司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
講談師見てきたように何とやらと言うが、本当に司馬遼太郎はその場にいたのか?というような描写力で、小説家としての才気を感じる。
お気に入りは『喧嘩草雲』、『重庵の点々』、『貂の皮』。とくに貂の皮が好き。有りそうで無さそうな、無さそうで有りそうな、読んでワクワクする絶妙なラインの古潭を紡いでいる。一方で、『慶応長崎事件』はビックリするほどつまらない。題材が弱いし、龍馬含む登場人物に主人公性が無いし(誰が主人公なのかもよくわからない)、いまや史実ではないことが知られた歴史雑学のために話がしばしば脱線する。で、最後の段落で「なるべく資料にもとづいてこの事件を綴った」とか言ってる。なるほど、物語的なつまらなさは、これが歴史小説ではなく、歴史読本のつもりで書かれているからなのか、司馬史観に騙される人はこうして作られるのかと思った。言い過ぎか
でも先に挙げた三編はめちゃめちゃ面白いので星五つだ! -
Posted by ブクログ
本作品は昭和57年6月から翌58年12月まで『読売新聞』に連載された。司馬の歴史小説としては、最後期の作品になる。北条早雲の生涯は、特に前半生について良く分かっていないことが多く、諸説が認められるようだが、本作では当時の研究を反映させた"新説北条早雲"といった趣がある。ただあとがきで作者が付記しているように、想像で補っている部分も多々あるし、史実を曲げない範囲で、独創的な解釈も試みている。史実を追うだけでは小説にならないから、そこに歴史作家としての力量が問われるのだろう。その点、本作はNHK大河ドラマの候補に挙げたいほどの面白さがある。
中巻からいよいよ早雲が駿河に下る。かの地で孤立する"妹"北川殿とその子、竜王丸の危急を救わんがためである。従者をひとりも持たない早雲は、かねてよりの盟友・田原郷の荒木兵庫と山中小次郎に駿河への下向の供を求める。のちに大道寺太郎、更に伊勢で勇士三人が加わった計六人と早雲は、伊勢で神水を酌み交わし、同士の誓いをする。三国志の桃園の誓いもさもありなん。いよいよ早雲の一代事業が始まる。