司馬遼太郎のレビュー一覧

  • この国のかたち(四)

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    やっと、4巻になって 司馬遼太郎が 何を書きたいのかが
    わかったという感じである。
    統帥権をめぐる日本での系譜
    そして、全く別国になった日本は 統帥権の乱用、拡大解釈にあった。
    大東亜共栄圏という大きなる構想を出したが
    戦争を初めて 石油がないことが大きな問題であり、
    石油を確保するために 戦線を広げた。
    そのような戦争は 前代未聞である。
    戦略があったように見えて 戦略がなかった。
    単なる熱病であり 妄想であり だれがそれを責任持っていたのかも
    よくわからないものであった。
    日本人の二十世紀が 実によくまとまっていた。
    司馬遼太郎の卒論にちかいね。

    馬、松、白石の父、近代以前の自伝
    がお

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    2015年08月25日
  • 城塞(中)

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    1614年後半の大阪冬の陣の物語。

    老獪・姑息な家康、癇癪持ちの淀君、調子ものの織田有楽、英雄的な真田幸村、実は聡明な秀頼、無能な息子の秀忠、器が小さい大野修理というキャラクターが際立つ記述がされている。

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    2015年08月23日
  • この国のかたち(三)

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    司馬遼太郎の歴史に対する見方が
    少し明瞭になりかけた感じがする。

    この国のかたち(一)をよんで、
    朱子学とは日本にとって どんな意味を持っていたのかを
    知りたいと思って 『朱子学と陽明学』を読んだが、
    どうも、まだまだ知りたいことに対して距離があるようだった。

    世に棲む日々を 全4巻読んで、
    吉田松陰と高杉晋作を対比する中で
    思想家と現実家との 姿を浮き彫りにされて、
    なるほど 思想というものを そうやってとらえているのか
    が 理解できた感じがした。

    この国のかたち(三)をよみながら
    室町時代が180年も続き、そこで日本の生活の原型ができた。
    書院造、華道、茶道、行儀作法、婚礼の作法。

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    2015年08月20日
  • 殉死

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    ネタバレ

    日露戦争で日本の軍隊を指揮した実在の人物乃木希典をテーマにした小説。もともと別の作品の「坂の上の雲」でどういった人物かは知っていたが今回の作品はより軍人として生きた人間像を浮き彫りにして単なる英雄として描かれがちな人物に対して一種の異常性をも含めてより興味を持った。

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    2015年08月16日
  • 世に棲む日日(三)

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    吉田松陰が なくなり、その弟子の 高杉晋作の時代 となる。
    この高杉晋作は とらえどころのない 人物。
    まったく、行動予測ができない。
    大きな潮目には登場し、世の中をあっと言わせたい
    と思い、その通りに行動する。
    まさに、集中力 というか 狂気の人である。
    その行動の急なることは 迅速である。

    伊藤博文が言う
    「動けば雷電の如く発すれば風雨の如し、
    衆目駭然、敢て正視する者なし。
    これ我が東行高杉君に非ずや…」

    静かな時は 女郎屋にいる。
    そして、風流をかなでる。
    これくらいの幅の広がりが 明治維新後 なくなってしまうのですね。

    長州藩が まけることで、講和の代表となるが
    じつに 政治的

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    2015年08月07日
  • 人斬り以蔵

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    司馬遼太郎の短編集。彼の著作ではやはり幕末物が迫力あるが、江戸初期の男たちの生き様を浮き彫りにした本書もまた面白かった。
    司馬の作品の魅力は独特のテンポ感だと思う。本を読んでいるだけで、その時代に自分もいるような感覚になり、出来事に巻き込まれるのではという高揚感がみなぎってくる。
    タイトルの人斬り以蔵は、竜馬がゆくにも出てくる人物で、脇役の彼にスポットライトが当たる。他には茶器を題材にした章が特に興味深かった。あまり興奮がない話もあったが、総じて幸福と(身分制度などによる)やるせなさが混ざり合っており、読後しみじみとする。司馬の長編を手に取る気になれない人にもおすすめである。

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    2015年08月06日
  • 韃靼疾風録 (下)

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     陳舜臣『小説十八史略』1巻は中国中原に君臨した神々から秦の始皇帝が中国中原を領する、最終巻ではモンゴルが元と国名を改め宋を滅ぼし、中国を統一するまでを読み、続けて『チンギス・ハーンの一族』全4巻で元の隆盛から滅亡までを読破する。『韃靼疾風録』上下巻では満洲にて後金を称する蛮族が勃興し、遂には明国を滅ぼし清国を打ち立てる経緯を知る。内容は平戸に漂着した満洲貴族のアビアを母国へ帰す使命をおびた平戸武士、庄助の生涯の記録である・・・司馬遼太郎本の中でも推薦の本書である。

     追記:清国末期は浅田次郎『蒼穹の昴』『中原の虹』と読んだが、抜けているのは元滅亡からはじまる明国時代について小説はあるのか探

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    2015年07月21日
  • 新装版 戦雲の夢

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    長宗我部盛親とはどのような運命をたどった武将であったのか……そこがよく理解できる小説だった。
    関ヶ原後、隠遁とした浪人生活を送っていた武将たちは、皆、同じ気持ちで大阪に馳せ参じたのであろう。その中でも一国の主であったのは盛親だけだった。左衛門佐信繁(真田幸村)も、関ヶ原当時は父の安房守昌幸の時代であったため一国の主ではなかった。そう考えると土佐二十二万石の主であった長宗我部盛親という武将の生き様をみてみるのも楽しくなる。

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    2015年07月14日
  • 韃靼疾風録 (上)

