司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 覇王の家(上)

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    家康と三河の家来たちの物語。家康は基本的には地方の殿様で、もともと天下を取るような夢も持っていなかったし、それほどの器量があったわけではないとする。確かに、彼は自国を守ることに一杯いっぱいだったし、今川、武田、そして織田に囲まれた環境ではそれは無理もない。そして、三河の国はもともと小さな豪族の集まりで、織田家のような利得に基づく合理的な主従関係はなく、ただ濃密な人間関係が特長であったという。たしかにその観点で、徳川幕府というのは、地方の内向きの政権が大きくなった性格を持っていて、外国との交流を絶ち、ひたすら内部的安定を優先させたというのはその通りかもしれない。
    秀吉との関係のくだりのあと、一気

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    2022年02月13日
  • ペルシャの幻術師 1

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    ネタバレ

     司馬遼太郎さんがこうした作品を書いていたのは驚きでした。
     
     私の好みのどストライク! 女性が主役ということも、ペルシャが舞台というのにびっくりしました。

     ですが、とても面白かった。続きがたのしみですねぇ。

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    2022年02月12日
  • 燃えよ剣

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    映画化に際してようやく読めた!
    多摩時代の描写がたくさんだったり、土方目線の描写で話が進んでいくのが我得

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    2022年02月12日
  • 酔って候

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    これを読んで龍馬伝などを観るとまた全然違って視点で楽しめる
    同時代の賢人の半生も面白い
    これを読んだ後では高知の日本酒、酔鯨を飲んでかつおをたべたくなります

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    2022年02月11日
  • 竜馬がゆく(三)

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    第三巻は竜馬が土佐を脱藩して天下に躍り出るところから始まる。勝海舟との出会いにより竜馬は海軍事業実現に向けて歩き始めるので勝はこの巻にて極めて重要な登場人物であるが、注目したいひとりは同郷の家老お田鶴さまとする。
    京の公卿三条家に仕えるお田鶴さまは多くの勤皇志士の世話をした才女であるが、竜馬にかけた思いは別格であり、第二巻でふたりは一夜の伽を過ごした。それでも肝心な場面で色気を欠く子供のような竜馬をお田鶴さまはかしこく掌握し、年上女性としての器の大きさにひたすら感心させられる。清水産寧坂を舞台にしたこのふたりの淡くもあでやかな恋模様の描写、見事としか言いようがない。

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    2022年02月09日
  • 最後の将軍 徳川慶喜

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    徳川慶喜に対する認識がガラリと変わった。
    知識のない私は江戸から明治に移り行く時節にたまたま将軍であって、薩長がお膳立てした大政奉還に抵抗できずに言いなりになった人物と思っていた。
    けれどこの作品から感じたのは、慶喜その人が将軍であったからこそ明治維新が成ったのではないかと言う事でした。
    そしてもし彼がむしろ将軍を補佐する立場でいたならその能力を最大限に活かせたのではないかと言う事。
    新撰組に例えるのが適切か否かはともかく、近藤勇よりも土方歳三の位置にあるべき人材だったのではないかという事。
    ただしそうだった場合、日本という国が現在のような先進国たり得たかどうかは別の事ですが。

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    2022年02月08日
  • 峠(下)

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    面白い。上巻、中巻で丁寧に描写されていた河井継之助の終わりが怒涛で描かれている。また読み返してみたいと思える一冊でした。

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    2022年02月08日
  • 梟の城

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    中学生のときにこれを読んで、歴史小説(これは時代小説か?)にハマり始めた。二十年経っていまの中学生に紹介するのを機に、久し振りに読み返した。やっぱり面白い。ただ、世の倫理観が、発表された昭和30年代と、私が中学生だった平成10年代といまとでだいぶ変わっているので、司馬のこのいかがわしさを現代の中学生に読ませて良いのかは惑う。少しだけ。

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    2022年02月06日
  • 新装版 王城の護衛者

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    【司馬遼太郎幕末短編再読月間②】
    2000年に購入してから幾度目かの再読。
    ・王城の護衛者…会津藩主松平容保
    ・加茂の水…玉松操(岩倉具視のブレーン的人物)
    ・鬼謀の人…大村益次郎
    ・英雄児…河合継之助
    ・人斬り以蔵…そのまま人斬り以蔵・岡田以蔵

    面白い。とても興味深い。
    司馬遼太郎氏の、しつこいくらいの言動描写、心理描写、その源となる歴史描写が生々しい。
    授業で詳しく解説されるような人々ではないかもしれないけれど、当時の彼らの存在意義や、生き様がこのような形で残っているのは素晴らしい。

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    2022年02月05日
  • 人斬り以蔵

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    ネタバレ

    短編集ですが、その中から『人斬り以蔵』を読みました。
    2020年の10月にも一度読んでいましたが、再読しました。
    他の収録作品もちゃんと読みたいです。



    この小説は、このような文章で始まる。
    「不幸な男がうまれた」

    身分の差別が酷い土佐で、足軽であるというだけで蔑まれていた以蔵。
    そんな彼が、威張っている上士や郷士を剣で翻弄したときの快感は、いかほどだっただろう。

    武市半平太に対して畏怖を抱く姿に、切なくなった。
    「飼い主」である武市は自分を分かってくれず、のけ者のようにする。
    なぜ自分だけそのように扱うのかという、やりきれない悲しみや苛立ちを端々から感じた。

    足軽であるというコン

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    2022年02月03日
  • 峠(中)

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    面白い。上巻でのゆっくりした流れとは真逆で時勢が急激に動くにつれ、河井氏の信念がたっていくこと、とても面白かった。

