司馬遼太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この小説は、北条早雲が箱根の坂を越えて関東を制覇する話のはず。
しかし上巻中巻ときて、未だ箱根の坂を越えない。
下巻の400ページで本当に関東を制圧できるのか?
北条早雲、50歳を超えているぞ。
自分たちの欲得のための戦いをするだけで、何ら生産性のない守護や地頭などの武士階級。
貴族化しつつある彼らは、農民が作る米や野菜を、国人たちの労力をただただ消費するのみで、疲弊しきった農民や国人には何の見返りも与えない。
鎌倉時代に比べて農業生産性が格段に上がった室町時代。
農民や国人たちから搾取するだけの守護や地頭を無視し、早雲は直接彼らと語らい、破格の低税率で領地の経営を行っている。
しかし、た -
Posted by ブクログ
【感想】
上巻に続き、とても面白かった。
「本能寺の変」によって仕えていた信長を亡くし、悲しみつつも義理を果たしたと切り替えて、「今度は俺が天下を取る」と計画を達成していく様は、読んでいてとても爽快に感じた。
(例外も少々あったが)どの敵に対しても慈愛の心を忘れず接し、「不殺をもって人を手なずけ、世間を飼い慣らす」事に力を注ぐ。
こと戦に関しては、用意周到に準備を行なって、投機性を減らして必ず勝つべき態勢を作り上げていく。
出身が卑しいために難儀することも多かったが、決してそれに屈さず、陽気さを保って難事を乗り越え出世を果たしていくのは、本当に現代にも通ずる処世術だ。
また、快進撃を続ける -
Posted by ブクログ
「西郷を玉とすれば、その玉をくだく者はその門人、敬慕者、郷党だろう。師は弟子によって身をあやまる」
江藤新平の残した言葉は正しかった。
ただ自分が言ったその言葉は、ブーメランのように自分に返ってくることは想像してないところが、江藤の特徴である、「うかつ」さ、なんだろうな、と思えた。
上巻より、下巻がとてつもなく面白かった。
大久保vs江藤、が書いてあるだけなんだけど、凄かった。
でも、日本を作り上げようとした、この二人の似た者同士の思考方法は、それぞれ大事ですね。そして、近親憎悪も政治には付き物かもしれないですね。
三権分立を唱え、初の司法卿として法律を整備して、警察組織も整えた。
そ -
Posted by ブクログ
【感想】
天下人・豊臣秀吉の人物史。
豊臣秀吉の生き方は、現代でも十分に通用する処世術だと思う。
愛嬌があり、人に可愛がられやすい。
敵を作らない。
人が嫌がることを率先して行なう。
長期的な視野を持ち、見返りを求めない。
もちろん秀吉はただのバカではないし、また都合のいいだけの人間ではなく、先を見据えて日々生きている。
言動ひとつとっても充分に頭の中で考えた上で慎重に行いつつ、その雰囲気を周りに気づかせない。
古今東西、自分の意見を通すことに必死な人間が多い中、「猿」の処世術は遅咲きになるだろうが、必須なテクニックであると思う。
物語の終盤で、合理・完璧主義の信長と猿の差が如実に表れて -
Posted by ブクログ
【感想】
ついに最終巻。信長というよりそれに仕える光秀にスポットライトが当てられて物語は進んでいく。
「うつけ」と呼ばれ、この本を読むまではいかにも感情的で粗暴なイメージもある信長だったが、イメージとはかけ離れた印象を持った。
天才、とも少し違うと思う。
徹底的なまでに現実的で、合理的なものの考え方をしているんだなと思った。
突飛な戦略の数々も、比叡山の焼討も、その時代であったから突飛で非常識な事だったのだろうが、合理主義の視点で考えると信長はそれに沿って進めていただけにすぎない。
(まあそれがスゴイのだが・・・)
また、光秀の苦悩と葛藤、信長に対するコンプレックスから「本能寺の変」が起きたの -
Posted by ブクログ
【感想】
斉藤道三編の後半。
この時代で既にPDCAをしっかり遂行し、権謀術数で巧みにのし上がって行く姿は本当にロマンに溢れる。
斉藤道三の凄いところは、上記のとおりPDCAだろう。
目的に向かってしっかりと段階を踏んで準備を行ない、色んな策を弄して遂行していく。
素晴らしい目的意識の高さとその手段の選定センスは、自分への揺るぎない自信と能力に裏打ちされているのだろうが、個人的には非常に参考になる部分も多いと思う。
やはり事を成すにあたり、PDCAを明確にすることは今も昔も大切なことなんだろう。
斉藤道三においてもう一つ注目する点は、目的遂行の為にまわりくどいほどに我慢強い事だと思った。
-
Posted by ブクログ
【司馬遼太郎 街道をゆく 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか】司馬遼太郎著、朝日新聞出版者、1971年
また、長い本に手を出してしまった。。。
本好きが誰でも知る司馬遼太郎が1971年の47歳の時から、1996年の72歳で亡くなるまでの25年間をかけて綴った「街道をゆく」全43巻だ。
いままでも、新しい土地を訪ねるときは、できるだけ読んでみようと心がけて、東北地方を中心に読んでいた。
2 陸奥のみち、肥薩のみちほか
26 嵯峨散歩、仙台・石巻
33 白河・会津のみち、赤坂散歩
40 台湾紀行
塩釜の御釜神社や、会津の慧日寺跡などに立ち寄ったのは、これらの本で学んだからだ。
先日