司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 城塞(中)

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    いよいよ大坂冬の陣。真田幸村、後藤又兵衛ら大阪方の武将が揃い、いざ決戦。のはずだが、本書で語られるストーリーの多くは、家康による謀略中心。家康にとって一応、主人である豊臣家を潰すことは、後世の汚名につながる恐れがある。単純な軍事力で勝敗を決めるわけにはいかないのだ。家康が見ているものは、目の前の大阪城ではなく、終戦後の徳川統一のビジョンだ。

    はるか先を見ている家康に対し、豊臣家は現実すらまともに見ようとしない。淀殿、大野修理、浪人たちが都合のいい状況を選択して、意見がまとまらない。

    真田幸村など、やる気のある優れた武将たちが揃っている大阪方は局地戦では勝利するも、その小さな勝利を全体に波及

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    2017年11月24日
  • 峠(中)

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    河合継之助、行動を起こし始める、の巻。歴史上の重要人物が何人も出てくる、すごい時代だなと改めて思った。

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    2017年11月17日
  • 菜の花の沖(六)

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    ネタバレ

    最後の嘉兵衛との別れ際にリコルドとロシア水夫たちが「タイシヨウ、ウラァ!!」と3回叫ぶ、このシーンを読むためにこの本は存在すると思う。

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    2017年11月13日
  • 城塞(上)

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    関ヶ原の戦いは終わったが、大阪城には未だ豊臣家の威光は健在。自身の寿命ある内に徳川による治世を完成させたい家康を、類のない陰謀に走らせる。

    本書で描かれる家康はなんとも鼻につくイヤな奴。こんな奴が天下を取るなんて許せない、大阪ガンバレと思ってしまうが、その大阪方の人材の乏しいこと。なんせトップが現実を直視せず感情だけで思考する淀殿に、寝たきり老人のように影の薄い豊臣秀頼。そんな幻想家が支配する大阪城内の空気は乱れきっていた。

    歴史を知らず、次巻を読むまでもなく、勝敗はすでに決しているのだが、その勝敗外でうごめく人間模様が見どころ。この巻の主役は片桐且元。家康、淀殿からのパワハラを受けまくり

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    2017年11月07日
  • 街道をゆく 14

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    再会がテーマの「街道をゆく」

     二十年来の知己である宇和島市立図書館長をしていた渡辺喜一郎と「久濶を叙した」という場面に見るように、「街道をゆく」のなかで「南伊予・西土佐の道」は、再会がテーマであるかのようである。
     それほどに司馬は旧知と先々で出会っていく。司馬にとって大阪外国語学校の先輩で、満州・長春に訪ねたことのある森和氏、司馬夫人の友人の夫、石丸良久氏、産経新聞社の同僚であった松浦幸男氏など。渡辺氏とともに十年以上前から宇和島周辺を取材して知った人々などを入れるさらに多くなる。
     その外に赤尾兜子の兄、赤尾龍治は盤珪禅師の研究者として紹介される。
     「街道をゆく」では旧作が話題になることも少なくないが、それに

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    2017年10月31日
  • 菜の花の沖(二)

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    嘉兵衛が淡州へ帰り、律蔵さんに対して生涯の大恩人じゃ、と思うところが好き。こんな聖人のような人に支えられた嘉兵衛は幸せ者だな。

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    2017年11月13日
  • 項羽と劉邦(上中下) 合本版

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    項羽と劉邦

    以前に一度は途中まで読んだけど挫折しました。
    今回はビデオを見て内容が分かっているので実に面白い🤣です!すぐに読んでしまうでしょう。

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    2017年10月15日
  • 風神の門(上)

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    幸村の人物に惹かれていく才蔵の様子や、それを見守る佐助、彼らを取り巻く女性たち。これらの人物がいきいきとえがかれていて、まさに活劇という作品

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    2017年10月12日
  • 翔ぶが如く(十)

