司馬遼太郎のレビュー一覧
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下巻はいよいよ本能寺の変から本格的に秀吉が天下統一を果たしていくことになる。
信長という存在がある限り、秀吉の目的は信長を儲けさせる事。そのためなら信長から殴られようが蹴られようが、その目的のために事をなしていく。
ふと信長のやり方よりも自分のやり方のほうが上手くいくと思っても、そこは耐える。主君を裏切ってまで我を張らない。自分のほうが器が大きいと思っても。
それが信長という存在がいなくなる事で解放された時、秀吉の才能が爆発する。後半は秀吉の独り舞台。
天下を取るために、どのように相手に振る舞えばいいか。大名という土台がないだけに自分一人の才能が頼りになる。
不世出の天才の後半は描か -
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当然秀吉の話は知っているが、秀吉が主役の本を読むのは意外と初めてである。
やはり秀吉の魅力は人たらしなところなんだな。ここまでやられては人は嫌な気にはならず秀吉のために、となる。それを本気でありながらしたたかに計算していることもすごい。
信長との関係も面白い。初めは不世出の天才としてどうやってこの主人に役に立ち出世しようかと考える。しかし終盤は天才の限界を感じるほどに自らが成長、器の大きさを示す。
最初から秀吉では天下統一はならなかったろう。信長の苛烈さは最初に国を切り取るのに必要。その後は秀吉の人心掌握での領地拡大であったのだろう。
二人の天才が世に同時に現れ、主従となった奇跡が天下 -
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初読は高校3年生の受験直前。43年ぶりの再読です。今回も読み始めたらやめられず、睡眠時間を削って読みました。
本書は周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となった近代兵制の創始者大村益次郎(村田蔵六)の生涯を描きます。
「大革命というものは、まず最初に思想家があらわれて非業の死をとげる。日本では吉田松陰のようなものであろう。ついで戦略家の時代に入る。日本では高杉晋作、西郷隆盛のような存在でこれまた天寿をまっとうしない。3番目に登場するのが、技術者である」
吉田松陰と高杉晋作を主人公にしたのは「世に棲む日々」。一種の技術者を主人公にした本書は、その姉妹作品と言えます。ただ、大村益次郎は「ど -
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ネタバレ再読。
北辰一刀流の流祖・千葉周作成政の前半生を描く歴史小説。
「『剣の要諦はひとことで申してどういうことでございましょうか』
と門人がよくきく。
(中略)
周作は、
『剣か。瞬息』
とのみ教えた。剣術の要諦はつきつめてみれば太刀がより早く敵のほうへゆく、つまり太刀行きの迅さ以外にはない。ひどく物理的な表現であり教え方であった。周作は剣を、宗教・哲学といった雲の上から地上の力学にひきずりおろした、といっていい」
たとえばこの部分によく表れているように、周作は明確な理論と合理性でもって、それまでの剣の常識を破壊していく。その展開は読んでいて小気味よいが、それだけでなく、筆者・司馬遼太郎の文 -
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斎藤道三という人が魅力的な歴史上の人物なのは、その時代の常識に生きるふつうの人が想像できないことを、創造することのできる数少ない人物だったからであることがよくわかる。飢饉の時に領土の税を減免するかわり、油は自分のところから買わせるようにするとか、決して奇抜な発想ではなく、常識にとらわれないだけで妥当な方法である。こういうことが時代や世界をデザインをするということなのだろう。そしてそれを果たしていく織田信長は、隣国にいた斎藤道三にその才能を見出されなければ、あるいは歴史に出る前に滅ぼされていたかも知れないことを思うと、歴史の不思議さを感じる。
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高田屋嘉兵衛の生涯を描いた全6巻中の第2巻。中古の船を得た嘉兵衛は船乗りとして日本海を北上、海に躍り出る。
江戸時代後期、士農工商の身分からは外れた船乗りはコメとは別の貨幣経済の立役者である。身分制度の足枷から抜け出た嘉兵衛、1巻で切ない場面が多かった分、2巻は広い海へ躍り出る開放感が素晴らしい。
兵庫から瀬戸内海を経て遠路秋田まで。当時の西回り航路を辿る記載が、紀行文的に楽しめる。
太平洋の黒潮沿いに広まったと思われる海洋民族。日本人のルーツの一つであろう。日本海沿いにもその文化は散らばって残存しているようだ。裏日本ではなく江戸時代は日本海側が北前船の航路で表であったとのこと。
嘉兵 -
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商品経済の発展した江戸時代後期。農耕民族とは違った海洋民族も日本人のルーツの一つ。淡路島に生まれた高田屋嘉兵衛の壮大な冒険が今はじまる。
司馬遼太郎の代表作の一つだろう。武士など農業が日本の歴史の主たる流れだろう。もう一つ南海道の方には海洋民族として日本人のルーツがある。
江戸時代も後期となれば鎖国しつつも海運が大きく発達。元々はコメを大阪に回遊するためのものだが、やがて商品経済が発展し幕藩体制を蝕んでいく。
そんな流れの中、高田屋嘉兵衛という船乗り、商人を主役とした作品。貧家に生まれ厳しい境遇。なんとも切ない出だしから。その分、淡路から海を渡り西宮で樽廻船に乗るあたりから急に展望が開け