司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 風神の門(上)

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    司馬遼の忍者もの長編では、一番好き。
    こいつを読むと、続いて『梟の城』を読みたくなる。
    で、そのまんま『城塞』とか『豊臣家の人々』へと・・・。
    あ、もちろん『関ヶ原』も欠かせません。

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    2013年03月31日
  • 菜の花の沖(一)

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    全6巻の序章。嘉兵衛が淡路を出て兵庫の叔父の廻船問屋に入り、江戸へ樽廻船に乗り、船出の一歩を踏み出すところを描く。江戸時代の村の閉鎖性、同じ字でも集落が異なれば外の人として扱い、厳しいルールがあったことに、大変さを思う。そんな中、生まれた村では暮らしていけない嘉兵衛、そのため隣村の親戚の所で働く。ここで、閉鎖性に苦しみながらも負けずに生きる姿が雄々しい。その嘉兵衛にとって、村を飛び出し兵庫へ行った後、海の男達の人を受け入れる度量や、お互いを信頼しあい、同じ人として遇してくれることにとても感銘をうけたことは想像に難くない。そしてその海の男達を惹きつける嘉兵衛の人柄が素晴らしい。天性のものか。ある

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    2013年03月29日
  • 空海の風景 下巻 (改版)

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    勘違いから手に取った物語だがあとがきでいう
    『結局は、空海が生存した時代の事情、その身辺、その思想などといったものに外光を当ててその起伏を浮かび上がらせ、筆者自身のための風景にしてゆくにつれて、あるいは空海という実態に偶会できはしないかと期待した』
    に引き込まれた.

    2014年6月何を思ったか再読
    期を合せたかのように寝たきりの父親の容態が変わり、時を措かずに逝った。
    三七日を迎えたいま、ほとけは兜率天にでもあるのだろうか 
    不思議な本である

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    2015年04月05日
  • 新装版 王城の護衛者

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    久振りに司馬遼太郎の作品を読む。人物の描き方が素晴らしい。それぞれ個性的な人物を、本当にそんな人いるのかと、生き生きと描く。
    幕末に活躍した人物、数人を描くが、短編ならではのエッセンスを凝縮した作品になっており、極めて個性的な人物ばかりを集めている。

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    2013年03月24日
  • 新装版 アームストロング砲

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    幕末の狂気がよかった。無価値の死も時代を煮えつまらせていく薪の一部にはなっている、の表現にしびれる。鍋島氏の佐賀藩はあんなに先進的だったのになぜ今は地味になってしまったのか?

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    2013年03月08日
  • 新装版 アームストロング砲

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    ネタバレ

    「愚人なら愚人のままがよい。愚人で国を憂えて妄動すれば、その災害ははかり知れぬ」

    「おれは幼少のころから人の不正を憎むことはなはだしく、そのため他人とも無用の争いを重ねてきた。これほどまでに正義を貫いてきたおれを、ひとが邪心を抱いてだますわけがない」
    「若旦那のいいところでございますな」
    藤吉は、悲しげにいった。
    「しかし、御苦労のない育ちでございますからな。人の心がおわかりになれませぬ」

    田舎の仕立屋が、乾のような秀才を生むことが子への罪なのである。ときにそれがどのような社会悪を生まないともかぎらない。

    人間の現象は、おもわぬ要素が入りくみあって、瞬間という作品をつくる。

    (間違って

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    2013年03月07日
  • 空海の風景 上巻 (改版)

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    ネタバレ

    空海の生い立ちから、入唐した長安での活動まで。司馬遼太郎はこれを「小説」断っているけれど、自分なりの想像・解釈を相当入れたと言う事でしょう。ちょうど坂の上の雲も同様の形式です。

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    2013年03月03日
  • 新装版 播磨灘物語(3)

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    主君から見放され荒木村重に囚われ牢獄に閉じ込められる
    牢獄の中から藤の花に願いをかけていたシーンは印象的でした
    信長は官兵衛を裏切ったものとされ人質の松寿丸を殺せと命じられるが
    半兵衛によって保護されて無事
    労を出たときはすでに半兵衛は亡くなっていたという
    せっかく出会えた友人の死を知った瞬間は泣けました
    播州がどんどん織田家に平定され
    いよいよ毛利との決戦を迎えたのは運命の年
    天正10年の正月
    いよいよクライマックス楽しみです

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    2013年03月04日
  • 新装版 播磨灘物語(2)

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    信長を通じて秀吉に出会います
    そして心の友・ライバルといえる竹中半兵衛とも出会い
    三人で力をあわせて播州平定に力を合わせますが
    半兵衛の病気、なかなか判断をくだしてくれない主君
    そう迷っている間
    各播州大名は毛利側に傾き
    織田家により播州平定は不利に!!
    さらに摂津国・村重の謀反発覚
    この危機を官兵衛はどう乗り越えるのか楽しみです!!

