司馬遼太郎のレビュー一覧
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ネタバレ「愚人なら愚人のままがよい。愚人で国を憂えて妄動すれば、その災害ははかり知れぬ」
「おれは幼少のころから人の不正を憎むことはなはだしく、そのため他人とも無用の争いを重ねてきた。これほどまでに正義を貫いてきたおれを、ひとが邪心を抱いてだますわけがない」
「若旦那のいいところでございますな」
藤吉は、悲しげにいった。
「しかし、御苦労のない育ちでございますからな。人の心がおわかりになれませぬ」
田舎の仕立屋が、乾のような秀才を生むことが子への罪なのである。ときにそれがどのような社会悪を生まないともかぎらない。
人間の現象は、おもわぬ要素が入りくみあって、瞬間という作品をつくる。
(間違って -
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高校生の頃に読んだ本。35年ほど前か。
最近、天地明察で保科正之が登場していたり、NHK大河ドラマ「八重の桜」で幕末の会津を見るにつけ、読み返したくなった。
松平容保に京都守護代を押し付けた松平春嶽は結局官軍につき、将軍慶喜は敵前逃亡。薩摩は会津と組み、長州を京都から追い落とすが、後に長州と同盟。会津だけが貧乏籤を引く。
容保は京都方に嘆願書を何度も送ったにもかかわらず、官軍の討伐を受け、会津は女性、子供に至るまで奮戦し、敗北。その後も長州から会津は非情な扱いを受け続ける。
孝明帝に対しても容保は忠節を尽くし、帝も容保を頼みとされたことは歴史の皮肉というもの。この短編を読み返し、改めて歴史 -
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明治維新時の日本において、近代的司法制度の創設を一手に担った鬼才・江藤新平の伝記。肥前佐賀藩に生まれ、佐幕を是とする藩風の中、命がけで勤皇を主張する。倒幕後の新政府における江藤の活躍がこの小説の主題。
薩長が牛耳る政府にあって、江藤はもう一度乱を起こし自らが政府の実権を握ろうとしていた。「正義」だけが彼の全てであり、いっさいの腐敗を許さない性格だった。
政府に機構を創るという仕事を誰よりも高い能力でこなした江藤の凄まじいまでの仕事力。彼の暗躍する姿がよく読みとれる。江藤に限らずこの時代の男達は本当に仕事に対して誠実であり命がけだと感じた。大学生の時に一度読んだ本だが当時より深く理解できた -
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ネタバレ「戦争は天才、政治は痴呆」と言われた源義経の生涯を描く。
義経には日本人が好きな要素が詰まっている。義経はいくら頼朝に敵意をむき出しにされ、反逆者扱いされても、あくまで兄が自分を理解してくれるということを信じ抜いたことが、民衆の心の琴線に触れ同情を買った。本来一番の功労者として讃え称せられるべき立場であったにも関わらず、逆に「悪」として処刑された。本当の悪とは何なのだどうと言う言葉で締めくくられる。
兄に対する一途で向う見ずな感情や、政治のいろはの分からない、また理解しようとしない義経の少年っぽさ、それに似つかない、それまでの日本史にはあり得なかった戦術で平家を倒した天才的実力、また端正な -
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長かった。。。
幕末の小説をいくつも読んできて最後にこの本を読んだ。
黒船がきて日本が沸き上がって、何十人もの名士や愚物が生まれ、各々の正義を貫く中で、陰謀や暗殺、戦争がありようやく明治維新がおこって、世界に立ち向かえる国づくりの為に動き出した日本。
改革の強行により失うものが多かった士族。維新の反動が各地の一揆や西南戦争となって現れるのは納得する部分も大きかった。
士族や封建時代の精神的象徴の西郷vs現実の世界情勢を知り日本を進化させたい大久保率いる太政官。(精神vs現実みたいな感じか?)
薩摩藩閥の私闘ととらえられていたのかもしれないけど、そんな小さい戦いじゃない。
上手く言えない -
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『愛染明王』…福島正則の話
『おれは権現』…可児才蔵の話
『助兵衛物語』…宇喜多家家臣、花房職秀の話
『覚兵衛物語』…加藤家家臣、飯田直景の話
『若江堤の霧』…木村重成の話
『信九郎物語』…長宗我部盛親の弟、長宗我部康豊の話
『けろりの道頓』…道頓堀を作った、安井道頓の話
司馬遼太郎の小説を読んでると、物語の主人公の行動が、
この人はこうするしかなかったんだなぁ、と腑に落ちます。
実際の選択肢としても、心情としても、生来のものとしても、
それを選ばざるを得なかったという納得感があります。
必然的なかんじがします。
しかもその必然の種が、その前にちゃんと蒔かれています。
不本意だとしても蒔か