司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 義経(下)

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    義経を評して「政治的痴呆」という形容が数限りなく出てきて可哀想な位だが、政治のみに長けた新宮行家よりは断然カッコいい。
    地元唐津は義経とは何の関係もないが、唐津くんち四番曳山が「源義経の兜」な位ずっと義経が愛されてる「判官贔屓」の由来を、Wikipediaは「北条執権政治を正当化するために書かれた吾妻鏡による情報操作」として解説している。
    義経は合戦の天才か?という点については、典型的な選択バイアスとも思えるが、伝説はとうの昔に完成しており、義経は永遠に英雄だ。

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    2018年04月15日
  • 世に棲む日日(一)

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    長州藩出身の吉田松陰の生い立ちから22歳頃までの青春時代を描く。ひたすら前向きで行動的であり、謙虚でありながらも大胆さをも持ち合わせる好人物です。
    この積極性と自分の意志を貫く行動指針は学ぶべきと考えますが、才人でなければ途方もないことになりそうです。前向き性は見習いたいと感じました。
    人を知るためにその環境と言わず、地理の束縛を受けるであろうことに着目して地理を調べるという発想が面白いです。
    本巻の後、黒船にて出国しようとして捉えられることを考えると松蔭にとっても日本の利益にとってもとても残念お思わざるを得ません。

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    2018年03月29日
  • 城塞(上)

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    文句なしに面白い。司馬遼太郎の家康嫌いは相変わらずだが、豊臣方が負けるべくして負けたということがよくわかった。結局のところ、淀殿にきちんと物を申す人間がいなかったということだろう。真田幸村にしろ、後藤又兵衛にしろ、秀頼にしろ、なぜあそこまで淀殿に気を使うのかが理解できない。あの時代のあの場所にいないとわからないことかも知れないが、今の会社組織でも上司が間違っていると分かっていても言えないのと同じことなのだろう。

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    2018年03月24日
  • 城塞(上)

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    大阪冬の陣、夏の陣を扱った作品。「関ケ原」と比べ、こちらの作品での家康は、一層、老獪さを増し、豊臣勢を手玉にとる。悪役といってもいいほどの役回りである。
    様々な登場人物の背景の解説の細かさや、心理の動きの描写はさすが。個人的には、不利な状況にあっても最後まで戦う真田幸村の姿が最も印象に残った。

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    2018年03月13日
  • 城塞(中)

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    大阪冬の陣、夏の陣を扱った作品。「関ケ原」と比べ、こちらの作品での家康は、一層、老獪さを増し、豊臣勢を手玉にとる。悪役といってもいいほどの役回りである。
    様々な登場人物の背景の解説の細かさや、心理の動きの描写はさすが。個人的には、不利な状況にあっても最後まで戦う真田幸村の姿が最も印象に残った。

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    2018年03月13日
  • 城塞(下)

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    大阪冬の陣、夏の陣を扱った作品。「関ケ原」と比べ、こちらの作品での家康は、一層、老獪さを増し、豊臣勢を手玉にとる。悪役といってもいいほどの役回りである。
    様々な登場人物の背景の解説の細かさや、心理の動きの描写はさすが。個人的には、不利な状況にあっても最後まで戦う真田幸村の姿が最も印象に残った。

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    2018年03月13日
  • 城塞(下)

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    ネタバレ

    勝者家康の知略というよりも汚いやり口、徳川安泰のためには手段を選ばない嘘や恐喝の数々がことごとく成功することで読者の家康評を決定づける本編。対して真田幸村をはじめとした豊臣方武将たちの清々しさ、絶望の中でも正々堂々と知略と武力をもって真っ向から立ち向かう様にどうしてもひいき目が生じてしまいます。淀殿や秀頼を代表する愚物に従いつつも後世の名声をのみ欲する勇ましさ。そして終盤の、家康が大阪方に追われ逃げ惑う痛快な展開。真田十勇士をはじめ様々な寓話が生まれるのも道理と思われます。
    人の心を操る陰と陽の好例を歴史上の一大事件のなかで鮮やかに描かれており、共感し学ぶことができます。
    本編の主人公あるいは

