司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 花神(下)

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    非常に濃い中身だった。明治維新はいよいよクライマックス。
    天才的な直感と合理的な計算、相反するようで両立する2つの才能。この捉えようのない偏屈オヤジはなぜか異様に魅力的で、対比させられる狭小な器の平凡な人たちが少しかわいそう。
    彰義隊のあたりを読んで改めて、上野周辺を散策してみたくなった。
    この時代については、ぜひ西郷の視点でも読んでみたい。

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    2023年09月27日
  • 最後の将軍 徳川慶喜

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    これを読むまでは慶喜はヘタレのボンクラ将軍やと思ってたんやけど、小説の脚色は多少あるにせよ、意外に英雄然とした人となりが分かって慶喜を少し見直した。

    チンピラだが無邪気な長州じゃなく、佐幕派と見せかけて寝首を掻く策略家の薩摩に一番恐れていた朝敵の烙印を押されたことで薩摩を心から憎んでるというのもよく理解できる。

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    2022年11月11日
  • 街道をゆく 3

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    「街道をゆく3 陸奥のみち・肥薩のみちほか」司馬遼太郎。初出は1972年。朝日文庫。

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     こちらの年齢のこともあるでしょうが、小学生から舐めるように読んできた司馬遼太郎さんの中で、ずっと読んでこなかった「街道をゆく」。その魅力を発見したのが40代の読書最大の快楽と言ってもいいくらいですが、これも面白かった。
     1972年ですから、なんと50年前の日本国内の旅行記ですから、もはや描写自体が貴重な民俗学的資料と言えるほど。

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     とは言ってもこのシリーズは旅行記というよりも、論考的エッセイです。実は「街道をゆく」をいちばん正統に?受け継いでいるのは「ブラタモリ」なんだろうなあと思いますがそれは閑話休題。

     この本のいちばんは「陸奥のみち」。当方があまり東北地方と縁遠かったこともあり、全編を通す司馬さんの考察、「弥生時代からの日本全体の稲作至上主義が、地理的に気候的に東北の一部には不利だった。でもそのイズムの序列におかれてしまったので、いくつかの悲劇と現在(と言っても1972年)まで至る一種の後進性がある」という内容に恥ずかしながら目が鱗。もちろんそれが全てを説明できるものではないでしょうが。

     青森、八戸、津軽、盛岡、といった地名が、初めて立体的に腑に落ちて迫ってくる感じで、非常にワクワクしました。

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     ちょっと皮肉めいているのは、カップリングが「肥薩のみち」。これはつまり稲作至上主義でいうと、圧倒的な勝ち組なわけです。むしろここからそのイズムが北上していったと言っても過言ではない。そして強者だったが故のオリジナリティを日本史の中で保ってきた面白さ。

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    2022年10月29日
  • 項羽と劉邦(下)

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    筆に勢いのある司馬遼太郎。項羽と劉邦の人格の違いが魅力の本作ですが、その違いは中国の風土・文化への丁寧な分析と構成のなせる技。特に食うに困った「流民」の概念が全体のベースになっているのは、なるほどと。各所で良い味を出している諸子百家の士や客たちも戦国期の農業生産性の向上による自立農の増加から生まれたことや、そうした思想に加えて民族的にも多様な層がおり混ざる坩堝的なカオス、その中でも共通基盤となる中国的文化などなど、中国の魅力がこれでもかと練られ項羽と劉邦に集約された名作。

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    2022年10月26日
  • 国盗り物語(一)

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    道三編の前半。奈良屋乗っ取りから美濃への進出まで、フィクションを交えながら面白く描かれていて、一気に読んでしまいました。

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    2022年10月16日
  • 街道をゆく 35

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    あまり読まない司馬遼太郎だが、台湾に続く2冊目の海外編を読む。
    紀行部分と美術史部分に折り重なっているが、私は紀行部分が面白かった。
    台湾の方が印象鮮やかだが、こちらもおすすめの「街道をゆく」だ。

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    2022年10月15日
  • 新選組血風録 新装版

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    新選組血風録は新選組としてよく名前を聞く土方さん、近藤さん、沖田さん以外の一隊士をメインとするお話もあり面白かった。

    長編ではなく短編であったこともありお気に入りの話が出来るのではないかと思う。

    ある話の中で土方さんに餅をもらう山崎さんが可愛かった。

    池田屋異聞と胡沙笛を吹く武士、虎徹、沖田総司の恋が特に好きです。

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    2022年10月19日
  • 街道をゆく 42

