司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 新装版 箱根の坂(上)

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    いつ始まったのかもわからない、なぜ始まったのかもわからない応仁の乱に翻弄される京の人々。
    天皇の側近、伊勢氏の屋敷の片隅に小屋を建て、鞍作りで細々と暮らしを立てている新九郎。

    彼の立身出世物語のはずなのだが、10年ほどの歳が流れて、今のところまだ出世はしておらず、箱根にもたどりついていない。
    上巻の主役は応仁の乱だったかもしれない。

    今川家の嫡子を生んだ妹の千萱に呼ばれ、駿府へと向かうところで次巻に続く。

    頭が切れ、肝が据わっているけれども、所詮本家本流にはなれない身分。
    欲を持たず、目立つことなく、ひょうひょうと生きる新九郎の内心の思いは、本人にもわからない。
    そんな彼がどうやって歴史

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    2019年03月06日
  • この国のかたち(一)

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    やっぱり、司馬遼太郎の文体が好きだ。
    電車通勤の時間に、読書の体力が残っている時にだけ読むから、まだ3巻目しか読めていないけど。日本の国の歴史に対する深い洞察、きっと著者の読書量は半端ないんだろう。
    陸軍士官として戦争を経験したがゆえに感じたこと。当時の雰囲気。それらを後世に残してくれたことを感謝。

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    2019年03月02日
  • 街道をゆく 2

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    朝鮮半島の歴史と日本との関係がメインの巻でしたが、殆ど知らなかった内容ばかりで非常に興味深かった。
    韓国人と日本人の国民性の違いをこのように理解して互いに受け入れれば、昨今の関係ももう少しマシになると思う。

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    2019年02月28日
  • 果心居士の幻術

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    前にも読んだことはあるが、最近、司馬遼太郎記念館へ行った際に、ちょうど忍者や異能の者を特集展示していて、この『果心居士』も取り上げられていた。再読したくなったもの。
    『一夜官女』のあとがきにもあったとおり、司馬はさまざまな歴史の精霊たちとつきあっていたが、そのうち、妖かしに類するものの特集だ。

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    2019年02月10日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    ★3.5だがおまけで。
    何より一番の驚きは空海という人物が人間臭いという感想を抱かされたこと。正直に言って聖徳太子的な眉唾的存在かと思っていたのですが、最澄含めて必ずしもそうではなく、結構文献からその人となりが推察できることに素直に驚愕。
    その上でですが、やっぱり幕末あたりのこの作家の作品と比べると少し浅いというか濃密さが足りない、そこはやはり遠い昔ということかもしれず。
    でも空海の嫌らしさが垣間見えて結構楽しめました。

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    2019年02月09日
  • 街道をゆく 5

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    やはり小説家だけあって話が面白い。田中克彦が出てきたのには驚いた。さらに、モンゴル語の辞書でモンゴル語を学習していたということは初耳であり、他の紀行には出てこなかったような気がする。

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    2019年02月04日
  • 世に棲む日日(一)

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    最近、松陰先生に関連する映像や文章に触れる機会が多かったため、久しぶりにこの小説を読みたくなって何回目か分からないくらいの再読。
    松陰先生の人生は、行動だけ見ると破天荒なものが多いけど、長州藩をはじめ日本全体をよくするための行動だったんだよな、ということを改めて感じたりした。また、自分自身が松陰先生の考え方とよく似ているなぁ、とも思ったり。まぁ、先生ほどの激情や行動力は無いんだけどね。2巻以降も楽しみながら再読していきたい。

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    2019年02月01日
  • 韃靼疾風録 (上)

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    明から清へ、中国王朝交替の激動を描く長編小説。前半はアビアと庄助の恋愛が、後半は激闘のアクションシーンが見せ場になっていて、上下巻で千ページを越える長編ながらまったく飽きさせない。 著者あとがきに曰く、「人も事件もことごとく数奇である」。

    漢族、女真族はもちろん、日本、朝鮮の比較文化論としても面白い。

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    2019年01月31日
  • この国のかたち(五)

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    この巻では、「神道」、「鉄」について多くが書かれている。

    古のこの国の人々は、自分たちが生きていく、また生活していく上で「自分たちを生かしてくれるもの」、即ち、大地や空、山や川、海などの自然こそが最も尊い存在である事実を感じ、奉って来たのだろう。
    神道は、その思想を興した者を崇めるわけでなく、また本尊といった物なども無い。
    自分たちを生かしてくれる自然、そして、その自然が実らせる豊かさこそ、唯一崇高なものだということなのだろうか。

    そして、「鉄」であるが、「鉄」が出現したこと、精錬技術の向上が、生活と文化、農や工などの労働に対しても、大きな進歩の一役を担ったことは言うまでもない。

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    2019年01月30日
  • 国盗り物語(四)

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    光秀ーーー!!!
    上司に恵まれないというのか、いや、やはり性格の問題なのだろうか…?いやでも相性の問題というのは大きい気がするなあ…。
    もうちょっとこう、自分を活かしてくれて自分と合う上司があったらなあ…
    どうにもこうにも光秀に思い入れてしまうのであった。

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    2019年01月27日
  • 国盗り物語(三)

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    道三……!
    やはり道三の最期は感じ入るものがある…。
    しかし信長の主人公感はすごいな。生まれ持っての、という感じだ。どうしても信長が出てきてしまうと、道三がいい脇役のようになってしまうのは何故なのだろうなあ。