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    2018年03月05日
  • 功名が辻(一)

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    司馬さんらしい文章。これはドラマにしたら面白いと思いました。実際、大河になったのですが。
    読み始めると止まらない。本屋さんで2巻を手にとってしまった。

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    2018年02月25日
  • 国盗り物語(四)

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    気になった箇所は史実を調べたり地図で確認したりして途中の寄り道を楽しみながら全巻読破。
    第四巻は語り部である光秀の内なる葛藤がメイン。
    光秀は信長の卓抜さを認めながらも有り余る才能と高潔すぎる精神ゆえに対抗心が怖れとなり決定的に溝を深めていく。
    読み終わってからもつい考えてしまう。
    「もし本能寺の変が起きず信長が天下を取っていたら」、「その政権の中枢で光秀が辣腕を振るっていたら」・・・想像したらキリがない。
    歴史に「もしも」はない。しかしその「もしも」をあれこれ想像するのも歴史を楽しむ要素の一つだろう。

    したたかに「時代」を掴み乗りこなした鬼才・斎藤道三。
    旧体制を破壊し苛烈に「時代」を駆け

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    2024年06月08日
  • 翔ぶが如く(一)

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    ネタバレ

    秀作。
    司馬遼太郎、流石。その中でも長編大作。面白い。
    若い頃は、大久保を尊敬していたが、歳を重ねて西郷が好きになってきた。
    綿密な調査、凄い。
    さすがに長い。
    今の日本にも引き継がれている政治家の隠蔽、庶民を騙す手口。政府は信用ならない。計画性なんて無いと疑ってみる。
    日本人は、野蛮だと、つい150年前の出来事。忘れてはならない。

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    2018年06月09日
  • 世に棲む日日(三)

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    【あらすじ】
    狂躁の季節がきた。
    長州藩は既に過激派の高杉晋作をすら乗りこえ藩ぐるみで暴走をかさねてゆく。
    元冶元(1864)年七月に、京へ武力乱入し壊滅、八月には英仏米蘭の四カ国艦隊と戦い惨敗…そして反動がくる。
    幕府は長州征伐を決意し、その重圧で藩には佐幕政権が成立する。
    が、高杉は屈せず、密かに反撃の機会を窺っていた。



    【感想】
    主役が完全に高杉晋作に移った3巻目。
    京での失脚や下関での戦争、蛤御門の変など、これまで勢いづいていた長州藩の落ち目が描かれている。
    前巻までは大らかに見られていた長州藩内部も、過激派たちによって幕末らしくどんどん血なまぐさくなっていった。

    そんな極限

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    2018年02月15日
  • 項羽と劉邦(中)

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    いよいよ、劉邦たつ!
    集う仲間たちとその死を乗り越えて、下巻に続く!

    この巻では、エピソードを入れながら、いろんな武将が出てくるよ。張良、韓信をはじめとして、陳平の某策、黥布裏切りのお話と紀信の身代わりのお話など、劉邦を取り巻く、個性豊かな人物が紹介されていきます。

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    2018年02月12日
  • 国盗り物語(一)

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    禅僧より還俗し、油商から美濃の領主に登り詰めた梟雄・斎藤道三。松波庄九郎と呼ばれた若き日を描いた第一巻。
    史実に基づいているかは置いといて娯楽小説として抜群の面白さ。庄九郎という規格外な男の立身出世が存分に描かれている。
    切れ味鋭い頭脳と自らの才覚を全く疑わない自尊心。そして好機を逃さない実行力。人を道具として利用しながらも風流を愛する文化人。女たちは戸惑い恐れるが次第にその魅力に溺れていく。
    間違いなく悪人、しかし小悪党ではなく途方も無いほどの唯一無二の大悪党。
    神仏すらも家来と考える高慢な姿は危うさと清々しさが同居する不思議なオーラに溢れている。

