司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 花神(中)

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    長州藩に属する蔵六が指揮官として石見、浜田藩を撃破していく話。本来農民出で医師をしていた蔵六は戦を率いていく武士になったという何ともマルチなタレントを発揮していく。学問はしたくてするもの、人間の機微が大切、坂本竜馬と同時代、桂小五郎に見込まれた、毛利元就、ペリー、高杉晋作等司馬は幕末を記するのが得意だと思う。上巻とは違った展開で面白い。

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    2018年12月16日
  • 項羽と劉邦(下)

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    ネタバレ

    遂に読み終わった。司馬遼太郎作品「項羽と劉邦」最高の軍師である韓信の背水の陣から始まった下巻。武の才もなく、知略もないが圧倒的なほどの徳と義を持った劉邦の部下たちがまた今回も活躍する。特に目立ったのがやはり韓信。彼は本当に劉邦にしてみれば都合のいい部下であり、韓信に少しでもエゴがあれば劉邦は滅んでいたと思う。さらに張良や蕭何、彼らも最後まで劉邦を見捨てず、奔走した。劉邦は項羽に相対する度に弱気になり、弱音を吐き、リーダーとしてどうなんだと感じるところはあるが愛されるべく才を持っためずらしき英雄なんだなと。麻生さんが言っていたことがわかった。一方項羽は、圧倒的武力を誇りながら次第に弱っていき、最

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    2018年12月12日
  • 項羽と劉邦(中)

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    ネタバレ

    劉邦の元にたくさんの優秀な人材が現れる。
    項羽にあまり重用されず劉邦の元に行き大仕事をなす韓信。劉邦の右腕として、様々な戦略を考える天才軍師張良。また、誰彼構わず官位をくれる劉邦を頼りに属することになる陳平など。魅力的な人物ばかりが登場した。
    一方項羽は自分の親族にしか良い官位は与えず、亜父と慕っていた范増をも陳平の策に溺れ手放してしまう。いつでも弱音を吐いたり、すぐ意見が変わる劉邦だが、そんな男だからこそと仲間になる人たちがいて、リーダーシップとは面白いなとより感じた。
    まだまだ項羽の勢力は衰えていないのでここからどう劉邦が天下を取るのか、しかし、だんだんと心が離れていく項羽兵。方向性の違う

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    2018年12月12日
  • 坂の上の雲(六)

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    ネタバレ

    またもや日本帝国陸軍のピンチ。

    常に物資が不足しいつ負けてもおかしくない状況の中、秋山支隊は驚異の粘りで偶然勝ちをえた。

    敵将の気まぐれでなんとか勝ちをえた好古。

    4巻以降、秋山兄弟の登場シーンがへり、各章毎に登場人物が変わる短編ストーリーのようになってきた。諜報員、ロシア提督、乃木軍、日本海軍、様々な視点から戦況を見つめいざ最終決戦の奉天へ。

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    2018年12月11日
  • 新装版 播磨灘物語(1)

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    ・彼は自分に勇気があるとは思っておらず、勇気のなさを補うには着実に事をやる以外ないと思っていた。
    ・竹中半兵衛のような男がでてきたということ自体、戦国乱世ということが、ただ単に欲望がむらがり衝突する世界というのではなく、欲望が蒸留されて一個の文化現象のようなものが出はじめていることを証拠立てているのかもしれない。
    ・ものを考えるのはすべて頭脳であるとされるのは極端な迷信かもしれない。むしろ人間の感受性であることのほうが、割合としては大きいであろう。

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    2018年12月09日
  • 義経(下)

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    私がこれまで描いていた義経像とは、まったく違う義経が描かれており新鮮で面白かったです。

    子供のまま成人になってしまい哀れに感じるほど政治感覚がない本書での義経は、うっすら記憶に残っている大河ドラマの義経とはかけ離れていました。

    この本から、周りの反応がおかしいなと感じたら、直す直さないは別にして自分の行動を反省するのは重要なことだと再認識しました。

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    2018年12月05日
  • 殉死

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    "司馬遼太郎さんの本。乃木希典さんは、日露戦争の英雄として記憶していた。靖国神社脇にある遊就館の展示イメージが強烈に印象に残っている。(乃木希典大将は戦死者ではないので、靖国神社に御霊はない。)
    本作品では、軍事としての能力が著しく欠けており、家系、人脈、人柄から陸軍大将という地位にあり、日清戦争時に第三軍司令官として旅順、203高地へ赴任したとある。結果的に多くの戦死者を出すことになる難攻不落の要塞攻略に、正面突破の命令しか見いだせなかった無能な軍人として描かれている。
    歴史は語る人により、見方が大きく変わるものである。多くの書物を読むべき理由のひとつがここにある。"