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    累計発行部数1200万部超、読み継がれる、司馬遼太郎のライフワーク。この作品の目的地は、ごく小さな場所ながら日本史を旋回させる舞台となった三浦半島。

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    2022年09月30日
  • 夏草の賦(上)

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    若い頃に読んだ司馬遼太郎氏の作品を読み返しております。

    司馬遼太郎氏は現存の資料を徹底的に調べ、それを土台に書き上げるとともに、あくまで歴史小説であるので私観や想像を織り交ぜてもおられるので、どこからどこまでが史実か分からないほどの作品が多いと聞いております。
    シンプル、時には出来事をあっさりと流す書き方は、こちらに先に慣れ親しんでしまった私は心情を長々と書いてたり、主人公の行動をひたすらハードボイルドで書き上げている歴史、時代小説を読んでると飽きてしまう性格となってしまいました。

    本作品については、長宗我部元親の話で、知らない方も多い戦国大名の話です。
    小さい地方領主から四国統一の一歩手前までいったのち、豊臣秀吉に屈服した生涯でしたが、日本の中央に位置しない大名の不利さ等も視点として描かれ、織田信長との対比も面白い書き方でした。
    また長宗我部元親がとった一領具足の制度が、後に維新に関する土佐郷士の原動につながることも感じられる内容です。

    司馬遼太郎氏の特色である最後はさらっと流してしまう書き方でしたが、私はこの安心感??かつ、無駄に長くなく、歴史情報の溢れた司馬遼太郎作品が大好きだと改めて感じた内容でした。

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    2022年09月28日
  • 街道をゆく 40

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    司馬遼太郎は苦手で作品を読まない。
    台湾を知りたいの一環でこの本を手に取ったが、結果は大変良かった。

    この作品の通奏低音は、台湾は中国ではない、中国は単なる侵略者だ、、と私は理解した。(ついでに日本も侵略者 だが後の国民党があまりにひどかったので親日派が多いのだろう)


    あちらこちらを巡って風俗にふれ歴史を紐解くと、さらにこの想いが強くなっていったようだ。

    最後の李登輝との対談には大満足。ここは絶対に読むべし。

    よくも中国ベッタリの朝日新聞でこのような主張の本が出せたのか不思議。

    ウクライナがロシアの一部ではないように台湾も中共の一部では無い。
    一つの中国なんてものは幻想でしか無い。

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    2022年09月24日
  • 坂の上の雲(五)

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    バルチック艦隊だが、アフリカ最南端経由での大遠征により、日本領海に到着しても戦闘するどころの話ではないくらいに疲弊してしまったと思われる。
    次巻以降の展開に注目したい。
    あと、この巻で語られた乃木による203高地の攻防戦だが、結果的には児玉の介入で薄氷の勝利を得たが、ここに至るまでに膨大な戦死者、損失を被った。
    なぜ、早い段階で乃木を更迭できなかったのか。それは、乃木の人格人徳によるものなのか、それとも日本軍組織の意思決定における弱点があらわになったのか。これらも見ていきたい。

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    2022年09月18日
  • 新史 太閤記(下)

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    下巻は天下人を目指す秀吉。一代記ではなく、下巻は大阪城での家康の謁見までです。
    天下統一後の、朝鮮出兵や秀次切腹まで書くと、この本で描かれた秀吉像と整合が取れなくなる?
    圧倒的な筆力です。昨今の作家の歴史小説など、人物像が薄っぺらく、ばからしくて読めなくなりますのでご注意ください。

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    2022年09月14日
  • 新史 太閤記(上)

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    出版当時は「新史」太閤記、今や「真史」太閤記。秀吉像を作り上げた一冊。
    まるで見ていたかのような人物描写、圧倒的な筆力。最後まで一気に読ませます。
    上巻は荒木村重の反乱まで。

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    2022年09月14日
  • この国のかたち(一)

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    十数年ぶりの再読にも関わらず、いくつかの章は印象に残っている。江戸時代の各藩の多様性が明治維新を産んだというあたりは再読して良かった。
    土佐の藩風の倜儻不羈(てきとうふき)は博覧強記の司馬先生ならではの言葉ではないかなぁ

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    2022年09月11日
  • 最後の将軍 徳川慶喜

