日本史は大陸のそれに似たようなものになっていたとのこと。
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