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    2019年01月27日
  • ロシアについて 北方の原形

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    北方四島への関心から20年ぶりに再読。司馬さんがこれを書いてから30年以上経ち、ジャパンアズナンバーワンは遠くなり、ソ連は崩壊しています。歴史書ではないし、参考文献もありません。でも、司馬さんの縦横無尽で俯瞰的な視線は、今も魅力的です。ロシアについて書かれていますが、他の作品同様、日本のかたちも模索しています。ただ肝心の北方四島の記述が浅いのが残念。

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    2019年01月25日
  • 国盗り物語(四)

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    国盗り物語のタイトルの主人公は斎藤道三ではあるのだが、その意志は織田信長に引き継がれた。
    と同時にもうひとり忘れてはいけない。名を明智光秀という。
    彼も斎藤道三の寵愛を受けた一人であり、本物語のもうひとりの主人公と言ってよいだろう。実際、3巻、4巻は彼の目線で物語が進んでいく。

    織田信長がユリウス・カエサル、明智光秀がブルータスに似てるな、と思った。

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    2019年01月24日
  • 国盗り物語(三)

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    【感想】
    1~2巻から続く斉藤道三編の終結、3巻からは道三の種である織田信長と明智光秀を中心に物語は進んでいく。
    天才とは言え、予め地盤がある信長と、それと比べて徒手空拳で苦汁を舐めながら流浪の身でのし上がって行く光秀。
    こんなところから、本能寺の変の序曲は流れていたのだなーと読んでいて思った。

    斉藤道三をはじめ魅力的なキャラクターがあふれるこの時代だが、終盤から頭角を現してきた木下藤吉郎にやはり目がいく。
    目立ちすぎず、能力をひけらかすこともせず、悪く言えばゴマをすってのし上がって行くその処世術は、現代でも非常に有効活用できるものだなぁ。
    勿論、秀吉の工夫や細心あっての話だけども、「能ある

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    2019年01月22日
  • 街道をゆく 1

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    ついに禁断の大長編に手を出してしまった。
    タイトルから徒歩で旧街道を旅しながら歴史に触れる紀行番組のようなものを想像していましたが、実際には車で移動しつつ、名所旧跡というよりはその土地の歴史背景や人物に想いを馳せる内容でした。
    それはそれで面白いので、ゆっくり読み進めようと思う。

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    2019年01月14日
  • 新装版 歳月(上)

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    本流の薩長ではない肥前佐賀藩の出身ながら明治新政府の司法制度のほとんどを作り上げた男、江藤新平。上巻は江藤が脱藩、帰郷、蟄居を経て明治新政府に登用され、司法卿(当時の法務大臣)として改革を成し遂げつつも、征韓論を巡って大久保利通と対立するまでを描く。正義感が強く、時の権力者にも盾突きつつも、同時に34歳になるまで世に出られなかった焦りを抱えた野心家でもある複雑な人物として描かれている。下巻が楽しみ。

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    2019年01月13日
  • 菜の花の沖(一)

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    高田屋嘉兵衛の子供時代。

    どんどん居場所がなくなって、村から出なくてはならないところが何とも切ない。
    加えて、現代にも通じる日本の文化的風景を感じてしまうところが更に切ない。

    しかし、この奥さん、芯が強いな。出会う女性で男の運命も変わるような。

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    2019年01月04日
  • 菜の花の沖(六)

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    最終巻。

    突如、拉致され、交渉、政治物語に。

    最後になって、国を背負ってる意識 → 大物感出ちゃうんだけど、ビジネスマンとしての円熟期は描かれず。^^; 読んでる感じでは、 4 → 6 に飛んで、あれ?っていう。

    そ、そういう話じゃないのか。

    そして、家業を息子でなく、離れた弟に継がせちゃうところとか、考え方が進んでる。

    でも、他の兄弟や息子はどう思ったんだろう?

    そして、嘉兵衛のいなくなった次代であっさり高田屋が失速しちゃうんだけど、その辺の関係者の心情も描いてほしかったなー。

    まぁ、でも読んでよかった。

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    2019年01月04日
  • 菜の花の沖(二)

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    徐々にのしがっていくところ。

    リスクをとって = 生命をかけて、そして、やりきらんと、物語は先には進まんのですな。

    そして、クルーを弟にすればいいかっていうところ、なかなか味わい深い。

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    2019年01月04日
  • 夏草の賦(上)

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    ネタバレ

    「では千翁丸殿を」
    どうする気か。わずか五歳のあの子を戦場につれてゆこうというのは、ゆくゆく自分のような臆病者にさせぬための早期鍛錬のつもりなのか。
    「そのおつもりでございましょうか」
    (ならば反対したい)
     とおもった。物のあやめもわかぬ五歳の幼童を戦場につれて行ったところでなんの鍛錬にもなるまい。
    「ちがう」
     と、元親はいった。鍛錬や教育のつもりではない、という。
    「当然、物におびえ、敵の声におびえ、銃声におびえるだろう。どの程度におびえるか、それをみたいのだ」
    「みて?」
    「左様、見る。見たうえで、ゆくすえこの児にどれほどの期待をかけてよいか、それを見たいという興味がある」
    「怯えすぎ

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    2018年12月24日