司馬遼太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
長かった。。。
幕末の小説をいくつも読んできて最後にこの本を読んだ。
黒船がきて日本が沸き上がって、何十人もの名士や愚物が生まれ、各々の正義を貫く中で、陰謀や暗殺、戦争がありようやく明治維新がおこって、世界に立ち向かえる国づくりの為に動き出した日本。
改革の強行により失うものが多かった士族。維新の反動が各地の一揆や西南戦争となって現れるのは納得する部分も大きかった。
士族や封建時代の精神的象徴の西郷vs現実の世界情勢を知り日本を進化させたい大久保率いる太政官。(精神vs現実みたいな感じか?)
薩摩藩閥の私闘ととらえられていたのかもしれないけど、そんな小さい戦いじゃない。
上手く言えない -
Posted by ブクログ
『愛染明王』…福島正則の話
『おれは権現』…可児才蔵の話
『助兵衛物語』…宇喜多家家臣、花房職秀の話
『覚兵衛物語』…加藤家家臣、飯田直景の話
『若江堤の霧』…木村重成の話
『信九郎物語』…長宗我部盛親の弟、長宗我部康豊の話
『けろりの道頓』…道頓堀を作った、安井道頓の話
司馬遼太郎の小説を読んでると、物語の主人公の行動が、
この人はこうするしかなかったんだなぁ、と腑に落ちます。
実際の選択肢としても、心情としても、生来のものとしても、
それを選ばざるを得なかったという納得感があります。
必然的なかんじがします。
しかもその必然の種が、その前にちゃんと蒔かれています。
不本意だとしても蒔か -
Posted by ブクログ
司馬遼太郎著「故郷忘じがたく候」を読みました。
司馬遼太郎作品は久しぶりで、じっくり読み味わいました。
3編からなる短編小説で、タイトルの「故郷忘じがたく候」は、16世紀朝鮮の役で日本の薩摩へ陶器の技術を手に入れるために拉致された朝鮮の民の子孫の運命を描いた作品でした。
彼の作品の中では、現代に生きている人を扱った唯一の作品だそうです。
ちなみに、この子孫の方は健在で、先日テレビにも出ていて、この本を読むきっかけにもなりました。
この人の語った次のような言葉が載っています。
「あなた方が36年をいうなら
私は370年をいわねばならない」
この言葉 -
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高田屋嘉兵衛さんを主人公にしたお話の最終巻です。
嘉兵衛さんがゴローニン事件のとばっちりでロシア船に拿捕されちゃって、その後ロシア側のおじさんと心を通じ合い(向こうのスパイになったとかではないよ!)日本側に幽閉されていたゴローニンさんを解放し、日本とロシアの間にわだかまりをつくらずに事件を解決しました。
何があっても、人を信頼しようとする嘉兵衛さんの姿は素晴らしかった♪
でも高田屋は結局、蝦夷地(北海道)が幕府の直轄地から松前藩に返還された後、松前藩に仕返しをされて、潰されちゃうんだよね。
このお話では、かなり松前藩はダメダメな自分さえよければ藩になっています。
実際は、どうだったんだろうね -
Posted by ブクログ
ほとんど空海については予備知識もなく読んだ。
俗名が「佐伯真魚」であった(らしい)ことさえ、知らなかった。
その時代や、空海の人となりについて、司馬遼太郎的解釈かもしれないけれど、イメージができてきた。
上巻は、空海の唐での留学生活までが描かれる。
同じ遣唐使船で渡った最澄とは、境遇から人柄まで、対照的。
「弘法筆を選ばず」という言葉ひとつで、勝手にストイックな人物というイメージを持っていたが、むしろ溢れる才能を見せ付けることに躊躇しない、あくの強い人物であったようだ。
読んで楽しいのは、やはり唐へ渡るあたりから。
文章もいきいきとしてくる。
一緒に唐に渡った橘逸勢との関わりも加わって、 -
Posted by ブクログ
沖縄・先島が特殊だというなら、薩摩や津軽など、明治時代の廃藩置県前の日本列島の他のエリアと比較すれば、特別に特殊というわけではないと主張しているのは、さすが司馬遼太郎という感じ。
確かに、例えば言葉を事例にすれば、沖縄語も津軽弁も薩摩弁も同じ系統の言葉であるとしながらも、標準語とは全く別の言葉であって、お互い会話は成り立たないだろう。
私の想像では日本列島の住人は、明治政府による大日本帝国という近代国家ができる前は、自分は日本人だと思っている人は少なかっただろう。薩摩人であり、長州人だと思っていただろう。それも我々が無意識に今感じている近代国家のそれとは大分違っていたのではないかと思う。そ