司馬遼太郎のレビュー一覧
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『長州の間者』
物語は京都浪人深町新作が琵琶湖の竹生島弁財天参拝へ向う船中で合う男女の縁から始まる。その後長州の間者として新選組に入隊するが、物語の最後に新作の懐中から出てきたものは?
『池田屋異門』
「腰ぬけの将監の曾孫が、なにやら義士の子孫とか自称して歩く歩くおのれを討つ。討入りはおのれのほうの家芸かもしれぬが、今宵はそうはいかぬ」…「将監様ご覧じろ」
山崎丞の物語
『菊一文字』
七百年生きた名刀菊一文字則宗が沖田総司の手にあったことの不思議。
今は都下の何処かの神社に奉納されているらしい。
15の短編はどれも秀作ですが、あえて3つ好みを上げてみました。
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高校時代に読んだにも関わらず、大人になって読むとこうも味わい方が変わるのか、と。
日本史嫌いの学生時代とは180度変わり、歴史を知る面白さを分かるようになってから読む歴史小説の味わい深さよ。名作が沢山あって嬉しい。
昔はミーハー丸出しの如き沖田好きでしたが、大人になると土方さん素敵と思うようになりました。
回りを固める剣士たちのエピソードも、人物関係も、手繰り寄せるごとに面白い。
源さんのエピソード良かったなぁ。
近藤さんの虎徹へのこだわり、憎めないなぁ。
「総司の恋」「菊一文字」は今読んでもいいなぁ。
歴史小説はどうも長くて…と思って遠ざけていたけれど、亡き父が特に気に入っていた司馬遼 -
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第1巻は『燃えよ剣』等と比較して、ややストーリーが平坦な印象を受けたが、第2巻は激動の幕末そのものと言える内容。吉田松陰から高杉晋作へと思いは受け継がれ(と言うほど単純なものではないが)、久坂玄瑞、桂小五郎といった志士たちが次々と登場してくる。
史実である点で概ねの展開は分かるのに、目が離せないストーリー展開、吉田松陰の最期をめぐる逡巡、創作部分の描写いずれも一級品としか言いようがない。そして何より、思想に生きることと現実に生きることの相克、「攘夷」或いは「開国」の表と裏、等々、示唆に富んだ司馬史観が見事に炸裂しています。残り2巻、この作品は何処まで行くのだろう。 -
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とても良かった。映画を観て、映画も良くて再度読んだ。
土方歳三は自分の信念や道を貫き通した人だと思った。周りに何と言われようとも自分を貫く姿はどこか羨ましく格好良い。
京都での華やかな活躍、池田屋事件などからだんだんと暗雲が立ち込め、近藤勇の断首、沖田総司の病死のシーンなどはとても悲しくなった。そんな中でも土方歳三は信念のために戦い続けた。すごいと思った。最後の最後まで武士として戦う姿があった。何がトシをここまで駆り立てたのか、信念だけでここまで戦えるものなのか。もともと戦いが好きだったのか。人の生き方とは。いろいろ考えさせられた。
また、映画で鳥羽伏見の戦いで人と人が殺し合っているシーンを観 -
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「円四郎までよく申しておく」 と、言いすて、馬主をめぐらせて去った。…その時渋沢はこの貴人のために身命をなげうちたいと思った
○大河ドラマ『青天を衝く』でも有名な場面。司馬遼太郎が徳川慶喜から見た幕末から維新をどう描いたか、いくつかの場面で確認するために久方ぶりに再読しました。
「薩人の奸謀は、天下の知るところ」
○中川宮邸にて 幕府への横浜閉港の御沙汰書を取り消す決定を朝廷を出したことで、慶喜が島津久光、松平春嶽、伊達宗城同席の場で
○同じ場で
「いまより、天下の後見職を愚弄なさるな。これに控える三人の大愚物と同様同列であるとおぼしめさせるな。この段、よくよくお心得あってしかるべ -
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ネタバレp.16
人間はその現実から一歩離れてこそ物が考えられる。距離が必要である、刺戟も必要である。愚人にも賢人にも会わねばならぬ。じっと端座していて物が考えられるなどあれはうそだ
p.24
可能不可能を論ぜず、ねばならぬということのみ論ずる
p.29
この人間の世で、自分のいのちをどう使用するか、それを考えるのが陽明学的思考法であり、考えにたどりつけばそれをつねに燃やしつづけ、つねに行動し、世の危難をみれば断乎として行動しなければならぬ
p.176
視覚の驚愕は、網膜をおどろかせるだけでなく、思想をさえ変化させるものらしい。
p.193
歴史や世界はどのような原理でうごいている。自分はこの -
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司馬遼太郎歴史小説の1つ
斎藤道三後編
美濃を切り取るためには土岐頼芸を失脚させなければならない.
天下を取るための最後の準備にして最大の難関でもあった土岐頼芸を今のポジションから外すために道三は術数権謀であの手この手を張り巡らし,その時を待っていた.
そして,美濃に点在した邪魔だったものを排除し,最終的には土岐頼芸をも排除した.ただ,排除した時にはもう十分に年を重ねてしまったので天下は難しい.また隣国の三河も勢いがある.そこで道三は三河の殿,織田信長に自分の娘を正室へ送り込んだ.そして,間接的ではあるが信長に次の未来を託すがごとく,具足や力を施した.
斎藤道三は結果的に天下を取ること