司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ昭和30年に書かれたとは思えないほど、現代に通ずるものがあった。
それほどに日本社会は進化していないのか、はたまた"サラリーマン社会"の根本は変わらないのか…
さすが司馬遼太郎と言わざるを得ない流れるような文脈で読みやすく、
かつ様々な先人たちの言葉もリソースとして交えられ、スッと入り込む一冊だった。
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■インドの法句経
古代インドの法救という坊さんが釈迦のコトバを編集したもの
⇒当時のインドの社会制度はそれこそ二十世紀後半の日本とは比べ物にならないほどひどい
(社会制度のカケラもない)
貴族の他は乞食同然、というよう -
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あらゆる堀を埋められた大阪城での夏の陣。勝敗はすでに決し、その中で見どころはやはり真田幸村の活躍。華々しく死んで名を残すことだけを目指す武将がほとんどの大阪方の中で、彼だけは勝つことを決してあきらめない。綿密な作戦を練り、それがうまく行かなければ、次の策を練る。疲れることのない彼の精神と徳川方を蹴散らして突進する行動力は痛快だ。
こうした滅びに向かう美を描くことこそが司馬文学の真骨頂。そして、幸村の思考は戦闘のことだけではない。戦闘の合間に自身の娘を今日戦ったばかりの敵将、伊達政宗に託そうとする。そんな大胆な行為を見せる幸村に対して、それに応じる政宗。敵味方の関係を越えた2人の武将のやりとり -
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いよいよ大坂冬の陣。真田幸村、後藤又兵衛ら大阪方の武将が揃い、いざ決戦。のはずだが、本書で語られるストーリーの多くは、家康による謀略中心。家康にとって一応、主人である豊臣家を潰すことは、後世の汚名につながる恐れがある。単純な軍事力で勝敗を決めるわけにはいかないのだ。家康が見ているものは、目の前の大阪城ではなく、終戦後の徳川統一のビジョンだ。
はるか先を見ている家康に対し、豊臣家は現実すらまともに見ようとしない。淀殿、大野修理、浪人たちが都合のいい状況を選択して、意見がまとまらない。
真田幸村など、やる気のある優れた武将たちが揃っている大阪方は局地戦では勝利するも、その小さな勝利を全体に波及 -
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関ヶ原の戦いは終わったが、大阪城には未だ豊臣家の威光は健在。自身の寿命ある内に徳川による治世を完成させたい家康を、類のない陰謀に走らせる。
本書で描かれる家康はなんとも鼻につくイヤな奴。こんな奴が天下を取るなんて許せない、大阪ガンバレと思ってしまうが、その大阪方の人材の乏しいこと。なんせトップが現実を直視せず感情だけで思考する淀殿に、寝たきり老人のように影の薄い豊臣秀頼。そんな幻想家が支配する大阪城内の空気は乱れきっていた。
歴史を知らず、次巻を読むまでもなく、勝敗はすでに決しているのだが、その勝敗外でうごめく人間模様が見どころ。この巻の主役は片桐且元。家康、淀殿からのパワハラを受けまくり -
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再会がテーマの「街道をゆく」
二十年来の知己である宇和島市立図書館長をしていた渡辺喜一郎と「久濶を叙した」という場面に見るように、「街道をゆく」のなかで「南伊予・西土佐の道」は、再会がテーマであるかのようである。
それほどに司馬は旧知と先々で出会っていく。司馬にとって大阪外国語学校の先輩で、満州・長春に訪ねたことのある森和氏、司馬夫人の友人の夫、石丸良久氏、産経新聞社の同僚であった松浦幸男氏など。渡辺氏とともに十年以上前から宇和島周辺を取材して知った人々などを入れるさらに多くなる。
その外に赤尾兜子の兄、赤尾龍治は盤珪禅師の研究者として紹介される。
「街道をゆく」では旧作が話題になることも少なくないが、それに -
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これほど慕われ続ける人望と器量を備えているものの、ここに登場するやその厭世に虚しくなる。結果として成し得なかった征韓論には、極めて複雑な背景があり、どうあれ退いてくれたことに安堵するけれど、大久保、岩倉を追い詰め、三条を錯乱させた往時には、その威容を誇る。薩摩に帰郷して後は、何ら光彩を放つことなく、もちろんそのための遁世なのだから、そのまま不動でいて欲しかった。革命の象徴から、新たな革命の虚像へ。そして、演じたのか捨て鉢であったのか、木偶の最期を迎えた。敵味方を問わず西郷を担ぎ、共に逝った者たちの情緒は知れても、西南での西郷の機微に触れることはできなかった。
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軍神と称された幼稚な義経の物語。多くの点において、自らを重ねるところあり、政治感覚の無さ、他者への気持ちのわからなさ、自分を正しいと思う、思い込みの強さ、自らを重ねるようである。
しかし、痛快な30年弱の人生であっただろう。
初陣から壇ノ浦まで、古今類を見ない奇跡的な勝利、それはこの時代になかった、
戦術、策、を用いた初めての戦いであり、またそれにより価値、勝てない戦を勝って、英雄となった。
鎌倉が恐れること、仲間だと思っていた身内が恐れることを「まったく」分からなかった。
その純粋さ、つまり「親のかたき討ち」以外には思いを寄せることが出来なかったことが、
結果、さわやかで痛快な、そして悲 -
購入済み
合本 坂の上の雲
文庫本を持っていたが、行方不明になりもう一度読みたいため購入。電子書籍は持ち運びが楽であるため、どこでも読める利点がある。坂の上の雲は明治期の正岡子規以外はあまり知られていない人物に焦点を当てた面白い本である。正岡子規や夏目漱石らと同時代を駆け抜けた伊予の2人の生き様は感銘を受ける。
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氏が「菜の花の沖」「坂の上の雲」を書く際に考え続けていたロシアという国の本質について考察した本。現在読んでも全く古さを感じず、この国の本質を考えるヒントを与えてくれる。
国の成り立ちや侵略された歴史から国家としての性格が形作られていった様子がよく分かる。特にシベリア等の極東開拓の歴史は日本人として知っておくべきだろう。
ロシアの側から見れば、北方領土とモンゴルをセットにして捉える必要があるなど、北方領土問題を語る前に我々国民もロシアのことをより知る必要があることを再認識した。この問題においては変に国民感情に訴えることは慎まなければならないという、氏の考えには全く同感する。