司馬遼太郎のレビュー一覧
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大昔に読んでいたものを、数十年ぶりに再読。
読んでいて「これ、初読なんじゃないか?思い込んでただけで」と数度思い。
でも最終的に「あ、これ読んだなやっぱり。数十年前に」となんとなく思った。
戦国時代に秀吉の下で名を馳せた軍師「黒田官兵衛」の半生を描く長編小説。
個人的な説ですが、司馬遼太郎さんの特に長編は、
「坂の上の雲(1969-1972)以前、と以降」
に分けられると思っていて、「播磨灘」は1975。以後です。
「竜馬がゆく」や「国盗り物語」に比べれば、枯れていて、エンタメ臭が弱い。
その分、読み手側がもうほぼ50歳ともなると、「再読の滋味」は「以降」の諸作の方が深かったりします -
Posted by ブクログ
映画公開までに読み終えたかったのですが、公開2週間たってやっと読み終えました。
地元の話なので、地理的なことがよく分かるし、幕末に活躍した全国の偉人の動きもつながって、10代の時に読んどくべきだったなぁと思いました。
司馬遼太郎作品はあんまり読んだことがないので分からないのですが(『梟の城』くらい)、時折作者の解説文みたいのが入るのが理解を深めて面白かったです。
ただ、地元では長岡を焼け野原にしたヤバい奴っていう評価を、子供の頃に自分のジジババ世代に聞いたのですが、そういう表現は本文には出て来なかったです。
その辺も含めて調べてみたいので、改めて河井継之助記念館に行って調べてみようかと思いま -
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坂の上の雲(8)
日露戦争については神話的に語られることが多いが、司令官たちの評価についてイメージが変わることが多かった。
そして、この勝利について参謀本部は自分たち自身で「日露戦争史」という、ただ出来事と数字だけを書いた何も役に立たないものを残した。
しっかりと分析と評価を書き込んだものを残しておいたのなら、
その後の昭和陸軍の愚行のようなものはなかっただろうと司馬遼太郎はあとがきでも語っている。
彼自身は直接、戦争そのものを否定する記述はなかったが、悲惨な戦争の描写と主人公の1人、真之がその後、精神世界に傾倒していったことで、戦争の狂気の面も描いている。
戦争は勝った国も狂わせる。 -
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幕府は長州藩との海戦に敗れ小倉城も陥落しいよいよ窮地に追い込まれてゆく。勝海舟は幕府の使者として長州藩との停戦交渉に厳島へ派遣される。将軍慶喜からはやり方は全て任せると言われ、だったひとりでこの命がけの任務に就いた。
果たして勝の誠意あふれる態度は長州藩の心を捉え、停戦は無事に実った。しかし慶喜は勝が無条件和睦を約束したことを不服に思い、任務を果たした勝をねぎらいもせず無視した。負け戦の停戦であるにも関わらず幕府の対面を保つために懲罰を与えるべきだったとは、それも全てを任せると言っておきながら。まさに「なんと虫のいい…」である。
しかもその上さらに幕府は勝とは別方向で朝廷に働きかけ、勅定という -
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竜馬が奮闘した大政奉還が実現し、徳川幕府の時代が終わり、新しい時代の幕が開ける…
あぁ、ついに終わってしまった!
読み終わった私は完全に竜馬のファンになっている。
倒幕の後の地位や名誉を当然気にする人たちの中で、ここまでやっておきながら大政奉還の後は全てを他の人に任せて自分は世界の海に出ると言う。
かっこいい〜〜かっこよすぎる!!
権力に媚びず、人を見る目を持って仲間を増やし、大胆に行動する。竜馬の器が大きくて、時に些細なことでクヨクヨしたりイライラしたり悩んだりする自分がとてつもなくちっちゃな人間に思える。
「しかない、というものは世にない。人よりも一尺高くから物事をみれば、道はつねに -
ネタバレ 購入済み
英雄児
・「おれという人間は、自分の一生というものの大体の算段をつけて生きている。
なるほど、おれの家は小禄だし、おれの家は小藩だが、小藩なだけに将来、藩はおれに頼って来ることになるだろう。
同じ一生を送るにしても、婦女に鉄腸を溶かしてしまうのも一興かもしれぬ。
しかし人間、二通りの生き方はできぬものだ。
おれはおれの算段通りに生きねばならん」
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ネタバレ 購入済み
天明の絵師
・「お前の絵については、わしが認めている。
あるいは器用貧乏で終わるのかもしれないが、一つ間違えば、ひょっとすると画壇の大宝になるかもしれない」
「思いもよらぬことでございます。元来があさはかでございますから。
いっそ、自分の器用を捨てればよろしゅうございましょうか?」
「捨てる?…若いのだな。世に浅いとでも言うか。
つまり、自分を含め、人間というものがわかっていないから、そのように、
わかったような、田舎寺の和尚のようなことを言うのだ。
人間、持って生まれたものを捨てられるはずもなく、また捨てる必要もない。
死ぬまで持ち越して行くものさ」
「先生…」
「旅に出るかね?10 -
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吉田松陰の志と学ぶ姿勢に圧倒される。その時代の課題感に命を賭して、志を実現するために、学ぶ姿勢が目を見張る。特に命懸けの密航をしてまで外国から学ぼうとする姿が驚異的である。多くの組織が閉鎖的でタコツボ化している現代にもこのような志士が必要であり、自分がそうあれるように学びを怠ってはいけないと強く感じる。
以下、印象的なフレーズ。
・英雄もその志を失えば、その行為は悪漢盗賊とみなされる。
・学問とはこういう時期の透明な気持ちから発するものでなければならない。
・死は好むべきものにあらず、同時に悪むべきものでもない。やるだけのことをやったあと心が安んずるものだが、そこがすなわち死所だ、ということ