司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 菜の花の沖(三)

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    大型船「辰悦丸」を入手した嘉兵衛。いよいよ蝦夷地へ。高田屋嘉兵衛の生涯を描く全6巻中の第3巻。

    いよいよ嘉兵衛は辰悦丸を完成させ憧れの蝦夷地へ。そこは松前藩がアイヌ人を搾取する地。一方、ロシアの進出を恐れる江戸幕府。密かに蝦夷地を幕府直轄にすべく調査を開始。嘉兵衛は理想に燃える幕府の官吏たちに心を打たれ協力するが、松前藩との板挟みになる。

    嘉兵衛が利を捨てて蝦夷地の魅力にひかれていく巻。松前に比べ寒村の箱館。東蝦夷地は幕府直轄に。嘉兵衛の新たな挑戦が始まる。

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    2020年06月10日
  • 菜の花の沖(二)

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    高田屋嘉兵衛の生涯を描いた全6巻中の第2巻。中古の船を得た嘉兵衛は船乗りとして日本海を北上、海に躍り出る。

    江戸時代後期、士農工商の身分からは外れた船乗りはコメとは別の貨幣経済の立役者である。身分制度の足枷から抜け出た嘉兵衛、1巻で切ない場面が多かった分、2巻は広い海へ躍り出る開放感が素晴らしい。

    兵庫から瀬戸内海を経て遠路秋田まで。当時の西回り航路を辿る記載が、紀行文的に楽しめる。

    太平洋の黒潮沿いに広まったと思われる海洋民族。日本人のルーツの一つであろう。日本海沿いにもその文化は散らばって残存しているようだ。裏日本ではなく江戸時代は日本海側が北前船の航路で表であったとのこと。

    嘉兵

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    2020年05月30日
  • 菜の花の沖(一)

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    商品経済の発展した江戸時代後期。農耕民族とは違った海洋民族も日本人のルーツの一つ。淡路島に生まれた高田屋嘉兵衛の壮大な冒険が今はじまる。

    司馬遼太郎の代表作の一つだろう。武士など農業が日本の歴史の主たる流れだろう。もう一つ南海道の方には海洋民族として日本人のルーツがある。

    江戸時代も後期となれば鎖国しつつも海運が大きく発達。元々はコメを大阪に回遊するためのものだが、やがて商品経済が発展し幕藩体制を蝕んでいく。

    そんな流れの中、高田屋嘉兵衛という船乗り、商人を主役とした作品。貧家に生まれ厳しい境遇。なんとも切ない出だしから。その分、淡路から海を渡り西宮で樽廻船に乗るあたりから急に展望が開け

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    2020年05月23日
  • 国盗り物語(四)

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    全4巻、戦国時代の斎藤道三、織田信長と明智光秀を描いた著名な歴史小説。

    国民的作家司馬遼太郎の代表作の一つ。全4 巻を再読完了。

    前回20年ぐらい前に読んだ時は斎藤道三のあまりのスーパーマンぶりに辟易したが、歴史でなく「小説」として読めばこれ以上ないぐらい楽しく読むことができた。竜馬だって土方歳三だって誤解する人が多いが史実を基に司馬が造形したキャラクターである。

    第3巻と4巻は織田信長編とはいえ、実際の所明智光秀から見た織田信長。天才の傍にいる一般人視点は映画「アマデウス」のようで分かりやすい。光秀の謀反の動機、過程も理解できる気がする。

    司馬遼太郎作品の中でも何より舞台が戦国時代、

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    2020年05月11日
  • 新選組血風録 新装版

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    燃えよ剣と一緒に手に取るのが血風録。
    小学校の時以来読み直したが、いまだからわかる良さや深さがある。短編集で読みやすく、「沖田総司の恋」がはかなく好き。これで薄っぺらい読書感想文書いて提出した小6の自分にびびる。
    人間味溢れる心情が伝わり情景も浮かびやすい。古典物、時代小説が好きな人にはおすすめ

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    2020年05月10日
  • 新装版 最後の伊賀者

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    京都画壇四条派の呉春を題材にした短編(『天明の絵師』)が目当てで読みましたが、それよりも、長沢蘆雪が主人公の作品(『蘆雪を殺す』)が入ってたことにびっくりしました。
    何より、両作とも軽く四、五十年前の作品のはずなのに、つい最近「発見」されたはずの「奇想画の系譜」のイメージにぴったりの人物造形っていうのが凄いです。

    道頓堀の由来が「道頓さん」というのも初めて知って面白かった(『けろりの道頓』)。しかも、構想は太閤だけど、実現は完全に民間有志って、いかにも古き良き「大坂」って感じで素敵。
    前半三作の忍術活劇、夢枕獏かと思わる『外法仏』とバラエティ豊かで一粒で何度もおいしい一冊です。

