司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 歴史を紀行する

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    絶妙なバランスのうえに書かれた本。
    あとがきにもあるが、風土をステレオタイプ化することはナンセンスだが、人が集団になった時に現れてくる特性は、風土なしでは語れない部分がある。
    こうした風土に本人は無自覚で、他の集団と出会ってこそ比較が出来る。
    司馬さん自身も執筆の際に、自身の育った地の風土から完全に解放されていないとも思っている。
    司馬さんが現代のグローバリゼーションによる均一化をどう見るのか、聞いてみたかった。

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    2019年08月20日
  • 幕末

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    あとがきで著者は「暗殺だけは、きらいだ」と語る。そんな著者が幕末に起こった暗殺事件を記した連作短編集。

    普通に考えれば、暗殺なんてものに政治力や体制変革を期待するもんじゃない。むしろ、暗殺によって変わってしまうような社会や組織は遅かれ早かれ、変わってしまうものだし、ろくなものじゃなかったのだろう。

    が、幕末はそんな暗殺が評価された時代であり、志士たちは世直しになると信じて暗殺を企画し、実行し、死んでいった。

    本作品に登場する暗殺の当事者の多くはバッドエンディングを迎えている。政治判断もないし、自身の将来も考えず、暗殺に没頭する彼らに対して爽快感や死への同情も起こらない。司馬作品にしては、

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    2019年07月30日
  • 花神(下)

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    司馬さんの他の幕末物で出てくる場面が、当然沢山再登場するわけだけど、異なるアングルからなので、全く飽きることなく、あっという間に読めました。
    大村益次郎のような人は普通嫌われるもので、事実その通りだったようですが、私はこういう人好きです。

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    2019年07月17日
  • 「明治」という国家[新装版]

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    「明治」という国家を、あくまで現在の日本とは切り離して、著者の歴史観をもとに論じている。著者は多くの人の死を好まない。そういった観点から勝海舟による無血開城が高く評価されている、等。

    ひょうひょうとした語り口と熱い語り口のテンポ感が好き。読ませる文章。

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    2019年06月29日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

    【感想】
    初挑戦の中国歴史小説の第2弾!
    上巻と変わらず、登場人物の多さや名前の読み方の難しさには辟易したが、、、ストーリーそのものは楽しんで読めた。

    タイトル通り、項羽と劉邦の違いについて書かれていた。
    上巻では仲間だったご両人だが、劉邦の裏切りによって関係が破綻、相対する関係となった。

    英雄さながらの勢いで邁進する項羽に対し、劉邦の平凡さというか生々しさが本当に面白い。
    己の平凡さや弱さ、また項羽の強さをしっかりと認識し、部下の容赦のない助言にも嫌な顔一つせずに信じて受け入れる劉邦は、項羽とは違った意味でトップとして優れているんだなと思った。
    トップという立場の人間なのに、こんなにも執

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    2019年06月24日
  • 酔って候

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    久しぶりの司馬遼太郎。幕末の4賢候にまつわるエピソードを集めた、歴史の本流を知ったうえで読めると違った側面を楽しめる感じの1冊でした。ちょうど、八重の桜をDVDで見ていたり、会津若松や京都を訪ねたりしていたので、そういう意味で本の中で展開される物語と並行した物語や会話が交錯したりしておもしろかったです。そして、やはり文章がうまい。一場面の補足を概観でしてみたり後日談としての意味付けをしたり、現代の読み手が、あまり知識を持ち合わせていなくても読みやすく楽しめる文章という点で、こういうレベルを目指したいと思えた文章で楽しめました。

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    2019年06月23日
  • 街道をゆく 2

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    歴史好きのオジ様のバイブル司馬遼太郎先生!
    どうも日本史に造詣がないため、イマイチ手が伸びなかったのだが、紀行文という手があった。
    これはいい!私が知りたかった民族・語族・地政学的な話がてんこ盛り。
    これを今の私の年齢で書いたというのだから、やはり司馬遼太郎先生は凄すぎる。自分の薄っぺらさ加減がイヤというほど分かってしまう。かの人のように懐深く、厚みのある人物というのは今の日本にはほぼいないのではないだろうか。2019.6.19

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    2019年06月19日
  • 新選組血風録 新装版

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    新撰組の個が焦点に描かれた短編集。
    実在もそうでない人物も、新撰組の厳格さや壬生狼と呼ばれる所以の時としての野蛮さ、そして儚さが巧みに表現されている。

    (フェアに出した本)

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    2019年06月02日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    官兵衛という男。戦国時代には珍しい合理的な考えができた男。目薬売りから豪族化した彼の経歴によるものと考えられるが、それがもう一人の合理的な男織田信長に惹かれることになり、毛利ではなく織田を播磨へ導いたのであろう。

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    2019年05月24日
  • 新装版 アームストロング砲

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    佐賀出身なので表題作のみ読もうと思って借りたが、面白かったので結局全部読んだ。いづれも秀作だが、「大夫殿坂」の動機のばかばかしさに、ふっと笑ってしまった。幕末の動乱期にあっても人間の原理は他愛いもなく面白い。

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    2019年05月04日
  • 街道をゆく 41

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    司馬さんの人物評には根底に優しさがあってとても好き。青森(弘前・津軽半島・下北半島)を旅した北のまほろばにも、意固地だったりちょっと捻くれているけれど愛すべき人たちがたくさん出てくる。
    伊藤重や陸羯南をめぐる人々、今兄弟、棟方志功も皆、目の前で生きているよう。