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    2018年11月25日
  • 馬上少年過ぐ

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    司馬遼太郎短編集
    ☆英雄児
    ・・・河井継ノ助の生涯を描く。『峠』のダイジェスト版のようなもの。
    ☆慶応長崎事件
    ・・・幕末、長崎で起きて英国人殺傷事件。海援隊の菅野、佐々木に嫌疑がかけられて、龍馬があわてるという筋。
    ☆喧嘩草雲
    ・・・幕末もの。けんかっ早い田崎草雲と絵師の話。絵師であり、剣術使いでもある主人公。様々な挫折を経て、足利藩の責任者となって、官軍に味方して闘うことに。
    「自分は何者か」ということを追求し、迷い続けた男の話。
    ☆馬上少年過ぐ
    ・・・東北の雄、伊達政宗を描く。母に疎まれた少年時代の話は悲しい。この物語の中で目をひくのは、父・輝宗だろう。政宗を後継者と決めつつも。家内で反

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    2018年11月23日
  • 殉死

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    「坂の上の雲」の主要人物として登場する乃木希典のその後を描いたスピンオフ作品。

    司馬遼太郎による軍人、乃木の評価は著しく低い。「坂の上の雲」でも本小説でも、日露戦争の対旅順要塞での無策ぶりの描写は痛烈だ。

    そもそも乃木という人は、軍に求められるのは戦略や戦術ではなく精神主義と考え、軍司令官として自身の失敗を「自死」で片付けようとする傾向にあった。そんな人間は軍を含めて、組織の管理者としては無責任すぎて、不適切だ。が、外部の国民や天皇からすれば、彼の死を恐れない部分が軍人としての潔さ、カッコよさに見えた。

    そして、乃木は夫婦そろって明治天皇の後を追って殉死する。日露戦争では2人の息子を亡く

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    2018年11月13日
  • 花神(上)

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    大村益次郎の医師としてどう学び成長していくのかの話。彼は少々変わりものである。女性イネをまえにしても興味を持つことなく離れていく。しかし学ぶことの貪欲さは参考になる。医師の存在意義は他人のためであり患者の貴賤を問うてはいけない。これは他人第一主義としては当然だと思う。適塾、緒方洪庵、シーボルト、吉田松陰、桂小五郎、杉田玄白、勝海舟、福沢諭吉、オランダ語から英語へ、尊王攘夷、 幕末の有名人が多く出てくる。上昇志向的なエネルギーが一杯だと思う。

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    2018年10月27日
  • 関ヶ原(中)

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    家康の策謀に対峙する兼続と三成の全国を巻き込んでの挟撃作戦。たった19万石の沢山城主が、西日本の有力大名を大坂に終結させる。いよいよ役者が揃い作戦開始。中だるみを覚悟していたが、リズムよく進む。下巻突入!

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    2018年10月27日
  • この国のかたち(一)

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    日露戦争から第二次大戦まではなかったことにしたいという
    いわゆる司馬史観の教本
    ローマ大好きな西の歴史小説家がキリスト教が嫌いなのでなく認めたくないのと同じく
    いかにも日本人な歴史
    けれどその時だけ別物だったというのはいかにも無理あると思う
    一方で
    評論でなく月刊誌の随筆なので
    論を詰めることない適当さが史観の顔することに対する憤り派の気分もわかるが
    一般大衆は歴史の中身なんざNHK大河ドラマと同じくお話としての価値しかないのが
    大学卒業が普通になっても変わらない
    この国の(この国に限らないが)かたちなんである

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    2018年10月25日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    10年ぶりの司馬遼。さすがに練れた小説です。彼の眼から見た巨人空海を楽しめます。特に最澄との比較による空海の人柄の浮き上がらせ方は見事。とても楽しく読めました。

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    2018年10月23日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    作者が登場人物ばりに全面に出て
    自分の見方であることを断りながら対象を描いていく
    史伝調の歴史小説
    いつものではあるが
    幕末の8倍戦国時代の3倍も昔の話だけに間合いが慎重で面白い
    最澄に対する空海の態度だとか
    薬子の乱を武即天に対比するところだとかはいつもの調子でいけるが
    宗教周りの部分はあえてひどく踏み込みが浅く
    その分全体の調子がぐだぐだでやっぱり面白い
    本来上下分冊でするようなものでなく
    まとめあげたものを随筆中編くらいでまとめるようなものだが
    それをあえてだらだらしているところが味わい深い一品