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    2020年04月26日
  • この国のかたち(五)

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    ▼2020年4月現在、新型コロナ禍に蹂躙されている世界および日本ですが、1年後、5年後、10年後、どう位置づけられるものでしょうか。

    ▼個人的に読んだ本の備忘録的なものを残すように習慣づけてからもう7~8年経ちます。昔の備忘録を読み返すとそれはそれでオモシロイ。将来、何年か先、この文章を読み返して「ああ、コロナ禍あったなあ。日々に追われて忘れてたあ」と、思えることを願って止みません。

    ▼現在の状況の未曾有さに途方にくれつつ、この本の司馬さんの言葉が改めて味わい深い。

    ▼(本文より)ヒトは、無人の曠野に生まれず、その民族やその国家、社会、さらにはその文化の中にうまれてくるのである。さらにい

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    2020年04月18日
  • 街道をゆく 40

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    台湾のアイデンティティとは。

    司馬遼太郎さんの考察と李登輝さんなど台湾の著名人と議論する内容は面白い。

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    2020年03月29日
  • 新装版 俄 浪華遊侠伝(下)

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    町人の街大坂が明治維新の流れに巻き込まれる中、侠客の明石家万吉の波乱の人生。上下巻の下巻。

    司馬遼太郎の作品、随分と読んだつもりであったが見逃していた作品。「手掘り日本史」で紹介されていたのを機に読んでみました。米相場師だった司馬の祖父の姿が万吉に投影されているらしい。

    司馬の本当の魅力は本書のような司馬の出身、大阪の言葉、風俗、文化を活かしたものにあるのかもしれない。

    明治維新の流れの中、私欲なく行動する万吉。見返りを求めぬ姿を天は見ているのだろう。決して粗略に扱われない。

    本書で初めて知ったのが堺港攘夷事件。万吉の仁義も見事だが、本書とは違った視点で掘り下げてみたい。

    テンポよく

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    2020年03月28日
  • 新装版 俄 浪華遊侠伝(上)

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    国民的作家司馬遼太郎は大阪の出身。本書の主役明石家万吉には筆者の祖父の生涯が反映されているという。町人の街大阪から見た明治維新。

    「手掘り日本史」に紹介されていたのを機に本書を手に取る。江戸とは異なり大阪は一部の町奉行のほかはほとんどの町人の街。司馬遼太郎が大阪の出身ということもあり、心地よい関西弁のリズムが楽しめる。大上段に構えた代表的作品に比べれば、どこか肩の力を抜いて筆者自身が楽しんで書いたように思われる。それだけテンポが良い。

    ”どつかれ屋”として名を上げた極道屋の明石家万吉の生涯。上下巻の上巻は西大阪の港一帯の警備を請け負った万吉が長州藩士たちの上京に出くわし維新の動乱に巻き込ま

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    2020年03月23日
  • 花神(下)

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    解説
    「蔵六というのは不思議な人で、自ら地位や栄達を求めない。」
    まさに自らを世の中に機能化してそれ以上を求めない、私心を捨てている大村益次郎をよく言い表した言葉だと思う。それはP.486の豆腐と国家の話にも現れている。
    時代が彼を押し出したに過ぎないのだろう。適塾に始まり、彼を登用した宇和島藩、幕府、そして長州藩。自分が求められるところに行き、そこで自分を機能化させ、最後には新政府軍の基礎を作るに至った。才能だけでなく、人との出会い、運命とは分からないものだと思った。

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    2020年03月15日
  • 竜馬がゆく(六)

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    ◯よく考えてみれば、この下関で西郷がきて君と握手し、いきなり薩長連合をとげる、というのははじめからむりさ。その無理を承知でサイコロをふったわけだが、思うような目が出なかった。世のことは偶然を期待してはいかん。(116p)

    ◯生死などは取り立てて考えるほどのものではない。何をするかということだけだと思っている。(264p)

    ◯三吉君、逃げ路があるかないかということは天が考えることだ。おれたちはとにかく逃げることだけに専念すればいい。(284p)

    ★薩長連合成る。そして寺田屋事件を経ておりょうと一緒になる。ドラマチックな6巻であった。

    ★亀山社中で孤立したために無念の死を遂げた饅頭屋長次

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    2020年03月15日
  • 翔ぶが如く(一)

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    久しぶりに読み返したらややイメージが違かった。
    学生時代に結構読んだ司馬遼太郎、今読むとまた含蓄が違う。
    時代が令和になっても面白い。
    情報量が多いので面白かった所は忘れないようにマーキングしておこう。