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    2019年04月25日
  • 街道をゆく 3

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    街道をゆくシリーズ、初めて国内のものを読んだ。なぜもっと早くに読んでいなかったのかと後悔。

    世界史しか勉強しなかった身としては、初めて知ることがたくさんあった。

    あと、日本が単一民族国家であるという神話は罪づくりだなあと思う。色々な人たちがつくりあげたこんなにも多様で豊かな文化を持っている島なのに。

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    2019年04月12日
  • 「明治」という国家

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    明治という国家は、世界史としても一つのメルクマールである。異様なので。という内容。
    憲法が面白い。欠陥があって、昭和につながる。
    人々も面白い。阿Qが基本で、武士と町人のみ誇りある人々だったとか。

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    2019年04月07日
  • 新装版 箱根の坂(下)

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    この小説は、北条早雲が箱根の坂を越えて関東を制覇する話のはず。
    しかし上巻中巻ときて、未だ箱根の坂を越えない。
    下巻の400ページで本当に関東を制圧できるのか?
    北条早雲、50歳を超えているぞ。

    自分たちの欲得のための戦いをするだけで、何ら生産性のない守護や地頭などの武士階級。
    貴族化しつつある彼らは、農民が作る米や野菜を、国人たちの労力をただただ消費するのみで、疲弊しきった農民や国人には何の見返りも与えない。

    鎌倉時代に比べて農業生産性が格段に上がった室町時代。
    農民や国人たちから搾取するだけの守護や地頭を無視し、早雲は直接彼らと語らい、破格の低税率で領地の経営を行っている。
    しかし、た

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    2019年04月06日
  • 新史 太閤記(下)

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    【感想】
    上巻に続き、とても面白かった。
    「本能寺の変」によって仕えていた信長を亡くし、悲しみつつも義理を果たしたと切り替えて、「今度は俺が天下を取る」と計画を達成していく様は、読んでいてとても爽快に感じた。

    (例外も少々あったが)どの敵に対しても慈愛の心を忘れず接し、「不殺をもって人を手なずけ、世間を飼い慣らす」事に力を注ぐ。
    こと戦に関しては、用意周到に準備を行なって、投機性を減らして必ず勝つべき態勢を作り上げていく。
    出身が卑しいために難儀することも多かったが、決してそれに屈さず、陽気さを保って難事を乗り越え出世を果たしていくのは、本当に現代にも通ずる処世術だ。

    また、快進撃を続ける

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    2019年03月12日
  • 新装版 歳月(下)

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    「西郷を玉とすれば、その玉をくだく者はその門人、敬慕者、郷党だろう。師は弟子によって身をあやまる」

    江藤新平の残した言葉は正しかった。

    ただ自分が言ったその言葉は、ブーメランのように自分に返ってくることは想像してないところが、江藤の特徴である、「うかつ」さ、なんだろうな、と思えた。

    上巻より、下巻がとてつもなく面白かった。
    大久保vs江藤、が書いてあるだけなんだけど、凄かった。
    でも、日本を作り上げようとした、この二人の似た者同士の思考方法は、それぞれ大事ですね。そして、近親憎悪も政治には付き物かもしれないですね。

    三権分立を唱え、初の司法卿として法律を整備して、警察組織も整えた。

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    2019年03月02日
  • 新選組血風録 新装版

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    久しぶりに再読。活字が大きい新装版とは言え、600ページを超える分量だが、面白く、あっという間に読み終えた。
    同じく司馬遼太郎の『燃えよ剣』よりも人物の人柄が色濃く出ている。天真爛漫だが冷徹さも垣間見える天才剣士、沖田総司の存在が大きい。

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    2019年03月01日
  • 坂の上の雲(六)

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    ここまで深く掘り下げられると、1つの出来事としての戦争だけに留まらず、歴史の背景から実際に起きたことまで、非常に多くのことを学び取れる。内容的にも非常に面白く、一気に読み終えてしまった

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    2019年02月10日
  • 国盗り物語(四)

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    【感想】
    ついに最終巻。信長というよりそれに仕える光秀にスポットライトが当てられて物語は進んでいく。
    「うつけ」と呼ばれ、この本を読むまではいかにも感情的で粗暴なイメージもある信長だったが、イメージとはかけ離れた印象を持った。
    天才、とも少し違うと思う。
    徹底的なまでに現実的で、合理的なものの考え方をしているんだなと思った。
    突飛な戦略の数々も、比叡山の焼討も、その時代であったから突飛で非常識な事だったのだろうが、合理主義の視点で考えると信長はそれに沿って進めていただけにすぎない。
    (まあそれがスゴイのだが・・・)
    また、光秀の苦悩と葛藤、信長に対するコンプレックスから「本能寺の変」が起きたの

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    2019年01月31日
  • 国盗り物語(二)

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    【感想】
    斉藤道三編の後半。
    この時代で既にPDCAをしっかり遂行し、権謀術数で巧みにのし上がって行く姿は本当にロマンに溢れる。

    斉藤道三の凄いところは、上記のとおりPDCAだろう。
    目的に向かってしっかりと段階を踏んで準備を行ない、色んな策を弄して遂行していく。
    素晴らしい目的意識の高さとその手段の選定センスは、自分への揺るぎない自信と能力に裏打ちされているのだろうが、個人的には非常に参考になる部分も多いと思う。
    やはり事を成すにあたり、PDCAを明確にすることは今も昔も大切なことなんだろう。

    斉藤道三においてもう一つ注目する点は、目的遂行の為にまわりくどいほどに我慢強い事だと思った。

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    2019年01月09日