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「明治」は、清廉で透きとおった“公”感覚と道徳的緊張=モラルをもっていた。明治国家という人類普遍の遺産を語る。巨匠畢生の日本文明論であり、鮮明な日本人論である。
・本書は、もっとも鮮明な日本人の歴史を書き続けてきた司馬遼太郎が、これまでの蓄積のすべてを傾けて、遠く蜃気楼の彼方に消えて行った“明治という国家”を、客観的に、机の上の物体を見るような気分で、語り尽くすものである。
・暁闇の海に一条の光を求めて、船出していった明治の時代人の人間観と時代の精神の核と髄とが、緻密な論理と温かい筆致で叙述される、これは“歴史という死者の国の旅人”となった巨匠畢生の日本論であり、日本人論である。
<注>電子版には巻頭カラーは収載されていません。
Posted by ブクログ 2011年08月12日
ぐいぐい引き込まれました。司馬遼太郎さんの本を読むのはこれが初めてです。明治に関わる本をたくさん書いておられるのは知っていましたが、この明治という時代、彼は「国家」と表していますが、その造詣の深さにただ驚くばかりです。
この本を読む前に、勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬の伝記を読みましたが、他の人物につ...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月29日
『「明治」という国家』(上)・(下)
司馬さんが明治という時代に抱いている明るい印象は、『坂の上の雲』でも示されている。確かに、大学に入ったばかりの少年が抱くようなみずみずしい、けれどもどこか気負ったような思いが、あの時代には満ちていたのかもしれない。
内容の中では、上巻の一番最初、小栗上野介の話...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月21日
明治国家。
それは、その時代を生きた熱意と、それを支えた人間による独断的な国家だったか。
明治国家のある種寛容な部分が、元老死後の昭和中期に欠陥として浮き出し、日本は一時滅ぶと考えるとなんとも言えない。
司馬遼太郎は好きな作家であるし、これ以上の歴史作家はいないが、考えには賛否を示す必要がある...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年03月15日
何度目かの再読。維新から明治新政府=近代国家成立と、安易に捉えがちだが、西郷の西南戦争ひとつを取っても内戦とは言え新政府は死力を尽くした上の薄氷勝利。廃刀令や版籍奉還・廃藩置県で武士階級を取っ払い、富国強兵の名の下、「中央集権国家」の樹立を目指し、近代国家の象徴とも言うべき「大日本帝国憲法発布」まで...続きを読む
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