司馬遼太郎のレビュー一覧
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異端の英雄物語であり、幕末明治の歴史噺であり、悶絶のムズキュンラブストーリー。
「花神」(上・中・下)まとめた感想メモ。
司馬遼太郎さんの長編小説。1972年発表。
主人公は大村益次郎(村田蔵六)。
大村益次郎さんは、百姓医者の息子。
百姓医者として勉学するうちに、秀才だったので蘭学、蘭医学を修めているうちに、時代は幕末に。
いつの間にか、蘭学、蘭語の本を日本語に翻訳できる才能が、時代に物凄く求められる季節に。
だんだんと、医学から離れて、蘭語の翻訳から軍事造船などの技術者になっていきます。
大村さんは、長州藩の領民で、幕末に異様な実力主義になった藩の中で、桂小五郎に認められて士分に。 -
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2016年11月に台湾に行った。台湾の事をより知りたくなったので読んだ。
司馬さんが台湾を訪れたのが1993年くらい。当時の台湾は、民主化から日が浅く、大陸出身でない人間、つまり台湾人が初めて国のトップになってからいくらも経っていない時だった。この紀行は、その当時の、司馬さんの目、つまり外から見た台湾を、教えてくれる。司馬さんの目…というのは、司馬さんが書いたんだから当たり前なんだけど、それこそがこの本の一番の魅力と思う。司馬さんの目から見た台湾、を当時の日本人から見た台湾、と言い換えてもいいかもしれない。なぜなら2016年11月に自分が行った台湾では、この本に書いてあることは(知識不足は大い -
豊臣秀次の実父の描写の卓越性に
歴史上の人物描写にかけては天下一品ともいえる司馬遼太郎だが、その刮目さからくる犀利な描写はこの書でも健在であり、とくに第一話の「殺生関白」は痛快だ。これは豊臣秀次に関する物語だが、スタートがその実父より始まっており、この陰の主役を塩田七生氏が主張する如く「歴史における偶発性」というものを実に巧妙かつ芸術的に表現している。
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購入済み
真田幸村の描写が実に魅力的
司馬文学の特徴の一つであろうが、彼の目にかなった主役は人間的欠点を描かれていても、それを補うこと十分すぎるほど結果として魅力的に描写されている。この書における真田幸村もその一人といえよう。昨年のNHKの大河ドラマであがかれたような腑抜けな男とはかくも異なるほど魅力的な人物として楽しめるだろう。
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ドルゴンがともかく魅力的な人物
歴史的事実にある程度基づいているとはいえ、小説である以上とうぜんフィクションが随所におりまぜられているが、とくにこの小説の下巻からの事実上の主役である摂政ドルゴンの人間的魅力には圧倒される。司馬文学得意の超高度な人物描写によるものだが、これが小説と割り切っていないと最近の歴女とかのように真の人物像を見誤ってしまうかもしれない。
さてクライマックスとなる李自成軍隊清朝軍の戦い。これが実に域で壮大で感慨ひとしおだ。中でも「戦いは序盤からいきなり終盤となった」という一説は司馬遼太郎文学の中をとどまらず、日本文学界に燦然と輝く歴史的名文といっても過言ではないだろう。 -
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考え方の多様性が認められ、かつ守られることが、昭和二十二年に施行された日本国憲法によって保障されているのである。明治憲法が上からの欽定憲法であり、また戦後憲法が敗戦によってえた憲法であるなどといういきさつ論は、憲法というものの重さを考える上で、さほどの意味をもたない。
(本文より)
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「この国のかたち 二」。司馬遼太郎さん。
司馬エッセイの金字塔、第2巻。
家紋の雑学、江戸時代の「天領」の功罪、近親婚の国際比較、宗教の日本独自色、金の採掘の日本史、「公」の意識、「汚職」について、フランシスコ・ザヴィエル、日本の風呂文化と仏教の聖人の関係、杉と檜の木材としての歴史...
相変わらず自 -
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この国のかたち。第1巻。司馬遼太郎さん。
司馬遼太郎さん(1923-1996)が、晩年に文芸春秋に連載していたエッセイ。
歴史の逸話、地理、文化や宗教などの雑学が雑然と山積みされたオシャレな市場を、「へええ」と周遊する。そんな愉しみに頁をめくっていると、日本、この国の輪郭というか個性を見上げながら散歩している気分になってくる。銅像に例えれば、横から見たり後ろから見たり。そして、この国のかたちを感じるためには、当然のように、他の国のかたちも感じなければ判りません。中国、インド、朝鮮、オランダ、などなど…日本と縁があった様々な国についての造詣を元に、「この国」のかたちが浮き出てくるわくわく感。 -
購入済み
新しい発見と知見を得られる図書
第一巻から読んでいますが、裏付けとなる情報の豊富さ、確かさに驚かされます。またテーマが多岐に亘り、「そうだったんだ」と感心させられます。短編で飽きが来ないこともお勧めです。
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博覧強記な司馬さんらしく、角界の先人の言葉をサラリーマンのために書き綴った新書です。
若かりし頃の福田定一さんの文章という感じが出ていて、愉快に読めました。
また、戦後の経済発展時期のサラリーマン社会から、現代の不安定雇用の時代におけるサラリーマンを取り巻く環境は激変していますが、サラリーマンという範疇に身を置くものとしては、読んでおいて損はない本です。
また、家庭を持つこととは、戦後の社会的環境はこれまた、激変しておりまして、男女雇用機会均等法時代の夫・妻に身を置く人間としては、びっくりするような記述もありますが、人間長らく生きるということは楽しいことであります。