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    2024年06月08日
  • 世に棲む日日(二)

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    【感想】
    幕末の錯乱した時代の流れを「長州視点」で見つめた物語。
    吉田松蔭が死刑にあい、高杉晋作にバトンタッチ。
    高杉晋作の幼少期から紡がれて行く本編は、この男がどういう人間なのかを非常に面白おかしく描かれている。

    彼の天真爛漫っぷりは家系によるものなのだと納得。
    そのくせ、藩主に対する忠誠心のみはしっかりと刻み込まれていたのだなぁ。

    また、上海留学のエピソードも初めて読んだが、彼の攘夷運動の礎はこうしたところでも培われていたのかと納得。
    高杉晋作の小説ではやはりこの本が1番面白い!!


    【あらすじ】
    狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動。
    幕末、長州藩は突如、倒幕へと暴走した。
    その

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    2018年02月06日
  • 翔ぶが如く(二)

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    反征韓論派の動きが活発化。伊藤博文の活動が凄まじく、大久保利通がついに参議になる。板垣退助と副島種臣も岩倉具視らの活動で反征韓論派に鞍替えした。政治の世界は凄まじい。。

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    2018年02月03日
  • 城塞(下)

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    小説のジャンルではあるものの、多くの部分は史料に基づいて書かれているものと思われる。
    それゆえ、登場人物に対する著者の思い入れが少なく中立的、客観的に描かれており、これが読みやすさに繋がっている。ただし、家康を除いて。

    家康に関しては、策士、戦略家と言ってもいいと思うが、どうしても狡猾性がデフォルメされ、前面に出てきてしまう。

    とにかく上中下巻とボリュームたっぷり。
    大阪冬の陣、夏の陣をじっくり読むにはオススメ。

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    2018年01月28日
  • 翔ぶが如く(一)

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    川路利良の汽車内でのエピソードに衝撃。。それはともかく、西郷隆盛のイメージを固めた作品であるはずだから、腰を据えて読むつもり。

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    2018年01月24日
  • ビジネスエリートの新論語

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    ネタバレ

    昭和30年に書かれたとは思えないほど、現代に通ずるものがあった。
    それほどに日本社会は進化していないのか、はたまた"サラリーマン社会"の根本は変わらないのか…

    さすが司馬遼太郎と言わざるを得ない流れるような文脈で読みやすく、
    かつ様々な先人たちの言葉もリソースとして交えられ、スッと入り込む一冊だった。

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    ■インドの法句経

    古代インドの法救という坊さんが釈迦のコトバを編集したもの
    ⇒当時のインドの社会制度はそれこそ二十世紀後半の日本とは比べ物にならないほどひどい
     (社会制度のカケラもない)

    貴族の他は乞食同然、というよう

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    2017年12月28日
  • 街道をゆく 5

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    紀行文です。序盤はロシアなのでモンゴルモンゴルしたのを期待するとあんまりかも。窓が閉まりきらないホテルに突っ込まれても文句を言わない、でもさらっとコンシェルジュ使ってたり飛行機でタバコ吸ってたりするところが余裕ある司馬大先生の紀行文だなあ、という感じで好きです。

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    2017年12月19日
  • 城塞(下)

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    あらゆる堀を埋められた大阪城での夏の陣。勝敗はすでに決し、その中で見どころはやはり真田幸村の活躍。華々しく死んで名を残すことだけを目指す武将がほとんどの大阪方の中で、彼だけは勝つことを決してあきらめない。綿密な作戦を練り、それがうまく行かなければ、次の策を練る。疲れることのない彼の精神と徳川方を蹴散らして突進する行動力は痛快だ。

    こうした滅びに向かう美を描くことこそが司馬文学の真骨頂。そして、幸村の思考は戦闘のことだけではない。戦闘の合間に自身の娘を今日戦ったばかりの敵将、伊達政宗に託そうとする。そんな大胆な行為を見せる幸村に対して、それに応じる政宗。敵味方の関係を越えた2人の武将のやりとり

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    2017年12月13日