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    徳川慶喜の苦悩がよくわかる本でとても面白い。尊王攘夷や天皇の意向に翻弄されながらも、策を練り日本のために舵取りをしており、尊敬できる歴史上の人物。

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    2022年08月18日
  • 世に棲む日日(四)

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    吉田松陰、高杉晋作共に20代で生涯を終えるとても短い人生でも、この2人が描いた日本の将来や、世界と向かい合う思想や行動に、とても大きなスケールに感服しました。そこには男のロマンが感じられ、感動しました。

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    2022年08月16日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    大昔に読んでいたものを、数十年ぶりに再読。
    読んでいて「これ、初読なんじゃないか?思い込んでただけで」と数度思い。
    でも最終的に「あ、これ読んだなやっぱり。数十年前に」となんとなく思った。

    戦国時代に秀吉の下で名を馳せた軍師「黒田官兵衛」の半生を描く長編小説。

    個人的な説ですが、司馬遼太郎さんの特に長編は、

    「坂の上の雲(1969-1972)以前、と以降」

    に分けられると思っていて、「播磨灘」は1975。以後です。

    「竜馬がゆく」や「国盗り物語」に比べれば、枯れていて、エンタメ臭が弱い。
    その分、読み手側がもうほぼ50歳ともなると、「再読の滋味」は「以降」の諸作の方が深かったりしますね。

    つまりは官兵衛という人が持っていた「才気」と「澄み切った人間臭さ」と「背筋の通った人柄」が、幾多の怒涛を経て「時の運」や「人間の集団の頑迷さ」にどこかまでしか、歯が立たない。
    でもそれだからこそ風景として描くに足る愛情を呼ぶんでしょうね。
    エンタメ感の向こうにそういう湿度のため息を感じるあたりが「以降」でしょうね。

    そして何より、「戦国」という混乱の中世が、「信長・秀吉・家康」という近世へと、軋みを唸りながら転換していく、そんな歴史のドラマを感じさせる。このダイナミックさ、この描く力。
    エンタメでありつつ、どこかマルクスを読んでいる気にもなって来る。
    うーん。やっぱり脱帽。

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    2022年08月05日
  • 竜馬がゆく(七)

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    人間それぞれに多彩な能力があるが、1人で何かをなすことができるわけではなく、同じ志を持った有能な仲間と協力すること、運、情報が重要なのだと思った。
    長崎に行きたくなってきた。

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    2022年07月24日
  • 坂の上の雲(六)

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    ネタバレ

    本筋の満州での会戦。陸軍のダメダメなところは旅順だけじゃなかったのね。極寒の地で薄氷を踏むような戦い。好古に同情する。サイドストーリーのヨーロッパ諜報戦、インド洋のバルチック艦隊奮闘記も佳境で次の巻に続く。

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    2023年02月18日
  • 峠(下)

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    映画公開までに読み終えたかったのですが、公開2週間たってやっと読み終えました。

    地元の話なので、地理的なことがよく分かるし、幕末に活躍した全国の偉人の動きもつながって、10代の時に読んどくべきだったなぁと思いました。
    司馬遼太郎作品はあんまり読んだことがないので分からないのですが(『梟の城』くらい)、時折作者の解説文みたいのが入るのが理解を深めて面白かったです。
    ただ、地元では長岡を焼け野原にしたヤバい奴っていう評価を、子供の頃に自分のジジババ世代に聞いたのですが、そういう表現は本文には出て来なかったです。
    その辺も含めて調べてみたいので、改めて河井継之助記念館に行って調べてみようかと思います。

    北越戊辰戦争がどうして起こったのか。
    この小説を読むと、地元の郷土学習で分からなかった部分が補完されるようで、フィクションの部分もあるでしょうが、幕末という特殊な時代背景と長岡の置かれた立ち位置、何より河井継之助の武士としてという考え方が複数重なった上に、情報伝達がうまく行かない時代背景や相手側の心情などまでが悪い方に進んでいく様子がよく分かります。

    戦争をギリギリまで避ける方法(やり方はどうあれ)を探る事は、後の同じ長岡の偉人、山本五十六にも通じていて、郷土史をもう一度学び直そうかなと思い始めています。

    幕末の混乱期は、色んな視点の本があると思いますが、官軍側、幕府側を行ったり来たりして読むとより理解が深まるのかなと思いました。

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    2022年07月19日