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     司馬遼太郎レビュー100冊記念本なのである。縁があって司馬遼太郎を読み続けてはいるが、これは全て他薦である。100冊レビューにして心底好きな作家と言えないところに司馬遼太郎の深みがあるのかもしれない。まだまだ未読の司馬本が本棚に山と積まれている(苦笑 韃靼疾風録レビューは下巻にて

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    2015年07月11日
  • 項羽と劉邦(下)

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    ネタバレ

    ――漢王は能なく智なく勇なく、しかも人間が粗㒒すぎて雅馴でない。まことに不徳の人である。といってるのを劉邦は耳にしたことがある。
    「陛下は、御自分を空虚だと思っておられます。際限もなく空虚だとおもっておられるところに、智者も勇者も入ることができます。そのあたりのつまらぬ智者よりも御自分は不智だと思っておられるし、そのあたりの力自慢程度の男よりも御自分は不勇だと思っておられるために、小智、小勇の者までが陛下の空虚のなかで気楽に呼吸をすることができます。それを徳というのです」

     義とは、骨肉の情や、人間としての自然の情(たとえば命が惜しいなど)を越えて倫理的にそうあらねばならぬことをさす。
    義は

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    2020年11月04日
  • 城塞(上)

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    家康による大阪城攻略の顛末を描く長編。司馬遼太郎の得意なストーリーテリング展開として、複数の登場人物の視点を同時に使うが、特に小幡勘兵衛とお夏というキャラが一番絵になる。

    当時70歳を越えた家康がかつての主家豊臣家を滅ぼすために矢継ぎ早に行う政略がえげつないのに対して、淀君のヒステリーっぷりが痛々しい。

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    2015年07月05日
  • この国のかたち(六)

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    シリーズ最終巻にして絶筆となった随想が含まれる。「この国のかたち」というタイトル通り、作者が存命だった90年代までの、この国の根源のようなことが解説されている。冷静さと緻密な描写と圧倒的な取材に基づいた作品、多少突き放した感があって、それがかえって近づきたさを醸し出す。大学時代に講演にお呼びしようとして丁寧なおお断りの手紙をもらったっけ。どこへしまいこんだかなあ。

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    2015年06月27日
  • 風神の門(下)

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    純粋に面白かったし、読みやすかった。
    才蔵が最後までとにかくモテてたし、かっこよくて強い。
    佐助や幸村はあくまで脇役だから仕方ないけど、下巻は結構あっさりめな出番しかなかったのが私としては少し残念。

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    2015年06月24日
  • 風神の門(上)

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    才蔵が女にモテモテで、強くて凄まじい。
    でも、私は幸村命で飄々としつつもお人好しな感じのする佐助が好み。まぁ、元々佐助贔屓というのもあるんだけど…。
    読みやすいし、展開もいろいろあり先が気になってぐんぐん読めた。

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    2015年06月20日
  • 城塞(中)

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    真田幸村、後藤又兵衛などの活躍は痛快だが、大将が淀君では勝てる戦も勝てず、家康の老獪さと豊臣家の無能さが際立っていた。

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    2015年06月20日
  • この国のかたち(五)

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    神道、鉄、宋学など、日本人の精神の土台形成に大きな影響を与えた事柄に対する司馬の解説。指摘の通り、神道には教義もなく、元々は社殿もない。山や岩、古木などが自然と畏敬の対象となり、清められてきた。だから、何々をしなければならないなどという教義はないという。これはすんなり理解できる。お天道様はいつも見ている、お天道様はありがたいという精神性は、いろいろなものに通ずると思う。

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    2015年06月18日
  • 花神(下)

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    この本の前に「世に棲む日々」を読んで、松蔭〜高杉晋作の幕末の長州藩志士の熱き志を知りました。そして、この「花神」では、明治維新の仕上げを長州藩の元百姓だった大村益次郎(村田蔵六)が実にクールにおこなことを知りました。偉大なる大村益次郎、、

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    2015年06月17日
  • 十一番目の志士(下)

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    架空の剣客・天堂晋助と、実在の“幕末オールスターズ”達との絡みが自然で、晋助は実在したのでは?と思わせるものがあります。さすが司馬さんですな。
    ただ、ラストが唐突で、結局、菊絵やお里はどうなったのか気になります。。。

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    2015年06月15日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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     中国文明は宇宙の真実や生命の神秘についてはまるで痴呆である。中国文明の重要な部分をなすものは史伝であり、史伝とは事実のことをいう。人生における事実などは水面に浮かぶ泡よりも儚い。なによりも儒教とは世俗の作法に過ぎない。この様な中国人と対局にいるのはインド人である。国費で儒学を学ぶ空海は、中国文明に身を置きながら私的関心としてはインド文明に引き寄せられていく(P104~参照)

     最澄は天台宗で比叡山、空海は真言宗で高野山と覚えておこう試験にでる(笑

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    2015年06月07日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    司馬遼太郎、空海の風景(上・下巻)を読む:
    今日、これだけ、旅が、何処へでも簡単に、出掛けられ、しかも、ネットで、欲しい情報に、簡単にアクセス出来る時代からすれば、8世紀の時代に、航海術ですら、満足に発展していない頃に、命懸けで、当時の世界的文化的な大都市に、海外留学しにゆくが如きことは、おおいに、大変であったことは、容易に、想像されよう。
    目的地へ、きちんと、到着した最澄と異なり、福建省の土地に漂着、辿り着いてしまった空海が、皮肉にも、彼の地で、語学の才と当時の文化的知的な教養である書道(五筆和尚という称号)・文章道・漢詩・文才に恵まれ、奇跡的に、これを活かすことになること、誠に、皮肉な廻り

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    2015年06月04日