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    2022年02月02日
  • 竜馬がゆく(二)

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    親友であった武市半平太と意見が異なりそれぞれ違う道を進んだ竜馬と半平太。半平太は吉田東洋を暗殺して政権を取ろうとするが、竜馬は京都に行こうとしてたくさんの批判がありながらも脱藩する。脱藩は勇気のいる行動だが竜馬が脱藩するほど竜馬の意思が強いことに感動した

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    2022年01月26日
  • 竜馬がゆく(二)

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    第二巻は竜馬が江戸での剣術修業を終えて土佐に帰り、いよいよ攘夷に向けて動き出すくだりが描かれている。周囲の火の玉のような過激論者や藩論を勤王で統一せしめるべく吉田東洋暗殺を企てる武市半平太とは異なり、西洋の力を素直に畏れ、軍艦を持って国益と武力を得たいという思想がぼんやりと芽生え始める。
    そんな第二巻で着目したい人物は讃州丸亀のお初だ。女ひとりで居酒屋を切り盛りするお初と竜馬のリズム感あふれる会話が何とも心地良い。旅先でこんな出会いをしてみたいと思わせられ、恋愛小説を凌ぐロマンに惚れぼれしてしまう。

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    2022年01月25日
  • 燃えよ剣

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    年始にNHKで大河ドラマ「新選組!」の総集編を再放送していたのを見て懐かしくなり、関連する本を読みたくなってこちらにたどり着きました。大河ドラマでは近藤勇を主人公として描いていたのに比べ、この本では土方歳三の視点を通して新選組をまた違う捉え方ができました。京都での華々しい活躍から、時代の潮目が変わり新選組に追い風が吹きはじめ、やがては北方に追いやられながらも、最後まで命懸けで信念を貫いた土方の人生が生々しく描かれています。フィクションではありますがお雪さんとの関係も気になりながら読みました。

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    2022年01月23日
  • 城塞(下)

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    関西に住みながら一度も行ったことがない大阪城。この本を読んだおかげて、堀の中に入った際に、色々と感じることがあるはず。日本に帰国したらまず行って見たい場所の一つです。オリクロン感染拡大で帰らないけど。

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    2022年01月16日
  • 幕末

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    【司馬遼太郎幕末短編再読①】
    2000年に購入してから幾度目かの再読。

    幕末に起きた12の暗殺短編集。
    あとがき『時代が血を欲した』
    酷いけれど、きっとそれが事実であり、大きく歴史を動かしたその躍動感が印象に残る作品。

    司馬遼太郎の題目の付け方は絶妙。

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    2022年02月05日
  • 峠(中)

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    ネタバレ

    p.20
    「あいつは私情も私心も捨てているだけでなく、命もすててかかっている。そういう男に、文句のつけようがない」
    p.207
    (なにごとかをするということは、結局はなにかに害をあたえるということだ)
    p.516
    「とにかく意見がこうもまとまらないと」
    「意見じゃないんだ、覚悟だよ、これは。
    「覚悟というのはつねに独りぼっちなもので、本来、他の人間に強制できないものだ。
    p.517
    事をなすときには、希望を含んだ考えをもってはいけない

    面白くなってきました

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    2022年01月07日
  • 街道をゆく 6

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    ネタバレ

    司馬さんの本は小説しか読んだことがなかったんですが、紀行本がこれほど面白いとは思いませんでした。内容自体もですが、ちょいちょいこちらの鳩尾を的確に衝いてくる表現が出てくる。須田さんの糞便のくだりは爆笑してしまいました(4Pも割く話なのかと…笑)。
    ところでこれは40年以上前に書かれた本ですが、本土の不動産屋の進出について言及されていて、現状の沖縄にいたる開発がこのとき既に始まっていたことがわかります。「沖縄」って何だろう。

    ―彼女は急に眠ったような埴輪みたいな表情に化って、「それはね」と勿体をつけ、「ハテルマ、ハテルマと言うてゆくのよう」と、いった。何度繰りかえし質ねても、その呪文のようなこ

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    2021年12月28日
  • 城塞(上)

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    大阪城内の女社会を鮮やかに描き出し、徳川と豊臣の板挟みになる片桐市正の苦悩と、家康とその取り巻きの悪知恵が、非常に分かりやすく書かれている。
    絶えず機会を狙い、勝つべくして勝った徳川家と、滅ぶべくして滅んでいく豊臣家の没落をこれほどまでに分かりやすく書いている書を私は知らない。
    上巻は、まだ冬の陣の前(片桐市正の放逐前後)で終わっているが、既に読み応え十分である。

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    2021年12月25日
  • 坂の上の雲(四)

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    ネタバレ

    1巻から読んできたが、4巻が一番面白かった。

    海軍→黄海海鮮
    陸軍→遼陽、沙河、旅順要塞総攻撃


    ユダヤ人との繋がり、下瀬火薬、
    バルチック艦隊が英国漁船を誤って攻撃した話など、知らなかった事実を知れた。

    といっても、戦場は悲惨。


    食料や弾薬不足、合理性のない命令、失敗を学ばない総攻撃で何万人の兵が死んでいく。 
    司馬さんの乃木・伊地知への批判が続く。


    これだけ読むと、日露戦争で勝てたのは
    日本が強かったから、だけではなく

    ロシア側が日本をアジアの小国だとなめかかっていたこと、上に立つ者の性格や思慮の浅さや独特な官僚世界の秩序など、かなり運が良かった部分もあるのではないかと感じ

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    2021年12月22日