司馬遼太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
あとがきで著者は「暗殺だけは、きらいだ」と語る。そんな著者が幕末に起こった暗殺事件を記した連作短編集。
普通に考えれば、暗殺なんてものに政治力や体制変革を期待するもんじゃない。むしろ、暗殺によって変わってしまうような社会や組織は遅かれ早かれ、変わってしまうものだし、ろくなものじゃなかったのだろう。
が、幕末はそんな暗殺が評価された時代であり、志士たちは世直しになると信じて暗殺を企画し、実行し、死んでいった。
本作品に登場する暗殺の当事者の多くはバッドエンディングを迎えている。政治判断もないし、自身の将来も考えず、暗殺に没頭する彼らに対して爽快感や死への同情も起こらない。司馬作品にしては、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【感想】
初挑戦の中国歴史小説の第2弾!
上巻と変わらず、登場人物の多さや名前の読み方の難しさには辟易したが、、、ストーリーそのものは楽しんで読めた。
タイトル通り、項羽と劉邦の違いについて書かれていた。
上巻では仲間だったご両人だが、劉邦の裏切りによって関係が破綻、相対する関係となった。
英雄さながらの勢いで邁進する項羽に対し、劉邦の平凡さというか生々しさが本当に面白い。
己の平凡さや弱さ、また項羽の強さをしっかりと認識し、部下の容赦のない助言にも嫌な顔一つせずに信じて受け入れる劉邦は、項羽とは違った意味でトップとして優れているんだなと思った。
トップという立場の人間なのに、こんなにも執 -
Posted by ブクログ
この小説は、北条早雲が箱根の坂を越えて関東を制覇する話のはず。
しかし上巻中巻ときて、未だ箱根の坂を越えない。
下巻の400ページで本当に関東を制圧できるのか?
北条早雲、50歳を超えているぞ。
自分たちの欲得のための戦いをするだけで、何ら生産性のない守護や地頭などの武士階級。
貴族化しつつある彼らは、農民が作る米や野菜を、国人たちの労力をただただ消費するのみで、疲弊しきった農民や国人には何の見返りも与えない。
鎌倉時代に比べて農業生産性が格段に上がった室町時代。
農民や国人たちから搾取するだけの守護や地頭を無視し、早雲は直接彼らと語らい、破格の低税率で領地の経営を行っている。
しかし、た -
Posted by ブクログ
【感想】
上巻に続き、とても面白かった。
「本能寺の変」によって仕えていた信長を亡くし、悲しみつつも義理を果たしたと切り替えて、「今度は俺が天下を取る」と計画を達成していく様は、読んでいてとても爽快に感じた。
(例外も少々あったが)どの敵に対しても慈愛の心を忘れず接し、「不殺をもって人を手なずけ、世間を飼い慣らす」事に力を注ぐ。
こと戦に関しては、用意周到に準備を行なって、投機性を減らして必ず勝つべき態勢を作り上げていく。
出身が卑しいために難儀することも多かったが、決してそれに屈さず、陽気さを保って難事を乗り越え出世を果たしていくのは、本当に現代にも通ずる処世術だ。
また、快進撃を続ける -
Posted by ブクログ
「西郷を玉とすれば、その玉をくだく者はその門人、敬慕者、郷党だろう。師は弟子によって身をあやまる」
江藤新平の残した言葉は正しかった。
ただ自分が言ったその言葉は、ブーメランのように自分に返ってくることは想像してないところが、江藤の特徴である、「うかつ」さ、なんだろうな、と思えた。
上巻より、下巻がとてつもなく面白かった。
大久保vs江藤、が書いてあるだけなんだけど、凄かった。
でも、日本を作り上げようとした、この二人の似た者同士の思考方法は、それぞれ大事ですね。そして、近親憎悪も政治には付き物かもしれないですね。
三権分立を唱え、初の司法卿として法律を整備して、警察組織も整えた。
そ -
Posted by ブクログ
【感想】
ついに最終巻。信長というよりそれに仕える光秀にスポットライトが当てられて物語は進んでいく。
「うつけ」と呼ばれ、この本を読むまではいかにも感情的で粗暴なイメージもある信長だったが、イメージとはかけ離れた印象を持った。
天才、とも少し違うと思う。
徹底的なまでに現実的で、合理的なものの考え方をしているんだなと思った。
突飛な戦略の数々も、比叡山の焼討も、その時代であったから突飛で非常識な事だったのだろうが、合理主義の視点で考えると信長はそれに沿って進めていただけにすぎない。
(まあそれがスゴイのだが・・・)
また、光秀の苦悩と葛藤、信長に対するコンプレックスから「本能寺の変」が起きたの -
Posted by ブクログ
【感想】
斉藤道三編の後半。
この時代で既にPDCAをしっかり遂行し、権謀術数で巧みにのし上がって行く姿は本当にロマンに溢れる。
斉藤道三の凄いところは、上記のとおりPDCAだろう。
目的に向かってしっかりと段階を踏んで準備を行ない、色んな策を弄して遂行していく。
素晴らしい目的意識の高さとその手段の選定センスは、自分への揺るぎない自信と能力に裏打ちされているのだろうが、個人的には非常に参考になる部分も多いと思う。
やはり事を成すにあたり、PDCAを明確にすることは今も昔も大切なことなんだろう。
斉藤道三においてもう一つ注目する点は、目的遂行の為にまわりくどいほどに我慢強い事だと思った。