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    2013年02月25日
  • 新装版 王城の護衛者

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    高校生の頃に読んだ本。35年ほど前か。
    最近、天地明察で保科正之が登場していたり、NHK大河ドラマ「八重の桜」で幕末の会津を見るにつけ、読み返したくなった。

    松平容保に京都守護代を押し付けた松平春嶽は結局官軍につき、将軍慶喜は敵前逃亡。薩摩は会津と組み、長州を京都から追い落とすが、後に長州と同盟。会津だけが貧乏籤を引く。
    容保は京都方に嘆願書を何度も送ったにもかかわらず、官軍の討伐を受け、会津は女性、子供に至るまで奮戦し、敗北。その後も長州から会津は非情な扱いを受け続ける。

    孝明帝に対しても容保は忠節を尽くし、帝も容保を頼みとされたことは歴史の皮肉というもの。この短編を読み返し、改めて歴史

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    2014年01月11日
  • 新装版 箱根の坂(上)

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    北条早雲のお話。
    司馬先生らしさがとっても出ていて、ワクワクしながらも、
    「おぉっ」と言いながら読める。

    45歳で世に出始めて、北条家を作り、
    後の北条家の基盤を作った手腕は本当に素晴らしいと思う。

    また、室町時代から戦国時代への移り変わりがよく読み取れ、
    歴史が楽しめる。

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    2013年02月13日
  • 翔ぶが如く(三)

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    征韓論争の一面を見ると、西郷の哲学的論理に対して大久保の実務的論理が勝ったということになるのでしょうか。これが現在の官僚制度につながるかるかと思うと中々興味深いです。
    小説的には岩倉具視が凄みを見せるシーンが迫力あっていいです。

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    2013年02月09日
  • 翔ぶが如く(四)

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    江藤新平による佐賀の乱、それに対峙する大久保利通の独裁的強権が書かれている第4巻。
    独立国家として存在する鹿児島、台湾出兵をめぐる迷走等、近代国家日本の道はまだまだ遠い。

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    2013年02月09日
  • 翔ぶが如く(六)

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    後半突入第6巻。全体的にはやや停滞気味ですが、ラスト100ページの神風連の乱は映画のような迫力です。純粋暴力から派生する殺戮は鬼気迫るものがあります。

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    2013年02月09日
  • 翔ぶが如く(七)

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    西郷暗殺疑惑に伴う政府密偵捕縛、私学校生徒による火薬庫襲撃を契機に、薩摩は政府との開戦を決議。西郷隆盛の思いとは裏腹に事態はいよいよ西南戦争へ。

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    2013年02月09日
  • 翔ぶが如く(八)

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    前巻までが主義思想のぶつかる政争小説とするなら、8巻は西南戦争を時系列で記述した戦争小説。今まで知らなかった地理的状況も細部まで記述されていて非常に興味深いです。薩摩士族の前に立ちふさがる熊本城(加藤清正)!

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    2013年02月09日
  • 翔ぶが如く(九)

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    西南戦争最大の攻防戦ー田原坂を経て、政府軍の反撃により熊本より敗走する薩摩軍。世界史的に見ても類の無い激戦となった内戦をノンフィクションのように描き出す。農民を徴兵した明治政府軍の物量戦に敗れる旧士族。武士の時代の終焉。

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    2013年02月09日
  • 菜の花の沖(一)

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    嘉兵衛が故郷で体験した、若衆宿という組織は、現代の日本の企業や生活集団に残る閉鎖された側面に通じるものがあると思った。

    海外進出やグローバル化などという言葉が巷に溢れかえるようになってしまっている現代に、嘉兵衛の命懸けで自分の故郷を飛び出し、自ら考えて道を切り開く姿勢は、新鮮に感じた。

    はやく続きが読みたい。

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    2013年02月08日
  • 新装版 歳月(上)

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     明治維新時の日本において、近代的司法制度の創設を一手に担った鬼才・江藤新平の伝記。肥前佐賀藩に生まれ、佐幕を是とする藩風の中、命がけで勤皇を主張する。倒幕後の新政府における江藤の活躍がこの小説の主題。
     薩長が牛耳る政府にあって、江藤はもう一度乱を起こし自らが政府の実権を握ろうとしていた。「正義」だけが彼の全てであり、いっさいの腐敗を許さない性格だった。
     政府に機構を創るという仕事を誰よりも高い能力でこなした江藤の凄まじいまでの仕事力。彼の暗躍する姿がよく読みとれる。江藤に限らずこの時代の男達は本当に仕事に対して誠実であり命がけだと感じた。大学生の時に一度読んだ本だが当時より深く理解できた

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    2013年02月06日
  • 義経(上)

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    ネタバレ

    「戦争は天才、政治は痴呆」と言われた源義経の生涯を描く。

    義経には日本人が好きな要素が詰まっている。義経はいくら頼朝に敵意をむき出しにされ、反逆者扱いされても、あくまで兄が自分を理解してくれるということを信じ抜いたことが、民衆の心の琴線に触れ同情を買った。本来一番の功労者として讃え称せられるべき立場であったにも関わらず、逆に「悪」として処刑された。本当の悪とは何なのだどうと言う言葉で締めくくられる。

    兄に対する一途で向う見ずな感情や、政治のいろはの分からない、また理解しようとしない義経の少年っぽさ、それに似つかない、それまでの日本史にはあり得なかった戦術で平家を倒した天才的実力、また端正な

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    2013年02月04日