【感想・ネタバレ】木曜島の夜会のレビュー

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Posted by ブクログ 2012年09月10日

木曜島はオーストラリア北端の海に浮かぶ小さな島。ここに明治から第二次大戦前にかけて紀伊半島から多くの日本人が出稼ぎに行った。仕事は貝漁。潜水病やサメに襲われて命を落とす者も少なくなかったが、給料は抜群だった。無事帰ってこれれば豪邸が建ったという。小説というより紀行文。街道をゆくシリーズに近い。

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Posted by ブクログ 2021年02月27日

「木曜島の夜会」1976「有隣は悪形にて」1972「大楽源太郎の死」1972「小村某覚書」1967の4篇。
分量的にも、なんと言っても読ませるのは「木曜島の夜会」。ほかは、可も無く不可も無く、それ目当てに買うような商品では無い。
1976というともう司馬遼太郎的には「長編小説晩年」とでも言うべき時期...続きを読むで、だいぶ脂の乗ったエンタテイメントでは無く、謎の枯淡の深き味わいとでも言うべき変容を来しています。そのあたりの司馬節が好きな人には、堪らない中編。僕は好き。

オーストラリアに近いところに「木曜島」という小さな島があって。
昔そこで真珠や、貴重な貝が取れた。
1900~1950くらいか?ソレを捕るために、危険な潜水を繰り返す仕事があり、
それがなぜか熊野出身の日本人が多かった。
その仕事のOB?たちの「人々の跫音」とでも言うべき内容。

大昔に、南太平洋の孤島に仕事でしばらく居たことがあって、
なんとなくアンな感じかな、と。
懐かしかった。
祇園精舎の鐘の音、という味わいの小説というか、エッセイというか。

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Posted by ブクログ 2021年01月11日

木曜島の旅行記と、幕末に過ごした人物に関する3つの小編。木曜島の話は、かつて、南海の孤島に繰り出した、こんな日本人が少なからずいたことに驚いた。

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Posted by ブクログ 2018年09月04日

木曜島の夜会
司馬作品では歴史紀行物として、ただ題材が近親者の歴史である点が異色ではあるが、明治から昭和にかけての潜水夫の過酷さ、心意気などに興味が湧き、楽しんで読めました。心細い手かがりを手繰り、よくも交通の便が悪い木曜島まで出向きましたね。比較的最近の話なだけに現在が気になるところです。潜水夫た...続きを読むちはダイブを通して単に稼ぎだけではなく海の素晴らしさを感じたのではないか、と思いました。

有隣は悪形にて
大部分は「世に住む日々」とかぶるが、富永有隣の悪辣ぶりに憤懣します。吉田松陰の恩に仇で返す行動に、吉田の処刑の遠因を感じます。

大楽源太郎の生死
この人もろくでもない筋の通らない生き方であるが、命を尊ぶ現代人たる自分からしたら大いに同情すべき部分もあり。しっかりした挟持かなければいかによい機会に恵まれても大事は成せませんね。

小室某覚書
細かなところまで調べて推察をし、ひととなりまで炙り出す執拗な作者の執念を感じるが、このような無名な人物まで興味を持ちまとめ上げるとは。

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Posted by ブクログ 2014年12月08日

太平洋戦争前にこんなに遠くまで、主に紀伊半島の人々が貝の採取のため、出稼ぎにきてダイバーとして活躍していたとは全く知らなかった。西洋人より中国人より日本人が最もダイバーに適していた。それは金だけではなくプライドでモチベーションを保って狩猟に対する情熱を燃やすからだ。

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Posted by ブクログ 2014年08月04日

明治から太平洋戦争勃発期にかけて、オーストラリア北部の離島木曜島では高級ボタンの材料とされる白蝶貝を採るべく日本人ダイバーが活躍していた…

インタビューを元に当時の記憶を活き活きと切り取った取材録。日本版「老人と海」とも言える。

安全かつ高給な「親方(今でいう現場監督?)」ではなく、サメや潜水病...続きを読むの恐怖が付きまとう「ダイバー」を選ぶ日本人の性。

今でも木曜島に居住する元ダイバーの藤井氏の発言が興味深い。
「海底では、もう金銭も何も念頭にない。何トン水揚するかということだけやったな。紀州者も伊勢者も(日本人は)みな鬼になってしまう。」
「今の日本人は知らんけれども、あのころの日本人はそういう性やったのかもしれんな。いや、性は治るものではないから、今の日本人もそういう性かもしれんな。」

まこと端的に日本人の性を捉えていると思う。西欧人のように合理的でなく、だからといって感情のままに動く訳でもない。ただ、内なる自分と戦うことに美しさを感じる。功罪併せ持つ性であるとは思うが、忘れてはいけない日本人の美徳ではないだろうか。

考えさせられる。

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Posted by ブクログ 2011年09月04日

木曜島の存在を知らなかった。そこで日本人が白蝶貝の採取で大きな能力があり多勢働いていた事実などに驚いた。寡黙で優しい昔の日本人に懐かしい感覚や誇りを感じた。二編目目の富永有隣、三編目の大楽源太郎は自己保存の異常に強い性格が吉田松陰の明るさを逆に際立たせた感じがする。しかし、可哀想な生涯でもあったと思...続きを読むう。

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