司馬遼太郎のレビュー一覧
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司馬作品というと、どちらかというと長編小説群に目が行く人も多いのではないでしょうか。この作品は、戦国期を舞台にした7編の短編集です。司馬作品は長編ばかりではなく、短編でもその魅力を十分に発揮していることが、この本でよくわかると思います。
いずれの作品も限られた紙面の中で、主人公の魅力を遺憾なく発揮し、その主人公の人生にどんどん引き込まれます。歯切れのよいストーリー展開で、一息に読み通してしまいました。
また、これらの短編が、長編作品を書く際の屋台骨となっていることも感じ取れます。ほかの作品とあいまって、読者にとっての司馬世界を豊かなものにしてくれると感じました。 -
Posted by ブクログ
いよいよ石田三成は、会津の上杉氏とともに挙兵する。光成も家康も共に大義名分は、豊家を脅かす奸賊を征伐するためとなっているが、諸大名はどちらにつくのが自分にとって有利なのかを機敏に察知し、多くが家康に付いていくこととなる。P427に、司馬遼太郎が書きたかった本小説の本質が書かれている。「世間は、欲望と自己保存の本能で動いている。」このテーマは、著者の他の著作の多くにおいて描かれているが、本小説程、この本質を描くのに適した題材は無いであろう。この日本人の持つ特質は、戦国期の昔から現在まで変わること無く引き継がれており、おそらく未来永劫変わることはないのであろう。伝統的な日本企業あたりでは、今日もま
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Posted by ブクログ
「亡き友人に捧ぐ」
そんな副題が頭に浮かぶくらい、付き合ってきた友達への愛情が溢れ、さらに愛惜感たっぷりの作品になってる気がします。
題名が秀逸すぎます。
読み終わって表題の意味がズシンときました。
いつもそうですが、タイトルがステキすぎる。笑
人がその人生をつかい切ったあと。
不思議とその人の生き様や生きてきた証が。
光るように浮かび上がるように。
作者には見えてしまうんでしょうね。
あ!跫音か。笑
名声や成功があろうがなかろうが。
英雄的な生き方をしようがすまいが。
そう。どんな人にも曲げなかった信念が。
人生を紐解くと、全ての人が、小説になり得る。
いや。この方の手にかかれば、か -
Posted by ブクログ
ネタバレ竜馬がゆくは1巻から5巻までは特にレビューは書いていませんでした。
とても面白く、夢中になって読んでいるので8巻読み終わってから
最後にまとめ的なレビューを書こうと思っていたのですが
この6巻はかの有名な薩長同盟を締結させた部分であり
そこの描写があまりに心に響いたのでレビューを書いています。
竜馬が奔走し締結直前まで進んだ薩長同盟。
最後の最後のところでまだ小さなわだかまりやプライドで
なかなか決断しない薩長それぞれの代表に対して
竜馬が放つ叫びに心震わされました。
そしてようやく薩長同盟が成った夜の寺田屋での襲撃事件。
あまりに怒涛な展開で時間の経つのも忘れて読み耽ってしまいました。