【感想・ネタバレ】新装版 おれは権現のレビュー

あらすじ

戦国時代、それは苛酷残酷な時代であると同時に、気宇壮大な時代でもある。だからこそ、常識を常識とせず、天衣無縫、奇想天外に生涯を送る人物が輩出したのだ。超人的武勇の裏の意外な臆心、度はずれに呑気な神経の持ち主のじつは繊細な真情。戦国時代人の剛毅闊達にして人間味あふれる短編7編を収録。

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Posted by ブクログ

司馬作品というと、どちらかというと長編小説群に目が行く人も多いのではないでしょうか。この作品は、戦国期を舞台にした7編の短編集です。司馬作品は長編ばかりではなく、短編でもその魅力を十分に発揮していることが、この本でよくわかると思います。
いずれの作品も限られた紙面の中で、主人公の魅力を遺憾なく発揮し、その主人公の人生にどんどん引き込まれます。歯切れのよいストーリー展開で、一息に読み通してしまいました。
また、これらの短編が、長編作品を書く際の屋台骨となっていることも感じ取れます。ほかの作品とあいまって、読者にとっての司馬世界を豊かなものにしてくれると感じました。

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2018年12月16日

Posted by ブクログ

福島正則、可児才蔵、木村重成、長曾我部康豊、安川道頓他、花房職秀、飯田直景 7編。

関ヶ原後、徳川幕府の安定へと戦乱の世が終焉する過程での戦国武将の気風、最後の煌めき。

気宇壮大 この漢字四文字、漢は皆憧れるのでしょう。そう生きるための悲しさ。努力。ギャップへの苦悩。

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2016年08月13日

Posted by ブクログ

色々な短編があるが。「けろりの道頓」という話がもっとも感動した。大阪の道頓堀の名の由来となった安井道頓。
彼が豊臣家に殉じていたとは全く知らなかった。
魅力ある男の物語だ。

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2014年08月08日

Posted by ブクログ

『愛染明王』…福島正則の話
『おれは権現』…可児才蔵の話
『助兵衛物語』…宇喜多家家臣、花房職秀の話
『覚兵衛物語』…加藤家家臣、飯田直景の話
『若江堤の霧』…木村重成の話
『信九郎物語』…長宗我部盛親の弟、長宗我部康豊の話
『けろりの道頓』…道頓堀を作った、安井道頓の話

司馬遼太郎の小説を読んでると、物語の主人公の行動が、
この人はこうするしかなかったんだなぁ、と腑に落ちます。
実際の選択肢としても、心情としても、生来のものとしても、
それを選ばざるを得なかったという納得感があります。
必然的なかんじがします。

しかもその必然の種が、その前にちゃんと蒔かれています。
不本意だとしても蒔かれていて、それによって、
こうするしかない、という心理や状況が生まれています。
『愛染明王』、『覚兵衛物語』では、そんなことを思いました。

『おれは権現』では、可児才蔵という豪の者が、
一人の人間に人生を縛られていることに、
なんだか退廃的なときめきを感じました。

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2013年01月31日

Posted by ブクログ

福島正則、可児吉長、木村重成、安井道頓などの「有名だけど歴史の主役にはなれない」「無名だけど魅力的」な人物を主人公にした短編集。

マイナーな人物にも活き活きとした表情を与えるのが著者の作品の魅力であるが、これもそんな中の一冊である。

これと併せて、彼らが端役で登場する著者の長編を読むとより楽しめるのではないだろうか。

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2013年01月29日

Posted by ブクログ

短編7編。長宗我部元親の末子『信久郎物語』が好きです。駆け抜ける青春の挫折と苦悩、大阪夏の陣の後に生きのびて世の中を渡って行く逞しさ。散らなかった武士の生き様を短編でなくて長編で読みたいです。

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2009年10月04日

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主人公は猛将で知られる福島正則・可児才蔵・花房助兵衛・飯田覚兵衛・木村重成。 そしてあまり知られていない長宗我部信九郎と安井道頓。
 福島正則の狂人ぶりと木村重成の美しさがお勧めの秀作です。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

関ケ原の戦い前後で功績を上げた個性的な武士や民の短編

・『愛染明王』
家康方の功労者。成り上がり大名の福島正則。豊臣方の縁者でありながら、石田三成討伐へと家康方にしむけられ、いいように乗せられ利用されたという感じ。強烈な気性の狂人に描かれている。
戦国の世でなければただの無頼漢。

・『おれは権現
豊臣秀次方時代。妾の目から見た可児才蔵吉永。
実際人気の高い人物らしい。
妾がなぜ子を儲けようとしないのか聞き出そうとする。
思い込みが強いというか、祈祷によって弱者から強者へと変容した。

・『助兵衛物語』
宇喜多家家臣の花房助兵衛。巫女からみた魅力的な助兵衛。
結局、骨はただのお守りだったのだろうか?

・『覚兵衛物語』
加藤清正の幼なじみで家臣になった飯田覚兵衛。
孫ほど離れた妾は助兵衛の過去を知っていく
伽の話が少し官能的


・『若江堤の霧』
大阪夏の陣・冬の陣に登場する豊臣方秀頼の重臣の木村重成。名だたる名将の2世たちが活躍する。
才あるが若すぎる重成。
太閤亡き後の弱体化した豊臣方で散る、負け戦が物悲しい


・『信九郞物語』
長曾我部盛親の異母兄弟である長曾我部信九郞。
世が世なら、百姓から成り上がる実力もあっただろうに…
この頃の弱体化した豊臣方の落ち牢人の武士たちの悲哀というか、物悲しくもあり感慨深い。
一番好きな物語だった。


・『けろりの道頓』
大阪道頓堀を作った大百姓の安井道頓。
一番ライトな物語だった。キャラが面白く好人物。

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2024年11月29日

Posted by ブクログ

読むのは3度目ほどでしょうか。 司馬先生の短編集の中でも、結構好きな1冊です。 主に関ヶ原、大坂の陣の頃の人物を主題にした作品が収録されています。 「若江堤の霧(木村重成)「信九郎物語(長宗我部康豊)」「けろりの道頓(安井道頓)」の3本が最近のお気に入りでしょうか・・・。

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2010年09月23日

Posted by ブクログ

戦国時代、それは苛酷残酷な時代であると同時に、気宇壮大な時代でもある。だからこそ、常識を常識とせず、天衣無縫、奇想天外に生涯を送る人物が輩出したのだ。超人的武勇の裏の意外な臆心、度はずれに呑気な神経の持ち主のじつは繊細な真情。戦国時代人の剛毅闊達にして人間味あふれる短編7編を収録。

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2009年10月04日

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