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    2018年10月20日
  • 人斬り以蔵

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    上梓されて50余年を過ぎているが、どの年齢において読んでも司馬作品には普遍的な魅力がある。著者が若きころの作品は、後の作品と比して当然に語り口も違うし、艶噺もしきりながら、それがむしろ新しさを思わせたりする。実像との合致のほどは知れないが、大村益次郎の朴念仁ぶりが人物像を一層引き立て、その功績が心に刻まれる。そのほか、近世、近代史のなかで亜流にあった人たちも、作中にどんどん登用され、人知れず時代を動かしてみせる痛快さに酔う。

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    2018年10月14日
  • 新装版 播磨灘物語(4)

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    山崎以後は官兵衛は秀吉のもとにいなかったんですね。秀吉が天下を取った後、朝鮮へ行ったり豹変した原因の一つ? ずっと官兵衛が秀吉のもとにいたら、、、。ifを感じる物語でした。

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    2018年10月10日
  • 世に棲む日日(三)

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    高杉晋作をはじめとする長州志士達がいよいよ歴史の表舞台へと登場する。幕末の雄藩として歴史を飾った長州藩であるが、その内情は事なかれ主義に代表される官僚主義出会った。吉田松陰や高杉晋作などは例外であり、意外ではあるがやはり長州とて日本人の民族的な特質を例外無く持ち会わせていたという事だ。そして、その特質は太平洋戦争へと引き継がれる。

    司馬遼太郎の小説で、おりに触れて出てくるこの流れは本書でも同様であった。歴史を通して日本人といものを探り、そしてどうしてあの悲惨な太平洋戦争へと突入していったのか、それは止められなかったのか、ということが著者のライフワークであったのであろう。

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    2018年10月08日
  • 世に棲む日日(二)

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    吉田松陰は育みという扱いで萩に戻され、松下村塾で細々と後進の指導をするが、そうしながら奇を持つ者を探すことが目的であった。しかし、安政の大獄で江戸へと再び呼び戻され、軽信する癖ありと自身が言ったように、取り調べの際に、言わなくていい事まで話してしまい刑は大事となり、処刑される。そこまで読み終わったタイミングでたまたま人形町のスタバにいた不肖は、その先を読み急がずに、伝馬町の十賜公園へと直行し、松蔭処刑の場所まで足を運んで冥福を祈った。

    そして、後半、物語の主役は高杉晋作へと交代する。松蔭の意思を次いだ晋作は、幕府の視察団の一員として上海へ渡る。あの日本を震撼させた黒船と同様の蒸気船が、無数に

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    2018年10月08日
  • 世に棲む日日(四)

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    幕末の風雲児の一人、高杉晋作がその28年という短い人生を突っ走り、結核で死に付する。最後に残した句は、「おもしろき、こともなき世をおもしろく」だった。「苦と楽を差し引きすれば、浮き世の値僅か三銭」と言った彼は、人生をその三銭の差し引き黒字で死んでいったのであろう。浮き世に未練が無い事が、その日暮らしで命知らずの大胆な行動を可能足らしめたのであろう。また、それは師の吉田松陰による、だれもがその人生に春夏秋冬があり、それは人生の長さできまるものではないという教えが由来になっているのかもしれない。

    革命においては、まず第一段階として吉田松陰のような思想家がまず現れそして断罪される。その後、その意思

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    2018年10月08日
  • 国盗り物語(三)

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    貧乏寺の小僧からのし上がり、ついに美濃を奪取した斎藤道三。隣国の尾張でうつけと評判であった織田信長が、その評判とは裏腹に非凡な才能をもつことを見抜く。自らの娘である、濃姫を信長に嫁がせ、同盟関係を結ぶことで美濃の安全保障上の懸念を取り除く。しかし、血の繋がらない長男の義竜の反乱によって、最期を迎え、また道三の家臣であった明智光秀も牢人となって各地を放浪することとなる。一方、道三の天下を制するという野望は、信長によって引き継がれる事となり、当時最もそれに近かった今川義元を桶狭間にて奇襲を持って討ち取るのである。

    光秀は放浪の上、自らも天下に関わる大仕事に関わる野望を抱く。それを実現する手段とし

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    2018年10月08日