司馬遼太郎のレビュー一覧
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やっと、4巻になって 司馬遼太郎が 何を書きたいのかが
わかったという感じである。
統帥権をめぐる日本での系譜
そして、全く別国になった日本は 統帥権の乱用、拡大解釈にあった。
大東亜共栄圏という大きなる構想を出したが
戦争を初めて 石油がないことが大きな問題であり、
石油を確保するために 戦線を広げた。
そのような戦争は 前代未聞である。
戦略があったように見えて 戦略がなかった。
単なる熱病であり 妄想であり だれがそれを責任持っていたのかも
よくわからないものであった。
日本人の二十世紀が 実によくまとまっていた。
司馬遼太郎の卒論にちかいね。
馬、松、白石の父、近代以前の自伝
がお -
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司馬遼太郎の歴史に対する見方が
少し明瞭になりかけた感じがする。
この国のかたち(一)をよんで、
朱子学とは日本にとって どんな意味を持っていたのかを
知りたいと思って 『朱子学と陽明学』を読んだが、
どうも、まだまだ知りたいことに対して距離があるようだった。
世に棲む日々を 全4巻読んで、
吉田松陰と高杉晋作を対比する中で
思想家と現実家との 姿を浮き彫りにされて、
なるほど 思想というものを そうやってとらえているのか
が 理解できた感じがした。
この国のかたち(三)をよみながら
室町時代が180年も続き、そこで日本の生活の原型ができた。
書院造、華道、茶道、行儀作法、婚礼の作法。
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吉田松陰が なくなり、その弟子の 高杉晋作の時代 となる。
この高杉晋作は とらえどころのない 人物。
まったく、行動予測ができない。
大きな潮目には登場し、世の中をあっと言わせたい
と思い、その通りに行動する。
まさに、集中力 というか 狂気の人である。
その行動の急なることは 迅速である。
伊藤博文が言う
「動けば雷電の如く発すれば風雨の如し、
衆目駭然、敢て正視する者なし。
これ我が東行高杉君に非ずや…」
静かな時は 女郎屋にいる。
そして、風流をかなでる。
これくらいの幅の広がりが 明治維新後 なくなってしまうのですね。
長州藩が まけることで、講和の代表となるが
じつに 政治的 -
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司馬遼太郎の短編集。彼の著作ではやはり幕末物が迫力あるが、江戸初期の男たちの生き様を浮き彫りにした本書もまた面白かった。
司馬の作品の魅力は独特のテンポ感だと思う。本を読んでいるだけで、その時代に自分もいるような感覚になり、出来事に巻き込まれるのではという高揚感がみなぎってくる。
タイトルの人斬り以蔵は、竜馬がゆくにも出てくる人物で、脇役の彼にスポットライトが当たる。他には茶器を題材にした章が特に興味深かった。あまり興奮がない話もあったが、総じて幸福と(身分制度などによる)やるせなさが混ざり合っており、読後しみじみとする。司馬の長編を手に取る気になれない人にもおすすめである。 -
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陳舜臣『小説十八史略』1巻は中国中原に君臨した神々から秦の始皇帝が中国中原を領する、最終巻ではモンゴルが元と国名を改め宋を滅ぼし、中国を統一するまでを読み、続けて『チンギス・ハーンの一族』全4巻で元の隆盛から滅亡までを読破する。『韃靼疾風録』上下巻では満洲にて後金を称する蛮族が勃興し、遂には明国を滅ぼし清国を打ち立てる経緯を知る。内容は平戸に漂着した満洲貴族のアビアを母国へ帰す使命をおびた平戸武士、庄助の生涯の記録である・・・司馬遼太郎本の中でも推薦の本書である。
追記:清国末期は浅田次郎『蒼穹の昴』『中原の虹』と読んだが、抜けているのは元滅亡からはじまる明国時代について小説はあるのか探 -
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ネタバレ――漢王は能なく智なく勇なく、しかも人間が粗㒒すぎて雅馴でない。まことに不徳の人である。といってるのを劉邦は耳にしたことがある。
「陛下は、御自分を空虚だと思っておられます。際限もなく空虚だとおもっておられるところに、智者も勇者も入ることができます。そのあたりのつまらぬ智者よりも御自分は不智だと思っておられるし、そのあたりの力自慢程度の男よりも御自分は不勇だと思っておられるために、小智、小勇の者までが陛下の空虚のなかで気楽に呼吸をすることができます。それを徳というのです」
義とは、骨肉の情や、人間としての自然の情(たとえば命が惜しいなど)を越えて倫理的にそうあらねばならぬことをさす。
義は -
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司馬遼太郎、空海の風景(上・下巻)を読む:
今日、これだけ、旅が、何処へでも簡単に、出掛けられ、しかも、ネットで、欲しい情報に、簡単にアクセス出来る時代からすれば、8世紀の時代に、航海術ですら、満足に発展していない頃に、命懸けで、当時の世界的文化的な大都市に、海外留学しにゆくが如きことは、おおいに、大変であったことは、容易に、想像されよう。
目的地へ、きちんと、到着した最澄と異なり、福建省の土地に漂着、辿り着いてしまった空海が、皮肉にも、彼の地で、語学の才と当時の文化的知的な教養である書道(五筆和尚という称号)・文章道・漢詩・文才に恵まれ、奇跡的に、これを活かすことになること、誠に、皮肉な廻り