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    これほど慕われ続ける人望と器量を備えているものの、ここに登場するやその厭世に虚しくなる。結果として成し得なかった征韓論には、極めて複雑な背景があり、どうあれ退いてくれたことに安堵するけれど、大久保、岩倉を追い詰め、三条を錯乱させた往時には、その威容を誇る。薩摩に帰郷して後は、何ら光彩を放つことなく、もちろんそのための遁世なのだから、そのまま不動でいて欲しかった。革命の象徴から、新たな革命の虚像へ。そして、演じたのか捨て鉢であったのか、木偶の最期を迎えた。敵味方を問わず西郷を担ぎ、共に逝った者たちの情緒は知れても、西南での西郷の機微に触れることはできなかった。

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    2017年10月08日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

    劉邦の関中制覇、鴻門の会での項羽への屈従、彭城への進軍、つかの間の勝利と大敗北、滎陽での籠城戦、そして撤退。今巻も事件が頻発し、見所も多い。
    張良や陳平といった軍師の活躍も面白いけれど、巻末に登場する紀信の存在感が心に残る。悪口癖のある、特に取り柄もなさそうな男だけれど実は、この世に誰か一人だけ、好きな人間を持ちたくて仕方がない心を隠している、と描かれる紀信の潜めた感情の熱さ、そしてそれが表現されるときの、自身を焼き尽くすほどの激しさが悲しく、しかし静かに胸に迫る。

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    2017年10月02日
  • 義経(上)

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    軍神と称された幼稚な義経の物語。多くの点において、自らを重ねるところあり、政治感覚の無さ、他者への気持ちのわからなさ、自分を正しいと思う、思い込みの強さ、自らを重ねるようである。

    しかし、痛快な30年弱の人生であっただろう。
    初陣から壇ノ浦まで、古今類を見ない奇跡的な勝利、それはこの時代になかった、
    戦術、策、を用いた初めての戦いであり、またそれにより価値、勝てない戦を勝って、英雄となった。

    鎌倉が恐れること、仲間だと思っていた身内が恐れることを「まったく」分からなかった。
    その純粋さ、つまり「親のかたき討ち」以外には思いを寄せることが出来なかったことが、
    結果、さわやかで痛快な、そして悲

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    2017年09月28日
  • 峠(中)

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    印象的だった箇所

    なにごとかをするということは、結局はなにかに害をあたえるというとだ
    何者かに害をあたえる勇気のない者に善事ができるはずがない
    (207頁)

    あと、継之助と福沢諭吉のやりとりは刺激的で面白い。普段使っている熟語(自由とか権利とか演説とか)を福沢諭吉が苦心して案出したというのも新鮮だった。

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    2017年09月23日
  • 合本 坂の上の雲【文春e-Books】

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    合本 坂の上の雲

    文庫本を持っていたが、行方不明になりもう一度読みたいため購入。電子書籍は持ち運びが楽であるため、どこでも読める利点がある。坂の上の雲は明治期の正岡子規以外はあまり知られていない人物に焦点を当てた面白い本である。正岡子規や夏目漱石らと同時代を駆け抜けた伊予の2人の生き様は感銘を受ける。

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    2017年09月11日
  • ロシアについて 北方の原形

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    氏が「菜の花の沖」「坂の上の雲」を書く際に考え続けていたロシアという国の本質について考察した本。現在読んでも全く古さを感じず、この国の本質を考えるヒントを与えてくれる。

    国の成り立ちや侵略された歴史から国家としての性格が形作られていった様子がよく分かる。特にシベリア等の極東開拓の歴史は日本人として知っておくべきだろう。

    ロシアの側から見れば、北方領土とモンゴルをセットにして捉える必要があるなど、北方領土問題を語る前に我々国民もロシアのことをより知る必要があることを再認識した。この問題においては変に国民感情に訴えることは慎まなければならないという、氏の考えには全く同感する。