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    2020年03月07日
  • 酔って候

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    長編だけでない短編も面白い。国民的作家の司馬遼太郎が幕末の賢公たちを描いた短編集。

    表題作は土佐の山内容堂。他に薩摩の島津久光、宇和島の伊達宗城(主役は嘉蔵だが)、肥前の鍋島閑叟の4名。

    宇和島藩の話だけ異色。黒船来航を知った藩主の気まぐれから手先の器用な提灯貼り職人の嘉蔵が蒸気機関の制作を命じられる話。江戸時代の藩の身分差別がなんとも切なくなる。

    いずれも少しだけ日本史に現れる人物ではあるものの、良く考えるとほとんど歴史の流れに影響を与えていないという壮大な皮肉。短編ならではのあっさりした結末。

    司馬遼太郎というと「竜馬がゆく」「坂の上の雲」のような長編の方が有名であろうが短編集もま

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    2020年03月05日
  • 国盗り物語(四)

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    ネタバレ

    斎藤道三の娘婿である織田信長と、道三の妻の甥である明智光秀が対峙する完結編。「織田信長後編」となっているが、信長と光秀の双方が物語の主役と言って良いだろう。
    文庫版の「解説」にも記載がある通り、光秀の描写がうまい。本作における光秀は、知識人で真面目な性格であり、そのため信長の苛烈な行動(例えば比叡山の僧や女の殺戮など)を憎み、部下を「道具」として有効に活用とする合理的な性格に怯える人物として描かれている。秀吉の「陽」と対比しながら光秀の「陰」を強調して描くことで、「本能寺の変」に繋がる伏線としている。
    また、信長の人物像も明快で解りやすい。無神論者で合理的精神の持ち主、かつ有能で行動的な人物と

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    2020年02月28日
  • 街道をゆく 5

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    1970年代のソ連やモンゴルの実態をここまでのレベルで記述した体験記は他に類を見ないのではないかと思う。
    もはや完全に歴史の中に消えてしまった文化や風習を読むだけでも興味深いのに、司馬氏の知識と感性と文章を通して味わうことができるとはものすごく贅沢ですね。

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    2020年02月13日
  • 竜馬がゆく(五)

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    ○あン人がこんど来たとき、貴方の虫ケラはもう居りもさぬ、というのは人間の信義にかかわりもそ(285p)

    ○金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない。金なんぞは、評判のあるところに自然とあつまってくるさ(335p)

    ★西郷吉之助が出てきた

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    2020年02月08日
  • 項羽と劉邦(下)

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    ついに「項羽と劉邦」完結。

    下巻に入っても途中まで全く劉邦に勝つ要素が見受けられなかったのですが、気がついたらあれよあれよと逆転していました。

    結局、劉邦の勝因は何だったのか。やっぱり何もかもを飲み込む寛容さなのかな。項羽は身内以外にはあまりに冷た過ぎた。

    背水の陣や四面楚歌といった有名な故事成語もこのときのものだったんですね。萌えました。

    てか、項羽って31歳だったんだ…若っ!!
    この時代の濃密さを感じます。。

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    2020年01月30日
  • 馬上少年過ぐ

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    7つの短編小説をまとめた本である。

    各章は他の方の記載を拝借します。
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    ・幕末の長岡藩で非凡の才を発揮しつつも時勢を見極められずに散った河井継之助を描いた「英雄児」
    ・英国人殺害事件に関与した海援隊隊士菅野覚兵衛と佐々木栄を中心に幕末の日英関係を描いた「慶応長崎事件」
    ・江戸末期から明治初期を生きた、非凡の才を持った血気盛んな絵師、田崎草雲の生涯「喧嘩草雲」
    ・奥州の覇者正宗が歴史に残した足跡を、彼の持つ非凡な詩歌の才と共に描いた「馬上少年過ぐ」
    ・一介の町医者の身から伊予宇和島の命運を握るまでに栄達し、数奇な人生を送った山田重庵を

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    2020年01月25日
  • 世に棲む日日(三)

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    吉田松陰が主役の前半は停滞感があったものの、高杉晋作が主役になってからの長州の波乱は果たして現実にあったことか疑いたくなるほど劇的です。
    この孤高の天才の存在がなければ今の日本はどうなっていたことかと思いながら読みました。
    余談ながら、後に初代内閣総理大臣になり、千円札の肖像にもなった伊藤博文がここまで軽く扱われているのは事実なのか、それとも司馬氏がたまに見せる好き嫌いなのか、最終巻を読めば分かるのかも興味深い。

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    2020年01月24日