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    2017年09月05日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    かなり前に落語の枕で本書のことが語られていたのが頭に残っていた。近年になり四国八十八か所巡礼に別のきっかけから興味を持ち、本書を購入した。著者の他の歴史小説と違い、弘法大師・空海の生立ちを記者の目で見、一歩引いた立場で文章にしたという印象だ。したたかな人間としての空海を読むのは面白い。命を懸けて唐・長安へ行き、わずかな年数で帰国したことは知っていたが、彼の策略であろうことが容易に想像できてしまう。

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    2017年08月27日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    空海と最澄とのやり取りは緊張感を伴うものだ。読者としては空海に肩入れしており、最澄の密教に対する教えの乞い方は、偶然同じ船団で渡唐した時の差別的扱い等も伏線になり、反感を覚えざるを得ない。最澄なりの考えがあればこそ天台宗が平成の現代でも受け継がれているのだろうが。平安期、日本よりはるかに進んだ世界(長安とそこに居住する外国人のいる文化)を見て帰国した空海の、日本を見る目とそれに伴う孤独もイメージされる、人間・空海への理解が深まる良書で、真言密教にも興味が湧いた。我が住む街も真言宗の寺院が多いな~

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    2017年08月27日
  • 世に棲む日日(三)

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    「長州は長州によって立つ」
    九州での3週間で高杉晋作が掴んだ、「自分のことを自分以上に考えてくれる人などいない、自身がインフルエンサーたるべし」、という感覚は、何にでも応用出来る、励みになる教えだ。
    次巻で、いよいよクライマックスへ。

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    2017年08月24日
  • 酔って候

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    久しぶりに司馬遼太郎。
    しかも短編集。
    舞台は幕末、新選組や江戸幕府直結関係かと思いきや
    全然また違う当時200以上いた藩主の話。
    土佐藩の山内容堂・薩摩藩の島津久光・宇和島藩の伊達宗城・肥前佐賀藩の鍋島閑叟
    山内容堂はもう説明なしで有名すぎるから特にw
    表紙の瓢箪の絵(お酒が入った)然り、まぁとにかく終始お酒が好きで気性が激しすぎ。
    島津久光は自分が一番!って思いこみすぎてほかの人の意見聞いたり聞かなかったり(自分でなんとなくしか考えずに)ふと気が付けば倒幕なう。みたいな。
    伊達宗城は思い付きがすごいというか何で黒船を
    提灯職人に任せるのか謎だったけど結局は出来ちゃったのがすごい。
    しかしこ

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    2017年07月07日
  • 義経(下)

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    機動戦士ガンダム。アムロ・レイ。zガンダム。カミーユ・ビダン。シャア・アズナブル。
    うーん。彼らの原型が、「源九郎義経」だったとは。
    ガンダムファン、必見、必読の作品だと思いました。



    司馬遼太郎さん「義経」(文春文庫、上下)。1968年発表だそうです。

    これは、面白い。

    つまり、司馬遼太郎版の「平家物語」なんですね。

    平清盛の栄華から。
    少年義経の放浪。
    頼朝の挙兵、木曽義仲の挙兵。
    富士川の戦い、宇治川の戦い。木曽義仲の敗死。
    一の谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦い。義経の絶頂。
    義経と頼朝の対立、腰越状。
    そして、義経の没落まで...。

    いわゆる「源平」の美味しいところをわ

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    2017年06月16日
  • 義経(上)

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    機動戦士ガンダム。アムロ・レイ。zガンダム。カミーユ・ビダン。シャア・アズナブル。
    うーん。彼らの原型が、「源九郎義経」だったとは。
    ガンダムファン、必見、必読の作品だと思いました。



    司馬遼太郎さん「義経」(文春文庫、上下)。1968年発表だそうです。

    これは、面白い。

    つまり、司馬遼太郎版の「平家物語」なんですね。

    平清盛の栄華から。
    少年義経の放浪。
    頼朝の挙兵、木曽義仲の挙兵。
    富士川の戦い、宇治川の戦い。木曽義仲の敗死。
    一の谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦い。義経の絶頂。
    義経と頼朝の対立、腰越状。
    そして、義経の没落まで...。

    いわゆる「源平」の美味しいところをわ

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    2017年06月16日